ホンのつまみぐい

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10月に読んだ本・マンガ

 

 女子高生がていぼう部という部活で釣りに勤しむマンガ。主人公が「おいしい魚が自分で釣れるのがうれしい!」という動機で動いているのに共感。釣りしたくなる。と同時に、これは師匠が必要だなとも思う。「わからないことがあれば、放課後すぐ誰かに聞ける」部活ってすごくありがたいシステムだったなんだなあとしみじみ。大方の部活の先輩はここまでは頼りにならないと思うけど、それでもゼロからとは始めるのとは全然違うと思う。

 

カラオケ行こ! (ビームコミックス)

カラオケ行こ! (ビームコミックス)

 

  歌がうまい中学生にヤクザがカラオケ指南を頼むコメディ。おもしろいけど、中学生男子とヤクザだと男子の方に負担が大きすぎるように思えてはらはらしてしまった。

 

  著者が中高生の頃の作品集。絵も物語も幼いけれど、不思議な力強さがある。古い児童文学のような、大変ストレートな戦後民主主義的作品群。

 

迷路のない町 ― 齋藤なずな作品集 (1)

迷路のない町 ― 齋藤なずな作品集 (1)

 
恋愛烈伝 [上] ― 齋藤なずな作品集 (2)

恋愛烈伝 [上] ― 齋藤なずな作品集 (2)

 
恋愛烈伝 [中] ― 齋藤なずな作品集 (3)

恋愛烈伝 [中] ― 齋藤なずな作品集 (3)

 
恋愛烈伝 [下] ― 齋藤なずな作品集 (4)

恋愛烈伝 [下] ― 齋藤なずな作品集 (4)

 
片々草紙

片々草紙

 

  どの本も一話ごとの完成度や密度、切り口の鮮烈さがすごすぎて語り切れない……。文豪シリーズは「月に吠えらんねえ」読者必読。愛という状態をこれだけ多彩なバリエーションで描くマンガはなかなかないのではないか。早く「夕暮れへ」も買おう……。

 しかし、これらが紙で読めないことに驚いてしまう。傑作だけど今は流通してない単行本はいくつもあるけど、それでも古書で購入出来たり、図書館などで読めるものが多い。だけど、これは著者が再販NG出したわけでもないのに跡形もない感じ。

 

まくあい! (フルールコミックス)

まくあい! (フルールコミックス)

 

  ひさびさにBL読もうと思っていろいろ見てる。

 大衆演劇女形をやってる高校生と、彼にインスピレーションを受けるマンガ家(同級生)の話。導入は面白かったけど、それぞれの立場から表現について深めあっていくのかと思ったらすぐにくっついて終わってしまった。愛嬌のある人物像と大衆演劇に対する敬意ときれいな絵はよかったので残念。

 

渾名をくれ (onBLUE comics)

渾名をくれ (onBLUE comics)

 

  「ダブル」があまりにすばらしいかったので試しに。眉目秀麗で人気者の青年・ジョゼと、彼を崇拝する画家の天羽という、一見「まくあい!」と似たような設定。

 しかし、こちらは天羽がジョゼを信仰するあまり一人の個人として向き合えないというお話だった。

 ジョゼの美しさの表現がすばらしい。マンガの記号的楽しさを保ちながらこんなに肉体そのものの美しさを描ける人は見たことがない。

 

 しかし、今回のBL読んでみよう月間も「よい作品でした!」で終わってしまった。3年に一回くらい「BLも楽しめるようになりたい」と思ってチャレンジするけど、「面白い」とは思えてもときめきがわかないんだよな……。謎……。

 

お母さん二人いてもいいかな!?

お母さん二人いてもいいかな!?

 

  中村珍改め中村キヨが描くレズビアンふたりの子育てエッセイマンガ。商業出版「お母さん二人いてもいいかな!?」で描いたことを、自主出版でより詳細に描いたのが「ママ母手帳」になる。

 街中で偶然出会ったシングルマザーの手助けをすることになった中村氏は、結果的に継母として、女性と子どもたちと共同生活をしていくことになる。

 起こっている物事の量が多すぎてうまく説明できないが、とても死に近い印象を受けるのに、中村氏が常に知性的で優しくあろうとしていて、その力強さに心を動かされる。

 息子のプライバシーについて心配していたが、「レズと七人の彼女たち」では相互でかなり丁寧に取り決めをした上でマンガを描いていることが記されていたので、大丈夫そう。

 https://twitter.com/ngnchiikawa/status/1301174831753211904?s=20https:/https://twitter.com/ngnchiik

