ホンのつまみぐい

いろんなもののファンをやっている人が、日々のよしなしごとを綴っています。

ヤバい遊びが生まれる現場は進化を止めないやつらがいる Tinpot Maniax vol.4

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 開会宣言で「キモオタクの皆さんの時間はこれで終わりでーす!」というホストMC、ヤボシキイくん。

声豚ラップの第1人者、ぽ太郎さんのアニソンDJの後の言葉だった。チンマニの人脈はオタクがメインだから、当然アニソンDJはペンライトつきでわっと盛り上がった。ちなみに、ぽ太郎さんは、机にしまわれたままのラブレターを開帳したようなエモーショナルなアルバム「One Cours One Life」を5月に配信しているので必聴。

ぽ太郎 One Cours One Life

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※当日のDJMIX

言うまでもないけれど、ヤボシくんの言葉はぽ太郎さんのDJを否定するためのものではない。続く言葉はこうだった。

「キモオタクがラップすんのって全然珍しくねえし、ダサくねーかーー??」

「俺たちは楽しいことやってるから特別なんだろーー!オタクでもラッパーでもいいよ〜〜!」

1年前の第2回チンポマニアックスは、「オタクがラップする」イベントだったし、本人たちもそう言っていたのに、そんなアイデンティティはもう過去なのだ。

この日の最初のライブは運営のJabvaraさん。自作のトラックの上で新曲をストイックに歌いこなす。

MCは「昔はダンスやっていたけど、大学に入って辞めてしまって、こいつらと会ってまたヒップホップをやるようになった。おれは一回あきらめちゃったけど、また出来てうれしい」という話。最後が「初めて会った時はみんな学生だったけど、今は社会で一緒に戦っていく仲間として」というMCから、ヤボシくん、ムノウちゃんを交えてのマイクリレー曲で〆たのも熱かった。

お次はゲストライブのALSEADさん。メロウなビートに端正なラップがかっこいい。
「音楽にはつらいことを反転する力があると思うんですよ」というMCからの呼煙魔beats「PAin’S LEAkeD」で〆。

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そしてチンマニ名物パンチラインカウント制バトルは今回30秒2本。第1試合、いきなりフリージャズ調のピアノではじまって、うろたえるオラディーさんと遊牧民さん。しかし、遊牧民さんが応援団仕込みのバイブスというか大声で勝利


1回戦はほぼ全員ビートに乗れずに、いやビートと呼べるトラックがほぼかからないまま終了。そして、これまでのチンマニの伝統にならい、ヤバいこと言うと点が入るパンチライン制にひっぱられた性癖暴露が続いた。

誰のか忘れたけど、「ツイッターがなかったからイキリオタクになれなかっただけだ!」「お前はもっとキモくなれるぞ!」はチンマニらしいライン。男子校ノリで自分をさらけ出すバトル。

ちなみに、この日は搬入前にパソコンが壊れてしまったDocmanjuくんが、iphoneをいじりながらビートを流していた。

KATAOKAさんによる日本語ラップセットDJでひとしきり盛り上がって、お次はもつ酢飯のライブ

メイド喫茶のような衣装で、もつ酢飯のifユニット「チョコレートマカロン」として登場。チョコレートマカロンは、「ユニット名の由来がふたりの好きな食べ物」というもつ酢飯が「もっとかわいい食べ物の名前をあげていたら」というifをもとに出来た架空ユニットで、同名の曲もある。

おとめちっくサブカルな「チョコレートマカロン」から、「But、無理isよくない」を歌い終えていきなり「もうやってらんねー!」「無理はよくねー!」「私がワッショイサンバだー」「私がムノウだー」「チョコレートマカロンは死んだ!」という茶番から「もつ酢飯のテーマ」「ブラック・リフレクション」「服屋ウォーズ」。ラップはもちろんだけど、「女の子!」「男の子!」「1階席!」「2階席!」とか、煽りとMCがずいぶんうまくなって、自然に盛り上がるようになっていて驚く。お遊戯会みたいな衣装だったけど、ガチ感出てきた。

 

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お次は茨城県古河市から来たOLD RIVER STATE。イキのいい、フィジカルの強いラップ。音もふるまいもヒップホップという言葉から連想される、どこかぶっきらぼうな感じがつまってるけど、陽性の楽しさとパワーがある。メンバーの声がそれぞれ特徴的で、マイクリレーも聴きごたえがある。

「おれらは音楽のオタクだー!」と叫んで、チンマニのバトルを「自分の持ってるものを引き出すのが大切なんだなって思いました」という好意的な言葉で表現してくれた。

オープニングのぽ太郎さんのDJについて「叫ぶ時になったらブースの前に行って叫ぶってのが、ヒップホップと一緒」と話してから、コーレスを誘ってくれた。演者の熱とフロアの熱がブワッとぶつかるような盛り上がり。こういう熱気が波みたいに押し寄せる現場、いいなあ。

OLD RIVER STATEの力はもちろんだけど、なんだか1年たってオタクの方もヒップホップの盛り上がり方についての心得てきたような気がしてきて、これは場の成熟じゃないか?

