ホンのつまみぐい

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最近読んだマンガ(ComicDays編)

 月ごとの記録を更新しそびれてしまい、いろいろ読んだ本のアーカイブができていないため、とりあえずアプリで読んだものの感想。私いつもそうなんですが、感銘受けた本ほど感想が書けないんですよね……。

 

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 マンガの主人公に経済学の先生という珍しい選択。なんでも山下和美の父が経済学者なのだとか。探求心旺盛な浮世離れした教授が、世の中のさまざまな出来事に首を突っ込んで独特のコミュニケーションを人々と繰り広げていく。

 さらっと読める連作コメディだけど、ホームレスのおっちゃんや生きがいをなくした老人など、ともすれば搾取的な目線を向けてしまいがちな他者と、対等な個としての対話を繰り広げているところにすごみがある。意地や誇りと呼ばれるものを尊重する目線あってのことだろう。

 好きな話いろいろあるけど、あまり話題になっていないものだと正子さんが結婚直前に心を惹かれていた人に会う話がよかった。

 無料公開されなかった150話以降をどうやって読むか悩んでいる。全部揃えるとけっこうな量なんだけど、紙でほしいタイプの作品だし……。

 

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 未解決事件や創作怪談のまとめページを延々と見てしまう時期があった。たいがい就職活動中や仕事の疲れがたまっている時期で、形容しがたい不条理な悲劇にあえてふれることで心を慰めていたのだと思う。

 カラスヤサトシによる創作怪談短編集『いんへるの』は、人間の矮小さから生ずる悲劇をうまく怪談に落とし込んでいて、これまた延々と読んでしまう。

 まさしく名著と呼ぶべき8pの連作短編集。それなのに、紙の単行本になったのは1巻のみ。2巻は電子書籍で、その上さらに単行本未収録分があるという悲劇。

 

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 ますます混沌として面白くなってきました!というところで突如強引にリセットされてハッピーエンドで終わった。単行本売れなかったのかな。もったいない……。

 

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 引きが強いせいか時勢の影響なのか、マンガアプリはパニックホラーやサスペンスがやたら多くて胃もたれしがち。「大変なことが起こった!」の連続って読者も疲れるんよ。もうトシだしさ……みたいなしょぼいことを言ってる体力のない読者にもうれしい、テンポの良い軽さと面白さ。

 登場人物に対し、読者が強く思い入れるほどの心理描写はほどこさず、しかしたしかに人間味が感じられるくらいの行動を起こさせる手管が秀逸。

 突如現れた巨大生物のせいで人がたくさん死ぬ話なので、このくらいの重さがちょうどいい。 

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 福本伸行作品が意味や価値を問わず自らの望む方向に進む人々の欲望を肯定する物語であるのと対照的に、萩原天晴作品はささやかな幸せの追求に心を砕く人々を肯定的に描く。現代的な柔らかい友情を肯定する萩原のそれは幸福感に満ちているが、同時に登場人物が不合理な社会を突破する力を失っている物語でもある。ほのぼの日常ものとして楽しめるものの、どうしても肯定しきれないものが残る。でも、かわいいのでpixivとあわせて読んでる。

 

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 言いたいことありすぎて一言じゃまとまらない!なんか『最強伝説黒沢』も思い出す。

 

comic-days.com 基本的にずっと人をジャッジしているマンガなのでめんどくさい気持ちになるけど、タイトルに無痛恋愛って入れただけで差別的な言葉がうじゃうじゃ出てくる昨今だとこの執拗さも必然なのかとも。雨夜の品定めならぬフェミ女の品定め。瀧波ユカリがフェミおじさんにどういう物語を与えるのかが気になる。

 

comic-days.com 思ったことを言うことの気持ちよさと、疑問を追及する面白さがうまくかみ合っていて読みやすい。

 個人的にはエンパワメントを主張して始めた美容整形を、いつまでたってもやめられない女の子たちが、どういう心理でいるのか掘り下げてほしい。好きな演者が「もう自分が望む姿になったので整形は止める」と言いつつ顔にメスを入れ続け、平板な顔になっていくのを見ているととても嫌な気分になるので……。でも、「かわいそうな人」扱いも失礼だし難しいかな。