発達障害者のセックスについて、当事者である横道誠が話を聞くというインタビュー集。
行為の内容等ではなく、恋愛やご本人の生活歴について聞き取るもので、登場する方々の生育歴の複雑さに圧倒されてしまう。
特にカルト宗教二世のぷるもさんの話は、宗教による人権侵害の壮絶さが伝わってきて具合が悪くなる。
個人的には数独さんと呼ばれるミソジニーの強い男性の思考と、それに呼応する横道が印象的だった。ものすごく自分勝手で迷惑な数独さんの発想に共感したり、時に否定したりするのが面白かった。
あと、横道は発達障害当事者としてピアグループを作っているらしいのだが、それゆえのギャグなのかマジなのかわからん断定にヒヤヒヤする。
こういう文↓がちょくちょく出てくる。
“青さんのじつに注意欠如・多動症者らしいところは、その冒険精神に依拠した暴走ぶりだ。“
“青さん(第二章)や了一さん(第四章)についての章でも書いたことだが、自閉スペクトラム症の男性には「非モテ」が多い。理由のひとつは、地球外知的生命体のような印象を与えて、気持ち悪がられるからだ。“
しかしそれは本当に障害の特性なのか。実はトラウマ由来ではないか。それとも周囲からの影響なのか。そもそも障害と断ずるほどではないことなのか……。個別に判断の必要なことを「これは発達障害の特性だ!」とか言う。注意書きを入れないと偏見の元になるのでは……。
それはそれとして、横道の直裁な言葉に安堵する人は多いだろうと思う。
以下は当事者が受けたDV被害について聞いた際の横道の反応だ。
“そのように聞いたとき、私はそのような暴力的な言動から、その人はいかにも定型発達者だなと考えてしまった。私は発達障害の当事者として、定型発達者の「エゲツなさ」をよく意識し、生きてきたからだ。多くの定型発達者が、私の人生では、私を迫害する人たちとして現れてきた、と私は感じている。“
私は日和って「いや、でも定型発達=エゲツないはエゲツなくない人に失礼だし」とか言うタイプだが、こういう実感を「言ってしまう」ことの価値も絶対あると思う。
また、以下は笑ってしまった。
“自閉スペクトラム症があると、発達性協調運動症(複数の部位を連動させる運動が難しい障害)を併発しやすく、運動音痴の人が多いが、それと対照的だ。私はまさに「運動音痴側」そのもので、「運動が得意な発達障害者」の話を聞くと、「反則だ!」と憤慨しそうになる。“
診断は受けてないけど、複数の部位を連動させる運動が難しくて体育の授業で置いてきぼりになっていたので、なんだか共感してしまう。