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Spikez, Batz & Sluggaz

Spikez, Batz & Sluggaz

 

 

ライブが終わりDocmanjuくんが「PCが壊れた悲しさを曲にしようと思ったけど、楽しくなっちゃったから作れない」と一言。

そして、バトルの後半戦。ゲストのALSEADさんが途中参加で、「〇〇が性癖」という自虐パンチラインで押し切って優勝。〇〇の中身は現場だけの秘密。本来なら笑ってしまうのが申し訳ないような内容だったけど、めちゃくちゃ面白かった……。まさしく「音楽はつらいことを反転する力がある」の実践。

そして、Docmanju×ヤボシキイのユニット・大丈夫音楽。ジャンル的にはエレクトロノイズでいいのかな?PCが壊れて思うような音が出せないDocmanjuくんと、相変わらず歌詞を飛ばすヤボシキイくんというほつれのあるライブだったけど、一方でつきあいの長いふたりのお互いに対する理解の深さが感じられてちょっと微笑ましかった。今度は両者ベストコンディションで観たいね!

 

お次はセッションの時間

「能動的に音楽を摂取してもらうというやつです」という案内があったけれど、要は100均で買った日用雑貨をみんなで叩くだけというやつ。バケツ、手鍋、布団ばさみ、ビニール袋をもってみんなで好き勝手に叩いてガサガサ音を出していく姿は原始のお祭りみたいで、ノッた時のソウル・フラワー・ユニオンもしくは渋さ知らズの現場を思い出す。どんどん壊されていく100均雑貨の有様も馬鹿馬鹿しくて最高に盛り上がった。


最後はDJJabvaraの「オタクはBPM速い曲が好き!」というMCからエレクトロ中心のDJで終了。

すごいな、今までで一番ちゃんと音楽イベントになってるし、同じことやってない。1年前、ふらっと観にいった時から比べると不思議な感じだ。

その間にヒップホップで金を取る人が増えてくるわ、音源はどんどんドロップされるわ、すごい勢いで場が変化していく。

こんな場、変わりはないな。次どうなってるか予測がつかない。主催はもっと面白いことやりたいみたいなので、次からでも目撃者になりたい人は遅くないと思うよ。

 

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MAZAI RECORDS audiomack

ラップ・ミュージアム RAP MUSEUMにて特別映画上映「サウダーヂ」を観た@市原湖畔美術館

市原湖畔美術館、あまりにも遠い。

東京駅からの高速バスを降りて、バスターミナルから事前に呼んでいたタクシーに乗り込む。山道を行く車の車窓から外を眺めると、「ぞうのくに」という看板が見えたので、思わず運転手に声をかける。

「『ぞうのくに』って何ですか」

「象が10頭以上いるんですよ」

「えっ……」

「このへんの子に描かせると、みんなうまいこと象を描きますよ」

「へえ……」

巨大で賢い象の飼育はとても難しいと聞く。それなのに、その象ばかりが10数頭いるなんて、どんな施設なんだ。

「ぞうのくに」の看板を通り越し、湖にかかった橋を渡ると、左手に白鳥ボートが見え、目的の市原湖畔美術館についた。現代的な建物の右手には巨大な湖が見える。曇天にけぶるその風景は、まるでイギリス絵画のようで、象のいる施設、人気のない白鳥ボート乗り場と合わさって非現実的だった。まるで涅槃だ。

建物の中に駆け込むと、そもそもの目的だった映画・サウダーヂはもう始まっている。

東京駅から高速バスで何時間。バスターミナルを降りてさらにタクシーという立地のこの場所のイベントに行くには、交通機関の乗り遅れが許されない。私も念を入れてかなり早めにバス停留所に来ていた。

しかし、停留所が2ヶ所あり、時間ごと順番にバスが止まることを知らずに待機していたら、あっさりバスに逃げられた。いや、私京成バスの人に何度も確認したんですが……。「おっさん! ここでいいですよねって画面見せながら聞いたやんけ!」と、思わず頭に関西弁の罵倒が浮かぶが、逃したものは仕方がない。映画は途中からとあきらめて、まずは展示に目を通す。

入口はサイプレス上野の部屋の再現。1980年生まれのB-BOYの部屋には少年時代からの蒐集品と、今の彼らの活動の片鱗が混ざり合っている。ひときわ目立つスチャダラパーのポスターに、レコード、CD、テープ、マンガ、雑誌、古い写真などなど。

大量のヒップホップ関連品の中に、町内会の広報が何気なく貼ってある。7月のドリームハイツ夏祭りでのサ上とロ吉のライブの様子が載っていた。

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上熱大陸 @ドリームハイツ夏祭り2017

奥に進むといとうせいこうの東京ブロンクスが聴こえてくる。展示の中で最も独自性の高い内容と思われる、フロウの可視化だ。小節ごとに言葉がどのように配置されているか、韻がどこで踏まれているかがパネルの上に表示されている。パネル横にはヘッドフォンが設置されており、該当のラップが流れる。歌唱に合わせ、矢印が歌詞を指し示してくれる。

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ラップにおける「乗せる」「ハメる」の概念が一発で理解出来る。各MCの言葉の詰め方や韻の置き方を見比べることで、漠然と個性やクセと呼ばれていたものが可視化されている。批評的価値が高く、なおかつラップの面白さを門外漢にも理解させやすい。これこそ学問の仕事。

音楽の構造を理解するための手がかりといえば、KOHHの曲を分解した展示も面白そうだったけれど、触る時間がなかった……。

リリック帳の展示はノートや原稿用紙など、ほぼ紙だったけれど、今はスマートフォンのメモ帳に書いている人も多いと思うので、そこはもう少し世代差のある人を入れて欲しかったかな。

