ホンのつまみぐい

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春ねむりワンマンライブ「ぼくを最終兵器にしたのはきみさ」@武蔵野公会堂ホール

自らのホームであるライブハウスを出て、武蔵野公会堂という整頓された会場を選んだ春ねむりのワンマンライブ。

普段はクラシックコンサートや合唱をやっているそうで、会場入り口の柱に、紙に筆で公演情報が書かれていた。

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同年の1月にduesで行われた無料ライブとは違う、高い天井に固定イス。そして、舞台に映し出された『2017年10月26日 (木) 春ねむり ワンマンライブ「ぼくを最終兵器にしたのはきみさ」』の文字。

ライブの前に彼女が主題歌「kick in the world」を提供した短編映画「; the eternal /spring」が流れる。バンドを始めるけれどうまくいかない女の子の日々を描いたものだったけど、あまりひっかかりのない内容だった。

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映画が終わり、春ねむりによるナレーション。さらにノイズ音が流れ、しばらくするとワンピース姿の春ねむりが姿を現した。

最初の曲は舞台に用意されたひな壇に上がり、スタンドマイクを前にしてのライブ。改めて、細い声なのに強い!そして、VJが美しい。

ワンマンでもVJが用意されていたけど、2DKの部屋くらいのduesではなく、映画館のスクリーンくらいの大きな背景に映し出されたVJは、世界観をがっちり補強している。

舞台の上は春ねむりとVJだけの世界で、それはファンのかけ声や熱気と同期させていくライブハウスでのライブとはまったく別のものだ。客を頼らず、1人だけで世界を完成させていく覚悟のようなものを感じた。

細くて揺れのある、だけど油断のない歌声が客席に響いていく。

 

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ポエトリーリーディングに近いけれど、もう少し色鮮やかなステージ。時折花びらを巻く姿が美しい。

この日は中盤に挟まったカバー曲「バーモント・キッス」(相対性理論)と「世界征服やめた」(不可思議/wonderboy)が、彼女自身の曲とは違う空気もう少し遊びのある音で、よい緩急になっていた。

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特に「世界征服やめた」での伸びやかな歌声はそれまでの彼女のイメージと違ったふんわりした聴き心地の良さがあった。

改めて大きなホールで聴くと、春ねむりの作る曲は多彩だ。ロック色の強いバンドアレンジのものもあれば、ビートの存在感が強いアンビエントな曲もある。

その多彩さはキャッチャーさと対極にあるし、時折挟まる激しいMCも含めて、人を選ぶだろうなと思う。

でも、MCで「最終兵器になりたいと思って作った『ぼくは最終兵器』ですが、この1年でああ、最終兵器になってしまったんだなと思えたときがあった」という、その覚悟が美しくて、それに見合うだけの存在になろうとする鋭さがかっこよくて、ついつい目が離せない。

最後は絞り出すような激しいシャウトの「kick in the world」から新曲披露で終わった。ライブというより、音楽を介して春ねむりが心の中に作る宇宙を再現するためのインスタレーションのようだった。

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春ねむりはライブ中によく「皆さんを救いたい」というようなことを叫ぶけど、正直に言うと私はライブに救いを求めていないので、ちょっと申し訳ない気分になることがある。

それでも、彼女のライブに足を運んでしまうのはその真摯さと力強さを確認したいからなのだろうと思う。

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netmover.jp

2017年よく聴いたやつ(年間ベストとかじゃないです)

年間ベストの季節ですね。

回りの人がどんどんお祭りに参加してるので「自分なら……」と思っていろいろ思い浮かべてみたのですが、あまりに面白みがなくてちょっと自分でひいてしまってですね。

何が面白くないかって、音楽聴く力が低い人のセレクトなんですよね。

あの、私は「読めないマンガ」がないんですよ。好き嫌いはいっぱいあるし、苦手な作品ももちろんあるのですが、「読めない」ことはない。

雑誌で例えれば、ジャンプからガロ(今はアックスですが)。あるいはりぼんからエロティクスFゴラクからエース。どの分野も読めって言われれば読めるし、好きじゃなくても「魅力がある」「力がある」はわかる。

