comic-days.com ネットでめちゃくちゃバズった作品。完全に共感ベースで読んでいたので、世間の人が「イヤな女」だというのがよくわからなかった。おろかではあるけど、この程度のおろかさってみんな持ってない? いや、友人に「無神経」って言われた私だから「イヤな女」だってことに気が付いてないだけなのか。
でも、「自分の人生の主人公になりたい」って願いが笑われてるのを見ると悲しくなっちゃうよ。
あと、もう一つツイッターでは同人女シリーズってのも流行ってたけど、こっちも自意識を刺激するマンガで、それに触発されて皆が自分の自意識や生き方を語り出す様を見ているのがなんだかしんどかった……。「自分語りに利用しやすいものばかりがバズる」のを見てると切なくなる。
www.moae.jp こっちはいやな女って言われてもしゃあないなという気持ち。ただ、「裏表がなくてありがたい」とも思う。
そして、このレビューがよかった。
ハードな設定と倫理観の高さがマジ泣ける。現役のお医者さまとのことなので、制作ペースには限界があると思うけど、これからも活躍していただきたい。ただ、3巻は編集の手が入ってないせいかちょっとわかりにくいところがあった。
note.com 啓蒙用マンガらしい。「ボスの論文捏造で講座が崩壊」「金なし理系同期のシェアハウス」「研究されてデータがあることと効果があるかは別」とか、作者の実感を感じさせておもしろい。主人公・鏡見の開き直った表情も好き。
ちょっと話題になってたので読んでみた「ダーウィン事変」。人間とチンパンジーの混血の青年が主人公。蝶をクモの巣から逃がした主人公が「クモの食餌を邪魔しちゃった」って言うセンスがあざとくて脱力。そんな程度の表現で多義的視点を表そうとするな。ネット民かよ。評判悪くないのでこれまではどんな作品を描いてたんだろうと思って読んでみたら、ほかの作品も大体そんな感じでがっくり。つまらないものをおもしろいと言わないでほしい。
親に愛されなかった不幸な少女が、妄想癖によって周囲を不幸にする「パラノイア」。娼窟を営む老女の孫娘が、戦場で死んだ男を待ち続ける「ズライカ」。池田理代子の作品はつくづく人物造形が類型的。かわいそうな立場の人をかわいそうと描いてしまえるところに傲慢さを感じる。しかし、欲望に向かって突き進む人間の強さを肯定するところに作者の個性がある。「パラノイア」も「ズライカ」もいい悪い・幸不幸をとりあえずおいて、主人公の女性が極めてアグレッシブで、それゆえに独特の読後感がある。スキマに書いてある評がとても的確。
http:// https://www.sukima.me/book/title/gomabooks0000645/
少女の心のまま大人になってしまった二人の女性のお話。 どちらも周囲に迷惑をかけるほどの妄執ぶりだが、読んでいて不快感がないのは綺麗な絵と主人公たちの悲痛なほどの純粋さが伝わるからだろう。 二人の主人公を見ているとこういう女にはなりたくないという憐れみの気持ちと、生きていく上で自分が捨ててしまったものを持ち続けている女への嫉妬に似た気持ちの二つが味わえる。
著者の原点といわれるフランス革命もの。ラブロマンスの皮を被って登場したのに、恋は成就せずに皆が革命に奉仕して終わるのがすごい。
特殊清掃(孤独死現場の清掃など)の話。登場するエピソードはどれも強烈だけど、デリケートなテーマを優しい目線と抜けのある絵柄で読ませる作者の力量で淡々と読める。死を身近なものとして受け止めなおすきっかけになる内容でもある。
海外が舞台の人情もの。エッセイコミック「松苗あけみのまんが道」での自虐に反し、けっこういい作品だと思った。でも、こういう話を量産できなかったからこそ、もっと下世話で地に足の着いた「純情クレイジーフルーツ」路線にたどり着けたのかと思うと、本当によかった!
