ホンのつまみぐい

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近所で聞いた話

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 母のワクチン接種予約を取るために家族総出で電話をした。ワクチン接種に対応してくれる地域の医院を市のホームページで確認。それぞれに担当の医院を割り振り、朝から電話をかける。

 なんとか6月末と7月頭に予約を入れることができた。つながったけれど、「定期的に来院している人でないとだめ」「1年以内に利用していないとだめ」と言われた医院もあった。

 しかし、こんなことを年配者にやらせるのはあまりに酷ではないか。母が上記の方法を採用できたのは、習い事で出会った人たちから現在の予約状況を共有してもらうことができ、電話をかけてもらう子どもたちがいたからだ。

 そうした環境にない人でも接種できるようにするのが、正しい行政のあり方ではないか。

 一人暮らしの人が1日中電話をかけ、やっとつながった先で「もう終わりました」「あなたは該当しません」と言われているところを想像すると気持ちが悪くなる。

 知人は行きつけの医院の窓口で「電話がつながらないんです。どうしてもだめなんですか」と言っているおばあさんや、「ナビダイヤルのまま待っていたら、普段は月3000円の電話代が20000円だった」と嘆いているおじいさんを見たそうだ。

 また、地元の駅前を歩いていたら、ずいぶん完全休業を決めた飲食店が増えた。お惣菜とお弁当に力を入れている自宅近くの居酒屋の店主と話したら、「さすがに今回は気持ちが切れてしまったお店が多いみたい」と言っていた。協力金が振り込まれず、追い詰められている飲食店の話も聞くので、心配になって話を向けてみると「それは大丈夫」とのこと。おそらく自治体で行政の対応の速度が違うのだろう。役所の人々の労働環境も心配だ。「夏酒のいいのがどんどん出てきているから、なんとかしたいのだけど……」と話していた。

 政治の無策が棄民を生み出す瞬間を毎日毎日見せつけられて、情緒がおかしくなる。