階段を降りて地下に行くと、カセットテープ、レコード、Tシャツ、フライヤー、雑誌、書籍などの展示。じっくり眺めるヒマがなく残念。

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 そして、VRゴーグルをかけてサイファーができるという空間。あらかじめ撮影したサイファーの映像が流されていて、そこに割り込める仕様らしい。私は体験しなかったけれど、サイファーに参加するのはけっこう勇気がいるので、味わってみたい人にはいいかも。

※下記の記事から実際に会場で流れている映像が閲覧可。

www.360ch.tv

B1Fで印象的だったのは、磯部涼ルポルタージュ「川崎」連載時に掲載されていた写真のパネル。おそらくBADHOPの川崎チネチッタでのフリーライブの写真だと思うのだけど、若者たちが柵に捕まりながらステージを見上げる写真が強く印象に残った。全体的に青味の強い細倉真弓の写真は、明け方の空の懐かしさや冷たさを連想させて、ヒップホップを記録するのにふさわしい美しさがある。

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また、「女性ラッパー」というテーマで取り上げられていたRUMIとCOMA-CHIへのインタビュー映像で、COMA-CHIが女性が増えてきた今のシーンを肯定的に語るくだりに胸が熱くなった。

奇妙なインパクトがあったのは壁に貼り出された来場者アンケート。

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「ヒップホップだった瞬間」には、憧れの人のライブを見た時や自分の活動のことを書いてる人もいれば、橋の欄干でノグソしたとか、ケンカ売られたけどひるまなかったとか、給料踏み倒されたとか、自身の野生的な経験を書いてる人も多かった。それはただのひどい目にあった自慢、ボンクラ体験自慢では……。いや、そういうものなのか。

「展示を見て生じた感情を書かせて壁に貼る」というしかけはよくあるけれど、これはどちらかというとファンジンなんかにある「好きになったきっかけは?」「どの曲が一番好き?」への回答が書かれた参加者紹介ページというノリ。あるいは昔のインターネットでよく見かけた「〇〇好きへの100の質問」か。ああ、つまり結果としてファンの可視化になってるのか。

 

ざっと展示を見てから上映会場へ。サウダーヂは建築業が衰退した山梨の町を舞台に、閉塞感漂う人々の日常を納めた映画だ。

生業と平行しながら撮影をしているため、制作には1年半を要している。登場人物の多くはスタッフの友人・知人を頼っており、今も山梨で生活する人が多い。

カメラは劇映画的な美しい風景を捉えず、地方の町の生々しいリアリティを映す。光がさすごと、ふりつもったホコリが浮かび上がってくるような古い街並みや店先の画から感じられるのは、懐かしさではなくわびしさだ。一方で、登場人物が幻覚を見る場面では、レンズを単色のセロファンで覆って撮影したような、チープであざやかな画が映し出される。

山梨出身のラッパー・田我流は、地元の町に進出する移民たちに激しい憎悪を燃やし、急速に右傾化していくラッパー・猛を演じている。

率直に言って、観ると憂鬱な気持ちになる映画だけれど、その生々しさからは目をそらせない。


映画『サウターヂ』予告編

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上映後のトークには監督の富田克也、脚本の相澤虎之助、主演の田我流が参加。磯部涼が司会を務めた。

トークでは、映画制作の裏話、2011年の公開時から現在までの変化についてなどが語られた。

サウダーヂの公開は2011年11月。東日本大震災直後に公開されている。

6年後の今を語る言葉として下記のような話が出た。

「公開当時鼎談で『ひとつ苦言を呈するなら、類型化されすぎているのではないか』と話したが、レイシズムや排外主義の横行により、社会そのものが類型化している」(磯部涼

地元の20代の若者と話すと、感覚がまるで違う。ぼくらは落ちていく最中を見ていたけど、彼らは、ずっと落ちた状況を見ている。もし続編を作るなら彼らの世代を書かなくては」(冨田克也)

「(映画は移民を排斥する場面があるが)若い子にとっては、移民の子がいるのは当たり前になっている。次に制作するならそういう世界を描くことになるだろう」(相澤虎之助)

また、冨田監督は「バンコクナイツを作り終えて、見方が随分変わってきた。改めてサウダーヂを観て、意地の悪い映画と感じた。当時はそんなつもりはなかったけれど」「(当時の)知事に『これは裏の山梨ってことで』と言われて、当時は反感しか持たなかったけど、今見ると『そうですね』と思う」と話していた。

制作についての裏話としては、作中に登場する日出ずる国、大和魂などという言葉がちりばめられた愛国ラップのリリックは磯部涼が協力して書いたという話や、田我流が台本を覚えようとしたら、前日に「覚えなくてもいい」と言われ、かなりアドリブで撮影した話や、あまりの適当さに現場に来た磯部涼が驚いた話などが紹介された。ちなみに、UFO-Kは甲府アナグラム。アーミービレッジのラッパーたちの名前は、武田二十四将から取っているそうだ。

各人が主に山梨で働きつつ、地元の町を取材しながら制作するという空族の方法論についてもさまざまな話が出たが、下記のインタビューやちょうど先日発売されたAERA掲載の「現代の肖像・冨田克也」と重複する部分もあるので、割愛。

www.mammo.tv

AERA8/28号

AERA8/28号

 