  もぐらコロッケの出始めは「かわいい&ちょい不条理。よくあるやつ~~」とか思ってたのにまんまとはまった。魔法の杖から郎、そして草むしり検定の流れは間違いなく面白く、山本ルンルンの「はずんで!パパモッコ」や園山俊二の「がんばれゴンべ」を思い出させるものがあった。友人Kさんもはまっていて、一時期ふたりのラインのやりとりがずっとちいかわスタンプだった。

 

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ベアテさんのしあわせのつかみかた

ベアテさんのしあわせのつかみかた

 

 

  岩波から復刊された「冬の蕾」関連でいろいろ読んだ(復刊はいいけど電子書籍なくさないでほしい…)。マンガの補足として読むなら岩波ブックレットがとっつきやすいけど、憲法作成時のやり取りが詳細に記された「1945年のクリスマス」がもっとも読みごたえがあり、まさに憲法作成時の議論のところは興奮しながら読んでしまった。「ベアテさんのしあわせのつかみかた」は児童向けだけど、わかりやすくまとまっている。

  しかし、ベアテ氏が提案した「国の児童には無償で医療を提供」「学校では民主主義を教えなくてはいけない」といった趣旨の条文がカットされたのはとても残念……。

 

セルフケアの道具箱

セルフケアの道具箱

 

  セルフケアの方法を100紹介してくれる実用的な本。回復の過程を簡潔に、しかし丁寧に紹介してくれる。「すべてを実行できなくても100の方法があるから自分に向いているものをやればいい」という著者の姿勢も優しい。細川貂々の絵も気持ちが落ち込んでいるときでも読める筆致でよく考えられている。

 ただ、本書に描かれている人間像は傷ついて力を失った人々が多く、それは自分自身が落ち込んでいる時の状態と少しギャップがあった。個人的な体験から考えると、落ち込んでいるときは自己に対してはもちろん、他者にも攻撃的になってしまうことが多いように思う。そのせいで孤立し、精神をむしばむことが、気力体力を失うこととは別の、人を死に近づける要因であると思う。

 攻撃的とは言わずとも、感情的になってしまい、「こんな状態の自分を受け入れてくれる他人など存在しないのではないか?」という疑念がわいてきて、誰にも相談できない人は多いだろう。

 そういうままならなさに対する対処法をもっと知りたかった。

 

細木数子 魔女の履歴書 (講談社+α文庫)

細木数子 魔女の履歴書 (講談社+α文庫)

 

  怒りが直截すぎてノンフィクションとしてはいまいち。しかし、細木数子が徹底して他人の人生を乗っ取ることで私腹を肥やし、領域を広げてきた人であるということが知れてよかった。ガチで邪悪(ヤクザ)。そんな人を使うメディアの倫理観のなさも怖い。この本の影響でテレビ出演などが減り、表舞台から退いていったという話もあるみたいだけど、本当だろうか。今は弟子のような人が活動しているが……。

 

格闘する者に○ (新潮文庫)

格闘する者に○ (新潮文庫)

 

  所用あり、20年ぶりくらいに再読。就職氷河期に出版社への就職を目指すマンガ好きの大学生が主人公。まだまだどこか浮ついている当時の空気がよく伝わってくる。少女マンガからの引用がたくさん出てきて楽しい。

 主人公が足フェチの老人と付き合ってる設定は、おじさんや老人の地位が下落した今では通用しないのでは。2000年代は「センセイの鞄」とか「カレセンー枯れたおじさん専科」とか、「性欲ギラギラじゃない渋くて優しいおじさんいいよね」みたいな流れが、小さいけれどあったのだ。今は昔より権力差を利用して女性を搾取しようとする年配男性の醜悪さが頻繁に目につくようになっているから、こういう憧れを無邪気に差し出すことはできないと思う。政治家に対する無邪気な憧れが見える描写もちょっと危うい。時代が違ったのだとしみじみ。

 

センセイの鞄 (文春文庫)

センセイの鞄 (文春文庫)

  • 作者:川上 弘美
  • 発売日: 2004/09/03
  • メディア: 文庫
 

 

カレセン―枯れたおじさん専科
 

 

 

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 (公財)横浜市男女共同参画推進協会の広報誌。内容は平易だけど、広告と告知がとても勉強になった。