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ホンのつまみぐい

いろんなもののファンをやっている人が、日々のよしなしごとを綴っています。

戦極ダブルヘッダー(戦極女帝杯のみ)へ、MAZAIRECORDS(ワッショイサンバ、無能、MANOY)メンバーの応援に行ってきました

音楽

女性のみエントリー可能な戦極女帝杯と超戦極U-22 選抜16人第三次予選のダブルヘッダー戦極ダブルヘッダ-」

箱は洞窟感のある渋谷family。チケットは100人限定ということでしたが、100だとパンパンの箱ですね。出足遅れて15時半のライブにはなんとか間に合う時間に会場着。

ライブ一人目は大阪のまゆちゃむ。

お菓子作り好きらしく、途中でクッキー配ったりしていて、キャラクターで客を巻きこむ様子がいい意味で地下アイドル感がある。あ、ヒップホップの人、けっこうアイドルdisるけど、私的にはアイドルっぽいはリスペクトです。アイドルよりいいライブしてから言えよ、ラッパー! ただ、その分曲よりキャラが印象に残ってしまうもったいなさも。このへんはバランス難しそう。

common girls by まゆちゃむ。 | ちゃむ。 まゆ | Free Listening on SoundCloud


Airis(ayakeru&詩奏)
バトルにも参加するayakeruさんの男女二人組ユニット。ふたりともいい声でいい歌なのでそれだけで強い。やっぱり楽器として強い人は目立つなあ。
「27歳でけっこう年齢いってるんですけど、2年くらい前に初めてラップやって。やってみたいならやってみたらいいと思います」というayakeruさんのMCから、詩奏さんの「楽しいことやっていきたいと言うふたりが作ったタイムカプセルという曲をやりたいと思います」。いいライブでした。

タイムカプセル / Airis (ayakeru×詩奏) by 詩奏(4tsunoha , Airis) | Free Listening on SoundCloud

 

LesPass

男の子3人組。実はタイダルトガリネズミで見てるのだけど、改めて見るとお互いを引き立てあうチームワークがすばらしい、とても誠実なライブ。「俺らのこと見た目だけでアイドルとか言うやついるけど、俺はバトルであれこれ言ってるやつよりよっぽどヒップホップだと思ってるんで」というMCから、NilNicoの保育士兼ラッパーとしての日常を歌う曲。

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ライブ終わってMC正社員さんのあいさつ。

「ライブも三者三様で、すごいよかったと思います。みんなCDも買ってかえってください。それがみんなの活力になります」

「日本のヒップホップは女性が少なかった!男女率が半々になれば、もっともっと盛り上がると思います。
最初の頃の戦国MCバトルはお客さんゼロでした。その時のお客さんは伝説を見てると思うんです。今日のお客さんは伝説のメンバーだと思うんで、お客さんもバッチリ反応してください」

一回戦、MAZAIRECORDSからはMANOY、ワッショイサンバ、無能が参加。以後、印象に残った場面を。

ayakeru vs MANOY

MANOYさん「私の先祖は城主だったらしい だから上に立つ人間」という攻めから、後攻ayakeruの「どこが女帝?華がない」にうまく返せず敗退。MANOYさん、音源では言葉にとても凝る人なんだけど、即興で罵倒みたいなのは強くないんですよね。でも、それをわかってて出ているのは何か覚悟があってのことだと思うのでがんばってほしい。

Yasco vs MCビキニ

ふたりともほぼキャラが出来あがってるから、ストーリーが作りやすい。
Yascoさんの「20代で80万30代で14万。これ何かわかる?風俗嬢の月収」面白かったけれど、「私だってやってるよ確定申告 個人事業主」などなどで返してMCビキニの勝ち。

まゆちゃむ vs えるも

まゆちゃむの「ブスがブスにブス言うな〜〜」がインパクト大。そう、スキルと経験値が低いMCだと見た目と年齢のdisが増える。飄々とうまく返したまゆちゃむの勝ち。

ワッショイサンバ vs 千
色物ラッパーというdisに、
「色ものいうけどカラフルな世界の方が楽しいな」
「お前の名前は千だったな じゃあ私は湯婆婆だ お前に千はもったいない」

という返し。最高にワッショイサンバらしい勝ち方で上がりました。フロアからも「これがワッショイサンバだよ」という声が出ていたのがすごかった。

AKANE vs 無能

無能ちゃんが「才能がないやつ」的な名前disに

「足りない才能は努力と勝利で補ってきたよ」
「AIZENみたいに立つ頂点に」で勝利。

1回戦終わって正社員さんの言葉。

「シンデレラMCバトルに関してはみんなにどう見られてるのかが不安です。でも、俺はほんとにバトルやヒップホップを盛り上げていきたいと思ってて」

「女性が少ないのは日本だけだから!やってたらすごいかっこいい人が出てくるかもしれないじゃん!」

いいこと言う!しかし、それはそれとしてプラチナムはちょっとな……!

ぴのこ
バトル1回戦勝利を収めてぴのこさんのブルージーなライブ。DJやトラックメーカーの名前を丁寧に紹介する姿に実直そうなキャラクターが出てる。ただ、被せが大きすぎる曲があるのがちょっともったいない……。

ぴのこ pinoko | Free Listening on SoundCloud

ASuKa a.k.a広崎式部
マザレコメンバーと話してたのであんまりちゃんと聞けなかったけど、若手のライブにありがちなある種の発表会っぽさがなくてちゃんと歌手。口の使い方も明らかに違う。服装も含めて急にジャズバーみたいな空気に。いやあ聴き応えありました。

sickboo▽広崎式部 | sickboo (I WANT FRESH mind!!!plz!!!) | Free Listening on SoundCloud

FUZIKO
高速ラップでスタート。ただただかっこいい。身体の使い方も運動神経よさそうで、生き物としての強さを感じるライブ。リリックの求道者的な内容と突き刺すような切れのいいラップがクール!
「究極の究極を収録したシナリオというアルバムがあります。3年前人間をやめたいときに作ったアルバムなので、人間やめたい人は買ってください」というお茶目なのかマジなのかわからないMCも魅力。

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まゆちゃむ vs CESIA

まゆちゃむの「フィメールみんなに言っとくバトルは意気込み大会じゃねえんだよ」が痛快。そうそう、スキルのない子ほど「マイク持ってヒップホップをやってる」「何々乗り越えてここに立ってる」が多くて聞いてる方が飽きてしまう。

