美術・展示
「バキバキにキマるってなんだよ」って感じですよね。薬物とか大麻とかカフェインとかやった時の一時的に脳が冴えてる状態を表すスラングだと思います。一般的には展示空間には使わないと思うんですけど、これはなんだか「キマってる」感覚ありましたね……。 …
だいぶ前の展示なのだけど、写真集を読んで記憶があざやかによみがえったので、備忘録として。 サプールはフランス語で「お洒落で優雅な紳士協会」を表す言葉の頭文字を取ったコンゴの人々の呼称。彼らは世界最貧国と言われるコンゴ共和国で、自らの年収の4…
モービルに大量の吹き出しをつるし雛のように取り付け、そこに書かれた言葉を視線を移しながら読んでいくと詩が出来上がる。 思いのほかシンプルなアイデアの展示でちょっと拍子抜けしましたが、そもそも詩はそっけないものだし、このくらいのシンプルさがち…
絵本編集者で、トムズボックスという小さな子どもの本専門店を運営していた土井章史さんが、トムズボックス名義で発行していた本の展示。 土井さんが編集した子どもの本かと思ったけど、土井さんが編集した絵本作家たちの私家版の展示だった。 ちょっとあて…
評判通りの面白さでした。 かつてヨーロッパには「これは裸ではなくヌードである。ヌードにおいては、ポーズは挑発的でなく、背景は日常的でなく、モデルの顔は個性的であってはいけない」という口実があり、タブーである裸を描くために、神話の世界が利用さ…
人間の肉体を撮影すると言うのが、こんなに面白いことなのかと認識させてくれる、めちゃくちゃスリリングな写真展だった。 アイドルレスラー展は女子プロレスラーたちを6人のカメラマンがそれぞれの方法で撮影するというコンセプトの写真展。 撮影方法や被写…
めっちゃ感動するかと思ったけどそうでもなかった……。感受性の退化かな。 横浜、絹、無垢、遺されたものという4つのセクションに分かれていて、それぞれで作品の見せ方が違ったのが面白かった。絹のセクションのみ撮影可。 1970年後半から80年代前半の横浜を…
失踪癖のある父親と、20数年連絡のなかった叔母という二人の近親者を撮影し続けている金川晋吾の個展。 通常、近親者を撮影した写真を作品化するとなると、それが愛情であれ憎しみであれ、撮影者の想いが写真に色濃く反映されるものだと思う。 愛情がチャー…
ねこぢる作品は人生ベスト10に入るくらい大切なマンガだ。淡々とした暴力と理不尽が続く世界の中で、かわいい猫の姉妹が何事もなく生活している超越的な作風は、「世界はあらかじめ狂っている」という悟りを与えてくれた。 ひたすら息苦しくて出口のない気分…
初めて西島大介の名前を見たのは、大塚英志の定本・物語消費論の挿画兼年表の制作担当としてでした。「できる若者なので、仕事をあげてください」とあとがきで大塚に紹介されていたと思います。 定本 物語消費論 (角川文庫) 作者: 大塚英志,西島大介 出版社/…
横浜市民ギャラリーのキオクのかたち/キロクのかたち、とてもよかった。 語りすぎなところも含め、美術と社会のつながりについてきちんと向き合っている。 海兵隊だった曾祖父と、彼が乗っていた船についての話を聞きに行く映像と原子力に関するインスタレー…
市原湖畔美術館、あまりにも遠い。 東京駅からの高速バスを降りて、バスターミナルから事前に呼んでいたタクシーに乗り込む。山道を行く車の車窓から外を眺めると、「ぞうのくに」という看板が見えたので、思わず運転手に声をかける。 「『ぞうのくに』って…
蛍光色のジュースや鮮やかな棒付きキャンデー、二・三度着たら壊れそうなかわいい洋服、甘いクレープのにおい。原宿・竹下通りには、甘ったるくて役に立たない、おもちゃみたいなものしか置いてない。 そのあまりにも堂々とした無意味さの輝きになんだかワク…
入場40分待ち。人がたくさんいてゆっくり見ることは出来なかったけど、小さな子供がたくさん来ていて、そのリアクションが面白かった。 館内には大英博物館内を絶滅動物が歩き回る、リアルな映像が流されていたのだが、それを見た小さな子が「ドラえもんの世…
タワーレコードでtofubeatsのリリースイベントを見たついでに立ち寄っただけで、正直全く「見ることによる感動」は期待していなかったのだけど、思いの外心を打たれてしまった。 そして、こうの史代はマンガがうまいことに今さらしみじみ気がついた。「夕凪…
展覧会タイトルの元になっている書籍はまだ読んでいない。 石田家の日常と、病院での日々と、植本さんの日々。 食道がんで入退院を繰り返しているという今のECDは、私の父がガンで亡くなった年齢と近い。 泣くかと思ったけど、一枚で情動の引き鉄を引くよう…
