ホンのつまみぐい

誤字脱字・事実誤認遠慮なくご指摘ください。

「絶対必要だろ」と思いながらオフィスチェアをあきらめて、「骨盤サポートチェア」を買ったらすごくよかったという話

 4月から在宅勤務の日が増えました。

 自宅に長時間のPC作業に耐えうるイスがないため、当初は机にバランスボールで仕事していましたが、高さが合わないためもあり、安心して作業できませんでした。

 仕方なく、いったん家にある踏み台用の籐椅子に切り替えたのですが、さすがに尻が痛くなりすぎるし、姿勢の悪さをカバーしてくれる背もたれもひじおきもないので、無理やり足を組んだり机にもたれかかったりと最悪の状態になってました。

 しっかりした姿勢を保つには腹筋・背筋と筋肉の柔軟性が必要です。筋肉がないと体を支えられません。ジムに行けなくなってからは腹筋・背筋がどんどん削れていくのがわかり、姿勢の悪さも加速。内臓にも負担をかけているんじゃないかと不安になる日々でした。

 しょうがないのでオフィスチェアを買おうとしましたが、「いいオフィスチェア」を手に入れるには3~5万円必要らしい。

 それくらいの出費は仕方ないとも思いつつ、「実際に自分がふれたことのないもの」を買うことに大きな抵抗がありました。

 ほぼ毎日使うもので、体に触れるもの。しかも、それなりの値段のするものを実際に身体にあてないで買う。3万円出して大したことなくて、「うわー、あと2万円出しておけばよかった!」と思うのはちょっと嫌だな。10万くらい出したら確実にアタリは引けるだろうけど、そこまで思い切れない……。

 こういうものは高ければ高いほど性能がよい。これは間違いない。じゃあ、どこまでなら快適性のためにお金を出せる?という勝負なので。

 「会社のイス、けっこういいやつ使ってたんだな。5万円くらいかなあ。リース品だろうけど……」などと考えておりました。

 しかし、オフィスチェアを試せる施設に行くこともできず、しばらくイスにクッションを置いたりと小手先の処置で対処していたのですが、ターザン愛読者の弟に話したら「サポートチェア」をすすめられました。骨盤サポート、仙骨サポートとも言うらしい。

 イスに乗せて座ると、正しい姿勢で座れるそう。うーん、どうなんだろうと思いつつ近所の商業施設に行くと、なんと見本がありました。

  最初は7000円くらいのものにチャレンジ。おっ、これは……。

 一見普通のクッションに見えますが、おしりの割れ目にあたるところがきゅっと上がっていて、おしりが当たるところは丸くくぼんでいる。

 このくぼみのおかげで尻が痛みません。前にスポーツトレーナーさんが、「姿勢よく座るとき、背筋を伸ばしてというけれど、これは緊張感があって意外とつらい。だから、おしりをイスにおしつけるつもりで座るとよい」と言っていたけど、それがイスの構造のおかげでキープできる感じ。そして、羽のように開いた背もたれが、ちょうど体にぴったりくっつきます。

 この背もたれが「正しい姿勢」を教えてくれて、なおかつもたれかかれるようになっているので、腹筋・背筋が足りなくても背筋が伸ばせるように手助けしてくれます。

  「こ……この気持ちよさが7000円から……???」と驚き、隣にある1万円のものにも座ってみました。

 そしたら、1万円分気持ちよく座れて、さらにその隣の1万5千円に座ったら1万5千円分……という感じにどんどん気持ちよくなっていったのでした。

 最終的にお店にあったものの中では一番高い1万5千円くらいのものを買いました。デザインがメカっぽいのでちょっとイヤだったのですが、一番座り心地がよかったので仕方がない。↓これです。

  で、これをうちにあった籐椅子と掛け合わせたところ、「これは会社のイスよりいいんじゃないか」って状態で作業ができるようになりました。

 今使っているのは腰骨のところにもでっぱりがあって、これが自然と正しい姿勢を意識させてくれるんですね。足が広げにくくなるので、足を組んだりもしづらくなるのですが、これがとてもいい。足、つい組んじゃいますが、骨盤によくないので。

 そして、おしりのところは長時間の着席に耐えられる柔らかいクッションがついてます。

 いやー、これはいい買い物でした。しかも、持ち歩けるから在宅勤務が終わっても会社に持っていって使うことができます。場所を取らないのもありがたい。

 同様の商品はだいたい上限が3万円くらいまであるようで、3万円台のものはきっと3万円分いいのだと思いますが、とりあえず1万5千円でじゅうぶん快適でした。1万円台は出せないという人もいるでしょうが、7000円でもかなりイケます。

