ホンのつまみぐい

いろんなもののファンをやっている人が、日々のよしなしごとを綴っています。

ただただ正しい道を行くsora tob sakanaのメジャーデビュー発表「天体の音楽会」@中野サンプラザ

sora tob sakana主催の天体の音楽会。チケット4,200円に見合わない豪華な座組みに、これは「お知らせ」(よい方)あるやつだなと思いながら中野サンプラザへ。ソールドではないけれど、会場9割埋まってたんじゃないでしょうか。

OPはパンダみっく

白いポンチョ&スカートに、幾何学モチーフで黒を追加したアニメちっくな衣装。みんなまだ中学生らしく、見るからにちっこい。エモ系ロックで楽曲のクオリティは高いし、ステージも誠実だけどハウリングがひどくてちょっとつらかった。パンダみっくというゆるっとした名前を裏切るライブ。

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sora tob sakana(オケ)

VJを、金色のクジラが泳ぎ、その美しさに感動していると「天体の音楽会」という文字が映し出されました。

凝ったOPに格段の気合いを感じながら眺めつつ、トリのバンドセットに力を残していたのか、ライブとしてはわりとあっさりだったかも。15分だしね。


amiinA
惑星が光り輝くようなVJから浮かび上がるamiinAの文字から、お互いの背を抱く振りのあるBreathという流れに精神がグラグラ揺れました。
ここんとこ日本語ラップ関連のあまりに幼稚な話に精神を削られていて、「自意識の感じられる音楽を聴くこと自体がめんどくさい」状態だったのですが、二人の少女と、その周りにいるたくさんの人々の信頼関係が作り出すステージの明瞭な美しさに思わず涙。完全に老人……。

2人組という少人数編成だけど、背景にまで物語を感じさせるコンテンポラリー調のダンスや、質の高い音響のおかげでホールの広さに負けないパフォーマンス。久々のatomの力強さも感動的でした。

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26時のマスカレイド
一曲目は古いアメリカのミュージカル映画を思わせる音作りと、一人一人細かく違う衣装が合わさって女子高演劇部のミュージカルっぽくて面白かったんですが、2曲目以降わりとよくあるロックになってしまった感があってちょっと物足りなかった。最後の曲、何だか落ちサビが多いように思ったけどメンバーごとに割り振ってるのでしょうか。

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KingGnu

終わった後にインタビュー読んでみたんですが、ジャンルは「トーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイル」だとか。別にミクスチャーだけが由来じゃなし、いろんな要素を取り込んでるから東京NEWだそう。

ドラムの重量感とか、メインボーカルの歌の強さとか、全体的に迷いのないうまさなのに、ボーカルが一人拡声器使ってたり、KingGnuというちょいダサいけど覚えやすい名前だったり、「こじんまりしたイイ音楽」を作るつもりはないという意志を感じました。MCが滑ってたこと以外はとてもかっこいいライブ。女の子にも音楽関係者にもモテそう。

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siraph

sora tob sakanaプロデューサーの照井順政が参加しているオルタナバンド。ちょい疲れたので着席で、目をつぶりながら見てました。芯のある女性ボーカルで心地よかった。

 

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Maison book girl
年末のワンマンの作り込まれた世界が話題になったブクガ。cotoeriのフードをかぶって登場するところとか、カギを落とす音で振り返るところとか、演劇的な振り付けが会場にあっていました。「裏切られて裏切られて裏切られて裏切るの」など、やっぱりブクガの厭世的な落ちサビ好きです。

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tricot
こちらも座って鑑賞。名前のふわっとした印象を裏切る、変拍子&ポストロックのかけ合わせに、力強い演奏と幅広い楽曲。ボーカルの鋭い感じも相まって女性に人気出そうな印象でした。