タイトルは上品だけど、内容はドタバタしていた。
松苗ファンは「あっさりしすぎ」と感じる向きもあるようだけど、個人的にはこの軽さがよかった。ごはんおいしそう。
装丁や作画の美しさに反して下世話100%で笑ったけど、読んでいる間中ずっと楽しかった。ただ、奔放な”中学生”はちょっとやりすぎかな。
乙女として好き勝手に生きるシワだらけのおばあちゃん姉妹の話。傑作。
大大大傑作。最高な時の吉田秋生かよ。ネットで無料で読んでいたけど紙で買った。主人公がディスレクシアっぽくて「ファンタジウム」を思い出したり。
お久しぶりの安野モヨコ。率直な感想は「世の中にはこういう恋愛の世界もあるのか~~」という、初めて読んだ高校生のころから変わらないやつ。歴史的な作家だし、私も結構読んでたので語ろうと思えばいくらでも語れるが、それはもっと時間をかけてやりたい。既刊も読んだ。(岡崎京子に顕著な「CUTIEやFEELYOUNG系の単行本、復刊で装丁がめっちゃダサくなる」現象がここにも)
めっちゃおもしろい。この面白さをろくに説明できなくて悔しい。人の心の弱さが生み出すうねりが目に見えるような作品。これも紙で買い直したい。
「ノスタル爺」は傑作ということを改めて確認した。大人になってから読むと「やすらぎの館」が何のひねりもない風俗のメタファーであることがわかる。ドラえもんにある、「パパがおばあちゃんに会う話」の延長で読んでいた。地球の持続可能性をテーマにしたものがこんなに多かったのかと改めて思った。
なんとなく「もうすぐ終わりかな」と思った。
伊藤比呂美が石牟礼道子に「死」について話を聞きに行く。対談でも問答でもない会話がとてもよかった。電子書籍で買ったけど紙で買いなおして寝る前に何度も読み返したい。そういう本。
一問一答形式。姫乃たまと深井剛志が紹介されている事例について語りながら、対処方法を説明。実用的なんだけど、もっと「労働者とは何か」「労働とは何か」「法とは何か」について考える記述があってもよかったと思う。
めっちゃふわふわした装丁だけど、トラブルにはどういった法を適用して対処すべきかだけでなく、それは自身の権利を守るためのものだということをしつこく書いていてよい。
建築雑誌だからなのだろうけど、一番いいページが大いに物議をかもした大阪の「こども本の森 中之島」なのはどうなんだ。紹介されている本も古い。児童婚で問題になった野口健をつかうのも、塾考してのこととは思えない。選択に安直さを感じるところがいくつかある。とはいえ、神沢利子への取材やエルマーの冒険の特集はありがたかったが……。
見ているだけで幸せになれるフルカラー303p。出版社の底力を感じる。レシピも詳細で、日本で手に入らない材料については「これを代わりに使って」という細かい指示がある。
論考やエッセイを読み終えて小説に突入したのだが、小説も興奮する面白さのものばかりでお買い得な雑誌だとつくづく思った。定期購読していてよかった。(全く読んでない号もあるけど……)
横浜都市発展記念館での追悼展を見たので。赤線地帯の撮影で名を挙げた女性写真家。完全なる隠し撮りであることも問題だけど、お嬢様育ちの常盤が娼婦をすさまじく見下していて絶句。当時の赤線には、連れ合いを見つけたもののうまくいかず、戻ってきてしまう女性が少なくなかったらしいがそれを「知能が低いからまともな社会生活が送れずに戻ってきてしまうのでは」なんて書いてしまえる醜悪さは並大抵のものではない。これを批判する人が多数派ではなかったということに、世間の性風俗への見下しを色濃く感じる。
一方で、「働く女性」という題の個展に際し、自主的に「赤線地帯の女」「ヌードモデル」を入れた常盤に、内面の葛藤を感じなくもない。いや、ただ話題になりたいだけの計算の上の行動なのかもしれないが。なにせ常盤は娼婦だけでなくプロレスラーのこともチンドン屋のことも見下しているようなので……。