  オフィスチェア購入の必要に迫られているけど、ちょっと手が出ないという人。サポートチェア、かなりいいんじゃないかと思います。

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「性風俗業除外の問題について思うこと」についてコメントを寄せました

 4月にストリップ劇場の営業自粛についての記事を書きました。

nlab.itmedia.co.jp

 

 その頃にすでに「職業差別による性風俗業の支援からの排除」については把握していたのですが、この後、さらに持続化給付金でも不支給とされていると知りました。

 とはいえ、知って何をするでもなかったのですが、「ナイト産業を守ろうの会」という団体にツイッターをフォローされたことをきっかけに、不支給要件撤回の運動に微力ながら関わっています。

 下のアカウントの方と何度かDMでやりとりさせていただき、信頼できる方だと思い、できる範囲で問題の可視化などに協力させていただいています。

https://twitter.com/FU_KEN2020

 

 現在ライターの名義でコメントを寄せています。

blog.livedoor.jp

 私は性風俗業従事者ではないですが、自分の仕事とは関係なく「大多数の国民は性風俗業を悪いものだと思ってるので、税金使うのもったないんでつぶれそうになってても金は配りません!」というロジックで性風俗業を持続化給付金の支給から外しているのが許せません。

 日本国憲法第25条には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」とあります。

 政府は現状に対応し、国民の生活を守る義務があります。

 性風俗業を不支給対象とすることにより、「生活が苦しいため、高い感染リスクを理解しながらも労働しなくてはいけない」人や、「廃業せざるを得ず、金銭的な理由で生きていくのが難しくなる」人が増えるのは目に見えています。

 また、性風俗関連の支援の話をすると、よく「暴力団とつながってるんじゃ?」という人が現れますが、それは警察が暴対法などで対応すべき問題です。しっかりと税金を払い、労働者の保護を目指している健全な事業者を支援から遠ざけるのは、むしろ労働者を搾取する悪質な事業者を延命させる手助けになってしまいます。

 性風俗事業者も国民であるという当たり前のことを、市民も政治家も理解し、対応すべきです。

 

  私はとおりいっぺんの言葉で話してしまいましたが、踊り子の牧瀬茜さんの言葉と、匿名でコメントを寄せている利用者の方の言葉が心に残りました。

 

私はストリップ劇場で踊っています。ストリップ劇場も持続化給付金の不支給要件に入っており、納税しているにも関わらず、自粛に応じたにも関わらず支給を受けられない状況です。この差別はおかしいと思います。ある劇場の方は「これじゃ国民じゃないと言われてるようなものじゃないですか」と話していらっしゃいました。
 また、マスクにはじまった、このコロナウィルスの対策の補償や給付には、職種の他、国籍による差別もあり、それもおかしいと感じています。国がそういう線引きをすることによって、差別や差別意識が社会により広がっていくと思い、やめてほしいです。性風俗産業に携わる一人として、またひとりの市民としてこれらの差別に反対します。

 

blog.livedoor.jp

 

私は精神障害を患っています。

一時期追い詰められていた時期に自死を考え、最後にやってない事をしようと思いソープを利用しました。

私の事情などは伝えていませんでしたが、対応してくれた女性がとても素敵な人で人肌に触れて思い直したことがあります。

私を救ってくれた職業に着いている方、また業種が救済の対象外となっている事にとても憤りを感じています。

職業によって差別されるなど断固としてあってはなりません。

全ての人、全ての業種が救済の対象となるべきだと考えています。

政府には賢明な判断をお願いします。

 

blog.livedoor.jp

 

 このほかに、署名活動にも協力させていただきました。

 

note.com

 

 こちらの署名は本名・住所が必要で、しかも手書き必須(複製による水増し防止のためと思われる)のため、親兄弟に協力を仰いだほか、SNSでも「名前と住所を教えていただければ私が署名を郵送します」と呼びかけました。

 結果、6名の方のお名前を、SNS経由であずかりました。連絡してくれたのは皆、私と直接あったことのある人でしたが、一度会ったきりなのに、ご家族に呼びかけて3名のお名前を預けてくださった方もおり、本当にありがたく思いました。

