読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ホンのつまみぐい

いろんなもののファンをやっている人が、日々のよしなしごとを綴っています。

音霊 OTODAMA sea studio 2015 男枠

音霊由比ヶ浜に夏の間だけライブハウスを建て、2ヶ月間そこでずっとライブをやるという特殊なイベントだ。その音霊に「ZEN THE HOLLYWOOD」が出ると聞き、わざわざ休みを取ってチケットを取った。ロケーションも最高だし、対バンイベント大好きだし。午前中は鎌倉でお茶でも飲めば最高の休日だ!

ところが、当日終わらせる予定だった仕事が結局終わらず、ギリギリまで仕事をしながら会場時間に鎌倉に着く事態に。

憂鬱な気分を引きずりながら由比ヶ浜に着くと、警察官が「砂浜の上での飲酒禁止」を呼びかけているし、ライブハウスの前は水着の女の子でいっぱいだしで、正直びびる。

中に入ると、長方形の細長い部屋の長辺右に横に広いステージ。長辺左に木で組んだ足場があり、物販コーナーになっていた。フロアは砂浜で、雰囲気はあるけどちょっとしんどかった。イケメングループ対バンというコンセプトなので客はほとんど女の子で、ギャルっぽい子もオタクっぽい子もバンドマンっぽい子もいる。さすが8グループ対バン、いろんなファンが集まってた。

お笑い芸人が司会として登場(すみません、お名前忘れました。よい進行でした)。ほどよく盛り上げて、ほどよく乗るオタク。フェス感出てくる。

第一演者はコラーゲンボーイズ。ギターとボーカルの2人組で、「見ての通り、ぼくたち王子様で〜す」というMC。歌詞は「俺様キングダム」とか「明日本気出す」とかネット用語がちりばめてあって、世界観の作り込みがすごい。曲はシンプルだけどとにかくノセるのが巧かった。ヘドバン、タオル、手拍子、ジャンプ。ライブで遊べる要素は全部入っていたんじゃないか。オタクがそれにちゃんと呼応していくのが壮観で、祭りのトップバッターにぴったりのいい仕事をしてた。

第2演者は松岡卓弥ソロの歌手だけど、コラーゲンボーイズとコラタクというユニットを作って活動しているらしい。手慣れたMCと可愛らしい曲とダンスの組み合わせで、何となく寺嶋由芙ちゃんを思い出した。もともとテレビの企画から生まれたユニット「サーターアンダギー」のメンバーだったそうで、「楽屋でぜんハリの最年少の子が『サーターアンダギー好きでした!』とあいさつに来てくれた」という話をしていた。

前二者がライブアイドル感満載の現場巧者だったので、その後に出てくるぜんハリのことがちょっと心配になってくる。活動履歴を見た感じ対バン慣れしてないだろうけど、どういう戦い方をしてくるのか……。

まずはoverture。コールの間にメンバーが途中で出てきて煽ろうとする。ただ、ほかのグループと比べると慣れてない感じが否めなかった。1曲目はバージンマジックをフルで。それから自己紹介MC。メドレーでエアボーイズ→ZENKAIPLAY→青春HAS COME→MC。

井上くんの卒業ライブ以来だったので、バージンマジックがだいぶ安定感のあるパフォーマンスになっていて安堵。最初にズカズカ歩いてくる皇坂くんのインパクトがすばらしい。ただ、対バンの最初の曲としてはB面感が強く、初めて見る人をつかむというには弱い。夏の歌詞だから持ってきた理由はあるのだろうけど。

その皇坂くんは自己紹介の時に声が出なくなっていて、代わりに深澤くんがアテレコでフォローするという形に。皇坂くんのあの特異なキャラクターが初めて観る人に伝わらなかったのは残念……。あの芸能人と思えないおっとりした話し方、すごく強烈なのに。その後に笠井くんが「えー、私こう見えてれっきとした男でございます。皆さまご安心ください」とアテレコをぶっ込んだのと、そこに横山くんがさらに「おっぱい!」とかぶせてメンバーに「イヤイヤ」と否定される流れがチャーミングだった。