主演の田我流の言葉はいちいち印象的だった。

磯部「映画に出てくる空き地のスケールがデカイよね。田ちゃんがそういう中で暴走族に会うとナウシカ王蟲みたいなパワーを感じてうれしくなるって

田「今でもそういうことあるよ。『今日は暴走族来るってよ!見に行こ!』みたいな」

田「出口のない話だと思うけど、現状を知るにはいい映画だと思う。あれこれ言うけど、いろんな国の人が来ないとやっていけないし。都内のコンビニは中国の人ばかりでしょ。あと、ギャグが面白いよね。現状が行き止まりでも、面白い瞬間はあるというか。生きてる人に罪はないし、いつでも一生懸命生きているから」

田「(ロードサイドの郊外化がもたらす風景の均質化について)オレはけっこう楽しんでるよ。『おっ、この道の感じは、次は松屋が来るぞ!当たった~』みたいな。ドンキの駐車場にいるやつの顔を見ると、街の質がわかる。『ここはヤバいな』と思ったら、そういうところはいいラッパーがいるんだよね

田「ぼくらは山梨の記録する係みたいなもんなんで。あ、これなくなったなとか。いろんな街に行ってライブするけど、元気、どんどんなくなってるよね。今の若い子のリリックを見ているとAKIRAを感じる。ハイになりたいみたいな。そういうのをニヤニヤしながら見ていきたいなと。『あのおっさん、まじイカれてるな』みたいな感じで

記録する係……。叙事詩人なのか。自我から少し離れたところに、表現に対する責務を感じているというのが印象的。

トークが終わり、帰りのタクシーを待つ間に、少し美術館の人と話をする。今回の展示は、ヒップホップ好きのいち学芸員が企画したということだった。あとで過去の企画展を調べていて「開発好明:中2病 展」ではYOUNG HASTLEが音声ガイドに起用されていたことを知り、伏線に笑う。

夏休み中なので、けっこう子供たちや近所の年配の方も訪れているらしい。そういえば、この時期の地方の美術館は子供向けのフレンドリーな展示をしているところも多いのに、ここではなんだかんだ不良であることも強みに出来る文化を本気で展示していて、ちょっと面白い。会期中のワークショップにも幼児から小学生までを対象としたものがいくつもあった。

「彼女は、展示用のTシャツを大切そうに眺めていましたよ」という美術館の人の話にちょっと胸が温かくなる。ただ、その熱意の展示が、一部で「東京でやってくれればいいのに」と言われていたことを思い出して、勝手にちょっとイラッとした。地方がいくらがんばっても、結局東京なのか。

帰りのタクシーとバスの中で、CDTVの収録のために東京に来ているというライムスターファンの方とお話しする。Mummy-Dのリリック帳を観に来たのに、展示されていなくてショックだったとか。9月頭には展示されていたようなので、9月6日発売のアルバム関連のリリック帳だったのだろうか?

行きは電車を乗り継いで来たという彼女は、途中で「歌声列車」というものを観たらしい。先頭1両だけ「歌声列車」として運行しており、外から列車の中でアコーディオンを演奏する人が見えたとか。市原に対する涅槃浄土の印象が再度更新された。

lsm-ichihara.jp

 

9月3日~7日の現場

9月3日

涼しくなったせいか、犬の急逝のせいか。やんわりと人恋しくなってきたので日ノ出町試聴室へ。黄金町からの移転後はじめての訪問。

以前なら喫茶へそまがりが人恋しいときのひまつぶしの場所だったのに、なくなってしまってやっぱり寂しい。前日にカレー会(MAZAIRECORDSメンバーが聖蹟桜ヶ丘でやっているサイファー)でたっぷり好き勝手叫んできたのに、犬の死からなかなか元気になりきれない。

試聴室の演目は「大谷能生(サックス)×トオイダイスケ(ピアノ)」の、のんびりしたセッション。1000円ワンドリンクというお手軽な値段が、気分転換にはありがたかった。

日ノ出町試聴室は古いビルの2階にあり、中に入ると暗い照明に木の床が落ち着く品のいい喫茶室になっていた。京浜急行高架下のコンクリ打ちっぱなしにガラス窓のほったて小屋での営業を思うとずいぶんライブバーらしい風袋になっていた。

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机とイスがたくさんあるので、本を読んだり文章を書いたりしながら演奏が聴ける。贅沢だ。気負わないセッションの合間に入る雑談が楽しい。

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エヴァンス麻薬中毒の中でこの曲を作って、もっとも時間をかけた自殺って呼ばれたんだよね。ははは」

「この曲すごく理屈っぽくてさ、そこがね、いかにもエヴァンスで…!」

日曜午後の音響として最高の空気のゆるやかさ。

休憩を入れて3時間ほどの演奏が終わり、外に出るものは出て、残るものはマスターと雑談などを続けていた。

9月4日

ドミューンのECD特集を家事の合間に見た。

ECDの音楽には、いつもどこか懐かしい昏さがある。それはたぶん、大学生のころに見ていた小劇場などに通じているものだ。クラブミュージックあるいはR&Bという文脈から生まれる熱気や明るさと、少し距離のあるほの昏さ。どこか俯瞰的な彼の歌は朗読劇のようで、でも、不器用な熱量がある。