積極的にではないけれど戦前のマンガも海外マンガも読んだし、コミケコミティアで同人誌も買ってました。pixivも見るし。とはいえ、すべて最近は全然ですが。

※こんな感じ→私のマンガベスト10+100 - ホンのつまみぐい

あと、本屋で働いてたのもあって、自分が好きじゃないものでも、楽しみにしている読み手がたくさんいるってのがわかる。

だけど、音楽って「自分にとってどこかしらなじみがあるもの」以外はまず「聴けてない」んですよね。もちろん流してはいるけど、好き嫌い以前に全然つかめてない。

今の私の聴き方だと、マンガに例えればアフタヌーンとビームしか読まないで生きてきた人が今年1年について語るみたいな感じになっちゃう。だから、何が2017ベストかという判断なんてとてもじゃないけどできないなーって。

まあ、ただ「よく聴いた」でくくれば10年後の自分が読んだときに楽しいだろうと思い、書き記してみました。旧譜と新譜半々くらいです。

個人的には2017年半ばからApple musicを導入するようになって、聴きたい曲を即インストールして、通勤で聴けるようになったのが2017年の大きな変化です。(だから通勤で気持ちよく聴けるやつが多い……)

さっき上げたようにジャッジ放棄してるんで、選ぶにあたって時代性への目配りとか、新星へのエールとか、あるいは実験精神への評価とか、シーンへの貢献に対する好意などは一切ありません。

でも、全部どっか似てるので、あれが好きな人はこれも好きというのはあるかも。あと、ライブで「こういう曲だったのか」と発見することも多いので、ライブを観たことある演者が強いです。

 

BELLRING少女ハート 「UNDO THE UNION」

UNDO THE UNION

UNDO THE UNION

 

今さらこれか感はあるのですが、何枚もアイドルのアルバムをiphoneに入れて、容量の関係で削減というのを繰り返した後にいつまでも残っている一枚。
時に童謡を喚起させる不安定な女の子たちの声に、アヴァンギャルドな音調。ロックアイドルはあまり聴かなくなってしまいましたが、ベルハーは1曲ごと、東欧のサーカス映画、60年代のアングラ演劇、女子高生を主人公にした古いSFドラマなど、さまざまな世界が喚起されていくら聴いても飽きません。

歌詞も印象的なフレーズがありすぎてきりがないけど、全然知らない人向けに一個伝えるならこれかな。

あのタンジェリン かじりついて 爆ぜるアシッドな香り
そうタンジェリン かじりついて 味わってみるの
おとなってさぁ あきらめるじゃん 寝転んだ目して笑う
赤ちゃんってさぁ 手を伸ばすじゃん すべてに触れたい

メンバーのささやき声をサンプリングした曲に歌唱を乗せる「男の子 女の子」とかも変態的なのに静謐な美しさがあって好き。

ベルハーのライブ映像で好きなやつ。このアルバム収録でない曲が多いですが。

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TEAM MII 「TEAM MII 全曲集」

TEAM MII 全曲集

TEAM MII 全曲集

 

3776じゃなくてTEAM MIIなのは、群像劇っぽいパートが面白いのと、井出ちよのちゃんの芯のある歌い方に比べるとこっちの方がはるかにヨレヨレした歌唱だからです……。歌詞も気持ち悪いです。

雑にまとめちゃうとニューウェイブらしいんですが、TEAM MIIは子どもたちの声もあわせてNHKのSFアニメに使われてそうな音ですよね。いや、そうでもないか……。でも、1曲ごとに短編映画みたいなインパクトがあるところはベルハーと共通する部分があるかも。

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校庭カメラガールツヴァイ 「Dis dear month of August」(会場限定)

Dis dear month of August

Dis dear month of August

 

ヒップホップいろいろ聴くようになったらアイドルラップ聴けなくなるかなと思ったけど、やっぱりコウテカ好きでした。

過去2回のちゃんとしたワンマンが冬だったこともあって、コウテカは寒い季節が似合うイメージが強いのですが、夏を前面に押し出したこのEPは気持ちを明るくしてくれる曲が多くて、3枚のアルバムと違った心地よさがあります。