ワッショイサンバ vs 加藤真弓

サンバちゃん、勝ったと思ったけど延長に持ち込まれて敗退。終わった後の無表情な顔に悔しさが滲んでました。しかし、全体見てて思ったけど、ギャグラッパーとか色物ってdisとして通用するんだな……。私と芸能に対する世界観が違うな。

無能 vs Roary Mai

「お前は女子会にいれてあげない 場の空気乱しそう」というバースに「女子会でぐちぐちやりたいなら帰りな これはラップの場」で、無能ちゃん勝利。しかし、Roary Maiさん、なぜあんなヒップホップ的に返しやすいdisをしたのか謎です。

ベスト8から8小節3本に。

しあ vs 無能
無能ちゃんの高速ビートアプローチからスタート。しかし相手もビートに乗った高速ラップで返す。おそらく動画があがると思うので詳細省きますが、アンサーの返し方も含めて聞き応えのある内容でした。
終わった後に、「いやあ、ほんと全然心配いらないですね(スキル面で)」と正社員さんが言ったのもよくわかる。無能ちゃんが負けてしまって残念でしたが、バトル中に「楽しい」という言葉が出るのもよくわかる良い試合でした。
カクニケンスケさんが敗因分析してて、それも面白かったけど、秘宝の虎の巻っぽいので省略。

決勝はまゆちゃむ vs みなみ

勝ち上がる中で自信をつけ、場の空気を味方につけたまゆちゃむ圧勝。みなみさんもやるごとに巧くなってる感じでよかった。

その後は超戦極U-22 選抜でしたが、作業残ってるので帰宅。お客さん3割くらい女の子で、北は秋田、南は福岡からラッパーが集まって、クオリティ的にはまだまだ伝説という感じではないけれど、過程のひとつとしては意味があるイベントだと思いました。

サンバちゃん、MANOYさん、無能ちゃん、お疲れ様でした!

「すげー」と「うーん」が半々、BADHOPフリーワンマンライブ「IRREGULAR BOUND」@川崎クラブチッタ

音楽

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「すげー」と「うーん」が入り混じる感じでした。BADHOPワンマンライブ。や、もう4か月も前のことなんですけど、アーカイブとしてね。

 

BADHOPが川崎クラブチッタでワンマンライブって物語がめちゃくちゃ強いじゃないですか。ヤクザか職人の2択しか経済的に潤う方法がないと言われる川崎の貧困家庭の不良少年たち。音楽を通じてそのよどみから抜け出そうとしている彼らが、地域でもっとも有名で大きな箱でワンマンライブをやる。しかも無料。

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BADHOPはこの時期、ALLDAYというCDを、アパレルショップや懇意にしているCDショップに置いてもらうという方法で無料配布していて、これはとてもうまいと思いました。自分たちの日ごろの生活から考えて、「どういう人に手に取ってもらいたいか」をちゃんと目に見える形で示す方法はとても戦略的だし、通販はあったものの、大手販売店には渡さず、限られた店舗で配布するというのもワクワク感があってよい。(ドミノピザに怒られたらしく、配布終了してしまいましたが……)

miyearnzzlabo.com

フリー配布やフリーワンマンという方法は、もちろん広く自分たちの音楽に触れてほしいからだろうけど、やっぱりかつての貧しい仲間や子供たちのことも頭にあるんじゃないかと思います。

 

遊びに行くお金もなく、自分たちの生まれ育った町から出ないままの少年少女たちが住む川崎。そして、給食の時間にBADHOPが流れるという町、川崎。(まあ、川崎は大きいので、ここで言う川崎とまったく違う川崎の方が広いのですが……)

 

一足先に大阪で行われた無料ワンマンライブがパンパンだったと聞き、ちょっとドキドキした気分で、当日はツイッターで会場の様子を検索しながら川崎に向かいました。20時開始のライブに19時ごろ着。

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もうスルスル入れる状態になっていて、もっと混雑するかなと思っていたのでちょっと拍子抜け。入り口前に設置された喫煙所で大勢の若者がタバコを吸っていました。中に入ると迷彩のヤンキーとチューブトップのギャルがぞろぞろと。おお、すごいHIPHOPっぽい……。

 

客入りはこの時点で8割くらいで、最終的には1000人くらい入っていたはず。前方に人がみっちりつまっているのが遠目からでもわかる状況。ステージ上のDJがFLYBOYRECORDSやSCARSの曲を流し、「BADHOPの地元でのワンマンーーー!」と叫ぶけれど、あんまり盛り上がっていなくてちょっと気の毒。アイドル現場だったら関係ない人でもとりあえず「ウェーイ」っていうのに冷たいな。DJはDJCHARI、DJTATSUKI、DJTYKOHの3人だったらしいけど、どの時間のDJが誰なのかはわかりませんでした。

 

DJタイムの終わりにKOWICHIが登場して「俺が来なきゃはじまらねーだろ!」と叫ぶ。

 

BADHOP登場の場面はあまり記憶になくて、手元のiPhoneのメモにも何も書いていないんだけど、前方で一斉に携帯が掲げられたのはうっすら覚えています。

 

ステージの上の青年たちの一挙一動にワーッ!キャー!という声が飛び、フラッシュがたかれます。最後方で見ていた私の隣には、高校生くらいの男の子がいて、興奮を抑えきれないというように曲に合わせて身体を動かしている。

BADHOPのMCはとても率直で、「ずっと酒と女と金しかしてないけど、それが俺たちなんで」「東京に負けない川崎の根性見せたい」という言葉に育った町への葛藤と愛情がのぞく。

 

「街から逃げ出したいんじゃなくて、このクソな現状から抜け出したいんですよね」という前置きから、「川崎のイメージ悪くなるかもしんないけど。大阪でもやるか迷ったんですけど、やります」からPAIN AWAY。

わかんねえ 人間どうあるべきか
包丁の刺し傷タトゥーで消した

ノックの音でかくなる玄関
開けたら数人のヤクザ
土足で回すカメラ お袋は土下座

など、痛々しいラインの続くこの曲を歌い上げる2WIN。「ああ、まるで映画のようだ」と思いながら、中央で叫ぶYZERRを見つめる。

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そして、最後のMCで、「正直俺が流行らしたよ。この街にヒップホップ」というT-Pablow。