登壇者は磯部涼、二木信、石黒景太(ex キミドリ、ILLDOZER)、今里(STRUGGLE FOR PRIDE)、坂脇慶、佐々木堅人、高木完荏開津広スチャダラパーBose、ANI、SHINCO)、K DUB SHINE山崎春美(ガセネタ、タコ)、山本哲 & 有近真澄 & 池田敬太(ex 劇団 キラキラ社)、野々村文宏、宮里潤(編集者)、続木順平(QuickJapan編集長)、スチャダラパーDJ OASIS、田我流、YOU THE ROCK☆、YAS。各人の「この人のことを語らねばならない」「記録しなければならない」という静かな熱が伝わってくる。

どう見ても狭いドミューンの観覧ブース。ライブになって明かりが落とされると、狭い小屋の中で宗教行事が行われているように見えた。客席の声をあまり拾わないから、YOU THE ROCK☆の雄叫びのような激励も画面のこちら側には静かに響く。

この日のECDのアクトはDJ。それはそれで彼の体温や思想を感じられるものだったけれど、やはりライブは見られないのかなと少しさびしく思う。

最後に2015年のライブが再放送され、まだ太い首のECDがラップをする姿が映されて、そのくらいつくような声に少し泣きそうになる。そして、なぜか少し元気になる。

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21世紀のECD

21世紀のECD

 

 

www.ele-king.net

9月6日

タワーレコードビブレ横浜店でサイプレス上野とロベルト吉野メジャーデビューミニアルバム「大海賊」のリリースイベント。一足先にストリーミングで聴いたけど、「なるほど、ゴージャス」というのと「環境変わってもイズムは変わらないな」というのがおおまかな感想。アーティストがちゃんとプロダクトをハンドリングしていて、一時期どっと増えていたアイドルのメジャーデビューとは違うな。ちゃんとした感想は後日書くかも。

リリイベもスタッフが多く、普段はマネージャー一人、スタッフ一人みたいな地下アイドル現場にいるのでメジャー感にちょっとビビる。

8月23日にバイク事故で鎖骨を折り、前日はFMYOKOHAMAに出っぱなしのサイプレス上野がパッと見でわかるくらい疲れていてちょっと心配になった。反対にロベルト吉野は元気で、いつもより饒舌なくらいだった。

セトリは

ぶっかませ

メリゴ feat.SKY-HI

Walk This Way(アセ・ツラ・キツイスメル)

「ここに上野ってやつがいるってことを証明してくれ」というMCからの上サイン

WHAT'S GOOD

タワ横のスピーカーは相変わらず音がよくて、ストリーミングで聴くよりクラブミュージックとしての魅力がよく伝わる。メリゴ、生バンドのディスコっぽい曲調に、ワンダーホイールのリリックを引用したSKY-HIの甘い声のサビがロマンティックな、いわゆる踊れる曲。でも、上サインやWalk This Way(アセ・ツラ・キツイスメル)の方が「来た!」って感じがするな。

新曲はどれも手を振ったり、無理やり上サインさせたり、客を巻き込むリアクションが用意されている。

帰宅してからメリゴのMVを見る。

一見かわいい人形劇なのに嘔吐するシーンがあって、ゲロの処理の仕方にちょっと出崎統のアニメを感じた。あしたのジョーには矢吹丈が嘔吐する場面があるのだけど、そこで出崎統はリアルなゲロを吐かせず、光をあてて嫌悪感をもよおさないような演出をほどこしている。こんなところでつながるマイフェイバリット。

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メリゴ feat. SKY-HI

メリゴ feat. SKY-HI

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9月7日

寿町の水族館劇場「盜賊たちのるなぱあく」にて映像制作集団・空族の「FURUSATO2009」を観た。

水族館劇場についても、寿町についても、「FURUSATO2009」についても少し説明が必要だろう。

水族館劇場は巨大なセットを設置した野外劇を上演している劇団で、今回も寿町に小さな駅くらいの大きさの、朽ちた城のような巨大な劇場を建てていた。

寿町は東京の山谷、大阪のあいりん地区に並ぶ寄席場の1つで、大量の簡易宿泊所ではかつての港湾労働者や日雇い労働者が生活している。

「FURUSATO2009」は、「サウダーヂ」制作中の空族が、甲府周辺の町を取材した映像を編集したドキュメンタリーだ。そこには「サウダーヂ」同様、衰退する地方都市の一面が記録されている。

行き場のない、かつての労働者達の生活する町に建てられた、人口の廃墟の中で観る、閉塞感漂う町の映像。

これを「よいロケーション」と言っていいのか、どうか。

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開始時間は19時。会場を探すのに手間取ったこともあり、上映はもう残りの20分くらいの時間に到着した。

中に入ると、投げ銭制なこともあってか、けっこうな人数、日頃から寿町で生活しているであろう人が座っていた。社会派サブカルが観に来ることしかイメージしていなかったので、自分の見識の狭さにちょっと恥ずかしくなる。

地方都市の貧しさや立場の弱い人間の行き場のなさが続く映像を、まさに追いやられた人々が観ている。こんな寂しい映像より、スカッとする劇映画の方を観たいんじゃないだろうか。いや、そういう忖度はよけいなお世話か。