普段あまりバンドを観ないのですが、出てきたバンドにみんな強度があって、これをブッキングするのはアイドル側にも負けない覚悟がいるなと実感。

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ゆるめるモ!
モ!が初めてがっつりMIX(オタクの)の入るグループでした。2曲目に「逃げろ!」をやった以外は最新アルバムの曲で構成。4人のゆるめるモ!は初めてでしたが、みんな歌がうまくなっていて底上げは出来ている。でも、やっぱりちょっとさびしいような不思議な感じ。
「だるまさんが転んだ」が振り付けに入ってたり、泣いてる相手をなぐさめる動作があったりで、何となくでんぱ組.incのキラキラチューンを想起。モ!はいつもある種の優しさに満ちているけれど、それが芸能の場では弱さになる部分もあるのだろうなと思いました。みんな強いものが好きだからな……。

天竺というインド舞踊のような曲が、かなり凝った構成で個人的に好きでした。

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sora tob sakanaバンドセット

質の高い演奏、適切な音量、そして、緊張感がありながらものびのびした歌とダンス。アイドルバンドセットとしてダメなところが一切ない! ただただ正しい!

 

メンバー4人の、「バンドの人たちがものすごくかっこいいんだから、今日の自分たちもすごくかっこいいし、そうするのが当たり前!」というような気合いが凛々しかったです。

 

ただ、これだけいいパフォーマンスをしていても情動的にはまったくピンと来ないんだから、私はオサカナ向いてないんだろうなと実感。声が整いすぎてるのが原因なのかもしれませんが、よくわかりません……。前に座っていた人が振りコピおじさんで、ちょっとほほえましかったです。

 

さておき、合間に来たお知らせは「メジャーデビュー&ホールワンマン発表」。これまで繊細なVJを映し出してきたスクリーンに、無骨で大きな文字が躍り、客席から声が漏れます。会場の拍手の音が落ち着いたところで、メンバーのMCなどは挟まずに「メジャーデビューミニアルバムに収録される新曲です」からの新曲披露。

 

この流れのよどみなさに美学が感じられて何ともかっこよかった。ライブはそのまま明るく、アンコールのないまま終了。

 

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すべてにチームsora tob sakanaの信頼関係や理想の高さがうかがえる、とても密度の濃いイベントでした。

 

ここのところ解散や卒業など崩壊のニュースがどの現場にも続いていましたが、理想の音楽像の追求を怠らず、なおかつ女の子たちが健全に活動できているグル―プが支持を集めているというのは希望のある話です。

 

そして、「真っ白い衣装に10代の少女たち」「amiinAの盟友」という共通項に、ちょっとだけ、2月24日に急な解散が決まったアイドルネッサンスを思い出してしまいました。

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夢日記0212

二度寝で見た夢。

 

地元の自宅から2つほど遠い駅で降りたら、商店街に大きな少し内装の暗いパン屋ができていた。店構えから高級志向なのかな?と思って入って見たけれど、いつも行ってるパン屋と同じようなラインナップしかなくてちょっと拍子抜けする。ただ、そこそこ賑わっている。

何か買おうと物色していたら、いつの間にか店構えはそのままに郵便局になっていて、余裕のなさそうなメガネにスーツの男性に荷物を渡すことになった。

 

*数日前に地元のパン屋の話をしたこと、前日にパン屋に行ったことが夢に出てる。

昔のBiSの話

ちょっとBiSのこと書いておこうかなと思います。

私がBiSを知って、現場に行き始めたのは2013年の6月頃で、でんぱ組.incにはまりはじめていた私が、対バン相手として名前を知ったのが最初でした。

それと同時にツイッターでハグチェキ写真が流れてきて、「なんだ、こいつら(客も含め)ヤバい」と思ったのが第一印象でした……。同時にリーダーのプー・ルイテラシマユフの仲が悪いというのがおおっぴらにされていたという話を知り、ますます「なんかヤバい」いう思いを強くしていました。

その後、テラシマユフ脱退ライブのBiS4、新メンバーのテンテンコ・カミヤサキファーストサマーウイカの加入ライブBiS48をニコ生で観て、ファンの悲嘆や議論を眺めているうちにBiSが気になり始め、いつの間にかハマってしまった……というのがBiSを追いかけるまでの流れでした。