メドレーはおそらく参加アーティスト内で最も短い持ち時間でどうするかを考えた結果なのだろうし、久々ライブ参加なのでいろんな曲が聴けて楽しかったけど、その後のMCまで含めてうまくインパクトを残せないままはけてしまったのが残念。ステージ脇にはけていくギリギリまで三浦くんが「ZEN THE HOLLYWOODです!」と言っていたのが心に残った。

ミックス・コールを規制してドルオタを結果的に排除してしまったことが、こういう場ではマイナスに動いているなと実感。(しかし、ライトなドルオタを排除したら今度はガチ恋の割合が増えて、逆に現場の空気が悪くなっているという現状は、「山犬を殺しすぎたら兎が大繁殖して生態系が狂った」という白土三平の「赤目」みたいでちょっと笑う。)

お次はEMALF

音楽にもダンスにもくわしくないので正しいのかが不安だけど、ブレイクダンス調の曲とダンスが安定感があって華やかだった。歌はかぶせだった気がするけど、ちゃんと関節が音に合わせて動いている感じがよい。

MCで「ダイヤのAの舞台で共演する深澤くん」という話が出ていて、「ああ、このへんつながってるんだな」と思った。2.5次元舞台、BL映画、アイドル、特撮、声優と、イケメンたちもあちこちにチャンネルを持たねばならないイケメンビジネス戦国時代(今作った)なんだな……。「かわいい女の子の可愛さの価値も、かっこいい男の子のかっこよさの価値も暴落していて大変」というようなことがイケメンスタディーズに書いてあったのを思い出した。

ユリイカ 2014年9月 臨時増刊号 総特集◎イケメン・スタディーズ

ユリイカ 2014年9月 臨時増刊号 総特集◎イケメン・スタディーズ

ひとつの技能だけで喰っていくのはどんどん難しくなってきていて、あれもこれもをつなげる人材が求められているって私たちの日常と変わらんやんけ……。芸能人は取り合うイスの数も限られているし、より厳しい資本主義社会だ。

Twitterで“もはや現在のアイドル現場は、「どんな世界でも今のお前が直面しているような困難はある。劇場を出て現実に向かい合え。」というメッセージを受け取る場所であり、またそうあるべき。”とつぶやいていた女性アイドルオタクがいたが、「まさにそれ」という気分に。この日はきっぱり「アイドル」と名乗っている演者は限られてはいたけれど。

前半戦が終了し、抽選会がはじまったところで、仕事を終わらせるために帰路へ。間違いなく後半楽しいだろうなと思える前半戦だったので残念。帰り際に横山くんがTシャツ姿で歩いていた。「お疲れ様」くらい言おうかと思ったけど、そのまま足早に通り過ぎてしまって声をかけそびれてしまった……。

ライブの後に考えていたのは、ライブアイドルとしては異端児であるZEN THE HOLLYWOODが対バン形式のイベントでインパクトを残すにはどうすればいいだろうということだった。

ライブアイドルなのに、でんぱ組.incの「でんぱれーどJapan」、BiSの「nerve」、DorothyLittleHappyの「デモサヨナラ」、ライムベリーの「HEY BROTHER!」みたいなわかりやすい湧き曲があるわけじゃなし。湧き曲を作るか。BiSのように同じ曲を何回もやるか。大森靖子のように客席から出てくるか。しかし、現状ではどれも実現は難しそうだ。




そうであれば、世界観を作り込んでしっかり見せるのが正道なのだろう。しかし、この日のライブではメンバーが自分たちのグループを言語化出来るレベルまで理解出来ていないのが伝わってしまった。

「ZEN THE HOLLYWOODって何?」という問いに、これまでは「少年ハリウッドプロジェクトの一環で、プロジェクトの楽曲を公式にパフォーマンスするグループ」という答えが用意されていた。

しかし、これはあくまでアニメと紐付いた場に出た際の答えで、彼らのライブの個性を表現する要素はこの中にひとつもない。
では、このグループを誰かに紹介するのにはいったいどんな表現をすればいいのだろう?