「俺はバトルで目上の人に死ねとか言ってるやつとは違うよ。俺たちは自分の言葉に責任持ってるから」という自身の矜持を語ってからのLifeStyleで終演。

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こうやって書くと大団円の流れだったのだけど、1観客として率直に言うと、被せの大きさやフロアのもてあまし方が終始気になって、ライブを楽しむというより若者を観察するという目線に立ってしまいました。

 

FIRE BURNに「Fire Burn アイドル共逃げ出しな」ってラインあるけど、歌いながら踊るアイドルでも、少なくともチッタでやれる子はあんなに被せ大きくないよ。楽しそうに真剣にやっているけどまだ客のことまで見えていない感じで、フロア前方と後方のテンションの差も大きかった。

 

そして、いわゆる音楽メディアがほとんど取材に来ていなかったことや、結局最後まで満員にならなかったことにちょっとショックを受けました。動画はBlack FileTVが公開していますが、把握している限りでは、磯部涼AERAへの寄稿以外にライブのレポートを見ていない。ローカル局っぽいTVのカメラが回っていたようなのですが、そちらはまだ確認できていません。

 

まだまだ音楽としての注目度は低いのだなという実感と、数値化できないけれど何となく感じてしまう少子化の陰。まさしく凱旋というべき日だったのですが、一方で今後の彼らの道のりの長さを思わされるライブでした。

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BORN TO WIN

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くだらない、面白い、ラップは楽しいを更新するTinpot Maniax vol.3

音楽

 というわけで、第3回目のチンポマニアックスでしたが、3回目もちゃんと新鮮な面白さがあった……。すごい。

第3回のオープニングはぽじぽじくんのビートライブ。と言っても、遅れていったので10分も聴けなかったが……。

象の足音とテレビのノイズ音を合わせたようなビートで、ほぼほぼ実験音楽
ぽじくん曰く、「その場で音をいじって作ってるので準備がいらなくてラク」とか。オープニングから攻めてる。

ノイズが終わり、この日アルバム「テンシルエア」を公開したヤボシキイくんがバンダナを頭にハチマキ縛りして登場。オタク記号としてのハチマキなのかもしれないけど、なんだか髪型やゆったりしたジャケットも合わせてポケモンデジモンのキャラみたい。

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自己紹介曲のYABOから、蘇我ハーバーでオランゲーナさん乱入。
蘇我ハーバーは仲間と遊ぶ日々の歌。電車の音のイントロから、ヤボシキイくんの歌パートにオランゲーナさんのラップという流れがエモ。

ああまだ帰りたくない
ガキに戻る時間はあっという間
もういっそ住んじゃおうか

ハーバーシティ蘇我いつもの人たちと呑んで帰る

笑い声3コマ打ち越え
息もできなくなって帰る

ハチマキしばりでヤボシくんと揃えたオランゲーナさん。いい顔でラップしていてかっこよかった。その直後にアカペラでうんちについてラップする流れも含めて。や、マジアカペラでラップを聴かせるのは偉業ですよ。

そこから客演ぽじぽじくんの「な・が・らうんち」。
ビートの渋さとタイトル通りのリリックのくだらなさのギャップと、しれっとした態度の二人のラップが笑える。

「24小節うんちについて書くのすげえ大変だったんですよ」

最後はOTK HUSTLER feat. Jabvara,DocManju

YABO$HIKI-1「OTK HUSTLER feat. Jabvara,DocManju」 by studio tinpot | Free Listening on SoundCloud

「お前ら犯罪者」「マスターベーションマスター」「もれは走り去る彼女と湾岸」というフックが耳に残るギャングスタラップのパロディみたいな曲で、ライブで見ると音源にさらにふてぶてしさが加わってかっこいい。「もれは走り去る彼女と湾岸」というバースで下手から上手、上手から下手をダッシュし、盛大に歌詞を飛ばすヤボシくんには、後程各所からのツッコミが入った。

ヤボシくんのフリートークからパンチラインカウント制バトル。

時間ないので省略するけど、昼間だったせいかあんまり性癖暴露にはいかず、わりとほのぼのとしたバトルが続く中、「遊牧民 うんこぶり~」という、相変わらずオリジナルすぎるライムの茶怒さんに対し、初バトル参加のばっきーさんが延長を勝ち取る流れが印象的だった。

お次のカクニケンスケくんのライブは本日限定セット。FFの曲でスタートして「ぼくが大好きなゲームの曲に合わせて4曲。今日しかやんないと思います」というあいさつからクロノトリガー龍が如く、パズドラからの曲でラップ。龍が如くでは、ゲーム本編の音声を使い、無礼な客を追い出すヤクザの小芝居を披露。

そこまでお客様がお望みなら、この真島、僭越ながらお相手いたしましょう。ただし、私からは一切手出しはいたしません。なにしろ、「お客様は神様」ですから

100%その後の予想がつくセリフだ! セリフに合わせて流麗なお辞儀の動作をするカクニくんがキュート。普段はあまりやらないような早めのラップをやっていたのも含めて見ごたえあった。

最後はみんなのうたに流れていそうな「回送ブランコ」で〆。

お父さんの転勤で外国に引っ越すことになったんだ。
ぼくの初恋は前向きなことも後ろ向きなことも言えないまま終わってしまったんだ。

声の優しさと太さが歌詞とよく合ってるし、それまでの流れを一度ちゃんと切ってから歌に没頭させるの、つくづく巧い。

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そして、大阪からの来訪者けむりくらげさんのDJ。

アナログレコードでの日本語ラップセットがめちゃくちゃかっこいい。そして、うまく言えないのだけど音の質が全然違う。普段は1方向から1種類の音が面になって迫ってくる印象なんだけど、今回は1種類は上の気流から、もう1種類は下の気流の乗って届いた音が、最終的にこちらに来た時点でひとつの曲になる感じ。3回目の会場なのだけど、やり方や演者でこんなにも音の質が変わるのかと衝撃を受ける。

DJブースの正面で踊り続けるヘルガさんの姿も印象的だった。

骨太なDJ終わって、「チンマニとかいうイベントでこんなの聴けるなんてねえ」「チンマニってクラブイベントだったんだっていう」というぽじくんとヤボシ君の会話。

いつの間にかジャケットを脱いでTシャツ姿になったヤボシくんが「俺DJであがりすぎて疲れたよ〜〜。帰りてえよ〜〜」と一言。

その後のバトルは樫さんと茶怒さんの決勝戦。チンポガールズの仲間・樫さんの奮闘にワッショイサンバちゃんが「運動会のママってこんな感じなんだなー」と言いながら動画を撮影。テーマがちんげで茶怒さん先攻というかなりやりづらい戦いにアンサーをちゃんと返し続ける樫さん、がんばってた!しかし、結局茶怒さん勝利で3連勝。まじチャンピオン。