当時から研究員と呼ばれるオタクの存在感は際立っていて、でんぱ組.incのライブのハッピーな一体感とは対照的な、殺伐とした雰囲気や謎の熱意に満ちていました。

自転車に乗ったオタクをそのまま持ち上げるチャリフトとか、100kmマラソンに併走しながら、メンバー励ますために踊ったり光ったりとか、ライブ中に特定の曲でオタク同士でキスしたりとか。

BiSの危なっかしさと、それを追いかけ続ける研究員の熱意に何となく惹かれて見始めて、その後解散にいたるまで、BiSには感情を相当振り回されました。

最近、たまにBiSが伝説のグループのように語られている文章を見つけることがありますが、少なくとも私が観ていたころのBiSは歌もダンスも下手だったし、人間関係も上がったり下がったりで、お世辞にも常にいいライブをしているグループではありませんでした。

これは別にメンバーの責ではなく、当時の渡辺淳之介が、ちゃんとしたパフォーマンスを用意することを重視していなかったことによるでしょう。漏れ聞く話からすると、とてもではないですが、恵まれた状態で練習しているとは言い難かったようですから。

曲はいいけれど、メンバーは別にいわゆる美少女ではなく、ライブも素人っぽい。それなのに、演者もオタクもスタッフも、なぜかBiSに心から取り憑かれていました。

どうしてそういう状態が作り出されたのか、いろんな角度から語れると思いますが、私は渡辺淳之介が対談で話していたことがやっぱり正鵠を得ているんじゃないかと思います。

渡辺 すごいですよねー。ホントにラッキーだったんですけど。そこでいうと、ある種BiSっていうものは一般ピープルの星っていうか。ホントにスクールカーストの最下層系の雰囲気を持ったヤツらが目標を実現させた、『がんばれ!ベアーズ』みたいなもんですよね。

吉田豪インタビュー企画:渡辺淳之介「BiSはスクールカーストの最下層系で一般ピープルの星」(1)(1ページ目) - デイリーニュースオンライン

渡辺 そうですね。BiSによって生まれたのかもしれないですけど、BiSでも、それこそ「生誕で●●さんを呼んでステージに上げたい」って言われて断ったんですよ。「ふざけんな、おまえらがフロアで何かやることに対して俺らは文句は言わない。だけど、なぜおまえらが勝手に●●さんを呼んでメンバーの生誕を祝わせる演出をするんだ!」って。だから基本的にスタンスは変わってないんですよ。やるんだったらフロア上で勝手にやれ、と。それはたしかにお客さんの自由なんですけど、ステージ上は聖域だっていうことで。たぶん結構セットリストとか伝えちゃうアイドル運営がいるんだろうなと思うんですけど、僕たちは公開したことはないし、BiSのときから徹底してやってはいるんですけどね。

──自由にさせてくれるところがあるから、そういうものだと思ってるんでしょうね。

渡辺 そんなヤツらが売れるわけないじゃないですか。でんぱ組も絶対に教えてないですよ。だから、BiSが弱いものが好きな人たちの集合体だとしたら、BiSHっていうのは強いものが好きな人の集合体にしたいんですよ。

──客層もあんまりかぶってないですよね。

渡辺 でんぱ組とかは多分最初は弱い側だったんですけど、強い側にシフトしたんですよね。だから、こっちじゃないとダメなんだなと思って。 

吉田豪インタビュー企画:渡辺淳之介「BiSのメンバーのなかで一番成功してるのは僕なんで(キッパリ)」(3)(1ページ目) - デイリーニュースオンライン

 

「BiSは弱いものが好きな人の集合体」というのは実感としてよくわかる。

解散ライブの日に話したオタの人が「結局BiSは世界を変えられなかった」と話していたのを思い出します。弱いものが世界を変えるところが観たくて、追いかけてた人は多いと思います。まあ、お客さんてひとりひとり違うから、それが総意ではないだろうけど。

