ホンのつまみぐい

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9月に読んだ本・マンガなど

 

 おもしれ~~。絵が可愛い。ギャグが面白い。毎回ラストに引きがある。登場人物の気持ちに一喜一憂させられる。

 最初「人気アイドルを殺害した犯人は誰?」という引きで始まったのに、いつの間にか商業的要請と戦いながら表現を追及する若人たちの話に変化しているのがすごい。低予算ドラマ、リアリティーショー、2・5次元……。読んでいるうちについつい主人公たちを応援してしまう。

 しかし、ストーカーに殺されるアイドルとか、それを見てPTSDになってしまった人とか、リアリティーショーに出て自殺寸前まで行く女の子とか、エンタメの山場に利用するには深刻すぎるエピソードもちょいちょいあって、のんきに楽しんでいいのかと複雑な気持ちになりもする。読者に負荷のない範囲で問題が解決されるので、これはもっと深刻な問題だろうとツッコんでしまう。メディアミックスにおける原作者と制作側の対立なんかはストレスなく楽しめたんだけど。

 あと、面白さに負けて読んでいる時は忘れてるんだけど人格改造やのっとりが苦手なので、どうやって落とし前つけるかもハラハラ。

 

 

 すっごいよかった……。アキミアをはじめとする登場人物たちの、弱さと強さが複雑に入り混じった人格の描き方に翻弄された。最後はいつ振りかってくらい久々に、物語の登場人物たちのその後を思って泣いてしまった。

 自分の過去を連想して泣くことは増えたのだけど、別の世界で生きているはずの虚構の人間たちの進退を思って泣くのは本当に久々だった。

 ちゃんとレビューを描きたいと思って単行本を買おうとしたら、もう後半何巻かは重版未定になっていて、定価では揃わないという衝撃。最終巻が出たのは2020年4月という、わりと最近の話なのに……。

 

urasunday.com

 ジュニアアイドルとそのマネージャーという関係から始まる恋の話。一見ありがちな展開なのに、落としどころが安易でなくてよかった。

 

 ドラマを断片的に見て面白そうと思ってたので、0円DLの時に落していたもの。突然異性愛者の同僚に迫るゲイとか、結婚できないまま50歳を迎える叔母とか、差別意識に無自覚な箇所が多くて驚いてしまった。

 叔母に「仕事を頑張ってきたし、私は私で幸せ」みたいなことを言わせておいて、主人公二人で「やっぱり二人で過ごす人生って特別だよね」みたいな感じを出してくるところも怖いな……。しかもこの叔母あとで30歳年下の男性と付き合うことになるとAmazonレビューで知ったし。

 そういう世界観が作家として描きたいものというのなら「そうか!」と思うしかないけど、だったらそうなれない人間を一回サゲるなよっていう。

 検索して感想見た感じだとゲイに対する差別描写とか、物語の中でいろいろ修正されるみたいだけど、絵もちょっと苦手だし続きは読まないかな。

 

 単行本で読了。それが課題解決に必要だとしても、加害者の手当てを被害者に引き受けさせてはいけないというくだりが印象に残った。親に性的虐待を受けている子どもとの交流の話も。

 

 自伝的小説であり未完の遺作。河合少年の少年時代が優しく描かれているが、ちょっと整理されすぎているように感じる。そこがエッセイではなく小説である所以なのだろう。

 

 遊郭で行われたストライキや廃業について、新聞記事など乏しい資料の中からその実態を浮かび上がらせようとする大変な労作。

 大正デモクラシーが遊女たちにも影響を与えていたという話がもっとも心に残った。

 セックスワークに対するスティグマに囚われたまま、支援を行おうとする識者との齟齬についても書かれている。

 「悪者とされがちな市場経済も使い方次第で公共に資することができるんだよ!」という主張の本だけど、そのための例が「障害者でも絵の才能がある人なら、その絵を売って自立できる」とかで、市場経済の限界から目をそらしているのではないかと感じた。

 

 名著!

 その密度ゆえにかんたんな引用や解説ができないが、

しかし、知識重視の姿勢には、どのぐらいまで知れば十分なのか、という問いが残っています。そもそも何もかもを知ることはできないのだから、知らないことは「罪」ではない、知らないからといって責められてはかなわない、と開き直りたい気分を持つ人もいるかもしれません。しかしよく考えてみれば、これは単なる難癖です。一点の曇りもない清廉潔白な人間になるのは不可能だからどれだけ後ろ暗い人間であってもかまわない、と誰かが主張したら、「いや、人を傷つけない程度には誠実であれよ」と応答してかまわないはずです。同様に、何もかもを知ることができないことに開き直ろうとしたら、「人を傷つけない程度にはものを知っているべきだ」と返答すればよいのです。知ることに全面的に背を向けることのわかりやすさとその暴力性は、「何を知っているべきか」についての冷静な議論に置き換えられるべきです。

という言葉を読めば、著者が信頼にたる人物であることはわかると思う。

 

bunshun.jp 定期的に話題になるのにいまだに才谷遼がその地位を決定的に脅かされることなく活動している事実が本当に腹立たしいし恐ろしい。

bunshun.jp ジャック&ベティもシネマリンもこういう話と無縁でありがたい。昔、ジャック&ベティ支配人の梶原さんが、飲み会で自分たちの下で働くスタッフに対する信頼を語った後に「お恥ずかしいことに最低賃金なんですよ」と話していたのが懐かしい。コロナ禍での支援企画として始めた「エンドロールへの名前の記載キャンペーン」が順調に申し込みを伸ばした時のツイートを紹介。

 シネマリンの雰囲気はこちらの記事がわかりやすい。

bijutsutecho.com  25年年程前からお邪魔していた、人生ベスト3に入るくらいお世話になったミュージアムがこんなことに……。建物自体もとても好きだったのに。か、かなしい……。

 

agora-web.jp ちょっと前のブログで書いた高市早苗推しの友人は同性愛者で、中学・高校の時はずっと彼の葛藤を聞いていたから、極右になってしまったことにびっくりしてるんだけど、こういう(中身はとても雑です)の読むとそういうものかとも思う。

https://twitter.com/hamakei/status/1251418284068487169?s=20

https://twitter.com/cinemaJandB/status/1247524938061242375?s=20

https://twitter.com/cinemaJandB/status/1247524938061242375?s=20

https://twitter.com/hamakei/status/1251418284068487169?s=20