お次はフローだけやんMCバトル

お題カードで引いた言葉と、その単語で韻を踏んだ言葉しか使えない「完全に中身がないMCバトルでございます」と主催の説明。ちなみに同じ単語だけで8は厳しいので、4小節2本。

これを聞いて「これからやるやつ、ヒップホップの能力関係ありますよ」という遊牧民さん。

そんな遊牧民さんと今日犬さんの第1試合。お題は「失礼なオタク」。今日犬さんもフローにこだわりがあるタイプなのだけど、遊牧民さんの「ししししっつれいなオタク!」というフローというより、格ゲーのバグみたいなリアクション芸が勝利。

どちらかというと、演劇のワークショップによくある「悲しそうなおはよう」「うれしそうなおはよう」「不満げなおはよう」など、ひとつの言葉を感情を変化させて言っていくメソッドのよう。実際、フローというよりは「いかにしてセリフとして聞かせるか」に終始するバトルがほとんどだったのだけど、ここでけむりくらげ(追記けむりくらげさん、フリースタイルラップ歴半年くらいとのことでした。びっくり!)、ぎぎぎのでにろう、カクニケンスケというラッパー歴の長いメンツが本領発揮。

エネミーコントローラーというお題で、「眠みほんともーや」など、正しく韻を踏みつつ迫るけむりくらげさんや、歌ものも強いぎぎぎのでにろうくん、そして「フローで売ってる」と宣言したカクニケンスケくんが音に乗る力の高さを見せつける。

面白いのが、同じ言葉でずっとラップし続けていても、ちゃんとリズムに乗ったラップを聴くと人がアガっていくこと。カクニケンスケくんの試合で最前の遊牧民さんが飛んだり跳ねたりしているのを見て、その反応の顕著さに感動。

準決勝のカクニケンスケVSぎぎぎのでにろうの電光石火というお題に対して「前哨戦ですか」「援交せんか」「援交せんわ!」など、お互いが韻を踏みつつ、ガチでフローを見せつけあうバトルはほんとに熱かった。

それとは別に、森羅万象というお題でコールアンドレスポンスを誘って2本目を森羅万象の大合唱にさせたあらいぐまさんや、品行方正とちんこほうけいで韻を踏んだ茶怒さんも面白かったけれど。

決勝、かずんどさんを下して「当たり前だよ!フローで売ってんだよ。こっちは!」というカクニさん、かっこよかった。

そして、「でも、これが見たかったんですよ。カクニさんとでにろうくんが無双するところが」というぽじくん。

ウィニングフリースタイルも「ツブ貝」しか使えないということで、無理やりツブ貝でラップするカクニくん。そして、上がりまくる会場。最後に一言「こんなのもう一生やるかい!」で踏んで落とすところも粋!

オープンマイクが続いて、ヘルガさんから異動で福岡に行ってしまうこすもぱわーさんへマイクの贈呈。

「これからもラップやってもらいたいという気持ちを込めて、マイマイクの贈呈です」という言葉に「距離は離れちゃうけど、これからもMAZAIRECODSの仲間としてやっていきたいと思います。これで曲撮るので、みんな聞いてください」と返すこすもぱわーさん。こすもぱわーさん、そういう気持ちの表れなのか、この日はバトルもオープンマイクも力が入っていて、いろいろ葛藤や不安はあるみたいだけどがんばってほしい。

ヘルガさんのDJで幕。

最後の「みんなが楽しんでくれるのがほんとうれしいんで」「これからも新しい面白いことしていきたい」という運営陣の言葉が力強い。

いや、チンマニ味が濃いから、始まる前までは「そろそろ過去のテンションを超える文章は書けなくなるかな」なんて思ってたんだけど、ちゃんと新しいことをやるから全然飽きない。

終わった後に、今回は負けたかと思ったという茶怒さんや、フローバトルに感銘を受けた今日犬さんがいい意味で刺激を受けていたのも、ラップを好きでいてほしいという主催側の想いがちゃんと形になっていて、ただのありがちなパーティーじゃないと思う。

またイベントをやる予定らしいので、その時も現場に居合わせたいと思います。

 

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くせになる味のホームメイドパーティー!もつ酢飯EPリリースパーティー「大もつ酢飯展」@月あかり夢てらす

音楽
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 オタクとラップがつないだワッショイサンバ×無能の二人組ラップユニット「もつ酢飯」がついにフィジカルE.P(無配)リリース!

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 ということで、リリースパーティー「大もつ酢飯展」に行ってまいりました。ちなみにイベント名はデパートでの物産展「大北海道展」的な、自分たちに関わってくれた人々が全部のせで集まる場所にしたいという気持ちからつけられたものだとか。

 会場の川崎「月あかり夢てらす」は、これまでもスタジオチンポ主催イベントで使われていたアニソンバー。いつもは4階で行われていたイベントですが、今回は会場を少し広めの5階に移してのパーティー。

 財布を忘れて飛び出てしまい(サ……サイフレス)、開場には間に合わなかったものの、DJyukihillさんのオープニング邦ロックDJセット途中から聴けました。一曲ごとの盛り上がりがすごくて、初っ端から現場がハイテンション。

 もつ酢飯のふたりはワッショイサンバちゃんが作ったという白いパーカー。サンバちゃんのパーカーには左胸に小さく、無能ちゃんのパーカーには鎖骨下に大きくピンクのもつ酢飯のロゴが印字されていました。

 DJタイムの間に黒髪ロングの美女2人が登場。正直ちょっとこの場には迫力がありすぎる存在で、誰の知り合いかと思ったら、Amaterasくんのバックダンサーでした。

 そのAmaterasくん、まずは美女2人にソロを躍らせてから、ラップで割り込んでくるスタイル。先日のタイダルトガリネズミの真摯さと違って、もはやライブというより一発芸。真剣に踊る美女の真ん前で痙攣しながら爆笑するカクニケンスケくんとTUMAくんの姿が若干失礼で、横目に見ながら笑ってしまいました。

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 お次はMAZAIRECORDS所属のMANOYさん。本日初ライブということで、ちょっと緊張気味。

