喫茶へそまがりで読了。
昔のマンガは時折何も言わずにまわりをじっと眺めている子供が出てくる。壁にもたれかかってきゅっと唇を結んでいるそういう子供たちは何を考えていたのだろう。
自分自身のことを語る言葉も立場も持ち合わせていない人間がたくさん出てきて、読んでいて懐かしいような淋しいような気持ちになった。
大人も子供も精神的にも金銭的にも余裕のない世界。今なら余裕の無さを告発する物語になるのだろうけど、誰もが何も言わずに自分の居場所にあきらめを感じている。
そういう日常の中で、言葉にならない悔しさや哀しみをマンガという形で差し出している。
喉がつまるような気持ちになる短編集。