上映後のトークでは、サウダーヂの脚本を担当した相澤虎之助に、主催の桃山邑が話を聞く。

相澤は寿町でカンパのために毎年開催されているフリーコンサートに何度か来ていたという。自身も地方出身者であり、河原者という言葉を思い出させるような風袋の桃山は空族に共感するところがあったらしく、細かな質問を投げかけ、時に自身も饒舌に語っていた。

印象的だったのは、桃山の「栃木の農家がふるさとだったけれど、田舎には帰れなくなってしまった」という話。「帰れない」にはさまざまな要素が含まれるのだろうけれど、ふるさとがかつて歌われたような「帰る場所」でなくなってしまった話は、社会が喪失したさまざまなものを連想させる。

「フランスの戦後復興を担ったのは移民。しかし、彼らは郊外という檻の中に閉じ込められて、出世もできず、ジハードに向かってしまう。みなさん建築労働を一生懸命やってきたのに、ケガしても国家は助けてくれない。ぼくも最終的にケガしたら終わり。そういう人たちのコミュニティというか、溜まり場がバラバラにされている」というインテリゲンチャ桃山に、「甲府もそういうおっちゃんが溜まるところがほんとになくなっちゃって、酒呑んで遊べる場所がない」と素朴な言葉で答える相澤。

「空族の作品は世の中のどうしようもないものにきちっとカメラを向ける。でも、重くなりすぎない。観ててちょっと救われる」という桃山に、「けなしあったりしつつ、ちゃんとコミュニケーションを取る時間が大切なんじゃないか」と相澤が答えると、おそらく町の住民であろう、ボロボロのハンカチをリボンのように結んだ壮年の女性が「えっ?じゃあ、どうして、昨日の映画は殺しちゃうじゃないですか」と叫んだ。

前日に上映されていた「サウダーヂ」では、地元に住むラッパーがブラジル移民を刺し殺してしまう場面があるのだ。

相澤は「本当はお互いがわかり合うのが大切だと思っているけど、映画としてそういうところも描いている」と答え、桃山は「まあ、現実はそうなんですよね。そういうところをちゃんと描ける集団だと思った」と言葉を続けた。

女性は納得した風ではなかったけれど、その後何事もなくトークは進み、最後に相澤の友人だという山梨の弾き語りのシンガーが3曲ほど、これまた寂しい日常を描いた歌を歌ってくれ、イベントは終了した。

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なんだか妙な無力感を抱えてしまい、まるで1980年代のような寿町の街並みを観ながら家路についた。

追記:FURUSATO2009にも田我流が登場する。最初のカットでは、かなりの時間後ろ姿しか映らないのだけど、頭の形で田我流とわかるのと、相澤さんがこの日、彼のことを「若い子」と呼んでたのが少しおかしかった。たぶん、相澤さんは田我流が「若い子」だった頃から知っているんだろうな。

 

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校庭カメラギャルpataco&pataco卒業ライブ「GAL HANDS UP」

「どうしよう?泣けないんだよねー」と校庭カメラギャル(ウテギャ)のpataco&patacoは、自身の卒業ライブで繰り返し言った。上京して3年、校庭カメラガール(コウテカ)のぱたこあんどぱたことして活動して6ヶ月、校庭カメラギャルとして活動して1年5ヶ月。8月13日のライブは、その3年の集大成だった。

 パタコは校庭カメラガール(コウテカ)だった頃の自分を「コウテカのバックダンサー」と自虐的に語っていた。たしかに、コウテカだった頃のパタコ、そして相方のラミタタラッタは担当バースも少なく、はっきり言って影が薄かった。

 彼女たち2人が唐突にコウテカから分離して、ウテギャして活動することになるとアナウンスされた時は、正直運営の気まぐれに振り回されて2人とも辞めてしまうんじゃないかと心配になった。そして、ウテギャの活動開始から数ヶ月間、2人には3曲の持ち歌で15分のライブをこなすような日々が待っていた。ちなみにスタート時はビアファローを含めた3人組だったが、彼女が辞めてしまってその後はずっと2人組として活動している。

 この「ド地下で延々3曲」の時期の現場に私は行っていないのだけど、時折フォロワーのツイートに表示されるセトリを見て、こりゃしんどいなと思っていたことをよく覚えている。しかも、全然かわいくない歌なのに。

 しかし、2016年末のEP発売の案内を前にして少しずつ曲が増えていき、やっと1時間のライブをこなせる量の楽曲が揃う。EP発売記念の12月12日の新宿ロフトではライブで感情を爆発させる。

スマイル・アゲイン

スマイル・アゲイン

 

 

アルバムが発売され、ワンマンが終わる頃には、うまく自分を出せないちょっとぼんやりとした女の子2人はオンリーワンのラップクルーになっていた。

 しかし、パタコは母親の待つ岩手の実家に戻るため、東京を離れることになる。

東京に来てからもう何年が経った?
私が今やってることは間違ってるの?