どんどんエクストリーム化していった研究員の出し物も、正直「ライブが面白くないから」、あるいは「メンバーがひどい目にあってるから励ましたくて」みたいなところもありましたもんね。

それ以前はまたちょっと違っていたそうなのですが、私が見始めてからのBiSは解散までの道のりの重さに押しつぶされそうになって、メンバーが精神的にボロボロになっている場面が本当にたくさんありました。

最たるもののひとつが、メンバーの全裸写真がQuickJapanの裏表紙になって全国で売られた時。今思うとどんなバツゲームだ……。そんで、明らかに病んでるメンバーをはげますために、ワンマンライブで一部男オタクも前張りだけの全裸になってリフトしたりとかしてましたね。あれは本当に研究員って前向きにバカバカしくてすごいなと思いましたけど、思い返すと「そんなものを肯定的にすごいって思ってしまう精神状態にオタクも演者もいた」ってことが、どんなルールの中で生きてたんだって感じですよ。

でも、そういう行為による相互作用の面白さは実際たしかにありました。別にオタクだって単に同情していたわけではなく、ほぼ悪ふざけみたいなことをしながらステージ・フロアの双方に楽しんでもらおうとしていたし、時にはステージとフロアがバチバチやりあう場もありました。(ヒップホップの現場は演者が怖いから、ああいう客がしょうもないステージに対して異議を申し立てるみたいなのなくなっちゃって、ちょっとつまんないですね。)

継続性のない一瞬の花火のような時間の連続だったとは思うけれど、だからこそ生まれた宗教的な一体感と熱狂がたしかにあったと思います。

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ただ、それが効いたのはギリギリ2000の箱だったのだろうと思います。解散ライブは横浜アリーナで、私は1万5千円席という、そこそこ濃いめのオタクが集まってた場所にいたので気付かなかったんですが、発表曲ほぼ全曲をただ淡々とノンMCで演じる構成に、途中から客がどんどん飽きてきたそうで、後ろの席から観ていた人の感想には厳しいものも多かったみたいです。

ちなみに、この素っ気ない構成のおかげで、研究員が用意していた出し物(メンバーの変顔をA4サイズの紙にコピーしたものをアンコールの時に掲げるなど)はいくつか封じられてしまいました。とはいえ、風船を投げ込むという、今思い出すと、有志がやるにはちょっとセキュリティ的に色々問題があったんじゃないかっていう仕掛けが実行されて、あたかも運営が準備したもののように受け入れられていたのは面白かったですが。

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解散ライブの直後、横浜アリーナ前で撤収の準備をしていた熱心なオタクの人が叫んだ「あーあ!つまんねーな!!」は、身もふたもないけど、率直な実感だったのだろうと思います。まあ、自分たちが用意した出し物をつぶされたイライラも大きかったと思いますが……。

直後の呑み会での「とはいえ楽しかったよね」「やっぱりあの5人編成の時のBiSが一番」という会話を「今までの騒ぎは一体何だったんだ……」という気持ちで聞いていました。すっきりしなかったけど、「まあ、BiSはこんなもんでしょ」という開き直りみたいなのもあったという。不思議な解散でしたね。

ところで、私が研究員という人たちのことで思い出すのは、星咲優菜さんのことです。星咲さんはよくBiSの現場に来ていたAV女優で、MOBiSPROOF―BiSの7日間戦争という本でメンバーひとりひとりと短い対談をしています。彼女が、研究員が配信していたツイキャスか何かで、「今まで行っていたアイドル現場でAV女優に近づいてほしくないと言われて現場から遠ざかってしまったことがある。だけど、BiS現場はそういうことがなくてうれしかった」という話をしていたことがありました。そのあとに誰かが「俺だってちゃんとした人間じゃないし」という意味の返事をして、星咲さんの言葉を受け止めていた気がします。