 ちなみに、こうした「SNSを通して名前を預かる」という署名の集め方は、シュン太郎さんという方のツイートに触発されたものです。彼女が別件で補償についての陳情書を作成する際に、ツイッター経由で名前を預かり、署名用紙に記入していたことにならいました。

 こうした姿勢を目にしていたことにより、署名数を増やすことができたこと、大変感謝しています。このような政治のための行動がプラスに伝播していくといいなと思います。今回呼びかけの内実をブログに記録したのも、自分の行動が誰かの参考になればと思ってのことです。

 ところで、この件で名前を預けてくださった方はすべて女性でした。また、「署名は大変かもしれないので、せめてRTしてほしい」ともSNSで呼びかけましたが、ストリップのお客さんの反応はびっくりするくらい少なかったです。

 私が女なので署名を預けるのは気が引けたという事情はあるかもしれませんし、ネット上で反応はしなくとも何かの対応はしていたという人もいるでしょうが、正直なところ、普段からストリップの芸能としてのすばらしさや、サードプレイスとしての価値を語る人々が、こうした活動に目を向けないことに疑問を感じました。

 それぞれの関わり方があるとは思いますが、今ストリップに必要なのは一体何なのか、お客さんそれぞれにもっと多角的な視線で考えてほしいと思います。

 ナイト産業を守ろうの会にお送りした署名は、中小企業庁に手渡されました。詳細は下記の記事をご覧ください。尾辻かな子議員、本多平直議員、田村貴昭議員が立ち会っています。

note.com

mainichi.jp

このままでは命を絶つしか… なぜ、風俗業は持続化給付金の対象外? 中小企業庁「過去の政策との整合性がとれない」

this.kiji.is

 

6月に読んだ本・マンガ

  マンガParkが「花とゆめ」と「LaLa」の作品を期間限定無料配信しており、おかげで白泉社のマンガをたくさん読んだので感想を。

 読み切れなかった作品もあった。「彼方から」は世界観にうまく入り込めず。「花咲ける青少年」は、「強い人間が啖呵を切るとみんなが言うことを聞く」という展開にのれず。「みかん絵日記」は懐かしかったけど時間がなく。

 幼い頃から俳優として働いてきた双子の美少年サイファ(ロイ)とシヴァ(ジェイク)と、闊達な女の子・アニスを中心としたビルドゥングス・ロマン。

  美少年がたくさん出てくるマンガは女の子の扱いから作者自身が抱えるミソジニーが透けて見えることがあり、楽しみ切れないことが多い。しかし、「CIPHER」は男女の友情、男性同士の友情、女性同士の友情がそれぞれ丁寧に描かれていて、「みんな幸せになってくれ~~」と言いながら読み切った。

 双子と親しくなりたいと思いながらも、無理やり秘密を探ろうとしないアニスの思いやりや、のびのびと遊んだ経験のないロイを連れ出すルームメイトのハルの繊細なおせっかいぶりなど、愛情深いけれど不躾にならない登場人物の行動が気持ちいい。

 さまざまな人種や階層の人々をフラットに出そうとする気遣いも、作者の世界に対する理想が見えて好ましい。重たいテーマを扱っているのに風通しのいい作品。

 ただ、現在のアメリカを取り巻くニュースを見ていると、楽天的にも見えてしまう。連載時はそれだけ誰もが未来に対して希望を持っていた時代なのだと思う。

摩利と新吾 完全版 全5巻 新品セット
 

  久々に頭から終わりまで読んだ。今読んでも大変面白いし、見方が変わるところがたくさん。良いところも悪いところも。改めて読むと新吾は徳が高い。見習いたい……。

 去年から今年にかけて歌舞伎、文楽大衆演劇を観る機会に恵まれたので、それを踏まえて読み直すといろいろ発見もある。

 今インターネットでは「ポエム」という言葉が「(笑)」つきで扱われるものになっているが木原敏江のポエムは最高。朗読したくなるような流麗な言葉は、「紡ぐ」という表現がぴったり。あんまり言われてないけど、時々謎にダサいギャグが入るところも私は好き。

 最初に読んだ高校生の頃から思っていた「ささめちゃんと一二三ちゃんの扱いどうなの?!」話が友人と出来てよかった。やっぱ引きますよね。レズビアンの友人ができた後に読むと、美女夜さんの扱いはさらに……。