-その程度

 会場は中目黒solfa。これまで何度もtapestok records主催イベントに使われた場所だ。開演から40分以上前に到着すると、まだ人が集まりきっておらず、百合や蘭があしらわれた豪華なフラワースタンドや、かつて生誕イベントに使われたタペストリーが会場に飾られていた。

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 小さな会場奥の使われていないバーカンが荷物置き場になっていて、イスに座れるようになっていた。開演までの様子をイスの上で眺めていると、プロデューサーのJasさんがテキーラを振る舞う。「もーすぐはじめまーす。今日はパーティーなので、盛りあがってくださ~い!」というJasさん。

 フロアがいっぱいになり、暗転・ミラーボールがついて2人が入場してくる。いっぱいのフロアを見ての感想か「やばくない?これ」とキャーキャー言う。

 自己紹介ソング的なボビーとシャンパンから、全然分かってないくせに分かってるぶってるおじさんウザい (re:gal)、ゴー!ギャル ~ほんとうのギャルを求めて~、ギャルバーガーと、盛り上がりやすい曲からスタート。「私じゃ無理だとかよく言ってたっけ 私を全部使い切ってから言えよ!」というゴー!ギャルの叫びから、間奏での「オーイェー!」。オタクも後を追って「オーイェー!」を連呼する。パタコの声がとにかく明るい。

 その後のチルチルイキルが終わってMC。

 いきなり「え、しゃべることなくない?」というあっけらかんとした言葉。タラちゃんが「パタちゃんTwitter消しちゃうので、みんな写真とか保存して!」というと、「みんなしゅきしゅきとかリプ送ってきてうるさいからさっさと消そうと思って」とニコニコしながら返す。

 ああ、そっか。パタコってこういうあっさりした子だったなあ。以前、ライブの後呑みで「ウテギャにガチ恋が増えない」とオタク同士で話していたけど、そりゃ増えないだろう。2人とも媚び方を知らないし、興味もない。でも、その嘘のなさがいい。

 第三段階はじめるよ-からストレイトギャルストーリー。ストレイトギャルストーリーは青春映画の挿入歌のようなさわやかな曲だ。

タラちゃんが「今まで悪口とかばっかりだったから、普通の曲がうれしかったよね!」と話す。

 そこからギャルトマホーク、ウインターギャル、ギャルドリームと暗めなトラックが続く。ギャルドリームの力強い「あのときのWOMBとは全然違う 私の声で声あげるオーディエンス」を受け止めるように声をあげ、その後の2人のシリアスなバースはしっかり聴き入るフロアの様子も美しい。
 このあたりから、定番曲をフロアが賢明に盛り上げるというより、二人の声に導かれるように盛りあがる流れに切り替わり、アクトにオタクが呑まれる場面も出てきた。

 そして、二人のための最後の曲。GAL HANDS UP。

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 多くの人にとって、ライブでは初めて聴く曲のはずなのに、すっと自然に聴き入る流れになっていた。メロウになりきらないトラックと暗くなりきらないリリック。

 そして、その程度、ゴー!ギャル、うざおじ、その程度と再びアゲ曲の続く流れ。なぜかゴー!ギャルの間奏でガチ恋口上を入れるパタコに笑ったり、「ラミタタラッタとパタコアンドパタコ 今はこの2人だ 輝いてやるぜ 戦って勝つぜ」でお互いの顔を見合わせる2人にグッときたりした。

 この日、Jasさんは何度もパタコのバースで音を抜いていた。それはライブ感の演出だけでなく、最後の別れのために彼女の声をはっきり聴かせるための配慮のようで、何となく愛情を感じる場面でもあった。

 そして、アゲ曲の間のMCで唐突に発表された「物販終わったらライブもう一回やる」という話。ちょっと首をかしげるが、以前校庭カメラガールツヴァイの解散ワンマンで、特典会が終らずに、後日わざわざ箱を借りて場を設けることになった失敗を踏まえていたのだろうか……。

 小さい箱でのライブとはいえ、最後と言うこともあって物販列もそこそこ長い。ライブをやる時間があるのか心配になったものの、とりあえず物販に並んでチェキを撮る。チェキでも、2人とも最後という感傷より「やったる!」という気合いを感じさせた。

 物販も落ち着いてきて、フロアに再び人が集まる。先ほどはずっと後方から見ていたけれど、最後は直前まで話していたヒとミさんと一緒にフロアで待機。すると、Jasさんが「今日の予約特典、まだ取りに来てない方は取ってってくださ~い」と案内が。出て来たのは2回目のふるまいテキーラ! そして、なぜか流れるHave a Nice Day!のLOVE SUPREME。ライブ前から高まるパーティー感にアガるフロア。

 かつてのコウテカのワンマンとはまた違ったどこか行き当たりばったりな明るさに、ウテギャらしさを感じる。というより、これがウテギャらしさだったのかと気づく。

 2人が入ってきて、パタコが「今日は卒業ライブに来てくれてありがとうございます! やっぱり泣ける気がしないな~~。たのしいな~~」という。MCでは、上京した頃に給料未払いの職場を皆でボイコットするところから始まり、流されるままにアイドルになったという昔話。そして、ウテギャを選んで続けてきた話。

「きっかけさえあればすごい変われるなって。こんなうちについて来てくれてありがと~~」というパタコの言葉を聞いて、「パタちゃんより先にうちが泣くよ~~」というタラちゃん。「あ、でも泣けないんだよねー? どうしよう?」という引き続きのひょうひょうとしたパタコの言葉から、GAL HANDS UP、ボビーとシャンパン。一度断ち切られた熱が上がり直すのに時間はかからなかった。

 そして、みんないい人だって言ってるけど実際はあいつサイコパスだしヤバいから、その程度。

 ギャルウォッシュ、うざおじと続いて、最後の曲ゴー!ギャル。沸き立つフロア。そして、もう一度ゴーギャルのサビが流れる。間奏でフロアにモッシュピットが出来たので、ウォールオブデスになるかと思いきやなぜかお互いが肩に手を乗せて電車ごっこになってたのに笑ってしまった。

 これで最後という言葉を聞いて、パタコTOのみちいぬさんが叫ぶ。「ぼくは3年間パタコを応援してきました!今日で最後だけど、みんなもっとパタコの声聴きたいですよね!」から会場中に響くパタココール!