研究員と呼ばれる人たちが共有していたのって、けっこう「そういうところ」なんじゃないかと思っていて、だから、当時の研究員が急逝したオタ仲間のために、49日間毎日酒を呑みつづけるチャレンジをしていたりするのを見ると、アイドル現場で出し物をしている姿を見た時より「研究員っぽいな」と思ったりします。

別に「研究員はみんな善人だった」とかそういうことが言いたいわけでは断じてないのですが、人間的なところを隠さない人がたくさんいて、BiSらしさみたいなものって、けっこうそういうところも大きかったんじゃないかという気がします。

その後、いろいろあったみたいで星咲さんは現場に遊びに来なくなってしまったのですが、解散してからだいぶ経ってから偶然テレビに登場しました。ウイカちゃんと一緒に遊んでいるところを撮影されたのですが、「AVを辞めて、今は芸能の裏方の仕事を楽しんでやっている」と話しているところを見ることができました。

校庭カメラアクトレス「ミギヒダリ」リリースイベント@タワーレコード渋谷店

初カメトレ。
15分遅れで現地到着。
音の構成はあんまり校庭カメラガールと変わらなくて、可愛いアレンジ・速いビート・サビでズギャーンのドラムンベース(とか書いてますが、ドラムンベースという言葉をカメトレで初めて知りました)。
歌詞もJas流の切ない系で、コウテカと世界観は共通してます。
ただ、コウテカやウテギャの持たざる者の必死さみたいなものはなく、良くも悪くもこなせる子の集まりという感じ。みんな、もともとちゃんとした芸能事務所所属の女優さんなんですよね。

ののるるれめるちゃんがアイドルオーディションに落ちまくってた話とか、ぱたこあんどぱたこちゃんの上京してからの苦労話とかと比較すると、もう最初っから一段階あがってる感じあります。

途中でメンバーが順番に回転してポーズを取る場面があり、それぞれの所作の美しさが際立ってました。さすが女優さん。今は煽りを入れたりしてるけど、ロック調の生身感出すより、振り付け入れたり、ポエトリーパートの強度を活かしたりして、ガツッと世界観を作ってしまった方がよいのではなんて思いながら観てました。
CDまだ発売してなかったので購入は見送り。

最後にメンバーが飛び降りてオタクとハイタッチしていたのが、ライブアイドルとしてがんばりたいんだなという気持ちが見えてよかった。
噂の園田あいかちゃん、たしかにめっちゃ可愛かったです。
しかし、衣装が変だ……。

ミギヒダリ

ミギヒダリ

 

t.co

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natalie.mu

偽史山人伝(チラシのウラ)の次に読む、かわいくて怖い伝奇・幻想マンガ

偽史山人伝は2017年の8月に知ったマンガで、読んですぐに紹介ツイートをしたのですが、その時はまったくと言っていいほど話題にならなかったんですよね。


それがいきなり1万RTとかびっくりしました。いやー、「こんな面白いマンガが話題にならないのおかしい!」と思ってたので「やったー!」という気分です。

偽史山人伝は民俗学・伝奇風ですがSF短編っぽいそのほかの作品もめっちゃ面白いです。↓

チラシのウラ漫画

 

私、もともとこういう
「かわいいキャラクター」
「有機的な背景」
「不条理な物語」
の組み合わせが大好きなんですよね。


なので、「チラシのウラ先生の他のマンガも全部読んでしまったけど、まだまだこういうの読みたい!」という人のために、とりあえず今手元にあって読み返せるやつで、次におすすめしたいやつを勝手に書いていきます。

 

シトラス学園」 山本ルンルン

シトラス学園 完全版 (Ohta comics)

シトラス学園 完全版 (Ohta comics)

 

少し昔のカトゥーンを日本向けに落とし込んだような画の山本ルンルン。小生意気な少年少女の心の機微を描かせたら一流の、児童にも評価の高い作家ですが、実はデビューはガロなんです。シトラス学園は他単行本よりダークな初期短編が多く収録されていて、苦みのある終わり方にゾクッとします。
新装版ではどちらにその初期短編が入っているのかよくわからず……。

