あまりにロシアについて知らなすぎると危機感を覚え、3月に発作的にロシア語の体験講座に行って見た。
場所は横浜平和と労働会館。京浜東北線で桜木町→横浜間を行き来する人なら、「平均賃金1500円以上」「原発即時停止」などの垂れ幕と、窓に貼られたロシア語教室の文字を見たことがあるはず。
初めてこの建物を意識したのは大学でロシア語を習っていた20年ほど前だと思う。その頃は日本における「ロシア」と「労働会館」の関係性に、あまりに意識が向いていなかった。
いや、今でも直結してはいない。私の知っているロシアは、共産主義をやめて豊かになろうとしているところだったから。
ついにこの建物に……というちょっぴり興奮した気持ちで扉を開くと、古い建物の入り口にはロシア関連の掲示物だけでなく、労働関連のチラシがたくさん貼られていた。
これまた古いエレベーターに乗って会場に着くと、小学校の教室にあった木のイスと机が用意されていた。イスには手作りのくたびれた座布団。うーん、放課後感。
席についた受講者数名も、講師の二人も女性。女性数名でのんびり第二外国語を受けていた大学生の頃を思い出して、テンションがあがってしまった。講師のお二人は文学や芸術をきっかけにロシア語を学び始めたようで、美術展が大きなきっかけとなった自分はシンパシーを感じた。
授業はアルファベットの読み方から、「これはペンです」レベルの会話まで。
「シトゥエタァ」。旅行に行く時、これは最低限覚えておけと言われた「これは何ですか」。
な、懐かしい……。教室の古びた感じも講師・生徒のどこかマイペースな感じも。
講師の方々は皆ロシアの侵略にショックを受けているけど、それぞれ切り口や語り口が違うのもなんとなく面白かった。
講師のAさんがいろいろロシアの困ったところを挙げたあと、「でも、ロシア人は愛情深い人たちですよ!」と言ったあと、Bさんが「……そうね…。まあ…」と言っていたのが申し訳ないけれどちょっと笑ってしまった。
全体に漂うマイペースな雰囲気がとてもよくて、こういうところも含めて、ロシアに好感を持っていたのだったということを思い出す。ロシアのことをもっと知りたいし、この空間に来たいと思ったが、受講は時間が合わなかった。残念。
建物一階の売店で紅茶を買って帰った。
ロシア語、またいつか習いたい……。