「もつ酢飯が好きで勝手にマザレコ所属を名乗っているMANOYです」という自己紹介。この日は新曲の他にもつ酢飯へのお祝いラップを披露。

「もつ酢飯 正直ゲテモノ料理 煮ても焼いても食えない」というひねった敬意の言葉の後に、「まるで宝石箱みたいなパーティー」という言葉が並ぶのに愛を感じました。

 最後の曲「3+1」MAZACON1に収録)は「衣食住では満たされない 満たされない腹 これが人類のサガ」というシニカルな曲なんですが、「イーアールサンスー 承認欲求」というフックで「承認欲求!」というコーレスを誘っていたのが楽しかった。MANOYさんの曲は体言止めの使い方が気持ちいい。(MAZACON1に収録)

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 ライブは一区切り、お次はタッグマッチバトルのもつ酢飯杯予選。8小節×4と長めのバトル。

 樫×MANOY、ぎぎぎのでにろう×MARUKEN、TUMA×bunTes、ワッショイサンバ×カクニケンスケ、ヤボシキイ×ぽじぽじ、ストローム×T-Tongueの限定タッグで、今回も面白いことやヤバイことを言ったりやったりした数が計上されていくパンチラインカウント制バトル。

 長くなるので詳細は省きますが、ほぼほぼ表に出せない自己の性癖暴露話でどんどん回りをドン引きさせていくMARUKENさんの存在感が悪い意味で光りました。

 他に印象的だったのはヤボシキイ×ぽじぽじvsストローム×T-Tongue戦。フードを深めにかぶって現れ、ストリート感を出してきたストローム×T-Tongueの「お前らギャグラップ 全然黒くねえ」というちゃんと勝ちに来るラップに対して、「わー!こんな怖い人が来るなんて聞いてないよ~~」と言い出すヤボシキイくんと「黒とか白とかこの場で言い出すお前らが空気読めてねえ」というぽじぽじくんチームのラップが勝ってしまったのは端から見ていてちょっと申し訳ない気持ちになりました……。お互い気の利いたバースたくさんあったんですけどね。

 そのT-Tongueくんのライブ。音に乗る力の高さが身体の動かし方にも出ていて、なるほどフィジカル強いなと感心。フックで「マイホームタウンシーサイド湘南」と入れる曲が爽やかでよかったです。聴きとりやすく、ストレートなリリック。ちなみにバックDJワッショイサンバちゃんだったんですが、ミスったところに「おいおい早漏かよ」と言って笑いを取ってました。

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 お次はぎぎぎのでにろうくん。「インターネットからわざわざ来ました」という自己紹介。歌の部分多めで音がかっこいい。MCではいろいろなヒップホップがあるけれどという趣旨の前置きを入れて「横道も王道だと思います」。友人のHaGRmA,A-CONYくんを加えての「P**CE」がよかった。

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 ライブの後はタッグマッチ後半戦。倫理観に挑戦し続けるMARUKENさんに対してキレるカクニケンスケくんや、ヤボキシイくんとぽじぽじくんのコンビネーションの良さが見所でした。

 結局ヤボキシイ×ぽじぽじが優勝。ウィニングラップを求められ、一言も発さず適当なビートボックスをやっていたのに笑いました。

   TUMAくんのライブは3月11日にやることの意味を語るMCも含めて、誠実な人柄が出ている印象。音もリリックもスマートなんだけど、本人はちょっと不器用な感じが微笑ましかった。しかし、そのスマートさと対照的な #チカラNSという筋トレラップが一番テンションがあがりました。

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 バトルでの活躍も印象に残ったカクニケンスケくん。「ぼくはアイドルだから!」という日頃のキャラクター作りとは対照的に、1曲1曲しっかり物語を読み取らせるアンニュイなラップ。童謡のような雰囲気の「風船を割りたくないなら」が特に印象に残りました。20分の持ち時間すべてをどこか寂しい曲でやりこなし、最後まで聴かせるのはなかなか出来ない。また見たくなる内容でした。

 演者が若いせいもあって、この日のライブは、パワフルなんだけど客をコントロールできていなかったり、音源での洗練をライブで再現できなかったりする瞬間も多かったのですが、カクニくんは高いレベルで客をコントロールしつつ、伝えたいことを表現出来ている印象を受けました。

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 ライブ終わって時間が巻いていたので、シャッフルタッグマッチの前にワッショイサンバちゃんが大学生ラップ選手権から今日までの日々を語り、本日の演者に対する感謝の言葉を述べました。

 シャッフルタッグマッチは樫×MARUKEN、TUMA×ワッショイサンバ、MANOY×bunTes、カクニケンスケ×ヤボシキイ、ぎぎぎのでにろう×ぽじぽじ、いーえっく×コース(飛び入り)。

 変わらず暴走するMARUKENさんをコントロールする樫さんの存在感が素晴らしかった。また、何となく雰囲気の似ているぎぎぎのでにろう×ぽじぽじタッグの安定感のあるバトルも印象的でした。

 シャッフルバトル前半戦の後は、ぽじぽじa.k.aDocManjuくんのビートライブの最後にヤボシキイくんが1曲ライブを披露。リリック飛んだと告白していましたが、声の強さがかっこよかったです。

 さて、いよいよメインのもつ酢飯ライブショーケース。

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 まずは「マザレコのみんなに向けて」という前置きからネット公開のアルバムには入っていないOTKという曲を披露。内容はタイトル通りのオタク賛歌。「ただのオタクがマイクで夢叶えてるぜ」と叫ぶワッショイサンバちゃん。

 次のG.I.R.Lでは、みんなでフックの「社会に立てなミドルフィンガー ついでに添えな メディスンフィンガー」を大合唱!

