ホンのつまみぐい

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テンギャン東京ラストライブ/TENG GANG STARR×kamui×EBISU BATICA presents TEN Gene #テンジェネ FINAL

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 初めて気がついたことがたくさんあるライブだった。

 なかむらみなみが固有名詞を並べてラップする時の不思議な説得力とか、kamuiのMCの素朴な誠実さとか。BATICAの一番後ろでは姿は頭くらいしか見えなくて、途中でほぼ聴くだけになっていたけど、「きっと」は、少し泣けた。

 MCで「ありがとう」というkamuiに、フロアから「ありがとーありがとー」という明るい声が返ってきて笑ってしまった。フロアは最初から大盛り上がりで、狭くて逃げ場のないBATICAで繰り返されるモッシュ・ダイブの様子は、小さな水槽が洪水を起こしているようだった。

   あまりの爆音に、壁や備品に当たった音がごうごう鳴る瞬間がたびたびあって、身動きの取れない場所にいたのに激しさが身体的に伝播していく様子に、少し興奮した。

 「もっと好きになりたい」と思っていたところで終わってしまったから、残念といえば残念なのだけど、kamuiもなかむらみなみも、おそらく私よりずっと彼らのことを身近に感じ、見てきたのであろう若い子たちも、いさぎよく次のことを考えている様子だった。

 東京最後の主催イベントが10代も含めた若手ばかりのブッキングで、客も彼らのことを仲間のようにもヒーローのようにも思っている若者ばかりという風景。「シーン」という抽象的な言葉は、こういう空間に使うのだろう。

 終わらせようと思った時にきっちりと終わらせることが出来る知性と、一見ファニーで毒々しいのに、健全なピュアネスがあるという不思議なバランス、魅力的だったな。

 ライブ終わりのフロアからすっと人がはけ、熱量がかき消えた頃に、二人がフロアに戻ってきた。そのまま客と雑談する二人はとてもすがすがしい表情で、感傷や後悔はなくとも、寂しさはやっぱり少しあって、でも、未来を向いている。そんな風に見えた。

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