ホンのつまみぐい

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SAKA-SAMA-朝比奈るのラストライブ

朝比奈るのちゃんラストライブ。

一番長く活動していたグループにいた頃は観に行っていなかったので、最後だけ顔を出すのは申し訳ないかな…と思いながら下北へ。


久々の下北沢は、再開発の完了した駅前に、ぽつぽつ10〜20年前と変わらぬ店構えがあり、ちょっとホッとした気分。

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Flowers Loftは駅前のビルの中で、ロフトグループの箱だから、床が格子状。小箱としては奥行きのあるステージは、踊りやすそうで地下アイドルのライブにはちょうどいい。ただ、フロアは狭くて人がしっかり入るとちょっと息苦しい。


ぎゅうぎゅうのフロアを眺めているとライブがスタート。始まってから集中するのに時間がかかってしまい、その間ひたすらるのちゃんを目で追ってました。

律儀なダンスと、楽曲に合わせて使いこなされる声と、時折浮かぶキリッとした表情。私が観てこなかった時期に彼女が積み上げてきたものの集大成。

感慨深い気持ちで観ているうちに、MCの時間へ。

「一カ月前に急に辞めるって言って、誰もいなかったらどうしようと思ってたけど、こんなにたくさん来てくれてありがとう〜」

「SAKA-SAMA入って楽しい思い出がいっぱいあって」

「私の方がみんなに力をもらってました」

「今までちゃんとお話するのが怖くて。まだまだ言いたいことがあるけど、お話できてよかったです」

話を聞きながら、こんなに素朴で無防備な部分を失わないまま、10年近くアイドルができたなんてすごい才能だな…と突如感動してしまいました。

子ども時代の不安や、前に踏み出す瞬間の瑞々しさを繰り返し歌うSAKA-SAMA楽曲は、朝比奈るのという演者にぴったりだったんだな。今思えば、彼女の存在は校庭カメラガールの世界観にも影響を及ぼしていたのかも。

理不尽なことや悲しいこともたくさんあったろうし、それでも自分らしさを捨てないで、理想のアイドル像を貫いてきたのが、その変わらなさからわかって、グッと来てしまいました。

彼女の個性を見守りながら、何かを損なわせることなく応援していたオタクの人たちもすごいと思う。

若い女の子の未熟な部分を愛好するのがアイドルという言い方をする人がいるじゃないですか。侮ってるとか、見下してるから愛好できるという考え方。

客観的にはそうかもしれないけど、そのへん意外と簡単じゃなくて、るのちゃんのオタクの中は、たぶん彼女が自分の弱い部分を隠さずにステージに立っている姿に対する共感や尊敬の念があったと思います。「弱い部分があるから好き」じゃなくて、「弱い部分を抱えながらそれでもやろうとする姿が好き」。いろんな人がいるから、別に全員そうじゃないだろうけど。

ライブ後半は「空耳かもしれない」をソロで披露し、アンコールののち、ラストソングの「終わりから」。

www.youtube.com

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沸くタイプの楽曲のないグループだから、終わり方もどこか控えめで、最後の締めは寿々木ここねちゃんの「私たちもみんなも、これからも元気で自分らしく生きていきましょう!」という言葉。

るのちゃんやここねん、えりこさんもなんだろうけど、彼女たちが自分らしくステージに立てるという意味で、地下アイドル現場って意外といいところなのかもしれないと久々に思いました。

るのちゃん、アイドルという形式でなくても、音楽からは離れないで、これからも気まぐれに自分らしく活動してほしいな。

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