【MV】"Dis dear month of August" Trailer / 校庭カメラガールツヴァイ


あめとかんむり「nou」

nou

nou

 

 「おれたちのtapestokともるももるがやってくれたぞー!!」。

アイドル色の強い「This is ido rap e.p.」ではどこか自信なさげに歌っていたもるちゃんが、その魔女っぽいたたずまいや声を最大限に活かしたロウハウス×ラップの名盤。

気だるげな声と振動が染みこんでくるような音の重なりが気持ちよくてリピートできます。

なんて書いてますが、ハウスという音楽をあめとかんむりで初めてちゃんと意識しました。でも、クラブミュージックなのにパリピやらなくていい、ほっといてくれる心地よさのあるハウス好き!


lie night / あめとかんむり

 

tofubeats「FANTASY CLUB」 

FANTASY CLUB

FANTASY CLUB

 

 tofubeatsやさしい!あたまいい!好き!

「美しいけど 終わりがあるストーリー」
「頭使っててもまだ間違う」
「Lonely nights, 二人でもlonely nights」
「もう良し悪しとかわからないな」
「何がリアルで 何がリアルじゃないか そんなことだけで面白いか」

とか、どれも平易な言葉なのに、音との組み合わせによって心の中の普遍的な部分を叩いてくる。その音楽としての正しさが本当にすばらしいですね。耳なじみのいい電子音の中、オートチューンをかけたtofubeatsの声が独特の生々しさを持って聞こえてくるという不思議なギャップもいいです。


tofubeats - LONELY NIGHTS

 

環ROY「なぎ」

なぎ

なぎ

 

 イルカがキューキュー鳴いてる1曲目が聴きたくて再生して、最後まで延々と聴いてしまう1枚。歌詞はあんまり耳に残らないのですが、声と音がとにかくいい。

志人まで行っちゃうと芸術に閉じこもってる感じがしてしまうのですが、「なぎ」は表現を突きつめているのにスッと耳になじんでくる作りで、いわゆるポップスとはまったく違った方向からの普遍性の追求への意志を感じます。


環ROY / はらり

 

サイプレス上野とロベルト吉野 「TiCTAC」

TIC TAC

TIC TAC

 

ヨコハマシカ feat. OZROSAURUS→マイク中毒 pt.3 逆feat. STERUSS→DOORの流れが好きすぎてめちゃくちゃ聴きました。

弱音と強がりを隠さず自分の道程を確かめながら歌われる現在進行形の自己肯定。

crime6の「言葉通り生きられないけれど、言葉に近づくよう生きなさいでしょう?」(マイク中毒)とか、サイプレス上野の「あの頃のSOUNDから今このSOUND 疎らなフロアを燃やしてきた その飛び火が燃え盛るZE」(DOOR)とかの素朴な言葉はもちろん、ヨコハマシカでのMACCHOの叙事詩的な言葉選びも圧巻です。

言葉のことばかり書いてしまったけど、3曲ともどこか寂寥感がありながら軽さを失なってない曲で好き!

全体に焦燥感と疾走感がストレートに反映されていて、勇気づけられるアルバムなので全30代に聴いてほしい。

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STERUSS 「白い三日月」

白い三日月

白い三日月

 

 円鋭の方が世界観的にも音楽的にも円熟した内容だと思うのですが、iphoneのシャッフルで流れてきてテンションあがる確率の高さでこっちに。
歌詞がいちいち意味わからなすぎて、耳に入るとうぉーってなるんですよね……。
「夢で俺にあったら俺を殺す 殺しては生まれるブラックホ~~~ル!!!」
「なんじゃそりゃーー!」
いや、めっちゃ好きです。
あと、KAZZ-Kの曲に通底するちょっとしたそっけなさが好きです。甘くないのに人の声が乗るとエモくなる、そのバランスがすばらしい。