 木原敏江がもう少し女そのもの、人間そのものを憎んでいる人だったら「仕方なし」と思ったかもしれない。けれど、木原マンガ全体に漂う「まるで日射しのように明るくて柔らかい生の肯定」をぎゅっと吸い込んできたので、「明治・大正・昭和という舞台設定と、執筆された70年代後半~80年代前半という年代を考えると責めたくはないけど、やっぱりつらいな~~!!」という気持ち。

 久々に↓のエントリがよく読まれて、「エレガンスの女王」が10冊売れた。

hontuma4262.hatenablog.com

月の子 MOON CHILD 1 (白泉社文庫)

月の子 MOON CHILD 1 (白泉社文庫)

 

  めちゃくちゃ面白かったけどいろいろ考えてしまい、新しくエントリを立てた。

hontuma4262.hatenablog.com

彼氏彼女の事情 1 (白泉社文庫 つ 1-2)

彼氏彼女の事情 1 (白泉社文庫 つ 1-2)

  • 作者:津田 雅美
  • 発売日: 2011/04/22
  • メディア: 文庫
 

  時代の風を強く吸い込んで生まれた作品であることがよくわかって複雑な気持ちになった。私は津田がたびたび描く、芸術や美しいもの(恋や愛ももちろん含む)へのあこがれにとても共感する。世界全体に違和感を覚える人間は、光を見出す意思を背負うことで、やっとこの世で呼吸ができる。津田は「世界全体がとても苦手」な人なのだと思う。

 一方で、生きづらい世界に産み落とされてしまった人々に対し、幸せであれと願う気持ちはとても強い。これは彼女の作品に通底するテーマだろう。しかし、だからこそ、後半の展開に「それはダメな道だ」という気持ちになった。これは長文で語りたいところだが……。そして、久々に読んで川原泉の系譜だと思った。

 

ハッスルで行こう 1 (白泉社文庫)

ハッスルで行こう 1 (白泉社文庫)

 

  序盤は楽しく読んでいたけど、途中から料理修業描写が物足りなくなっていったのが残念。恋愛パートも「みんないい子だし(マジでめっちゃいい子)、誰と誰がくっついてもそれなりに幸せになるのでは?」という気持ちになって盛り上がらなかった。それにしてもものすごい陽のオーラあふれる作品だった。

 

  松苗さんの熱心な読者ではなかったけど、伝説の少女マンガ雑誌「ぶ~け」の話が次々出てきてうれしかった。「ぶ~け」の話すると長い人いっぱいいると思うし、私もそのひとり。いや、本当にもっと語られていい雑誌だと思う。内田善美一条ゆかりが優しい先輩作家としてよく出てきてなんだかとてもよい。バブル期に家を買ってしまい、ローンを返すために必死で働いていたという話にちょっと笑った。ダラダラと自分語りを交えた長文を書きたくなる本。

 

大政翼賛会のメディアミックス:「翼賛一家」と参加するファシズム

大政翼賛会のメディアミックス:「翼賛一家」と参加するファシズム

  • 作者:大塚 英志
  • 発売日: 2018/12/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

  戦時中、大政翼賛会の宣伝部が翼賛運動の宣伝用に、「翼賛一家」というキャラクターと設定を無料配布していたという。その設定を基に作られた演劇や音楽、漫画について探ることで、国策が大衆文化を取り込んでいく過程が見えてくる。

  国策が大衆文化を取り込むというと、上から押さえつける姿を想像しがちだが、国が配布したフリー素材をもとに制作することで、クリエイターや市民が国策を内面化していくのが怖い。

 ”戦時中でも朗らかに”をうたう「笑和運動」というプロパガンダが、ついに“ニツコリ笑つて万歳して死にましょう”という「ニコニコ共栄圏」にまで進化するというのが気持ち悪いし、期せずして「ニコニコ動画」を連想させるのが、大塚の経歴を考えると運命的。

 最後の章では「『翼賛一家』の二次創作」として、「手塚治虫の『勝利の日まで』」を再びとらえなおす。「アトムの命題」に登場する「勝利の日まで」論を下敷きにしたものだが、「翼賛一家」というフィルターの上で読み直すと、「勝利の日まで」の奇妙な存在感が増してくる。

 付論の3つ、「漫画を描く読者」の成立(鈴木麻記)、一九三〇年代中国漫画のメディアミックス(徐園)、可東みの助の運命(大塚英志)もそれぞれが1冊の本にできそうなほど面白く、全体的に読み応えのある本だった。

 

