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ホンのつまみぐい

いろんなもののファンをやっている人が、日々のよしなしごとを綴っています。

明日の校庭カメラガールが世界で一番

本来のヒップホップとまったく違う文脈でアイドルラップが好きだ。すごく好きだ。 

昔はラップにはリズムのある早口言葉くらいのイメージしかなかったし、舌にピアスを入れてる人たちがやるもんだと思ってた。ちなみに「今夜はブギー・バック」は好きだったが、それがラップに分類されることも知らなかった。
 
そんな程度なので、ラップを通して歌われるものは基本自分には関係ないと思っていた。
 
しかし、アイドルを聴くようになってそのイメージが覆る。
 
たとえば、アイドルグループとしては比較的年齢の高いlyricalSchool。彼女たちが歌うのは、大学生くらいの女の子の恋の歌だ。
 
今夜恋愛ごっこしない?
もう彼女でいいんじゃない?
 
わたしparty
all night long
 
- リボンをきゅっと -
双子のラップユニットMIKA☆RIKAは、仕事中のトホホを歌にする。(しかし、彼女たちの歌で個人的に好きなのはホシのフルマチなのだが)
仕事したくないよ
仕事忘れたいよ
 
- FUNKY OL ~仕事したくないよ~ -
また、プロデューサーが変わってから路線変更してしまったが、かつてのライムベリーの「何者かになる前」の女の子の全能感と不安を綴った歌詞は本当に素晴らしかった。
 
大人は子どもに戻りたがってる
子どもは大人になりたがってる
境界線の上に今あたしは立ってる
未来はいつ?
んーきっと 明日か明後日
 
- lch liebe dich -
他にも、四股をかけられた女の子たちや、お弁当についての歌を持つうどん兄弟や、突然死んでしまった中学生が自分のお葬式を見守る歌を歌う963(くるみ)など、さまざまな事柄や感情が歌になっている。
 
いろんな歌詞があるということ自体は今のアイドル界では珍しくもないが、アイドルラップの魅力はそれがポエトリーリーディングっぽくなるところだ。
 
特に、ライブハウスでダウナーなラップをやられるとアイドルに秘密を告白されてるような気分になってめっちゃいい。若者のある一瞬にだけ存在する切なさと哀しさ。それがリズムと音に乗って届けられるのだ。
 
もちろん、ラップっぽくイケイケというか、攻撃的な歌い方をする場合もあって、それはそれでかっこよくて痛快ですごくいい。
 
ラップは言葉に依る文化なので、どのグループもわりと日本語で遊んでくれるのも楽しい。
 
ライムベリーの
EAST SIDE WEST SIDE 遠征 あとWEB SITE
雑誌にも掲載 書かせてね サイン
 
- IDOL ILLMATIC -
とか、最高に好き。
 
以前の私が漠然とイメージしていたヒップホップとは、また違った豊かさがアイドルラップの世界には存在するのだ。
 
前置きが長くなったが、本題はそんなアイドルラップ界に現れた強靭なグループ・校庭カメラガール(以後コウテカ)のことだ。
 
コウテカの歌詞には恋愛を歌った歌詞がとても少ない。では、何について歌っているのかというと、だいたい若者の焦燥についてだ。
いったいいつまでが 充電期間
すり抜ける気がする 幽霊みたく
ミラーボール回る 時空の狭間で
何度も何度も 振り出しに戻る
 
- Lough Ma Fleur -
これからのことはまだわからないよ
私にしかできないことも無いの
逆様で見たものは掻き消されて
鳥になって 独りになって
それでもまた空見つめて
笑う
 
Wedge Sole Eskimo -
ちなみに校庭カメラガールの歌詞はすべて公開されています↓
 
ライブではどこかヒリヒリした歌詞に叩きつけるような歌唱が乗る。そして、その激しい歌い方をしゅがしゅららの萌え声が中和する。アイドルらしいほころびが聴きやすさを演出してくれる。
 
トラックはテクノ要素もあれば、気だるさがジャズっぽい曲もあり。唐突に拙い感じのピアノの音色が入ってエモさを醸したりと、技ありな感じがズルい。激しめのラップパートに対して落ちサビがロマンティックなのも好きだ。バラエティーに富んでいて飽きないし、トラックだけでも、しっかり世界観が出来ている。
 
