ホンのつまみぐい

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ヤバい遊びが生まれる現場は進化を止めないやつらがいる Tinpot Maniax vol.4 @月あかり夢てらす

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 開会宣言で「キモオタクの皆さんの時間はこれで終わりでーす!」というホストMC、ヤボシキイくん。

声豚ラップの第1人者、ぽ太郎さんのアニソンDJの後の言葉だった。チンマニの人脈はオタクがメインだから、当然アニソンDJはペンライトつきでわっと盛り上がった。ちなみに、ぽ太郎さんは、机にしまわれたままのラブレターを開帳したようなエモーショナルなアルバム「One Cours One Life」を5月に配信しているので必聴。

ぽ太郎 One Cours One Life

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※当日のDJMIX

言うまでもないけれど、ヤボシくんの言葉はぽ太郎さんのDJを否定するためのものではない。続く言葉はこうだった。

「キモオタクがラップすんのって全然珍しくねえし、ダサくねーかーー??」

「俺たちは楽しいことやってるから特別なんだろーー!オタクでもラッパーでもいいよ〜〜!」

1年前の第2回チンポマニアックスは、「オタクがラップする」イベントだったし、本人たちもそう言っていたのに、そんなアイデンティティはもう過去なのだ。

この日の最初のライブは運営のJabvaraさん。自作のトラックの上で新曲をストイックに歌いこなす。

MCは「昔はダンスやっていたけど、大学に入って辞めてしまって、こいつらと会ってまたヒップホップをやるようになった。おれは一回あきらめちゃったけど、また出来てうれしい」という話。最後が「初めて会った時はみんな学生だったけど、今は社会で一緒に戦っていく仲間として」というMCから、ヤボシくん、ムノウちゃんを交えてのマイクリレー曲で〆たのも熱かった。

お次はゲストライブのALSEADさん。メロウなビートに端正なラップがかっこいい。
「音楽にはつらいことを反転する力があると思うんですよ」というMCからの呼煙魔beats「PAin’S LEAkeD」で〆。

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そしてチンマニ名物パンチラインカウント制バトルは今回30秒2本。第1試合、いきなりフリージャズ調のピアノではじまって、うろたえるオラディーさんと遊牧民さん。しかし、遊牧民さんが応援団仕込みのバイブスというか大声で勝利。


1回戦はほぼ全員ビートに乗れずに、いやビートと呼べるトラックがほぼかからないまま終了。そして、これまでのチンマニの伝統にならい、ヤバいこと言うと点が入るパンチライン制にひっぱられた性癖暴露が続いた。

誰のか忘れたけど、「ツイッターがなかったからイキリオタクになれなかっただけだ!」「お前はもっとキモくなれるぞ!」はチンマニらしいライン。男子校ノリで自分をさらけ出すバトル。

ちなみに、この日は搬入前にパソコンが壊れてしまったDocmanjuくんが、iphoneをいじりながらビートを流していた。

KATAOKAさんによる日本語ラップセットDJでひとしきり盛り上がって、お次はもつ酢飯のライブ

メイド喫茶のような衣装で、もつ酢飯のifユニット「チョコレートマカロン」として登場。チョコレートマカロンは、「ユニット名の由来がふたりの好きな食べ物」というもつ酢飯が「もっとかわいい食べ物の名前をあげていたら」というifをもとに出来た架空ユニットで、同名の曲もある。

おとめちっくサブカルな「チョコレートマカロン」から、「But、無理isよくない」を歌い終えていきなり「もうやってらんねー!」「無理はよくねー!」「私がワッショイサンバだー」「私がムノウだー」「チョコレートマカロンは死んだ!」という茶番から「もつ酢飯のテーマ」「ブラック・リフレクション」「服屋ウォーズ」。ラップはもちろんだけど、「女の子!」「男の子!」「1階席!」「2階席!」とか、煽りとMCがずいぶんうまくなって、自然に盛り上がるようになっていて驚く。お遊戯会みたいな衣装だったけど、ガチ感出てきた。

 

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お次は茨城県古河市から来たOLD RIVER STATE。イキのいい、フィジカルの強いラップ。音もふるまいもヒップホップという言葉から連想される、どこかぶっきらぼうな感じがつまってるけど、陽性の楽しさとパワーがある。メンバーの声がそれぞれ特徴的で、マイクリレーも聴きごたえがある。

「おれらは音楽のオタクだー!」と叫んで、チンマニのバトルを「自分の持ってるものを引き出すのが大切なんだなって思いました」という好意的な言葉で表現してくれた。

オープニングのぽ太郎さんのDJについて「叫ぶ時になったらブースの前に行って叫ぶってのが、ヒップホップと一緒」と話してから、コーレスを誘ってくれた。演者の熱とフロアの熱がブワッとぶつかるような盛り上がり。こういう熱気が波みたいに押し寄せる現場、いいなあ。

OLD RIVER STATEの力はもちろんだけど、なんだか1年たってオタクの方もヒップホップの盛り上がり方についての心得てきたような気がしてきて、これは場の成熟じゃないか?

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Spikez, Batz & Sluggaz

Spikez, Batz & Sluggaz

 

 

ライブが終わりDocmanjuくんが「PCが壊れた悲しさを曲にしようと思ったけど、楽しくなっちゃったから作れない」と一言。

そして、バトルの後半戦。ゲストのALSEADさんが途中参加で、「〇〇が性癖」という自虐パンチラインで押し切って優勝。〇〇の中身は現場だけの秘密。本来なら笑ってしまうのが申し訳ないような内容だったけど、めちゃくちゃ面白かった……。まさしく「音楽はつらいことを反転する力がある」の実践。

そして、Docmanju×ヤボシキイのユニット・大丈夫音楽。ジャンル的にはエレクトロノイズでいいのかな?PCが壊れて思うような音が出せないDocmanjuくんと、相変わらず歌詞を飛ばすヤボシキイくんというほつれのあるライブだったけど、一方でつきあいの長いふたりのお互いに対する理解の深さが感じられてちょっと微笑ましかった。今度は両者ベストコンディションで観たいね!

 

お次はセッションの時間

「能動的に音楽を摂取してもらうというやつです」という案内があったけれど、要は100均で買った日用雑貨をみんなで叩くだけというやつ。バケツ、手鍋、布団ばさみ、ビニール袋をもってみんなで好き勝手に叩いてガサガサ音を出していく姿は原始のお祭りみたいで、ノッた時のソウル・フラワー・ユニオンもしくは渋さ知らズの現場を思い出す。どんどん壊されていく100均雑貨の有様も馬鹿馬鹿しくて最高に盛り上がった。


最後はDJJabvaraの「オタクはBPM速い曲が好き!」というMCからエレクトロ中心のDJで終了。

すごいな、今までで一番ちゃんと音楽イベントになってるし、同じことやってない。1年前、ふらっと観にいった時から比べると不思議な感じだ。

その間にヒップホップで金を取る人が増えてくるわ、音源はどんどんドロップされるわ、すごい勢いで場が変化していく。

こんな場、変わりはないな。次どうなってるか予測がつかない。主催はもっと面白いことやりたいみたいなので、次からでも目撃者になりたい人は遅くないと思うよ。

 

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