シトラス学園 バニラ

シトラス学園 バニラ

 
シトラス学園 キューティ

シトラス学園 キューティ

 

ここでちょっと本編読めます。

『シトラス学園 キューティ』  |  このマンガがすごい!WEB

『シトラス学園 バニラ』  |  このマンガがすごい!WEB


「どらン子小鉄」 はるき悦巳

どらン猫(こ)小鉄 (アクション・コミックス)

どらン猫(こ)小鉄 (アクション・コミックス)

 

下町人情ものと思われがちな「じゃりン子チエ」が、実は人と人のすれ違いや、取り返しのつかない過去とのつきあい方を教えてくれるハードボイルドな物語であることは読んだ人なら知っているでしょうが、そのハードボイルド成分をさらに煮詰めたのが猫たちの物語です。
本編にも時々猫たちの抗争や旅の物語が出て来ますが、用心棒から話の骨格をいただいた「どらン子小鉄」は、表情豊かな猫たちと絵画的な背景、そしてグロテスクな世界観がばっちりはまった大傑作です。死んだ仲間の首を吊して、どれが最初に腐り落ちるかをベットするとか発想がハンパない……。単行本はもう増刷しないらしいので、手に入れた方は捨てないでいただけると……。
あと、はるき悦巳はもともとつげ義春に影響を受けていて、「ねじ式」につらなるような不条理な夢の描写を「じゃりン子チエ」本編にもよく取り入れています。あれも「夢のような」マンガの中でベスト5に入るくらい素晴らしい。

↓「映画秘宝」好きな人なら全員読んだ方がいい傑作レビュー

雷蔵と呼ばれた男

 

「足摺水族館」「動物たち」など panpanya

足摺り水族館

足摺り水族館

 
動物たち

動物たち

 

 現実とよく似ているけれど、どこかノスタルジックでところどころズレた風景の中を、見た目も自我のあやふやな人間がさまよい歩く(本人にさまよっている自覚はない)。まるで夢をそのままマンガ化したような作風で、チラシのウラさんの作品と一番イメージが近いのはこれかもしれません。ビニールカバーの「足摺り水族館」とか、カバーを外すとコンクリートの写真がエンボス加工で印刷されている「動物たち」とか、装丁もそれぞれ図鑑っぽいのが魅力。


ねこぢるうどん」 ねこぢる

ねこぢるうどん

ねこぢるうどん

 
ねこぢるうどん (2)

ねこぢるうどん (2)

 

 自殺によりその作家生命を終えたねこぢるの初期短編集。サーカスで出会った大魔導師と話しているうちに虚無の世界に取り残されてしまう姉にゃー子の話と、夜中にカブトムシを取りにいったら彼岸に近い場所に迷い込んでしまった弟にゃっ太の話が好きです。

ガロから離れ、発表媒体が広がるうちに、少しずつ露悪的な攻撃性が前に出てくるようになって、そのあたりになるとちょっと読んでてつらいのですが、「ねこぢるうどん」は淡々とした話の筋とかわいいキャラクターの取り合わせが超越的な印象を与えてくれて心がすっきりします。

 

「船を建てる」 鈴木志保

船を建てる 上

船を建てる 上

 
船を建てる 下

船を建てる 下

 


かつて「ぶ~け」という、少女マンガ誌で一番「かっこいいが似合う」雑誌があったんですが、そこの看板連載のひとつでした。まるで海外の写真集を眺めているような美しい背景の中、かわいらしくも不気味なデザインのアシカたちが遊び続ける不思議な物語。彼岸の世界をこれ以上スタイリッシュに描くマンガ家はいないでしょう。白黒のコントラストの芸術!

