ホンのつまみぐい

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 2020年はストリップの記憶があんまりない。

 インターネットに書かないだけでちょいちょい行ってたけど、軽い鬱状態から抜け出せなかったためか、「よいステージ!!」「すばらしい!」と感じる気持ちはあっても、心が満たされる感覚になることがあまりなかった。自分の心で物語を掘り下げていくタイプの芸能だから、精神が枯れているとそういうことになってしまうのかもしれない。

 また、コロナをきっかけに業界の悪いところを見聞きする機会がぐっと増えて、考え込んでしまうことが増えた。ストリップ業界は、お客さんも含めてみんな悪いところを語りたがらない。スティグマの強い文化だから、悪く言いたくないのはわかるけど、おかげで変えなくてはいけないところも放置されたままというか。「その語らなさが殺したものもあるだろうに……」と考え続けた1年だった。

 そして、語らないこと、変えようとしないことによって繰り返される悲劇も必ずある。

 同人誌とはいえ、メディアを持っている人間がこういうこと書くのは、業界の覚えが悪くなるだけでよくないことなのかもしれない。懐に入ってから現実的に改善を申し入れる人のほうが必要なのかもしれない。

 しかし、私は私でできることをやるしかないので、こういうことを書いている。

 「ストリップ劇場は優しい世界」という言葉がある。私はこの言葉が嫌いだ。嘘ではないと知っているけれど、その言葉の影で消えていったものを知っているからだ。

 劇場を本当に優しい世界と思える日は、運営・客の双方が語るべきことを語れるようになった時だろうと思う。

 

 

 

追記:とはいえ、はるかに規模の大きいお笑いやスポーツ、アイドルのような産業でも全然批判も批評もされてないし、日本社会全体のダメさが反映されてるだけとも言える。

追記:そういえば、全然狭いけど、マンガの評論関連もそういうところあるなと思う。