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ゆるふわギャング 「Mars Ice House」 

Mars Ice House

Mars Ice House

 

 享楽的で刹那的で、明らかに若者のための音楽なのにどこか懐かしい感じがするのはスーパーカーリスペクトだからか……。ゆるふわはライブがめちゃくちゃよかったので否応無しに印象に残りました。あと、「ビジネスがなんだ 全員死ね」最高。もう一度ライブで言いたい。

でも、この2人って私みたいなサブカル中年より、「彼らの音楽を自分の一部として聴いている人」の言葉を待ちたい気もするんですよね。

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WONK 「Castor」「Polluk」

Castor

Castor

 
Pollux

Pollux

 

ストレートにおしゃれ!な曲とちょっと変わったことやってみたザクッとした曲が同居しててどっちも聴かせるのがずるい。セロニアス・モンクのMONKをひっくり返してWONKというのもずるい。早く現場行って「見たよ」マウンティングしたいです。

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NETWORKS 「Dynamic Nature」

Dynamic Nature

Dynamic Nature

 

11月末に知ったので今年よく聴いたも何もないんですけど、寒い日の朝、自転車に乗りながら聴くと主人公感ハンパないのでみんな真似してくれー!って気持ちで入れました(事故らない程度に)。緊張感の強い演奏のミニマルバンドなんですけど、音の中に熱さとかわいらしさが同居していて聴いているとニコニコしてしまいます。

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……並べて思ったんですけど、私は「寂しそうな音楽が好き」なんですね。PUNPPEすごかったのに入らなかったのは寂しさ成分が足りなかったんだな……。あと、ケンカ弱そうな人が作ってる音楽ばっかっすね。

年間ベストって次世代にその価値や記憶を引き継ぐ役目もあると思うので、まだそこには参加できないなと改めて思いました。

(だから、ただ曲名が書いてあるだけのベストってどうなんって思うんですが……。)

あと、SALU全般とか、あっこゴリラのEPとか、ライムベリーの「ちょっとやってみただけ」とか、BADHOPの「これ以外」とか、E TICKET PRODUCTIONの「ILLNINAL」とか、個別に記憶に残る曲いっぱいありました。

ラップもアイドルももっとちゃんと聴きこめば魅力がわかったものたくさんあるんだろうな。

あ、KIMODORIとかstillichimiyaの「死んだらどうなる」とかもかなり聴いてたけど、もう4000字くらいあるからいいか……。

番外ですが、2017年一番応援してた人たちの曲。客観的に見ると拙いのかもしれませんが、どっちもイイキョクです!

 

もつ酢飯「もつ酢飯のテーマ」

soundcloud.com

YABO$HIKI-1「OTK HUSTLER feat. Jabvara,DocManju」

t.co

来年はもっと聴ける音楽増やしたいですね。では。

P.S あ、これ読んで「じゃあ、これも好きだと思う」みたいのあれば教えてほしいです。

最近のtapestok現場のことちょこちょこ

あめとかんむり タワーレコード横浜店 2017/12/19


夜向けの音というイメージですが、まっ黄色の背景のタワヨコでも楽しく聴けました。やっぱり音がいいと楽しいですね。タワヨコは屋外に出る扉の近くにイベントスペースを作るためか、リリイベとしては音がでかいのです。MC中、もるちゃんがしゃべろうとするも、舌がうまく回らないのを見てすぐ曲を始めてしまうJasさん……。

終わってからオタの人たちと中華街の景徳鎮で四川麻婆豆腐を久々にゲホゲホ言いながら食べました。つらかった……。四川風麻婆はある種のアトラクション。でも、おいしいから食べちゃうけど。

 

あめとかんむり ヴィレッジヴァンガード渋谷本店 2017/12/7

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愛まどんなの描いたグラフティの白々しい明るさがとてつもなく若い女の子っぽいステージ。しかし、あめかんのリリイベ客はほぼ中年(もちろん自分含む)。