 そして「女同士の会話は常に相手のあらをすくうMCバトルなのです」というMCから1on1。

てかいつまでも出来ないね 本命彼氏
奇跡おこるかもね どんでん返し(笑) 

下着はもちろん上下でおそろ?
見せる相手もいないのに? ワラ

 という辛辣でゴミのような嫌みの言い合いが延々続くバトル曲。お互いが顔を見合わせる小芝居はたしかに見た目完全にMCバトルで、ちょっと恐ろしいけど笑えちゃう。最後に二人がお互いの思想を叫ぶバースも含め、これはぜひ現場で見てほしい。

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 お次は通称ポガ、正式名称「チンポガールズ」のマイクリレー曲「random fortunes」。ワッショイサンバ、無能、MANOY、樫で3本マイクを回しながらの「サンバ 無能 樫 MANOY がんばるぞい」は可愛かった……。(Python Codeに収録)

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 G.I.R.L.2の前に無能ちゃんのご両親が会場に到着。アドリブでワッショイサンバちゃんが「え~、〇〇(無能ちゃんの本名)さんのお母様。私、娘さんとラップが出来てとても幸せです」と言い出し、笑う会場。

 最後は「もつ酢飯×7 割れ鍋に綴じ蓋 もつ酢飯」という明快なフックと疾走感のあるビートのもつ酢飯のテーマで終了。

 「ガラスの靴なんてたたき割ってやる!」などと前のめりなパワーワードを投げるワッショイサンバちゃんに、ちょいちょい韻を踏みながらツッコミを入れる無能ちゃんのコンビネーションがとても面白くて、MCも退屈させない濃い30分でした。

 シャッフルマッチ後半戦は、樫×MARUKEN、カクニケンスケ×ヤボvイ、ぎぎぎのでにろう×ぽじぽじの総当たり戦。対戦相手を忘れてしまいましたが、カクニケンスケくんが、バトルのあまりの下品な内容にあきれて自分のバース7小節分を無言で過ごし、最後の1小節で「ついていけない」と一言だけ言い放つ場面に笑いました。後でヤボシキイくんが「俺までカクニさんに嫌われたんじゃないかと思ってハラハラした」と言ってましたが、そのカクニケンスケ×ヤボシキイがコンビネーションの良さとファニーさで優勝。

 最後はJavaraさんのエレクトロとダブステップ中心のDJ。サプライズで3月生まれのTUMAくんとMANOYさん、そしてワッショイサンバちゃんのためにケーキが登場。クラッカーを片手にありったけ持って引き抜くワッショイサンバちゃんの笑顔がとてもキュートでした。

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 〆のあいさつで、ちょっと涙ぐみながら「人の優しさの上に成り立ってるなって。かっこいいと思って今日呼んだ人たちなんで、それを目の前で観れてすごいうれしかったです。これがいつか伝説の幕開けと言われるようにがんばりたいと思います!」というワッショイサンバちゃん。そして、全部言われちゃったと前置きしながら「こうやっていろんな人に支えてもらって楽しいパーティーができて本当にありがとうございます。これからも面白いことやっていきたいと思います!」という無能ちゃん。

 ほがらかで暖かいパーティーの、熱のこもったエンドロールでした。

 

 

 サンバちゃん、無能ちゃんお疲れ様でした!もつ酢飯EPがメルカリで高額取引できるようになるまで追いかけますね。

 MAZAIRECORDSのみんなもこれからどんどん音源を出していく予定なので、もちろんそっちもちゃんと聴いていきたいと思います。マザレコメンバーの誠実で優しいけど、そこそこ人が悪いところ、本当に最高です。

 

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もつ酢飯のリリックはこちらで読めます。

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オンリーワン文化系ラッパーたちとアイドルラッパーたちの競演 "tapes lounge" @中目黒solfa

音楽 アイドル

 校庭カメラガールツヴァイ(以後コウテカ2)、校庭カメラギャル(以後ウテギャ)、もるももる、colobs、faelaが所属するインディーズレーベルtapestok recordsの主催企画。

tapestok records | Free Listening on SoundCloud

 1月30日にセカンドEPシューマッハ、4月にはアルバムとリリースの続くウテギャがこの日のOPとトリ。

 会場の中目黒solfaはクラブミュージックに強い箱のようで、入り口のガラスのドアや、メインフロア奥に用意されたイスと小さなテーブル。そしてバラエティー豊かなアルコールメニューと、瀟洒なバーのような雰囲気。ライブハウスと違ってくつろぎながら音とお酒を楽しむ場という感じ。

 この日のブッキングも通常のアイドルイベントとはちょっと違い、ソロラッパー4人にアコースティックギター1人、アイドルラップユニット2組という顔ぶれ。

ギャルトーク

 MCの下手なウテギャ2人のためのトークコーナーだとか。「最近何してる?」というラミタタラッタの振りに「夜な夜な男をくどいている」と答えるパタコアンドパタコ。ゆるくソシャゲの話で盛り上がる。微妙な表情で見守りつつ、ちゃんと反応してあげるオタクの健気さに胸を打たれる。

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maco marets

 20代前半と思われる男性ラッパー。細身の体にジャジーなトラック、そして何気ない日常の情景を気負いなく描くリリック。聴きながら佐内正史平間至の写真を連想する。

 MC中に「前も出させてもらって。その時、アイドルのお客さんっていいなって思って。『ぼくはかわいい女の子じゃないですけど』って言ったら『かわいいよー!』って返してくれて。そういうあったかい感じが」という言葉に、「かわいー!」の合いの手。うん、かわいい。余談だけど、彼のライブをアエロさんがうまく言語化していてなるほど。同じライブを見た人の感想はいつでもいくらでも読みたい。

 

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ORANG PENDEK

ORANG PENDEK

 

 

 次の演者の前に、つなぎでハハノシキュウのフリースタイル。「フリースタイルダンジョン呼ばれてない!」「フリースタイルダンジョン呼ばれてないイベントにも呼ばれてない!」「ジブラの箸投げたやつらというライン、ずっと日本人だからわざとそうしてるんだよって言ってたら、ツイッターで勘違いだって謝ってた!」など、サービス精神旺盛なラインに笑ってしまった。

Vivid Jas

 tapestokのディレクターであり、リリックの担当者。DJからフリースタイル、オリジナル曲、Curtain Callの原曲という流れだったかな。やっぱりクルーのもとになる人なんだなというのを確認。そして、このリリシズムがアイドルと出会えてよかったなというのも改めて実感。

隼マサカド

 ポストロックバンドcolobsのボーカル&ギターであり、コウテカ曲として、Where the Wild Things、Unchanging end Roll、iUMなどを手掛ける隼マサカドのアコギ弾き語り。ふくらみのある声、宇宙や透明といった抽象度の高い歌詞、そしてギターの無理のない演奏が心地よい。Where the Wild Thingsのセルフカバーも聴けた。

 

【MV】ぼくたちの流星群 / colobs

音像とコスモス

音像とコスモス

 

 