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「クッキー缶の街めぐり」 田中六大  

クッキー缶の街めぐり

クッキー缶の街めぐり

 

絵本画家でもある田中六大のコミックス。表紙はのどかで、画もかわいいのですが「二千年前からの先祖の頭蓋骨が陳列された塔を守っているおばさん」とか、「身体が半分溶けたギャルっぽいしゃべりの天使」とか、「生け捕りにされた人食い鬼の鼻水を使ってジュースを作るおっさん」とか、ダークで無遠慮な世界が広がっています。


「クロとマルコ」 掘骨砕三

クロとマルコ (ヤングチャンピオン烈コミックス)

クロとマルコ (ヤングチャンピオン烈コミックス)

 

 人体改造・異種間交配エログロマンガの第一人者・掘骨砕三の一般誌連載作品。18禁もそうですが、この人の作品は身体が目も当てられないほど変化しても開き直るでもなく明るく振る舞っているところがほんと気持ちよく読めますね。SF調、伝奇調、都市伝説モチーフとさまざまな短編が収録されています。本命は「下水街」や「ひみつの犬神コココちゃん」なのですが……。


「マヨネーズ姫」 松井雪子

マヨネーズ姫 (1)

マヨネーズ姫 (1)

 

 純文学小説家でもある著者のガロ連載作品。何度死んでも生き返る双子の美少女、デパートの中に閉じ込められ、ずっと一人で遊んでいる女の子、食べても食べてもお腹の減らず、その大食いを見世物にしている美少女などなど、女性であることの渦を遠回しな表現で描き尽くす短編集。久々に読み返したら松井雪子意地悪すぎてちょっと気持ち悪くなりましたが、奇書であり名著であることは間違いないかと。


「寒くなると肩を寄せて」 鈴木健也

寒くなると肩を寄せて (ビームコミックス)

寒くなると肩を寄せて (ビームコミックス)

 

 「おしえて! ギャル子ちゃん」でブレイクした鈴木健也作。でも、こっちの方が変態的で圧倒的に強力。体臭のきつそうな人物とねちっこい絵柄とコマ割は、これまで紹介した作品とかなり趣が違うとは思いますが、知名度低くてもったいないと思ってるので入れてしまいました。

ここで無料で読めます。

寒くなると肩を寄せて - 鈴木 健也 | マンガ図書館Z - 無料で漫画が全巻読み放題!


あと、単行本見当たらない&持ってないんで解説あきらめたんですけど、
ディスコミュニケーション植芝理一 ディスコミュニケーション(1) (アフタヌーンKC)

「不安の立像」諸星大二郎 不安の立像 (ジャンプスーパーコミックス)

ねじ式つげ義春 ねじ式 (小学館文庫)

「拡散」小田ひで次 拡散 1 (アフタヌーンKCデラックス)

S60チルドレン」川畑聡一郎 S60チルドレン(1) (イブニングコミックス)

Kindleで読めるようになってるとは…!

「チキタGUGU」TONO チキタ★GUGU(1) (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)

宮沢賢治童話集」 ますむらひろし ますむら・ひろし宮沢賢治選集 2 銀河鉄道の夜 (MFコミックス)

「ミルク・クローゼット」富沢ひとし ミルク クローゼット(1) (アフタヌーンコミックス)

「水域」漆原友紀 水域 愛蔵版 上巻
空が灰色だから」 阿部共実 空が灰色だから 1 (少年チャンピオン・コミックス)

GOGOモンスター」 松本大洋 GOGOモンスター

とかも多分好きな人多いんじゃないかな。
SFが少なくてすみません。これも面白いよってのがあったらコメント欄とかで教えていただけるとうれしいです~。

ねこぢる生誕50周年記念 ねこぢる&ねこぢるy展@ぎんけいさろん&ギャラリー

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ねこぢる作品は人生ベスト10に入るくらい大切なマンガだ。淡々とした暴力と理不尽が続く世界の中で、かわいい猫の姉妹が何事もなく生活している超越的な作風は、「世界はあらかじめ狂っている」という悟りを与えてくれた。