横浜に比べるとけっこう人が集まっていて、もるちゃんも嬉しそうでした。

曲がコウテカみたいな暴れ倒す曲じゃないから、間奏の部分でのリアクションをもてあましてるようなところがあって、目をつむって見たり、造花を振ってみたり、いろいろ模索中のよう。

しかしオンリーワンであり、最高であることは間違いないので今後もライブに立つのは続けてほしい。

途中で誰かに大きく手を振っていて、視線の先を見ると小さな女の子が走って行ったので、ファンの誰かかと思ったらののるるれめるちゃんだったとか。気が付かなかったの無念。

 

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nou

nou

 

 

校庭カメラガールドライ "SPBD" At.渋谷LOUNGE NEO 2017/12/20

 

はっぴーくるくるの途中から参加。

ちなみにLOUNGE NEO初。古び方に色気がなくて、演劇部の備品が積んである古い体育館舞台袖って感じでちょっと寂しい。

さっぴーはろうぃん生誕祭ということで、衣装ではなくおのおの結婚式で着るようなサテン素材のワンピースで登場。さっぴーはろうぃんちゃんときゃちまいはーちゃんの2人は髪もアップにしてました。さぴちゃんだけ真っ白なワンピでキュート。

若干暗黒舞踏的な動きのさっぴーちゃんと、歌い上げても声がぶれない歌唱力のきゃちちゃん。二人とも、もうそれぞれの表現の型や安定感も出てきてる。ただ、どこか物足りない。曲が強いから客がすぐあがっちゃうのがあんまりよくないような……。

「星になるの」というイントロが印象的な、新しい3人の声を活かした新曲も、さすがのプロデュースっぷりで力のある曲なんだけど。

反省会でちょっと話したことあるんですけど、tapestokって演者がいなくても音楽として完結しちゃうとこあるんですよね。そこを演者が追い越していかないと面白くならないかなって。

生誕用にバカでっかいクマのぬいぐるみや風船やサイリウムが用意されていて、「こんなに大勢の人に祝ってもらったことない!」とさっぴーちゃんが叫んでいて、それはほほえましく見てました。

 

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ヒップホップ興味ない友人とサ上とロ吉のライブを観た「NISSAN GALLERY Christmas Live_2」@日産グローバル本社ギャラリー

珍しく冬の無銭イベント。

ドルオタなので「無銭には人を連れていかなくては」という謎の義務感を発し、横浜住みの友人を呼んで日産ギャラリーへ。東京の人は横浜まで来てくれないからなー。

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普段は車のプレゼンをしているような会場で、ステージ正面にイスがあってちょっとビビりました。友人は「音楽をあえて聴きにいく」タイプの人ではないので、どうなるかちょっと心配しながら着席。しかし、ほんとは立って観たかった。

18時開始のライブでしたが、最初にFMYOKOHAMAの人からのあいさつ、日産の人からの車およびギャラリーの紹介があって「ぶっかます」からスタート。

客がライブ慣れしておらず遠慮がちだったのを察してか、いったん音を止めて、「今こいつが何やってるかわかりますか?レコードコスってますよ」というMCからスクラッチにあわせてアオリ。「上の人も!」「2階の人も!」で、やっと場が温まってきてからの「まさか日産の総本山でライブやることになるとは思ってなかった」というMCに、「おれたちこんな番組やってました」からのbaydream、WONDERWHEELだったかな。日産の人に「携帯しまえ」って言われてメモ取れなかったから記憶があいまいだ……。

そのあとの童謡スクラッチからのDJルーティーン(レコードを差し替えて投げ捨てた後に、激しめのジャグリングに目隠しでのスクラッチが入るやつ)がめっちゃウケてました。

正面に座ってた5歳くらいの男の子がいちいち合いの手を入れてて、それに「お前いいやつだな」とか笑いながら答えるサイプレス上野の姿がハートフル。

「ドリームハイツはここから歩いて7時間」「ラジオの収録の後にスカイスパから日産のギャラリーをよく見てた」とか地元ネタ多めのMCでした。

あと、物販のPRもあってサイプレス上野がちんぽTシャツ着てたんですが、「日産でちんぽとか言っちゃってね」とか喜んでてしょうもなかった。

最後はメリゴ、上サインからヒップホップ体操第二、ドリームアンセムで〆。(たしか)