18歳の著作権入門 (ちくまプリマー新書)

18歳の著作権入門 (ちくまプリマー新書)

 

  ネット連載がベースになっており、とても実用書的な内容。読み物としては物足りないけど、たとえば仕事で急にキュレーションブログを書かなくてはいけなくなった人や、MAD動画を投稿したいけれど、何がセーフかわからない人などにはありがたい内容だと思う。

 手紙は「書いた人の著作物」なので、勝手に公開してはいけないというのは、よく考えるとたしかにそうだが、まったく気が付かなかった。

 

周縁漫画界 漫画の世界で生きる14人のインタビュー集

周縁漫画界 漫画の世界で生きる14人のインタビュー集

  • 作者:姫乃たま
  • 発売日: 2018/10/05
  • メディア: 単行本
 

  コミックビームに連載されていたビーム関係者のインタビュー集。マンガ家だけでなく、名物編集者の奥村勝彦やデザイナーのセキネシンイチのもとも訪れる。

 語り口調を取っているので、姫乃さんの主観と作家の証言が曖昧になる箇所があり、ちょっと混乱する。その変わった処理がうまくいっているものもあれば、いないものもある。

 最後の夏目房之介との対談が印象的に残る。

夏目:日本の漫画って、「癒やし」なんですよね。これはぼくの主観なんだけど、海外のいろいろな国で、日本の漫画やアニメのファンに会うといつも思う。正直、「この人は、自分の国でうまくやっていけないんだろうな、ツラいんだろうな、違和感をすごく持っているんだろうなぁ」って人ばっかり。

姫乃:ああ、愛しいなあ。

夏目:日本の漫画やアニメのファンは、みんな優しいし、すごくシャイなの。「おまえ、アメリカ人だろ?」って驚くような人が多い。多分、日本の漫画は優しいんですよ。もともと10代の男の子や女の子に向けたテーマで作ってきたので。

  私も間違いなくマンガの「優しさ」に救われてきた方だと思うけど、一方でそれが排他性や閉鎖性につながっているのではないかというのを最近とみに思う。

 

オレンジページ 2020年 7/2号 [雑誌]

オレンジページ 2020年 7/2号 [雑誌]

 

  ツイートを見て買った。さすが老舗の料理本出版社だけあってなかなか使いやすそうだし、作ってみたいレシピもいくつかあるけど、煮物と魚がほぼない。小さいお子さんがいるような若い家庭向け?  見開き部分がもやしと豆苗の特集なのは計算だろうなあ。

 

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www.bigissue.jp

 地元で購入。特集のベーシックインカムについてはあまりピンとこず、雨宮処凛の取材による路上生活に関するルポが心に残った。

 

ポリスマガジン 2020年7月号 (2020-06-20) [雑誌]
 

  弟がよくunlimited対象の電子雑誌をいろいろ読んでいて、「こんなのもある」とおススメされた中の1冊。普段は警察の活動紹介が中心の、一種のグラビア誌のよう。しかし、素材がないせいもあってか、今号は政治に対する怒りが延々と綴られた「正しい保守のためのオピニオン誌」みたいになっていた。記名がないのでどんな方が書いているのかわからないが、文章からなんとなく警察関係者のOBが中心になって作っていることがうかがえる。

2020年6月頭のシアター上野

 Mさんに誘われてシアター上野へ。Mさんは黒井ひとみさん、私は栗鳥巣さんめあて。土曜の1回目から。

 久々のシアター上野。前回はもう1年2か月前だった。その頃は女性割引はなく、始まる前に舞台の上にぽつんとおかれた古いテレビからエロビデオが流れていたと思う。

 エロビデオの上映は、テレビが従業員によって撤収されることで終わった。誰もまじめに見ていなさそうなテレビが無言で片付けられていく光景は、まるで現代という感じがしなかった。

 そんなシアター上野は、何か月か前から女性割を始めていた。エロビデオの上映もなくなっていて、すっきりしたような少し物足りないような気持ちになった。

 1回目からイス席が8割埋まっていて、かぶり席の人は配布されたフェイスシールドをつけるようお達しがあった。説明の時に「踊り子さんを守るためですから。踊り子さんを守るという気持ちでいれば丸く収まりますから」と話していて、それがお客さんを納得させるのに一番効率がいいことだと認識して話しているのだろうと思った。