クリスチャン・ボルタンスキー アニミタス-さざめく亡霊たち 正面入り口にあるチケットの列がやけに進まないと思ったら、おそらく50代後半と思われるおっさんが受付の人に「こんなバカな制度は聞いたことがない」「根拠はあるの?」と怒鳴ってる。何かと思…
竹宮惠子の自伝には、まだ20代の山岸凉子がスッと現れては一言かっこいいことを言い残して去っていく場面がいくつかあり、その存在感が作風にぴったりでゾクゾクしたものでした。 少年の名はジルベール 作者: 竹宮惠子 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2016…
そこそこいろいろな現代美術の現場を見た結果として「現代美術は美術オタクのオナニーで、社会と全然接続してないんだよ」という失望から逃れられなくなっていたけど、そういう後ろ向きな気持ちを吹き飛ばしてくれた展示。以下、作家別に感想。 関川航平 鉛…
うわさのイベント、第2回訪問!なぜなら図録を買わなくてはいけないから……。 手塚治虫・石ノ森章太郎・水野英子・赤塚不二夫・藤子不二雄 石ノ森章太郎主催の東日本漫画研究会による肉筆回覧同人誌、墨汁一滴が圧巻。 東日本漫画研究会は、漫画少年読者欄で…
www.kawasaki-museum.jp 激しかった……。 アルツハイマーの母親・男代さんを撮ったシリーズ「アートママ」や、パンを被って街を歩く「パン人間」は見たことがあったのだけど、それ以外の作品はほぼ初めて観た。 中でも目を引いたのは膨大な量のドローイングだ…
山口晃の原画の淡い色味と配置の妙。そして突き刺してこないくらいの悪意のまぶし方。デカいことやってるのに大げさじゃないし、冷徹なほど洗練されているのにとぼけていて、いつまでも観ていられる。 私たちは描かれたものから感情の片鱗を探し、そこからす…
レンズで妖怪を捕えるフランス人が日本に来た。 フランス人写真家のシャルル・フレジェだ。彼は日本列島58箇所で多くの怪物や怪人を撮影し、それらのポートレートを銀座のエルメスギャラリーで展示している。 妖怪の正体は各地の祭事や神事の仮装を撮影した…
駅から最低でも30分近くバスに乗らなくてはいけない横須賀美術館が会場というのに、結構混んでいて、併設のレストランがずっと10〜20人待ち状態だった!今回最大の衝撃。 長新太の原画はいわさきちひろ美術館で見て以来だけど、私の状態があまりよくなく、…
川崎のぼる 〜汗と涙と笑いと〜 展 2015年 8月1日(土)〜10月12日(月・祝) 三鷹市美術ギャラリーすぐれた職人の技に対して芸術という言葉を使いたくなる時が、たまにある。そういう意味で、川崎のぼる展で出会った原画はまさに芸術だった。 川崎のぼるの代表作…
スーパースターという言葉が個人に使われているのを久々に聞きました。 しかも、それが「現代美術作家」についてつけられたものだという。最初に聞いたときはそのミスマッチに驚きました。それが集客のために安いコピーをつけるようなことをしない横浜美術館…
本展はトムス・エンタテインメントのアニメ制作50周年を記念し、同社制作によるスポコンの原点と称される『巨人の星』、女子バレーボールを描いた傑作『アタックNo.1』、人間ドラマとテニスを融合させた華麗なる名作『エースをねらえ!』、ボクシングの凄惨な…
楽園のカンヴァス (新潮文庫)作者: 原田マハ出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/06/27メディア: 文庫この商品を含むブログ (36件) を見る 幻のコレクター、ジョセフ・バイラーはいまだ公になっていないアンリ・ルソーの作品を手にしている。しかし、それが…
総特集 三原順 少女マンガ界のはみだしっ子作者: 三原順出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2015/04/08メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る 「過剰なまでに饒舌」というのが三原順と、その読者に対する第一印象だった。 まだ作品を直に読…
数年ぶりに思い出したうどんの記憶がある。 飲み会で、メディア論の先生から「3月12日はじまりのごはんーいつ、どこで、なにたべた?ー」というプロジェクトを聞いた時のことだ。 せんだいメディアテーク発のこのプロジェクトは、2011年3月12日、「震災を迎…