同人誌作って売ってたのもあって忙しく、何を読んだのかよく覚えていない。さすがにもう少し読んだ気もするけど……。同人誌は「今読まないと一生読まん」と思ってすぐ読んだ。
推しにまつわるエッセイは、推すことの捉え方の違いを感じてピンとこなかったけど、お笑いプロローグは知らないことも多くて面白かった。
エロマンガ家・世棄犬として活動する傍ら、アフタヌーンでいくつかの読み切りを発表し、いつの間にか音沙汰がなくなったという作家・博内和代の評論集。博内は期待の新鋭として雑誌にも読者にも注目されていたのに、単行本が出ていない。
マンガ批評集としても読みごたえがあるが、博内作品を知らない自分が抜群に面白いと思ったのは90年代のアフタヌーンの熱心な読者であり、のちにマンガ家となる鈴木健也の自伝的エッセイ。
アフタヌーンにあこがれた青年はマンガ家になり、時に鬱屈を抱えながら日々マンガと向き合う。博内に対する感情の変化と、作家としての向き合うことになるさまざまな苦労が折り重なるように描かれていて、鈴木作品読者は必読。
また、鈴木はこのエッセイの執筆のため、博内にまつわるとある噂について深く掘り下げようとする。そこで、鈴木は「なぜ博内の単行本が刊行されないのか」を示唆するある確信にたどり着いてしまう。ミステリー小説のような読後感すらあった。名著。
ハロプロはまったくわからないのだけど、とても読みごたえがあった。主に書き手の人生に歌詞がどう寄り添ってきたかが書かれており、とても奥行きのあるものになっている。
「ストリップが魔法じゃなくても」
イルミナにイラストを寄せてくれた美樹あやかさんのエッセイ集。心が浮き立つ瞬間の緊張感がよく書かれていてみずみずしい。
「コロナの時代の愛」
永瀬ゆら・葵マコのチームショーについての批評。まだ演目を見れていないのでざっと読み。しかし、もともとチームショーを見る機会は限られており、さらにこの感染状況では都内に出る気が進まず。今しっかり読んでしまうのがいいかもしれないが……。
ストリップを語る際に隠されがちな部分をシニカルに、しかし優しく記したエッセイマンガ。
文字で伝えると厳しい口調になってしまうようなことを、ユーモラスな絵で穏やかに表現していて、とても大切な1冊だと思う。表紙の裸の肉感がさすが。
ストリップは語りにくい。スティグマにまみれた文化だからという面もあるし、産業としてあまりに脆弱で切り込みにくいという面もあるし、心の繊細な部分にまで踏み込む表現だからという面もある。
messyに記事を書いた直後に、じいさん客に「異性がいると楽しめないんだよ!」と怒鳴られたことがある。しかし、それをSNSなどに書いて、ストリップを知らない人に「やっぱりヤバい場所なんだ」と思われるのも取材に協力してくれた善良なお客さんや運営の方々に申し訳なく、あまり公の場では話していなかった。
ただ、私なんかは「は?ふざけんな」と言えばそれで済むが、自分の書いた記事を読んで訪れた気の弱い女性が怒鳴られたりしていたら申し訳ないとずっと思っていた。
こうしたことのほかにも、今年はストリップの語りづらさの悪い側面を目にすることが多かった。微力ながらこの状況を変えていきたいと思う。
鈴木ちはね特集の同人誌。歌集「予言』刊行おめでとうございます。書名がbouquetというのが暖かく華やかで。短歌と一緒にかみしめるように読んでいきたいと思います。
『女とBL』は女性の中にあるミソジニーや性嫌悪とBLの関係についてかなりしっかり語っていて面白かった。
『女と人生』は「女が女に人生を賭ける」という、事前にSNSで投げかけられていたコピーについてはあまりピンとこなかったが、女性同士が並走しながら生きていく方法があまりにも限られていないかという問いには共感した。
また、座談会に「今つながっている友人たちとも、貧困や病気で立場が変わってしまったら語り合うことができなくなってしまうのではないか」という話が登場していて、これは実感としてよく理解できた。私個人も「お金が無くなっても今の友人と友人でいられるか」についてよく悩む。
中島京子の『ちいさいおうち』レビューも面白かった。
ただ、読者から募ったエッセイの中には、言葉を飾りすぎて相手のことを踏みつけているように思えるものもいくつかあり、かなり気になった。
ヤボシキイくんの装画がかわいい。アニメ評論誌の試し読みなんだけど、ここに載ってる座談会だけでめちゃくちゃ濃い。おそらく商業媒体なら削るであろう部分までみっちり残されていて、ゲームはやっていないけれどとてもおもしろい。本誌も買った。
幼少期は少年誌寄りでりぼんとはあんまり親しくしてこなかったんだけど、それでもめちゃくちゃ楽しく読める。巻末コメントの再録と吉住渉作品の舞台をめぐるレポが個人的に特に面白かった。デザインも凝ってて手元に長く置きたくなる。
コミックシティを運営している赤ブーブー通信社の社長のインタビュー。「女の子たちの創作のパワーを受け止めてあげられる場所を作りたい」というのが、イベント運営の動機という田中さん。あまりに美しい思いで泣ける。一時期わらび座にいたというのも面白い。
中学生の頃は「赤ブーブー通信社ってふざけた名前だし、イベント入場料に1500円も取られるし、なんかキライ!」と思ってた。子どものうちはそのくらいの理解でいいと思うけどね。
濃密な内容なんだけど、どっちにもストリップ劇場は出てこなかった。秘宝館はあるのになぜ。
女装雑誌の歴史から、GHQが男性を公娼として集めていた話など、多岐にわたる内容。
「横浜の紡績工場に工員たちの少女歌劇があった」という史実をもとに描かれたマンガ。ナガノハルさん、絵は技術的には達者でないが、マンガとして力強く、読みやすい。マンガって描き切れてなくても、著者のイメージする画の道筋がしっかり描かれていればなんとなく伝わるものなんだなと実感。女の子の目の強さがいい。
物語はまだ序章なのだけど、女の子たちがどのように歌劇を完成させるか見守っていきたい。青木雄二や福本伸行の初期の短編から感じる、「描かれていないものを描きたい」という意気込みが感じられる。
中村珍が自身の7人の恋人について描く。エッセイというよりノンフィクションコミックという感じで、緊張感がすごい。
BL読んでみよう月間の時に読んだもの。いじわるな男苦手なんでよくわからなかった……。
歌舞伎町の記事が読みたくてDLしたが、Newsweekけっこう保守なんだなと思った。
イルミナの制作中に読み返していた。昔のキャバレーのテレビCMに「我々は孤独ではない!」というキャッチフレーズがあったという話、しょっぱすぎて笑う。
どっちもかわいい装丁と編集なのに、既刊で漂白していたキャバレーに訪れる人々の振る舞いの貧しさを容赦なく暴いていて何度読んでもすごい。