民法改正の必然性について、歴史的経緯や過去の判例を交えながら語る本。司法を市民に開かれたものにするために、条文を読めばある程度解釈の見通しがつくようなものにすべきという主張が細かに述べられている。「法政大学ってそういう理由で法政大学だったのか! 」と今更知った。
第二次世界大戦中、日本が秘密裏に運営していたスパイ養成学校があったという設定の上、スパイたちを主人公にした事件が綴られた短編集。珍しい題材なのだが、国家の造形がふわふわしていて、戦時中の物語としてはあまりに薄味。
特に、天皇崇拝を疑問視し、自立心を貴ぶエリートスパイたちと、愛国心に洗脳されて名誉の戦死を選ぶ憲兵という構図がずさんすぎて入り込めなかった。単細胞な体育会系を嗤う文化系エリートという図式だけが必要で、作者に全体主義に対する批判精神は薄いのではないか。薄味だからこそいくつもメディアミックスされているかもしれないが……。結城中佐は平野耕太に描かせたらウケそう。
「椰月さんって児童文学出身だけど少女の心が書きたいだけで子どもにはあんま興味ないんか?」と思わせるくらい微妙な内容だった。詳しい感想は↓に。
すごくラブラブじゃないですか? ドラマの影響ですか!? チーズトッピングの夏野菜カレー作りたいな~~。『大奥』どこまで買ってたか忘れちゃって最終巻が買えない……。そういや、東日本大震災は来なかった世界なんだけど、コロナっぽいものはあるんだよね、何食べ世界。
面白くて肉体的で悪趣味。マンガってコレコレ~~という楽しさがある。内容や演出はいかにも柴田ヨクサルだけど、美形がちゃんと美形として説得力を持っていて、本人作画とはまた別の面白さがある。
合宿だ! テントで生活だ! 釣った魚を民宿のおかみさんに買い取ってもらえたら肉や野菜が手に入るぞ! というわくわく設定の合宿編。でも、本編5話+アシスタントのアニメアフレコ見学記2話ですぐ読み終わってしまった……。作者の小坂さんがアニメ放送真っ最中の2020年7月、熊本を襲った豪雨により被災し、しばらくマンガが描けなかったことは知っているので責める気持ちはないのだけど、やっぱりもうちょっと読みたかった!
ネットで無料公開していたので単行本持っていたけど読み直した。まともな人間がひとりも出てこないので、頭からっぽにして楽しめる。開放感がすごい。
よしながふみか福田里香が「男性の料理マンガでは、食事が勝負の道具になりがち」と言っていたけど、「それの何が悪い!!!」と言わんばかりの展開に惚れる。
出てくる料理のワンダー度数が群を抜いていて頭の中の好奇心メーターが振り切れる。血のデザートやうじ虫入り肉のカルパッチョって何事?!
「有名店に並ぶ人は料理を食べてるんじゃない。情報を食べている」とよく言うけど、ジャンに出てくるような強烈な情報なら絶対体験したい。そして「中華の世界ならこれもありかも??」と思わせてしまうところもすごい。監修のおやまけいこさんの知見のたまものらしいが。
飲めるラー油や真空調理機など、今では一般化した様々な料理の技術を先取りしているのも面白い。
西条真二のテカテカした絵は料理マンガ向けではないだろうに、おいしそうに見えてしまうのはオイリーな料理が多いのも関係しているのだろうか。変な料理ばっかりなのに食べたいと思わせるところが本当に良い。『味っ子』とかもいいけど、なぜか食べたくはならないんだよなあ……。
いろいろ料理マンガを読んでいるけど、間違いなく五指に入る面白さ。めっちゃ好き。
※これからしおりの意味も込めてWEB記事の読了記録も残しておく所存。
wezz-y.com 何度も首肯したルッキズム批判。多くの人に読んでほしい。
さらに「あなたはありのままでかわいい」という言葉は、「コンプレックス」を現実として受け止めている主体に対する呼びかけであり、相手の身体的特徴をコンプレックスたらしめた社会に対する呼びかけではない。苦しんでいる主体に対してさらに自己変革を求め、「コンプレックス」を克服せよと迫るのは筋違いだ。
森 「私、3日間の糖質制限で2kg痩せたの」と言う女子学生がよくいます。でも1kgを体脂肪に換算すると7,200キロカロリー。4日間まるまる断食するのとちょうど同じエネルギーです。もし2kgの脂肪が落ちたとしたら8日間断食したことになります。そんなはずはない。それに、脂肪2kgといえば容積にして500mlのペットボトル4本分。それが本当にカラダから取り除かれたとしたら大変なことですよ!
T じゃ、落ちた体重の正体は…。
森 それは炭水化物にくっついている水分です。
体感的にもめっちゃ納得。読むべき文章です。
美容整形がなぜ危ういのかの糸口がつかめるような気がした文章。
「勝てないとも言われる裁判をすることの意味は?」と問われて、「まずはこの状況を知ってほしい。大人は自主的にやった仕事だからお金を払う必要はないというんですよ。でもそんなのおかしいでしょう。子どもだってそう思います」と答え、「ぼくは小学生と朝から晩までいるから考えが子どもっぽいんです」という田中先生の言葉には、血が通っている。
すごい聞き応えで、これの文字起こしだけでもお金が取れる水準であると思う。「アートというものがすべての人の理解を得ることはありえないですね。それは価値のあるアートではないです」という平田オリザの言葉があまりに真理をついていて痛快だった。この明晰さが反感を買ったのかと思うのと悲しい。
↓の本も読みたい。
社会に対する誠実さでは群を抜いていたが、なかなか連載が続かないで読者ながら悔しい思いをしていた岡田索雲がバズっていてびっくり。ワルイ先生が『女の園の星』の星先生っぽいのに笑う。