CDだけで相当楽しめるのだけど、コウテカにガツンとはまった原因はライブだ。
 
コンビニでおやつを買って帰る姿が容易に想像できるような素朴な女の子たちが、ステージでは時に攻撃的に歌いあげる姿が最高にアンバランスだし、かっこいい。
 
コウテカにはましゅりどますてぃという理系大学院生の女の子がいる。
 
彼女はライブでの立ち振る舞いもビジュアルも、いわゆるアイドル的な可愛さの子ではないんだけど、表現者としてとても豊かでたしかな存在感を持ち合わせてる。
 
お姉さんみたいなきりっとした表情も、童子みたいなあどけなさも、殺気すら感じる凛々しさも、ライブ中の彼女は惜しげも無くこちらにさらけ出す。
 
かつて柳澤健は「1985年のクラッシュ・ギャルズ」で、プロレスはただ技を見せるだけではなく、見る人の感情を揺さぶらなくてはいけないと書いていた。同じ文脈で、「プロレスは言葉だ」とも書いた。
 
「アイドル」も言葉だ。多くの言葉で人を揺さぶることのできる人間だけが、本物のライブを作り出せる。
 
しゅりちゃんのパフォーマンスは、人の心を大きく揺さぶって離さない。そのしゅりちゃんが、明日、コウテカを卒業する。
 
学業との両立が難しくなったのが理由とのこと。卒業発表の日に、こんなツイートしていた。
 
 
しゅりちゃんの思う一流がなんだかはわからないのだけど、あなたは本物だから!間違いなく!
 
そして、コウテカ運営はしゅりちゃんの卒業にあたり、ふたつの曲を用意した。
 
Last GlasgowとLost in Sequence。
 
モリーズラスター
ここで歌ったこと覚えるよ
未来が明るくても
 
モリーズラストスタート
ここで歌ったこと覚えててね
私がいなくなっても
 
刻みつけて
 
- Last Glasgow -
という歌詞のLast Glasgow
 
そして、送り出すメンバーのことを綴ったLost in Sequence。
 
空を飛びたいと思ったことある
無邪気な少年の夢みたいでしょ
もっと暖かい場所があるはずで
もっと冷たい風を切り走る
息切らして 今を掴んで

諦めたあの娘の分も走るよ
僕が
 - Lost in Sequence -
いや、これずるいから。泣くから。
 
 
ところで、この曲は落ちサビもメロディアスでいいのだけど
 
願うほど
目が覚めるようで
僕たちは君を笑った
よくありがちな話だった
手放しては 掴んで
かけがえないものだったんだ
 
 
……?!これはオタクの心象??
 
さて置いて、かようにコウテカは心を強く揺さぶる。
 
しゅりちゃんの卒業があるから、しゅりちゃん本人はもちろん、メンバーはみんなステージの上で爆発したかのように輝いている。
 
そんなコウテカのファーストワンマン、明日、18日金曜に迫ってしまった。
 
私はよく、「世界でこの場所が一番楽しいと思わせてくれるライブが観たい」という。
 
たぶん、明日のWOMBはそういう場所になるはずだ。
 
ぜったい当日券たくさん出るから、来て!!
 
 
※そういえば、
 
「ポスカで消した 写真のフチは
切り取られたくなかったから」
 
という歌詞をなんとなく聴いていたのだけど、現場でチェキ撮って、これが落書きチェキのことだってやっと気付いた。やっぱ、現場にいかんとあかんのよ。
 
 f:id:hontuma4262:20151217221352j:image
 
以下、文中に登場したアイドルのMVです。
 


lyrical school / リボンをきゅっと

 

リボンをきゅっと

リボンをきゅっと

 

 


MIKA☆RIKA / FUNKY OL ~仕事したくないよ~

 

FUNKY OL~仕事したくないよ~

FUNKY OL~仕事したくないよ~

 

 


ライムベリー - Ich liebe dich(3MC MIX)(Live 120917)


ライムベリー - IDOL ILLMATIC(MV)

 

IDOL ILLMATIC(初回限定盤)

IDOL ILLMATIC(初回限定盤)

 
HEY!BROTHER

HEY!BROTHER

 

 

 


うどん兄弟 『ラストアルバムvol.1』CM

ラストアルバムvol.1

ラストアルバムvol.1

 

 


963(くるみ)『夢?幻?ドロップス』

www.youtube.com

※後から知りましたが、963の死んでしまった中学生が自分のお葬式を見る歌はぱいなっぷるくらぶという沖縄のデュオの曲のカバーとのこと。

ぱいなっぷるくらぶもいい曲多くて気になりますね!


校庭カメラガール/Wedge Sole Eskimo 【甘噛みモーニングコール】(2015年1月25日)


校庭カメラガール/Last Glasgow【2015.12.13】

 

Ghost Cat

Ghost Cat

Leningrad Loud Girlz

Leningrad Loud Girlz

1985年のクラッシュ・ギャルズ (文春文庫)