お子さん連れが何組かいたから、

誰かの子供が俺の歌口ずさむなんて
やっぱ不思議だな

が説得力あってよかった。

後に食事の予約を入れていたのですぐ退散。しかし、日産ギャラリーのスピーカーちょっとびっくりするほど音がよくて資本の違いを感じました。

帰り道に友人と「かっこつけてないヒップホップって感じでよかった」とか「あのDJの人すごいよね?」とかいう話ができてよかった。手拍子もコールも楽しんでやってくれてほっとしました。

今のルーティーン「ちょっと大道芸人寄りすぎるな」って思っちゃって、あんまりクラブとかライブハウスでは観たくないんですが、こういうところだとやっぱ楽しんでもらえるな……。

実際、コーレス入れやすい曲から入って、スクラッチ、レコードの差し替えからのフリースタイルに、ハンドサインの説明ってやってくれると後で「ヒップホップってどういうことをやる文化なのか」を説明しやすい。

MAZAI RECORDSメンバーの話もしながら、「ヒップホップってものすごくくだらないことや、身近なことを歌にしていいんだよ」っていうのを伝えられたのはほんとよかったです。(でも、もっとMC少なめで曲がっつりやってほしい気持ちはやっぱりある……)

あと、ラジオリスナーというコミュニティがあって、ラジオが開催するイベントにまめに参加している人というのもいるというのが発見でした。まあ、でもそりゃそうよね。

ところで、最後に日産のPRも兼ねたMCで、車の話をふられた時に「さっき楽屋で箱根のいい話教えてくれたじゃないですか」という振りから、サイプレス上野が「え?!ああ、箱根で星がきれいだったっていう?」って返事をしていた時に、私は↓の話を思い出していたんですが、

サ上「そういう奇行ばっかりしてた。箱根に吉野の車で行ったときも、ガラスはバリバリに割れてる、車体にはスプレーで落書きだらけって状態で。その車でドリフトとかで有名な峠を走ってたんだけど、車が異様すぎて誰も抜かないという。走り屋も怯える電波系の車(笑)」
ロ吉「みんな車好きだから『あの車はヤバイ』って分かったんでしょうね」

これと併せて江の島の話を帰り道に友人に話したら苦笑いされました。

サ上「みんなで遊んでて、吉野の車で江ノ島に行ったんですよ。それで防波堤から海を見てたら、誰かが『吉野、お前なら飛び込めんじゃねえか?』って煽り出して」
ロ吉「上野君の声だったと思いますよ」
サ上「そしたら吉野がいきなり脱ぎだして、急に飛び込んだんですよ。そしたらしばらく上がってこないから『ああ、これは死んだな……』と思ってたら、いきなり浮かんできて『寒みい!死ぬ!』って言いながら犬かきしてて。それ見て爆笑してたんだけど、それでやっと上がって来た吉野の体に夜光虫がついてて、それが光って綺麗だったという話で(笑)」
ロ吉「プー太郎でなにもしてなかったんで、なんかしたかったんでしょうね」
サ上「それで、ガクガク震えてる吉野に自販機で買ってきた暖かいお茶かけたら、急激な温度差で『熱ちい!』って悶えたり」

サイプレス上野とロベルト吉野|INTERVIEW[インタビュー]|Amebreak[アメブレイク]


プランクトンついて光ってるってめっちゃいい画じゃん?!(本気)」
「……(苦笑)。そういうやんちゃな人たちってことね」

 

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ふたりの間に流れる時間を祝福したくなった/ゆるふわギャング Mars Ice House Release Party@www

2017年に行った現場のことを今年中に記録していこうと思います。

感情がふくれあがった現場って、筆の上でうまく制御できなくって結局書けないということがけっこうあるんですが、だからって記録できないままなのももったいないので、年間振り返るノリで書いていこうかなと。

ゆるふわギャング Mars Ice House Release Party

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音楽大好きシロさんが彼らのアルバムのことをシネマティックと表現していましたが、まさに。