 前回はろれつの回らない酔っ払いおじさんがいて、正直ちょっと居心地がよくなかったのだが、じんわりと緊張感の高まった場内にはそういう破れ目みたいなものがなくなっていて、それはそれで場が寛容さを失わざるを得ない状況だと突き付けられたよう気にもなった。

 栗鳥巣さんはアベノマスクを使った演目「エロナ」。最初の衣装ではスカートが膨らんだメイドっぽい服装だったが、だんだん頭に使用済みコンドームを飾ったりとわけのわからないことになってきて、最後はアベノマスクを身体に巻き付けていた。ベッドでちゃんとポーズを切る栗さんを初めて見たかもしれない。

 使用楽曲がコロナウィルスやアベノマスクについて歌ったもので、曲のインパクトが強すぎてステージとうまくかみ合ってないような気もした。

 蛍光塗料がひもについているのか、暗い照明の中でマスクが光っているのがシュールだった。

 写真撮影では相変わらず力強く人々をもてなしていて、「ソーシャルディスタンス2ショット!」と称し、錯覚を利用して栗さんが手のひらに乗っているように見える写真を撮ったりしていた。

 黒井ひとみさんは「黒井軒」という出前先で昔好きだった人に会う演目と、バーレスク風のダンスをやっていた。

 バーレスク風のはツボをついた振り付けと迫力のある衣装がとても素敵な、エロティックで密度の濃い演目だった。黒井さんの作品で一番印象に残っているのは「上海バンスキング」だけど、こちらはその次くらいに好きかもしれない。

 写真撮影の合間に従業員がフェイスシールドをしないお客さんをきつい口調でとがめたりということがあって、いつものようでいて、いつもでない現場だった。

 そのせいというわけではないと思うけど、あまり満足感を得られないまま終わってしまった。それは演者がどうこうではなく、たとえば井吹天音さんなんかは踊れる喜びが伝わる気持ちのいいステージだったけど、自分の心が泥につかっているようであまり楽しめなかった。

 ストリップは観ている方にも演目から物語を見出したり、感動したりする力が必要なので、どうもそういう感情が目減りしているようだった。一緒に行ったMさんはちゃんと楽しめていたようで、うらやましいなと思った。

 踊り子の労働環境についていろいろ考えていたのも影響しているかもしれない。またしっかりと感動することができるのはいつになるだろうか。

追記:いや、でも水咲カレンさんとの肌色多めのツーショットをTシャツに印刷していたおじさんの存在は感動したかな…。

2020年1月のストリップ観劇いろいろ

 ストリップの記録気軽に残そうと思って更新。全員分書く方がいいんだろうけど、時間がないよ……。

 

 1月頭。

 Nさんに誘われて渋谷道頓堀劇場。彼女は浜崎るりさん目当て。私はeyeさんもう一度見たいなと思って渋谷へ。

 eyeさんは鬼才・多岐川美帆さんの焼肉食べ放題の曲を使う演目をやっていて、カッコいいのを期待していたこっちとしてはちょっとポカーン。ナポリタンの曲ではナポリタンモチーフのついたブラジャーをつけていて、表情も多岐川さんに似せて真顔で踊り続けていた。
 しかし、見ているこっちの手拍子が自然と盛り上がるダンスと、紺のYシャツで繰り広げるエロティックなベッドはさすがだった。写真の時に「ボレロよかったです」と伝えた。浜崎さんは相変わらず陽のパワーにあふれていた。生けるバービー人形ですな。

 1月中。

 音楽好きの女子MさんとMさんに黒井ひとみさんを見せたくて蕨ミニ劇場へ。みと小鳥美さんも見たかった。初めての蕨は想像以上のカオスで、「記録しておきたいけどちょっとネットには書けません」みたいなことがたくさんあった。ピースなんだけど魑魅魍魎……いや、動物園みたいな。踊り子さんが足を上げるたびに「フォー!」と叫ぶおじいちゃんが忘れられない。あと、音楽に合わせてタコのように踊る人もいたし、蕨の鏡を活かしたクリエイティブな写真を撮らんとするおじさんもいたし、子どものような顔で笑っている人もいたし……。狭さ暗さも相まってなんだかブリューゲルの画みたいだった。写真の撮り方もすごかった(詳細秘)。

