RAP酒場は草バトルとDJとライブで一晩遊ぶアットホームなイベントだ。ゴリゴリのクラブイベントよりちょっとナードな雰囲気で、バトルにも100円で参加できるし、ライブに出るのもまだまだ若手の子が多い。気軽で気さくな空間で、バトルからラップを知って初めてイベントに行くような若い子におすすめしやすい。
主催の丸省さんは3月のTinpot ManiaxでORETACHIのメンバーとして強烈にハッピーなラップをかましてくれたし、古くはもつ酢飯にライブの場を用意してくれたこともあるし、リスペクトの対象だ。この日は、MAZAIRECORDSのMANOYさんがRAP酒場でライブをやるというのでほぼ1年ぶりくらいに足を運んだ。
ライブ直前の20時15分頃に中に入ると、二十代前半だろうという青年たちがバトルをしていた。
「お前この間のバトルエントリーをドタキャンしただろ」「それは○○さんに土下座した。イベントで遊び倒して全裸で倒れてたせいで職質にあって間に合わなかったんだ」というバトルの内容が微笑ましい。
2017年5月にもつ酢飯のライブのために来た時より人入りはおとなしく、ブームのピークは去ったのかなという感じ。
バトル終わってライブスタート。MANOYさんのライブを観るのは3回目。
でも、1回目はもつ酢飯のリリースパーティーで、2回目はTinpot Maniaxという、ホームグラウンドでのライブだ。今日来てるメンツで、彼女の曲を知ってるのはブッキングした丸省さんと、仕事帰りに駆けつけたムノウちゃんとドクマンジュくんと私くらい。
どうやって入るのかなと思いながら見ていると、軽くあいさつしてすぐにスッとライブに入る。
MANOYさんの曲は服部昇大のいうところの「まんま言う」系。東京の街の印象や服を買うときの話を歌う。だから、聴けばすぐ何について歌っているか、彼女がどう思っているかがわかる。
最初は「知らん女の子がラップしてるな」くらいの温度で観ていた客が、服を買うことのめんどくささを歌った曲のフック「ZOZOTOWN!」を、腕を振り上げながら一緒に歌い始めたのが熱かった。
最後の曲は「駅から近いところに住む!最低でも徒歩5分」というフックが印象的な曲。DJブース寄りでニコニコしながら見ていた丸省さんが、身を乗り出してノリノリで踊り続けているのが大変よい光景で、こっちもニコニコしてしまった。
しかし、MANOYさんはスキルを見せびらかすようなラップじゃ全然ないのに、ちゃんと聴かせててうまいなあ。
踊りまくる丸省さんが映ったMANOYさんのライブです。
— hontuma (@hontuma) 2018年4月18日
駅から近いところに住む/ pic.twitter.com/i8M6iXx975
MCではラップ始めたての頃によくRAP酒場に来ていたという話も。緊張していたけど、ライブやれるところまで来たのかっこいい。
ライブ後に丸省さんが「自分が不満に思ってることを言うのはヒップホップですよ!それを世間に認めさせるのはヒップホップです!!」と叫ぶ様子から、彼女をちゃんとラッパーとして認めているのがわかって、それもいい風景だった。
その後に出て来たネル&K'illのコンビは、どうやらちょっと遠くから来ているようで、丸省さんが「わざわざ渋谷まで来てくれたんだよね」という話から「ライブさせてくださいってDMで売り込んできたけど、すぐに返事しなかった。なぜならその後イベントに来なかったからだ!」と言って笑いを取っていた。
ライブはラッパーを皮肉る内容の曲が多く、本人たちの生真面目なラップにナードな見た目と釣り合っていた。
ライブが終わってからのDJタイムでも丸省さんはよく笑って踊っていて、こういう人だから若い子が気軽に楽しく参加できる場所が作れるのだろうなと言う説得力を全身から発していた。
ムノウちゃんと私はDJタイムで帰宅したけど、MANOYさんはもちろん、ドクマンジュくんもその後遅くまで残っていたらしい。ドクマンジュくんがTwitterに麻猿さんとの再会について書いていて、Dimensionがまだアシッドパンダカフェだった頃に二人が出会ったことを考えて何だかエモい気分になった。
麻猿さんに4年ぶりくらいに挨拶したときマジで泣きそうになってしまった。
— ドクマンジュ (@DocDocManju) 2018年4月18日
RAP酒場のことも出てくるMANOYさんのブログ