ひたすら息苦しくて出口のない気分で生きていた高校生の頃、初めて「ぢるぢる旅行記」を読んだ時の安堵感と解放感は忘れられない。


しかし、その時はもうねこぢるは自殺によってこの世を去っていた。


ねこぢるの死後、夫の山野一さんはねこぢるy名義でねこぢるのキャラクターを使ったマンガを描き続けていた。当時の私は、ねこぢる本人の描線より太い線で描かれた虚無的な表情のキャラクターも、重苦しい色調かつ、メタリックな質感すらあるデジタルな色彩も好きになれなかったし、そうやって作品を描き続ける山野さんの気持ちもよくわからなかった。


それから20年近く経ち、意外なことに山野さんと直接お話しする機会に恵まれた。「ねこぢる生誕50周年記念 ねこぢるねこぢるy展」の場だ。


山野さんが再婚し、お子さんのことをマンガに描いていることなどは把握していたが、いまだに「ねこぢるy」として活動しているのは知らなかった。


個展の会場は銀座のぎんけいさろん&ギャラリー。銀座の通りから少し歩いた小さなビルの中にあった。


小さくて少し暗いスペースで、ギャラリーとあるけれど、最初からそれを目的に作られたというより、空いた部屋を借りて、照明などを追加してギャラリーにしたのではないかと思う。


中に入るとねこぢるマンガ原画とイラスト原画、そして、ねこぢるyの原画が貼られていた。そのほかにも、ねこぢるが趣味で制作していたというろうけつ染めの布や、4歳児くらいの背丈のにゃー子にゃっ太のフィギュアも置かれていた。


私の訪れた時間帯には山野さんが在廊されており、展覧会用のハガキの裏に一枚一枚画を描いていた。


原画はねこぢるのマンガ原画、イラスト、フィギュアや布、ねこぢるyの原画イラストという順に並べられていた。


大切なマンガとは思っていたけど、ねこぢる作品を読むのは久々だった。展示されていた「大魔導師の巻」いう短編は、サーカスに遊びに行ったにゃー子が、そこで怪しい魔術を使う老人に接触し、虚無の中に取り残されてしまうという話だ。


サーカスでの演目の場面で、切り落とされた女の首が宙を舞う描写がある。笑いながら中空を飛び回る首をアップにする映画的でこなれたコマ割りに、「ねこぢる」の実態がユニットであることを改めて実感した。


マンガ家・山野一による作画・マネジメントの両面でサポートを受けながら、ねこぢるがその感性を紙の上に描いていたのが「ねこぢる作品」なのだ。


原画を順ぐりに見回し、ねこぢる自らが染めたという布の前に立つと、それまで中央の椅子でずっと絵葉書に絵を描き続けていた山野さんが立ち上がり、「これはねこぢるが染めたものなんですよ」という解説をはじめてくれた。


何を話せばいいのかわからなくて一瞬戸惑ったし、何を話したのか残念ながらほとんど忘れてしまったのだけど、その穏やかで丁寧な語り方に安心させられて、思わず「ねこぢるを読んだのは高校生くらいだったんですけど、読んで『救われた』と思ったんです」と口にした。


山野さんは少しだけ不思議そうな目で「どうしてかわからないけど、そうおっしゃる方が多いんですよね」と返事をしてくれた。


オブジェの展示に続くねこぢるyの画は、とても穏やかな色彩で、にゃー子にゃっ太の目つきからもあの不穏さは消えていた。でも、死ととても近い世界にいたねこぢるのキャラクターは、そのノスタルジックな色彩の世界でとてもくつろいでいるように見えた。自死によってこの世を去ったつれあいに対する慈しみがにじんでいる。そんな画が描けるまで、どのくらいの時間や出来事が必要だったのだろうか。


物販を購入して直筆イラストの描かれた絵葉書をいただくと、丁寧に署名を入れてくださった。お礼を言う自分の話し方が、子供の頃に戻っているのがわかった。

 

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ねこぢるうどん

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ぢるぢる旅行記 (総集編)

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おばけアパート・前編 (TH COMIC Series)

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四丁目の夕日 (扶桑社文庫)

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そせじ(1)