ホンのつまみぐい

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11月に読んだ本・マンガなど

 

 

 

 すごく好き。ヤマシタトモコ作品は、傷ついた子どもや間違えた子どもの罪に大人が対峙する話が多い。「子どもを救わなくてはいけない。なぜなら私は大人だから」という作者の覚悟を感じる。設定はところどころ凄惨なのだけど、安心して読めたのは作者のこうした姿勢が大きい。キャラクターに愛着がわくエンタメとして芯のある作品。細かいところをいちいちあげて「ここが好き!」と語りたくなる。

 

 

 BL誌から青年誌へのトレードという珍しい作品。つまんないわけじゃないけど、主役2人に萌えられないと読み続けるのは難しいかも。(萌えられなかった)

 

 ストリップ劇場の法改正について考えるにあたり読んでみた。生き生きとした筆致の中にさまざまな論点が示されている示唆に富む本。

 パターナリステイックな権力の支配に対する疑義、社会との共存の在り方を探る当事者たち、不可解な裁判の詳細、それぞれ立場の異なる当事者たちの連携などなど、とにかく参考になる。

 締めが「遊びとは何か」で終わるのも、出来事の意味をよく理解していると思った。

 

 絵本は幼児向け絵本は0歳児向け、1~2歳児向け、3~4歳児向けなどにわかれているのだけど、それらが子どもの発達に沿って作られていることがわかり、面白かった。

 下記、参考までに。

絵本の選びかたガイド 福音館書店

 経済観念や倫理観のすり合わせができてなおかつルームシェアに前向きな友人を3人作るってけっこう大変じゃないか? 率直に言ってうらやましい。

 

 花電車芸人の歴史をたどる部分が一応のメインだが、そちらは調査不足の印象。インパクトがあったのは八木澤氏が出会ったさまざまな踊り子たちの話。

 当時の言葉で言うと「ニューハーフ」の暁光氏の首吊り芸の話や、ベトナム戦争時での東南アジア巡業の体験を語るマリコの話など、壮絶。ただ、踊り子たちをここでしか生きられない人々と表現しているのは問題。そういう考え方は資本家に都合よくつかわれるものなので。

 

 再読。初読時は瀧口氏の生き様にひっぱられたが、改めて読むとお金の流れや客数、経営方法などの具体的な記述があるところに大きな価値があるように思う。産業としてのストリップについて、考えるための手助けになる。

 

note.com LVEHOUSのスガナミさん筆。選挙活動中に感じた女性差別について。

 

www.youtube.com 受賞者は『海をあげる』の上間陽子さん。抑えた口調でYahoo!ニュースのコメント欄を批判していた。直後に上間さんに話を聞いたYahoo!の人が、それに対し何も言わなかったことに驚いた。

 

www.sapporo-posse.com

 stillichimiyaの軌跡を追う力作。すごく面白い。

 

natalie.mu 渡辺淳之介と関係者のインタビューで終わる9回連載。ロコドル、ディアステージ、楽曲派などのテーマを各章に設け、後世に伝えるべき内容を聞き取っていて読みごたえがあった。

 ところで、インタビューで渡辺氏は最初のBiSの横浜アリーナでの解散ライブを文化祭に例えていて、ファンと心を通わせながら終わることができたことに対する感慨を語っていた。あの頃、運営、メンバー、ファンが独特の蜜月を経験していたことは間違いないだろうし、私も少しだけその感慨に共感できる。

 ただ、今冷静になって振り返ると、これは別にメンバーが望んだ状態ではなかったはず。テラシマユフ脱退後のメンバーはインタビューで「面白そうだから」という理由でオーディションを受けたことを話していたけど、それでも本来の動機は「音楽がやりたい」「有名になりたい」などだろう。今思うと、おっさんたちの遊びに女の子たちが付き合わされすぎていた感がある。(研究員はおっさんだけじゃないし、当時の渡辺氏はおっさんというには若かったと思うけれど)

 規模感はずっと小さいけど、校庭カメラガールドライも、結局おっさんの遊びにつきあわされてダメになった印象がある。