 橋口美奈さんが天板をやっていた。天板中に流れるあの奇妙な空気を日本語で表現できる人いるのだろうか……。行かないとわからないもの筆頭。

 みとさんは新作のアオザイからの赤襦袢がよく似合っていて、Mさんが「かわいいですねえ」と繰り返し言ってくれてうれしかった。2人に「また来てね!一人でも来てね」と言っていた。

 kuuさんは相変わらず、ピューマのようにめちゃくちゃ踊ってかっこいいのに、赤ちゃん言葉。衣装がきゃりーぱみゅぱみゅみたいだった。JUNさんはお蕎麦屋さんの出前の服装が似合っていた。

 それにしても黒井ひとみの女殺しっぷりがすごい。2人とも黒井さんと写真を撮っていたし、「目が合った瞬間にふっと観てくるのがやばい」と盛り上がっていた。

 連れてきた2人が黒井さんのことを好きになってくれたこと、Mさんが黒井さんに「この歌手好きなんです」と伝えたら、次のポラの時間のBGMをその人縛りにしてくれたことなどが思い出深い。

 黒井さんの「まあ、こんなところまで」「ここは日本一ディープなストリップ劇場ですからね」「ストリップにもいろいろあるんですよ。こんな居酒屋のようなところまで」にしみじみ。

 1月結。

 初来演の友坂麗さんとみと小鳥美さんを観に道頓堀劇場へ。楽日のため混んでいた。偶然KさんとYさんと会う。

 入ると美月春さんが死神をやっていた。キッチュで凝った衣装に不敵な表情。舞台に持ち込んだ髑髏に口づけしたりという前振りから、扇情的なベッドが力強い演目。美月さんの意志の強さが結晶化したようだった。彼女みたいな小柄でグラマラスでふんわりした肢体の人って、あんまりストリップにはいない。抱きしめたくなる身体の人で、自分が男だったら惚れるなと思った。

 友坂麗さんは夕鶴。横浜ロック座に比べると照明がとても丁寧で、友坂さんの集中力もすごかった。彼女の舞台は本人の人柄が出てこなくて、板の上にしかいない幻の女を演じているようですごく不思議だ。盆でお客さんをいじる際のいたずらっぽい笑顔を見ると、あくまで一人の女性が演じているのだけど、それはあくまで踊り子としての友坂麗の笑顔で、その奥にある女性の姿まではまったくうかがうことが出来ない。そんな風に見えるのだった。

 もうひとつはGTR。女教師演目で、ストッキングを思い切り引き裂いたり、それを客にいじらせたり。最後に出欠確認をするのだけど、大勢の客の顔を眺めながらにっこりとうれしそうに笑う姿が目に焼き付いた。

 そのあと、望月きららさんは頭に白鳥を乗せたまるチンドン屋のような衣装でニコニコ踊っていて、きららさんの地の明るさがこちらに伝播してくるようなステージは、友坂さんとの違いが際立って面白かった。

 いつもはダンスの後に行われるポラ撮影の時間が、3人分の演目すべてが終わってからにまとめられていたので、続けて見ると「好きに生きる女たち三連続」って感じだなと思いながら見ていた。

 もうひとつはOSAKAの女。なんとか本舗の曲からのなんとかナッツ縛り。「映画音楽っぽいムーディーな部分もありつつ基本アップテンポ」というビートが劇場によく合っていた。脱いでからは映画キャバレーのような衣装でゴンゴン踊りまくる美月さん。観ているだけで快感が押し寄せてくるような出来で、チップを渡す人もたくさんいた。もうすぐ引退の北川れんさんを見に来たMilah Swallowtailさんも笑顔でチップを渡していて、美月さんが目を大きくしながらそれを受け取っていた。

 みと小鳥美さんはわらびで観た白いアオザイの演目。ひとつひとつの動作をかみしめるようなダンスと、丁寧なベッド。遠くを見るような目でスワンのポーズを決める彼女を、ミラーボールが美しく照らしていた。

 

※下書きのまま忘れていたので公開しました。

「月の子」(清水玲子)を読んでの備忘録(ネタばれあり)

 

月の子 MOON CHILD 1 (白泉社文庫)

月の子 MOON CHILD 1 (白泉社文庫)

 

 

月の子 MOON CHILD 2 (白泉社文庫)

月の子 MOON CHILD 2 (白泉社文庫)

 

 

月の子 MOON CHILD 3 (白泉社文庫)

月の子 MOON CHILD 3 (白泉社文庫)

 

 

月の子 MOON CHILD 4 (白泉社文庫)

月の子 MOON CHILD 4 (白泉社文庫)

 

 

