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ホンのつまみぐい

いろんなもののファンをやっている人が、日々のよしなしごとを綴っています。

2017年4月29日とラップミュージック

朝起きたら、北朝鮮がミサイルを落として都営地下鉄が止まったという。しかもその話はすでに過去として情報の向こうに押し流されていた。

 

昼頃にテレビをつけたらBSでは「ハミルトンが問うアメリカ」というドキュメンタリーをやっている。建国の祖のひとりであるジョージ・ハミルトンの生涯を黒人やヒスパニックキャストが演じるというヒップホップミュージカルだという。映像の中で、脚本・作詞・作曲のリン・マニュエル・ミランダが、オバマの前でフリースタイルを披露していた。しかし、本作はマイノリティーの物語として賛美・共有されるにとどまらず、リベラルの傲慢さの象徴として、保守派から非難を浴びせられることになる。リベラルを既得権益者として扱う保守層の姿を目の当たりにして、果たして私は彼らと対話することが出来るのだろうかと不安になる。

 

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家を出て、前日のゆるふわギャングのライブの感想を考えながら、校庭カメラギャルのリリイベに向かう電車の中、ツイッターを開いてDJ油井俊二の訃報を目にする。ちょうど2ヶ月前、clubLizardの建設的で聞いたロベルト吉野の「お次はディージェーーゆいっ!しゅんじーー!」という声がループする。

 

リリイベ会場の錦糸町タワーレコード。人はそこそこ。ウテギャの二人は新衣装。貫頭衣にフリルをつけたような、なんだかちょっと高位の中世ローマ人みたいな格好。かわいいけど、まったくラップっぽくなくて笑える。

 

中目黒solfaぶりのウテギャ。ライブ映像だと正直ラップのほころびが見えてしまう部分もあるのだけど、現場だとあまり気にならない。テンションの高さに取り込まれるというか、気迫にこちらの気持ちが引っ張られるし、曲がいいので踊れちゃう。ただ、もうちょっとリリックが聴き取れた方がいいとは思うけど……。中盤、通りすがりのヤンキーっぽい兄ちゃん3人組が、叩き付けるように歌う2人を観て思わず拍手をしたのがおそらくこの日のハイライト。しかし、その兄ちゃんたちは最後まで観ずに出て行ってしまったが。

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現場で観て面白いと思ったのは、サウンドクラウドやMVではあまりピンとこなかった「みんないい人だって言ってるけど実際はアイツサイコパスだしヤバい」と「ゴー!ギャル ~ほんとうのギャルを求めて~」がライブでちょうどいい彩りになっていたこと。

 

ゴー!ギャルはバンドサウンド寄りで、ウテギャにしてはベタな展開の曲だと思うけど、音が明るいのでハッピーな気分にしてくれるし、サイコパスはなぜかぱたちゃんが反復横跳びやブリッジをかましていて、なんかもうギャグだった。

 

そうか、ウテギャは「なぜかドープな自分語りミュージックをやらされている女の子ふたりが自分の中にある衝動をはき出していくエモ系ストーリー」だと思ってたけど、実は「マイペースガールふたりが、やったもん勝ちミュージックに乗って右往左往するトホホ系コメディ」だったのか。校庭カメラギャグだ。

しかし、ふたりともとても楽しそう。「ギャルドリーム」にはかつて校庭カメラガールのメンバーとしてステージに立った頃から今をふりかえって「あの頃のWOMBとは全然違う」というリリックがあるけど、本当に違う。私はエモーションを消費していくより、ばかばかしいけど楽しいって言う方が好きだから、6月6日の下北沢シェルターでのワンマンライブも楽しみになる。ライブ後、ちょっと雑談してから黄金町試聴室の閉店ライブへ。

校庭カメラギャル 1st album"スマイルアゲイン" teaser by tapestok records | Free Listening on SoundCloud

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黄金町試聴室その2は高架下のライブバー……いや、ライブが出来るほったて小屋という方が実態に近いか。ステージ正面中央の一番いいところに柱があって、さらにその柱にマンガやサブカルチャー関連書がぎっしり詰まっていて、ちょっと遅れていくとまったくステージが見えないし、電車が通るとガタゴトいうので音響もへったくれもない。ライブに行ってもガラス戸の向こうで酒を飲んでくだらない話をしているだけみたいなこともあった。

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でも、そういう価値のない時間がたくさん生まれるところこそが貴重なのだ。閉店は黄金町バザールの意向なのだろうか。だとしたら、相変わらずしょうもない運営である。

 

ありがたいことに試聴室は徒歩5分の場所でその3を始めるそうで、さよならイベントのはずの大島輝之大谷能生のライブもさして暗くもエモくもない空気で、ステージの演者の出す音も呑気なものだった。即興ノイズだけどノイズ現場によくある緊張感がないし、フロアもほぼ同窓会ノリ。

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バーカウンターで串揚げセットを頼んだら、めんどくさいという空気を隠さずに「からあげならすぐ出せますよ」と言われたことになんか頼もしい気分になった。しかし私は串揚げが食べたいんだ。めんどくさくてすまん。

 

かつて何度かそうしていたように、古本をあさったり、知り合いにあいさつしていたりするうちにライブが終わっていて、大谷能生が最後に適当なラップを披露していた。

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黄金町から桜木町まで歩いて、相鉄本多劇場、たけうま書房、猫企画、nitehiworks、clubLizard、喫茶へそまがりと、横浜からなくなった場所やなくなってしまう場所のこと、そして、いなくなってしまった人のことを考えながら歩く。帰りの電車、窓に映った自分の顔のガラの悪さに思わず苦笑した。2017年4月29日。

#038 DJ 油井俊二 by UNDER THRONE | Mixcloud

使い慣れない言葉だけど、R.I.P。

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