見た目のクリーチャーっぽさや恋人同士という関係性もなんですが、歌詞が描く情景とか感情の厚みが何より物語を喚起させますよね。

ワンマンライブはWWWに白い布を四方から引っ張り、木の幹のようにも、円筒形のゲートのようにも見える舞台装置を用意。ステージの上にはレンガの映像が投射されていて、よりゲートっぽく見えました。

もともと映画館だったWWWは会場が壁に沿って3段になっていて、どこからでもステージがよく見えるようになっているのですが、私含めてサブカル中年や文化系オタクは3段目あたりに固まっていたように思います。

DJタイムが終わって、改めて箱で聴く曲の印象は「アニソンっぽい!」でした。壮大になりきらないけど「物語がはじまるぞ」って気持ちになる音。チープさも含めてちょっと前のゲーム音楽っぽいですよね。スクリーンに映る映像はグロテスクな巨大な目や、空、水中、運転席からの目線らしき地方の道路の風景。

Sophieeは黒ビキニにパンツで、Ryugo Ishidaは中央に☆マークを入れた黒Tシャツ。

Sophieeはあらかじめどうふるまうかを知っているような、しなやかでふてぶてしい動き。髪をかきあげるしぐさ、腰を振って客を挑発する様子、肩をすぼめてマイクスタンドをなでるしぐさのなめらかさ。どれもディーヴァ感がビッチ感を上回っているから品がいい。

比べてRyugoの童子性。校庭の隅で所在無く立ち尽くしている姿が想像できるようなふらふらした雰囲気。その頼りない感じのリューゴのシャウトに、客がワーッと沸く様子が本当にかっこよかったです。

「これじゃもういけない / ぶっ壊しな / Escape To The Paradaise」

そして、最後の「大丈夫」で泣き出すRyugo。

夜空を見上げてる

こんな田舎の町で

大丈夫 車の中

響く 車の中

大丈夫

CDは聴いていたけど、こんなにやさしくていい歌だったんだと思いながら聴いていると、Ryugoを抱き寄せるSophieeまで泣き出して、二人の時間に流れるけだるさが愛おしいSunsetで終了。

もう夕方 なんもできないまんま

気づけば夕方 このまんま

旅を想起させるような壮大さと、流れる感情の素朴さに改めて気づかされる、とにかく二人のことを祝福したくなるような、強烈だけど暖かい時間でした。何より、アルバムもう一回聴きたくなる!

ツイッターで「二人の今までの物語を全部知ったような気持ちになって、友達になったような気持ちになった」というような言葉を見たけど共感できます。

あと、Ryugoと同郷の佐藤雄一さんが、終わった後に興奮した様子でもつれた日本語でしゃべり倒してたのがなんかめちゃくちゃよくて感動しました。

でも、「佐藤さんそんなに感動してるんだー尊いなー」って思ったけど、興奮するといつもあんな感じっぽいのを後で知ってチッてなりました。そういえば、このときからElle Teresaの話してたなあ。

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Mars Ice House

Mars Ice House

 

 このレポめっちゃいいです。

fnmnl.tv

アイドルラッパーいちの巻き込み力を持ったMCMIRIの現在地/RHYMEBERRYセカンドアルバム「SERIES 1」リリースイベント

1年ちょっと前に「MIRIちゃん、かっこいいよね。アイドルだってことにプライド持ってるけど、それに甘えないでバトルに出てて」という話を、フリースタイルダンジョンがきっかけでラップにのめりこむようになった女の子ラッパーたちから直接聞いた時は、ちょっと不思議な気分になった。

私にとってのMCMIRIは、新宿BLAZEのステージでファンからもらった大きなおもちゃの剣をいたずらな表情で振り回していた女の子であり、ライムベリーが分裂した後は、メンバー再編を繰り返しながら、どこかピリピリした表情のままでステージに立ち続けている女の子だったからだ。