春ねむり

 「ロックンロールは死なない」Tシャツで登場。「ジャンルはヒップホップで、こころはロックンロール」とある通り、泣き出しそうなのに強い意志の宿る声や、ステージから降りて客をあおる姿、怒りを覚える対象に対する辛辣なMCは少し前の大森靖子を思い出させる。誰かに似ていると言われるのは本意ではないだろうけど、猿真似というわけではなく、表現のための最適を追求し続けた結果としてそうなったという印象。
「ずっとずっと夢を見てる」「ロックンロールは死なないよ」というサビが声色とともに耳に残る。この日はMCで蔦谷好位置プロデュース「さよならぼくのシンデレラ」のMV制作に関するクラウドファンディングについて説明していて、マネージャーが懸命にチラシを配っていた。


BAYCAMP2016 TIP OFF ACT 春ねむり(完全版)

 

さよなら、ユースフォビア

さよなら、ユースフォビア

 

 

ハハノシキュウ

 最前が女の子10人ほどに入れ替わる。咆哮系ラッパー2人目なんて書くと怒られるかな。ただ、春ねむりが歌詞には属人的な言葉を使いながら、大きな救いを歌うことに挑戦し続けているのと対照的に、ハハノシキュウは歌詞にあまり一人称を用いず、顔をキャップとマスクで隠し、地声をつぶしたしゃがれ声で、語るほど結論から遠くなるようなリリックをラップする。以前「僕の私小説は語るに値しないくらい空っぽだから」と書いていたけど、その思想が外見にも反映されているのだろう。ただ、一人MCバトル(客席からお題を募って披露するフリースタイル)という余興を挟んだ後に披露された「ストーリーテラー」は明白な自分語りの曲。彼がこれまで見聞きしてきた現場の空気や感情の揺れが端正な言葉でつづられていて、描かれる風景に迷いがない。

 聴き終えた瞬間、ふいに高校・大学のころに春ねむりやハハノシキュウに出会っていたら「こんな人がこんな小さな場所で歌っていて、自分がそれを見ている」ことに優越感やいらだちを感じただろうと思う。神秘性の高いキャラクターなので、女性ファンが多いのもよくわかる。これも小さいけれどフリースタイルダンジョンの成果なのだろう。

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リップクリームを絶対になくさない方法

リップクリームを絶対になくさない方法

  • アーティスト: ハハノシキュウ,沈黙を語る人
  • 出版社/メーカー: インディーズレーベル
  • 発売日: 2012/05/11
  • メディア: CD
  • この商品を含むブログを見る
 

 

 

ストーリーテラー

ストーリーテラー

  • ハハノシキュウ
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥200

 

O'CHAWANZ

 コウテカ2メンバーがセカンドファクトリーに移籍して2人組アイドルラップユニットとして活動開始。赤チェックのワンピースののんのんれめると白のブラウスに若草色のスカートのしゅがーしゅらら。コウテカは世界観へのこだわりのためか、MCがほぼないのが常だったけれど、「今日で2回目のライブなのに、持ち時間が30分もあって……。でも、これはJasさんからの試練だと思う!」などの呑気なMCがほがらか。

 ただ、曲が以前同事務所に所属していた双子のアイドルラップユニットMIKA☆RIKAのカバーだったのはやはり気になった。技術的にも声質的にも問題はないと思うけど、何せMIKA☆RIKAのイメージが強すぎて。オリジナル曲が増えれば安心して見られると思うのだけど。恋愛サーキュレーションのカバーはとてもかわいかった。

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校庭カメラギャル

 

 事前のツイッターでのあおりから、1曲目から新曲「ギャルバーガー」投入。ミクスチャーロックというジャンルらしいけれど、攻撃的な音でオタクの熱量がガーッと上がるさまがすごかった。

 改めてウテギャは不思議なユニットだ。冒頭でたわいもないトークを繰り広げていたほわっとした女の子2人が、ステージでいきなりキレ気味に客をあおりだす。時には客へのdisも交えて。それに答えるように熱量をあげていくオタク……。やっぱ、ちょっと特殊。

 でもパタコやラミタのヤケクソ気味のラップには嘘がない。普段はおとなしい女の子たちの中に宿るルサンチマンや衝動を、「disるアイドルラップ」という形式が引き出している。

 E-TICKET PRODUCTIONプロデュースのライムベリーにも挑発的なリリックはあったけれど、あれは小生意気の範疇。コウテカのdisは歌詞の属人性が低いために言葉遊びの一環という印象。

 しかし、ウテギャは
「音楽知らないから 首降らずカカシ 今日もつぶやく音楽の話 と見せかけてただのアイドルの話」
「別にここは君の夢を再現する現場じゃないんだよ うっさいなもう黙ってろよ」
「おいそこのおっさん背後に気をつけな」

などと過剰に目の前の客に対して攻撃的なのだ。それを面白がるオタクとアイドルの不思議な共闘関係。

 1曲目から最後まで盛り上がりの途切れないステージで、終わった後のオタクたちのイイ顔ぶりが光っていた。

 

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 体調不良のために終わってすぐに帰宅したけれど、世界観をしっかり持ったアーティストばかりで全組楽しめた。

 日頃アイドルアップと日本語ラップは互いを別物扱いしている印象で、どちらも好きな立場としてはちょっと寂しい。別にハマらなくてもいいので「あっちはあっちで面白いことやってるんだな」と思ってくれる人が増えないかなとは思っていて、このイベントはまさにそういう内容だったと思う。主催イベントは大変だと思うけれど、またtapestok recordsにこういう企画をやってほしい。

#日本語ラップ批評ナイト vol.2面白かったです

音楽

会場は文禄堂高円寺店。書店員兼ラッパーの有地和毅さん主催イベント第2回。

あの小さな店舗にどうやってイベントスペースを作るのかと思ってたら、コミック売り場と文庫売り場を潰してイスを並べるんですね。街の本屋の土曜の夜に、なかなか思い切ったレイアウト。

韻踏み夫さんが詳細な書き起こしに着手しているようなので、学術的価値のある記録はそちらにお任せするとして、当日の現場の空気と雑感を少し。

オープニングから主催の有地さんの「今夜日本語ラップ批評が始まると言っても過言ではない」という趣旨の演説。さすがラッパー、言いたいことがたくさんあるんだなあという長さ。

最初に挙手で1回目に来た人を聞いていました。全体を見渡せる位置ではなかったので正確なところはわからないけれど、おそらく10人いないくらい。

前半は磯部涼さんのレジメを基調にした日本語ラップ批評の歴史について。

近田春夫×いとうせいこう対談から、FRONTでの佐々木士郎の連載B-BOYイズムの話へ。

途中に「LB関連は?」と言われた磯部さんが「それは完全に手打ちです」と返し「佐々木士郎が作り上げようとしてきたハードコア史観についての資料」とつなぐ場面がありましたが、全体的に日本語ラップ批評における宇多丸さんの重要性を確認するような内容でした。