「80年代女性アイドル歌謡の第一人者・林哲司の楽曲プロデュース」
「ダンスにストーリー性があって演劇的」
「セーラーにこだわった衣裳がいちいちダサい」
「明確なアイドルとしてのコンセプトがない状態でメンバーを集めたので統一感がない」
「メンバーの人柄が良い(損してないかと心配になるくらい)」
「本業が役者というメンバーが多いので自分がアイドルであるという自意識が薄い」
「投入される企画が一昔前の女性アイドルがよくやらされてたリアリティーショーっぽい」

あれ、あまりよい言葉が並ばないな……。

少年ハリウッドプロジェクトは基本的に「女性アイドルを基にしたアイドル哲学を男性アイドルを通じて表現する」という二次創作的でねじれた構造で作られている。これは小説、アニメ、ZEN THE HOLLYWOODプロデュースのすべてに共通している。この奇妙なねじれは、原作者である橋口いくよが「アイドルが大好きだけどアイドルになれなかったかつての女の子」であることと密接な関わりがあるのだろうけど、今回はそれはさておく。

この「アイドル哲学を表現する」ということについては、アイドルオタクとしても知見の広い久保内信行さんがうまい表現で指摘している。

視聴者は多分別にアイドルと言うものの真実を体感したくて『ラブライブ!』観てるわけじゃないんですよね。かわいい女の子たちが汗を流して努力しながらかわいい姿を見せているのを見たいわけで。アイドルを題材にしたアニメにはその要素を入れ込みやすいから人気があるけど、アイドルという特殊な職業の真実について知りたいという需要は実はないワケです。でも少年ハリウッドはそんなこと知ったこっちゃない。頭おかしい。

2015年春アニメ本日4/5放送の『SHOW BY ROCK!!』『山田くんと7人の魔女』etcの見どころはドコだ!?

現実のアイドルだって、本来は「可愛い女の子やかっこいい男の子が歌ったり踊ったり遊んだりする姿を楽しむ」もので、通常であればアイドルはファンにそういった楽しみを提供する前提でプロデュースされる。

ところが、「ZEN THE HOLLYWOOD」は少年ハリウッドプロジェクトの一環として、アニメや小説のように「アイドル哲学を表現する」ことを念頭においてプロデュースされている。それを支える強固な曲とダンスとともに。しかし、舞台やアニメのようなフィクションと違って現実の人間はそうそう簡単にコンセプトという鋳型にはまらない(売上も必要だし)。だからこそ生じるズレと、押しつけられるコンセプトを飲み込みつつ格闘するメンバーのドキュメントがこのグループの独特の味になっている。「自分の身体を通じてアイドルのオマージュを演じること」を強いられた奇妙な集団が「ZEN THE HOLLYWOOD」というグループの面白さで危うさなのだと思う。

こういった自分たちの個性を、たぶんメンバー自身はあまり理解出来ていないし、それをどう活かすかをまだ考える段階に来ていないのだろう。このあたり、運営に大きな責任があるとは思う。思うけれど、頼れない運営なら自分たちで考えてもらうしかない。

主力メンバーが一人脱退、もう一人の脱退も決まっている現状で、自分たちの表現しているものの正体を理解せずにがむしゃらに走り続けるのは難しくなっている。だからこそ、今ここでパフォーマンスの意味を考え直して、よそでも戦えるようにしなくてはいけないのではないか。そんなことを改めて思った日だった。

そして、もうひとつこの日は阿部くんがこんなことをツイートしている日でもあった。

これを読んで「やっていいのかと思うドキドキ」って「えー、○○達成できなかったら解散?」と疑ったのは私だけか。外れてほしい予想だけど、もしそうなったらこの間「ぜんハリを解散させません」とTwitterで宣言していた横山くんがかわいそうだなあと思って憂鬱に。

この日以降何となくメンバーの情緒が安定していないように見えてしまい、24日の対バンも惨敗だったとTwitterで知ってちょっと不安になってしまった。

予想、外れるといいな……。

しかし、“もはや現在のアイドル現場は、「どんな世界でも今のお前が直面しているような困難はある。劇場を出て現実に向かい合え。」というメッセージを受け取る場所であり、またそうあるべき。”という言葉を飲み込むなら、それも含めて受け取っていかなくちゃいけないんだろうな。ライブと曲がつまんなくなったら無理だけど。

闘えアイドルたち。そして、自分。

それはともかく、このツイートはわびさびがあっていいですね。(画像表示されないブラウザの人はすみません)


コラーゲンボーイズ【通常盤】

コラーゲンボーイズ【通常盤】

Summer Dream

Summer Dream

SEVEN DAYS(初回限定盤)

SEVEN DAYS(初回限定盤)