MCバトルで勝ち上がらなければ、彼女たちがMIRIちゃんを知ることはなかったはずだ。興味の無かったはずのバトルを通し、アイドルシーンではなくヒップホップシーンの人間と関わるようになった彼女の姿は、周囲からは少年マンガのキャラクターのように見えるのかもしれない。

RHYMEBERRYセカンドアルバム発売は11月15日。プロデュースはP.O.P。

アイドル×ポップス×ラップの新しい正解を打ち出した「TOKYOチューインガム」やミクスチャーロック曲「ちょっとやってみただけ」はもちろん、新録された曲も、より質の高い仕上がりになっている。

 

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P.O.PとRHYMEBERRYの関わりのきっかけはよく知らない。ただ、これまでの「ヒップホップっぽいことをやってみた」曲と違い、彼らのプロデュースした曲は、どれも「ドラムと韻の組み合わせの面白さがラップミュージックの音楽的快楽である」という原則に則った上で、メンバーの個性を活かした曲になっている。

MCYUIKAちゃんの加入により、タイトなラップでの制作が出来るようになったことも大きいのだろう。

地下の対バンにはなかなか足が向かないけれど、リリイベのアナウンスを見て渋谷マルイへ行ってみた。

渋谷マルイの8階は、グッズ売り場の奥に小さな台とスピーカーが置いてあるだけの殺風景な場所だ。

左手の入り口から台の上に集まり、円陣を作ってライブを始める3人。

会場都合でジャンプ禁止ということで、盛り上がり損ねているような客を見て「怒られたら謝りましょう!ジャンプはダメですが、ダンスは禁止されていません!」というMIRIちゃん。

直接ライブを見るのはamiinaの対バン以来なので、ちょっとした振り付けが入っていることや、当時よりMIRIちゃんが穏やかで大人っぽくなっていることなどをいちいち新鮮に受け取っていた。

MCでは「アルバム制作前まで、RHYMEBERRYほ~~んとまとまってなくってね!」と正直に吐露するMIRIちゃん。

あー、そうそう思い出した。この子は思ったことを言っちゃう子だった。

そして「今まではCDを渡してもアイドルだからってなめられちゃうんじゃないかって心配になっていたけど、今回のアルバムは自信を持ってこれが今のRHYMEBERRYです!と渡せるものになっていると思います」と続ける。

それに同調するように、それぞれの思いを語るOMOCHIちゃんとYUIKAちゃん。それぞれのMCから、今回のアルバムと今のRHYMEBERRYに誇りを持っていることが感じられてほっとした。

9月にミュージックステーション出場を賭けたオーディション番組に応募。予選を勝ち進むも、MISAKIちゃんの急な卒業に見舞われた。オーディション本選では最後の2組に残ったものの、本当に、あと一歩のところで出場を逃すという、まさに一進一退の状況を繰り返していた。

それでも、そのオーディションで古坂大魔王に気に入られ、ラジオ番組に出場させてもらったり、MVを紹介してもらったりと、少しずつだけれど彼女たちに巻き込まれる人を増やしている。

そう、MIRIちゃんには人を巻き込む力、引きつける力がある。

MCバトルの稽古をつけてくれたハハノシキュウ。「TOKYOチューインガム」の制作から関わりはじめ、アルバムを全面プロデュースしてくれたP.O.P。彼女がもっとずっと荒れていた時に、励ましてくれたせのしすたぁやGOMESS。

そのほか、私が知らないだけできっと沢山の人に慕われているのだろう。リリースパーティーのメンツを見てもそれがよくわかる。

アルバムにはMIRIちゃんの作詞曲もいくつか入っていて、中に普段の強気な彼女と違う面をのぞかせるものもある。

少女漫画みたくうまくいかないなんてことはわかってる
でも私も主人公みたく happy end でおわりたいよ!

私は今のRHYMEBERRYの運営を肯定できないし、MIRIちゃんにもハッピーエンドに必要なものは何か、何度でも考え直してほしいと思っている。だけど、彼女がこれまでの道のりで得てきたものは、ちゃんと本物だ。

 

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SERIES 1(通常盤)

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SERIES 1(初回限定盤)

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