他には「FRONT」および「BLAST」が権威になってしまい、アーティストと共依存的な関係に陥り、ジャーナリズムあるいは批評としての役割を果たさなくなってしまうまでの過程や、アメリカの情報誌についての話なども。

前半は基調報告から各人の批評の方法論を語る流れに。後半は質疑応答という構成でした。

振り返ると各登壇者の批評への距離感や方法論がわかりやすく理解できる内容になったのではと思います。

佐藤雄一
詩人であり現代詩手帖に「絶対的にHIP HOPであらねばならない」という連載を持っていた佐藤雄一さん。模様のようなリリックという表現を軸にKOHHを語った、ユリイカ掲載の「なぜ貧しいリリックのKOHHを何度も聴いてしまうのか?」でお名前を存じていたのですが、さすが詩人だけあって言葉の使い方がドラマチックでした。

日本語ラップ批評とは二文字であらわすことができるんですよ!何だと思います?『でも』です。批評は『でも』から始まるんですよ。『でも』の続きを考えるのが批評。いいね!より短い」という啖呵を切ったり、「なんで批評をやるのか?」という来場者からの問いに対して「感染したからですよ!」と答えたりと、「批評に囚われること」の快楽を饒舌に語る様が印象的でした。

togetter.com

中島晴矢

現代美術家でラッパーの中島晴矢さん。インスタレーションの一部に自分がラップする姿を組み込んだこともあるとか。中島さんは年代的にBLASTの連載はリアルタイムでは読んでいなかったものの「曲を通してライムスターに説得されていた」ことが、自身がプレイヤーとして日本語ラップに参加するきっかけになっているとか。

これ、何となくわかります。磯部さんがトーク中で「常にお前はどうだと問われる」と表現していたけど、ヒップホップって何故か「参加しなくてはいけない」気にさせられますよね。敷居が低いのも大きいのでしょうが。

www.youtube.com

韻踏み夫

私批評から離れ、文芸批評の方法論で韻の構造について語る韻踏み夫さん。印象的だったのは、SEEDAが般若のリリックについて「一回目が表で二回目が裏」と話していたけれど、それをうまく説明できずに終わっていたのを見て、自分が言葉にしなくてはと思ったという話でした。当事者すらうまく語れない「そこで起こっている何か」について言語化するというのは、たしかに評論家の仕事ですね。

bobdeema.hatenablog.com

磯部涼

自分はあくまで音楽ライターで批評家ではないという磯部さん。「スタジオに行ってアーティストに話を聞いたことを大きな言葉で書くことに限界を感じた。それなら面白いアーティストを自分で探したほうが自分の原稿が面白くなる」という話と、「川崎」について、どなたかに「今度はこれから音楽をやる子の話を書き始めたんだね」と言われたのがうれしかった」というお話が印象的でした。

cakes.mu

吉田雅史

ビートメイカーとしても活動する吉田さん。基本的に司会としてお話を回す役割に徹されていましたが、印象的だったのはビートを語る言説がないという指摘。ビートメイカーがビートメイクの方法論を語る場が必要という話は、質疑の際の「日本オリジナルの強いビートが(国際的に伝搬していくような)ない」という問いを引き出していたのではないかと思います。「ビートメイカーにとっての勝ちはフォロワーを作り出すこと」「日本国内で完結したガラパゴス化したものになっていないか」という話から「アメリカなんか自分の州の曲しか聴かない」「批評家としてはオリジンは存在せず、必ず何かの影響を受けているという立場になる」という議論が生まれたのが面白かった。誰がどのビートに影響を受けているかなどを語ることでこれまでとは違った文脈が見出せるのではないかという話、とても刺激的でした。

school.genron.co.jp

このほか、佐藤さんの「今はラッパーがロックスターを目指している」という指摘は、「日本語ラップの今後」につながる部分だと思うので、もっと掘り下げることができるのではないかと思いました。

余談ですが、佐藤さんがいきなり「今日神戸から来てる高校生!俺のギャラあげる!」と言い出して本当に渡しちゃったり、その「共通一次を終えてここに来た」という高校生に登壇者が皆興味津々で質問したり、質疑でフリースタイルを披露する人がいたりと、なんだかファニーというかチャーミングな場面も多くて、そういう意味でも楽しかったです。ちなみに質問したラッパーさんは佐藤さんに「長いよ!16小節にまとめろよ!」と言われてましたが。

私が「音楽を文字で表現するにはどうすればいいか。専門用語の羅列になってしまうと伝わらないのではないか」という質問をし、流れで「アイドルラップが好き」という話をすることになったのですが、そこから佐藤さんが「ライムベリーのMIRIちゃんがね!ライブでCOMA-CHIのB-GIRLイズムをカバーしたんだけど、その時にMCでそのことを言わなくて、B-BOYイズムだって話になっちゃってCOMA-CHIが怒ったんですよ!」と言い出して「何を言い出すんだ?」と思ったら、「吉田さんはそのことについて話してください!」というフリに、吉田さんが「え~?」という顔をされたの今思い出しても笑ってしまいます。

トークイベントも一種のセッションだと思うので、そういう意味ではとても面白いイベントだったのではないでしょうか。

批評の批評にとどまっていて物足りなかったという指摘が多かったようですが、私自身は自分も書く側なので学ぶところが多かったです。二次会で伺ったお話も含めて、自分のやりたいことややらなくてはいけないことがはっきりしたように感じました。

ところで、韻踏み夫さんが「雑誌を出す」旨を発表していたのに、まったく話題になっていないのがもったいないので、概要が決まりましたらまた盛り上がっていきたいなと思います。

しかし、磯部さんの「ヒップホップにとって最も美しいのは、自分の生まれたところで仲間の作った音楽をずっと聴いていくこと」という言葉は忘れられません。ジャンルの限界という意味も含め、あまりにいろいろなことを考えてしまう。また、客席にサイファーを見学もしくは参加したことがある人がほとんどいなかったのがちょっと意外でした。

(まったく個人的な話ですが、終電を逃して結局始発まで呑み屋にいて、湘南台でやっていた川崎のぼる×ビッグ錠×南波健二のトークイベントを逃したのだけは割とかなり後悔……)

togetter.com

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ユリイカ 2016年6月号 特集=日本語ラップ

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ゲンロンβ11

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