校庭カメラギャル(以下ウテギャ)のことを考えると思い出すのはお披露目の日のぱたこあんどぱたこちゃんの憂鬱そうな表情です。
ウテギャはもともと校庭カメラガールの派生ユニットとして誕生したという経緯があり、お披露目の日は「もともと校庭カメラガールツヴァイ(以下コウテカ2)として活動していたぱたこあんどぱたこちゃんとらみたたらったちゃんの最後のコウテカ2としてのライブ」と「校庭カメラギャルとしての最初のライブ」が同じ公演の中で行われていたのでした。
最後にコウテカ2としてライブをこなすぱたこちゃんの、不安そうな少し投げやりなような表情を見ながら、「大丈夫かな。ほんとはいやなんじゃないかな」と思ったのをよく覚えています。
コウテカ2での当時の2人は歌割りも少なく、正直グループの中でどう力を発揮していいのかわからないまま続けているのが伝わってきていました。後のインタビューでぱたこちゃんは「自分からウテギャになりたいと言った」。らみたらたったちゃんは「いきなりウテギャになることになった」と話していますが、いずれにしろ2人がコウテカ2のままでいることの限界を悟っての移籍だったのだとなんとなく思います。
そんな校庭カメラギャル、当初3人編成で始まったものの、すぐに1人抜けてしまいます。曲はコウテカ2と比べてヒップホップ寄りのアイドル現場では浮きがちな音作りだし、歌ってることもヒップホップのパロディなのか、攻撃的でひねくれてるから対バンに出てもオタクが反応しづらい。しかも、コウテカ2と違ってなかなか曲が増えないから、30分の持ち時間に同じ曲を2回やるという時期が数ヶ月続いたり。
「ヒップホップよりでアイドル現場で浮きがちな音」って、私も書いててよくわからないけど、要はMIXとか入れづらい曲ってことですよ。サビないし。しかも、LyricalSchoolとかと違って「聴いてて楽しい!」ってリリックじゃないし。
校庭カメラギャル 1st album"スマイルアゲイン" teaser by tapestok records | Free Listening on SoundCloud
リリックはここで読めます。
http://tapestokrecords.com/smileagain/
リリスクが「女の子はハッピーじゃなくちゃって誰かが言ってた」って歌ってる時に、「これだから最近の若いヤツは とか言っちゃうおじさん インダ 満員電車」だから……。
数ヶ月前のブブカのインタビューでも答えていたけど、めちゃくちゃ大変だったと思います。よくやめなかったと思う。
でも、ウテギャのふたりが尊敬できるのは、こういう状態からちゃんと自分たちのライブを作り上げたことです。
ふたりとも音楽的才能に恵まれているわけじゃないと思うんだけど、「ルサンチマンを抱えた女の子が自分の心にある衝動をはき出して、その熱で人の心を動かしていく」ということがちゃんと出来るようになっていて、これは本当にすごい。自分を変えたくて青森から出てきたぱたちゃんと、それまでの「生きてるのか死んでるのかわからない生活」をやめて飛び込んできたたらちゃん。ギャルドリームのリリックが刺さります。
中途半端なマイライフ 嫌いなんだ自分が
ずっと変わりたかったけど
変われなかったから だから
わざと遠回りをして光を塞いだ
あと、ウテギャのリリックはすべて運営のVivid Jasさんが書いているのだけど、Disやエモだけじゃないくだらない曲もあって、それもまあ、ヒップホップっぽいといえばぽいのかな。だから、ライブとしてちゃんと楽しい。私は「みんないい人だって言ってるけど実際はあいつサイコパスだしヤバい」の曲が好きです。
ワンマン前の最後のライブで、ぱたこちゃんが「アイドルでもヒップホップでもない!校庭カメラギャルをやっていく」と宣言してたけど、そりゃそうせざるを得ない。アイドル現場でもヒップホップ現場でも浮いてるもんね。
ふたりとも決して器用じゃないし、ライブでの立ち居振る舞いも無骨だし、特典会とかでもアイドルとしての釣りのうまさみたいのもないんだけど、それも含めて「校庭カメラギャル」としてちゃんと自立しつつあるんだなあとちょっとじ~んとしました。
人の書いたリリックでどう表現するか
この声は紛れもなく私の声だ
ウテギャも売れてほしい。なぜなら「何でもない女の子たち」が「わけがわからない存在」にメタモルフォーゼしたハイブリッドアイドルだから。世の中に「わけのわからない」が多い方が面白いでしょ?
そんな、色んな意味で嘘がなさすぎるふたりによるワンマンライブは今日20時から!当日券あるので気になった方はよろしくお願いします。
明日は校庭カメラギャル(ウテギャ)のワンマンライブです!当日券めちゃくちゃあります!
— 校庭カメラギャル (公式) (@kouteicameragal) 2017年6月5日
宜しくお願いします!!!
2017.6.6
校庭カメラギャル1stワンマン
”Kick Clap”
下北沢SHELTER
door 3500 (+1D)
op/st 19:00/20:00
どうしても会いたいんだよ
— ramy t talata@ウテギャ (@milky_talachan) 2017年6月4日
あさって、待ってるよ pic.twitter.com/8nXInrobY1
うち1人でウテギャはできない
— ramy t talata@ウテギャ (@milky_talachan) 2017年6月4日
ぱたちゃんと2人で、はじめてウテギャになる
でも2人そろったところでラップはできない
音やリリックを与えられて、はじめてラップができる
でも2人と音楽がそろったところでライブはできない
観てくれるみんながいて、はじめてライブができる
はじめたてのころは狭い世界でも楽しんでくれる人がいて、それでこっちも楽しいなら幸せじゃんって思ってたけど、それじゃだめなんだ!
— ramy t talata@ウテギャ (@milky_talachan) 2017年6月4日
もっと上にいくんだ!
そのためにはみんなの力も必要なんだ!
6日、ウテギャ史上最高のパフォーマンスをします!
— ramy t talata@ウテギャ (@milky_talachan) 2017年6月4日
みんなで一緒に最高のライブを作ろう!
忘れられない日にしよう!
みんなの大事な時間、絶対に無駄にしません!
絶対にライブに来てください!
さあ!答えはyesですか!?
アイドルって世界にとらわれててなんか良くわからなくなってしまってたけど、校庭カメラギャルの曲は2人にしか出来なくて今はこの2人だから成り立ってるし、ありふれた音楽とか似たような音楽とかいっぱいあってそっちの方が羨ましいなぁって時々思ってたけど私達は私達だな〜って私達だけができるも
— pataco&pataco@ウテギャ (@ptkandptk) 2017年6月3日
みなさんに対してではなく、その勘違いをしたサラリーマンに対してです。心を穏やかにして聞いてください #1日1パタコ pic.twitter.com/cwWZaqWhab
— pataco&pataco@ウテギャ (@ptkandptk) 2017年5月27日
※ちなみに、プロに言わせると「いわゆる〈アイドル・ラップ〉となると90年代の日本語ラップ感を下地にした人が多いなか、彼女らはサザン・バウンス~トラップにハードコアでギャルなノリをまぶした現代的なもの。フックが歌じゃない作りも含め、USモノ好きも一聴の価値あり」らしいです。そうか、こう聴いてこう書くのか……。