月の子 MOON CHILD 5 (白泉社文庫)

月の子 MOON CHILD 5 (白泉社文庫)

 

 

月の子 MOON CHILD 6 (白泉社文庫)

月の子 MOON CHILD 6 (白泉社文庫)

 

 

月の子 MOON CHILD 7 (白泉社文庫)

月の子 MOON CHILD 7 (白泉社文庫)

 

 

月の子 MOON CHILD 8 (白泉社文庫)

月の子 MOON CHILD 8 (白泉社文庫)

 

  高校生以来の通読。詳細をだいぶ忘れていたのでとても面白く読んだ。

 チェルノブイリ原発事故は初読の頃から知っていたけど、合間に登場するさまざまな事件もいちいち現実のものだったことは今回初めて知った。ツインタワーは健在だし、2011年3月11日も訪れていない社会。

 最後のキエフでの、交錯した人間の行き来の描写は天才的。この入り組んだ情報を読者に理解させる能力だけで、並の作家ではない。

 ショナがバイトをやめる時、餞別として渡された制服を「こんなカットのベストなんて着ないんで」と言って返そうとするところがツボにはまって何度か読み返してしまった。「ジミーとセツ以外は宇宙人のような見た目に見える」とか、時々ショナには人の心がないことを強調してくる。

 ティルトめっちゃかわいそうだし、生まれ変わったら幸福な生を送ってほしいとも思うが、それはそれとして「やべーなこいつ。とっとと死ね」と思いながら読んだ。

 感想を検索したら、ジミーがめちゃくちゃ嫌われていて驚いてしまった。そんなに無神経か……? もっとも私は人に「無神経」と言われる側の人間なので、一般的な感性とは異なっているのだろうけど、だとしても憎まれるほどのことをしているとは思えないのだった。

 そもそも、ジミーはアレクセイたちが犠牲になる忌まわしい未来に抵抗するため、アートに憎まれ、殺される未来を主体的に選んだのに、そこまで嫌わなくても。人間的なところが逆にいけないのだろうか。

 リタの扱いは残酷だけど、「美しいものがもっとも強い」特殊な弱肉強食の清水玲子世界で、もっとも美しい男であるギル・オウエンことティルトを、少女マンガの人物としては無骨なリタが殺すのは、爽快でもあった。利他という名前の人物が、もっとも利己的な人物に振り回され、最後は利己的な選択によって相手を殺すというのも、偶然だろうけど寓話的だ。

 私はリタを「醜く弱いものたちを踏みつけてきた、美しく力のある男の代表であるティルトを殺すハイスペックな女」と解釈し、英雄として読んでいた。

 ただ、それは私がそれなりに歳を重ね、無骨な外見にコンプレックスを感じる必要はないと理解できるようになったからだし、もともと私自身が「自分をおとしめ、利用した人間なんて殺してやりたいに決まってる」と断じる人間だからだろう。

 そうでない読者の何人が、リタのことを哀れだと感じ、「ああはなりたくない」と思うのだろうか?

 名作と呼ばれる少女マンガの中には、無自覚なミソジニーを感じるものが少なく無い。描き手が新しい価値観や世界を描こうと思った時に、その夢を男性キャラクターに仮託せざるを得ないことが多く、それが往々にして作中での女性の排除につながってしまうからだ。女性が自由に生きることを許さない現状が、マンガの中にミソジニーとして反映されており、それをかぎ取ってしまうたびに窮屈な気持ちになっていた。

 清水玲子の作品は押しなべて「美しいものが強者」という野蛮な価値観に支配されている。それはあからさまなルッキズムの肯定だけれど、「クジャクは羽根が美しい方が生殖に有利」といった動物的な世界に身を投じることで、人間社会の枷から逃亡したいという欲求のようにも思えて、読後感はより複雑だ。身体の価値をねじまげるという意味では、駕籠真太郎に近いものを感じる時もある。

 「月の子」では、表向きには愛の成就によって人間社会も人魚の社会も救われる。しかし、美も愛もすべてを無効化したような世界の崩壊が示唆されることで、人間そのものが害悪と規定され、ひんやりした悪意が読者の前に突き付けられる。

 少女マンガ的なロマンスを大枠で採用しながら、最終的にそれを崩壊させる不思議な物語と言える。

 清水玲子ミソジニールッキズムについては「輝夜姫」を読むべきなのだろうが、あまり評判がよくなくてちょっと気が乗らない……。