2022年の12月、オタクの某さんと呑んでいたら、スマホを眺めていた某さんがいきなり声を挙げた。
なんでも「BELLRING少女ハートvsBELLRING少女ハート '22」をやるという告知がTwitterに流れてきたらしい。
某さんが興奮しているので「そういうの行きたいもん?」と聞くと「当たり前でしょ」という。
「一番盛り上がってた頃のリバイバル」企画に思えて、ちょっと微妙な気分になった。
「なんだかねえ」という態度を取っていたら、「だって、ツヴァイvsドライやったら行くでしょ?」と言われる。
「そりゃ行くけど……」とごにょごにょ答えた。
好きなアイドルはいろいろあるけど、校庭カメラを冠したグループは、自分のドルオタとしての自我を形成した存在だ。
でんぱ組.incやBiSを追いかけていた頃は「古参の熱気に押されながら見ていた」という部分が正直あった。コウテカの時は自分なりにどうグループを応援するかいろいろ考えて、そのおかげで交流する人が増えて、より現場が楽しくなった。何より、フロアではしゃぐ時の感覚がここで固まっている。
だからこそ、たとえ一夜限りでも再結成を願う気持ちはなかった。仮に冷めた目で見てしまうことになったら、相当さみしく思うに違いない。
某さんが「田中さんが一番やりたいのは、結局ベルハーなんだよ」と言うので、「Jasさん、常に新しいことやるのはいいところだよな。今はSPECIALCHEESEMENUやってるし……」と考えていた。苦労は多いだろうけど、制作側には常に「今が一番」という態度を示してほしい。
それからしばらくして、SPECIALCHEESEMENUがメンバー全員卒業によりいったん休止(またかい)。その後、Ramy T Talataちゃんがtapestokに復帰してSZWARC(のちにSZWARCNEVERに改名)に加入。そしてなんと今年の4月に、ドライのメインボーカルだったCatch My Heartちゃんもtapestokに戻ってきた。
かつて自分が愛着を持って見ていた人たちが戻ってくると、「今が一番」であってほしい気持ちは変わらないけれど、「戻ってきたい人が戻ってこれるのはいいことだなあ」「いい曲なので、新しく色んな人に知ってもらいたいよね」くらいの認識になる。
そのうち観にいこうかなくらいの気持ちでいたら、下記のような告知が飛び込んできた。
ましゅりどますてぃとうぉーうぉーとぅみーとぱちょとんぱがいないけど、らみたたらったときゃちまいはーがいて、もるももるのfeatにしゅがしゅららとののるるれめるがいる。
うーん、これはだいぶ「ツヴァイvsドライ」。イベント名は今は亡きコウテカのホームグラウンド「DJバー西麻布Bullet's」をもじっていて、そこもなんだかノスタルジー。
とりあえずチケットを取って横須賀へ。
会場のSHELLBARはビルの6階。病み上がりだったので、ドリンクはお茶をもらう。
ソールドアウトと告知されていたけど、ウナギの寝床式の細長い間取りのフロアは踊るスペースがしっかり確保されていて、後方でゆらゆら揺れることも、壁際のソファーでだらだらすることもできる。
久々のオタクの人たちにあいさつして、idol rap collective internのライブを後方で聴く。
校庭カメラガール時代の曲もやっていて「へえ」と思う。研修生ってこういうことか。フロアでは久々聴くけどやっぱりイイ曲。そして、今の若い人はラップがうまいなあ。
お次はさとうらら。ソロアルバム「THE ROOM」からの選曲。
ららちゃんのアルバムは日常生活の中でのんびり聴ける一枚で、出勤前なんかに流すのにちょうどいい。macomaretsもそうだけど、非日常じゃないからこその気持ちよさがとっても好き。この日は今夜はブギー・バックのカバーも披露。ベタなんだけど、ブギーバックやっぱり楽しい。
お次はもるももるfeatしゅがしゅらら。
しゅがしゅらら名義の名曲「フランソワーズをとめないで」で最前に飛び込むKさん。終わった後に「今日のシフト終えましたわ~~」と言ってて面白かった。久々に「Shiroi pegasus」も聴けた。
校庭カメラギャル2018はらみたたらったときゃちまいはーの二人編成。らみたたらった&ぱたこあんどぱたこ編成のオリジン校庭カメラギャルとの差別化のために2018がついているよう。
そして校庭カメラギャルと銘打っているものの、ウテギャ名義の曲はやらず、校庭カメラガールドライの曲が中心。ドライでなくギャル2018なのは、ドライと名乗るにはメンバーが足りないからかな。
きゃちちゃんのボーカルを活かしたドライの曲の爆発力は相変わらずすごい。フロアの沸きがすごかった。なぜか日清のCMに使われることになったTaiwan no MenのCMバージョンも聴けた。
もるももるfeatののるるれめる。
朝比奈るの名義がとっくに長くなっているるのちゃんがののるる名義で登場。セトリノーツイートとのことだったので、詳細は控えるが、これまでゆっくり見ていたのに、曲を聴いたらいきなり前に飛び出してしまってヤバかった。
勝手に口から歌詞が出るし、コールが出るし、前に突っ込んでいくし、人に折り重なってケチャするし……。
前に突っ込んで行く時、誰かが後押しするように背中を叩いてくれて、めっちゃ久しぶりのそういう感覚にドキドキした。
私が勝手にアイドルのお別れソングベスト5に入ると思っている曲があるのだが、それとか全部歌い出しちゃって自分でエッーと思った。のどはガラガラなのに、どんどん歌詞が口をついて出る。
フロアのみんな好き勝手に動いていて、でも愛情と感情を目いっぱい、全身で表現する。アイドル現場のいいところってこれだよなというのが、自分の肉体で表現できてすごく楽しかった。
折り重なったオタクが広げたケチャの向こうに見えたれめるちゃんは、落ちサビを堂々と響かせていて、エキサイトするオタクと対照的に余裕をもった笑みが爽やかだった。
途中でれめるちゃんが「ららちゃん来て~~」と叫んで後方で見ていたららちゃんを呼び込んでいて、オタクが道を空けていたのもほほえましい。
最後はSZWARC NEVER。
Noki Noちゃんが入ってから初めて観たが、どこか陰りがあるけど歌は強気という風情がすごくtapestokっぽい。まさかHumpty Taxiをカバーするとは思わなかった。
SZWARCはけっこう陽というか、人生を楽しんでいる人たち向けの曲が多かったけど、らみた&のきのの組み合わせだとまた世界観変わっていきそう。
最後は演者全員ステージに上がって「Lovin flash Da Bagdad」。
ステージもフロアもカオスでぐっちゃぐちゃの中、もるちゃんがうまく全体の空気をリードしてまとめに入る場面があってさすがだった。解散後はずっとソロでやっていたのに、経験ってにじんでくるんだな。
終わった後の消耗と満足感が半端なくて、「本現場」ってこういうことなんだと心の底から実感した。自分の好きだったものそのままではないけれど、変わらない高揚があってそれがとてもありがたかった。
リバイバルもたまにはいいね。
Kさんが「疲れるからこういうのは2ヶ月に一回くらいでええな」と言ってて、「それは多過ぎでしょ!」とつっこまれていた。
※メンバー名、めんどくさいので途中からひらがなにしました。
※本文中に2回出てくるKさんはそれぞれ違う人です。