 みちいぬさんはほぼすべてのイベントに参加し、動画を撮影してアップし続けていた人だ。濃い追いかけ方をしているのに、押しつけがましいところのない不思議な人で、この日の彼のコールも力強いけれど湿っぽいところはなく、それは何となくパタコの持つ雰囲気とも通じるものがあった。

 パタコとみちいぬさんはアイドルとオタクだけど、そこに存在したのは一種の友情と言っていい何かだったと思う。

 そして再びゴーギャル!からのその程度!

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 タラちゃんが「パタちゃんが3年間やってきてよかったと思えるような環境を作ってくれて、みんなありがとうございました~~」と叫ぶ。ラップの時の違ってふわふわした口調のタラちゃん。心細いだろうに、真摯で嘘のない声。

 「それでもそれでも光が見えるからやってきたんだ!いえーいー!」

 ルサンチマンの強いリリックのその程度を明るく堂々と歌い上げて、最後には「皆さんのこと大好きで~す! 日常は続くので生きましょう!」と言いながら去って行った。

 たぶん、成果だけを取り上げればパタコもその前々日に引退したれめるちゃんも「勝てないまま表舞台から去った」と言える。でも、感傷的な言葉ではあるけど、2人とも勝ち負けでは計れないものをちゃんとつかんで、新しい日常へ帰っていった。その力強さを、費やした時間を誰が笑えるというのか。

 岩手から出てきた自信なさげな女の子が最後はライブでばっちりかまして、軽口を叩きながら去っていく。

 かっこよくて、唯一無二だったよ。というか、唯一無二になったね。パタコアンドパタコ。そして、これからもよろしくお願いします。ラミタタラッタ。

 お疲れ様です。Jasさん。

 

 

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8月18日

犬が亡くなりました。

めちゃくちゃ悲しいです。

人と違って大きな儀式があるわけじゃなく、明日からほぼいつもの日常で、きっといつも通り楽しいことや悲しいことがあるのかと思いますが、そこに犬がいないのがつらい。

長生きしてほしかったです。

病気に気づかなくてごめんね。

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春ねむり「アトム・ハート・マザー」インストアイベント@タワーレコード横浜ビブレ店 7月15日

後藤まりことの共作シングルリリース発表が7月14日、RO JACKで優勝し、ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017の優勝を勝ち取ったのが7月18日。

ツイッターにも書いたけれど、本当に「本物であることを証明するスピードが速すぎる」。

どんどん遠くに行ってその表現を多くの人に届けてほしいし、たぶん彼女を見ている人は皆そう思っているのじゃないだろうか。

アトム・ハート・マザーのリリイベは前述の二つの発表の間、7月15日に開催。

会場は彼女の地元、タワーレコード横浜ビブレ店。

少し遅れて到着すると、紺のワンピースに三つ編み、足元はスニーカーというシンプルな服装の春ねむりが力強く歌っていた。彼女を見るのは3回目だけど、過去2回と違ってかなり演者に近い位置で観ていたせいか、これまで以上にパワフルに感じた。

横浜は彼女の地元ということで、ワンマンや対バンとはまた違った気合が入っていたのもあるのかもしれない。MCでも「磯子に住んでいて、中学高校は横浜駅からバス乗って行ってた。私を形成するすべてのものがこの土地にあるので、返していけたらと思う」と話していた。

「たしかなものなんて何もないかもしれない。

でも、私は今そこにある世界をたしかに愛したいと思います!」

自身の内面を吐き出すように歌う演者は珍しくないのだけど、彼女がほかの演者と少し違うのは圧倒的に開かれているところだろう。聴きに来た人間を受け止めるという意思を感じる。目線もお客の一人一人を観ている印象があって、ライブにはいつも音源と全く違う強靭さがある。最後の「ロックンロールは死なない」でフロアに降りてきてハイタッチ。今まで以上に「私とみんなの歌」になっている感じがとてもよかった。

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ちなみに後藤まりことのコラボは「完成された箱庭のような作品」とのことで、アルバムには入れないそう。3曲入りで歌詞の共作もありということで、まさに合作というべき内容になるようだ。後藤まりこBELLRING少女ハートに作った「チャッピー」。ゆるめるモ!に作った「idアイドル」。どちらもグループの中で5本の指に入るくらい好きな曲だったので、今回のプロデュースも楽しみ。


春ねむり「いのちになって」(Official Music Video)


春ねむり ゆめをみている(RO JACK for ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017 入賞選考 ライブ映像)

はろー@にゅーわーるど / とりこぼされた街から愛をこめて

はろー@にゅーわーるど / とりこぼされた街から愛をこめて

 
アトム・ハート・マザー

アトム・ハート・マザー

 
さよなら、ユースフォビア

さよなら、ユースフォビア