ホンのつまみぐい

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日曜の夜に観るのにぴったりだった「ドロステのはてで僕ら」

 f:id:hontuma4262:20200905214739j:image日曜日の午後に副業の仕事のめどをつけて、ジムで少しだけ筋トレをして、もうちょっと日曜日の気分でいたくて観に行った映画。

 重たい気分になるものが観たくなくて、「ヨーロッパ企画が製作」「撮り方が少し特殊」という情報だけで選んだのですが、大正解でした。

 ほぼ何も知らない状態で観たほうが面白い映画だと思うので、くわしくは説明しません。しかし、夕刻仕事を終えて、もう少しだけ自分にごほうびをあげたいと思ったあの瞬間にぴったりの選択でした。

 

 以下は予告編にある程度のネタバレ。

 ーカフェ店長が仕事を終えて店の上にある自分の部屋に帰ったら、部屋のテレビが「2分だけ」未来を移す不思議なテレビになっていた!ー

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 地味な始まりと素朴なたたずまいの役者さんたちをぼんやり眺めているうちに、あっという間に話があちこちに展開していきます。

 「2分後が映るテレビの画面」が主軸となるため、映画は2分刻みで細かく物語を繰り出していく必要があります。役者のセリフ、演技、カメラワークもすべて2分かその倍数で計算しつくされていて、リズミカルに話が進み、あっという間に事件にぶち当たります。

 1時間10分という劇場公開映画としては少し短めの作品ですが、冗長さなく、観終わったあとにすっきりした気持ちで帰れるこの長さがとてもよかった。いくら楽しみとはいえ、翌日の仕事を考えると早く帰りたい気持ちもあったので。作中の大げさに感じない程度の「未来をよいほうに変えたい」という気概も気持ちよく、最後は素朴なたたずまいと感じた役者さんたちに親しみを感じていました。

 2分刻みで会話と動作を重ね続けるリズミカルな物語を、映画として成立させるには、未曾有のチームワークが必要なはず。この映画が完成したのは、同じ劇団に所属する人たちが作り上げたものであることとは無縁ではないはずです。

 観ている間はあっという間なのですが、観終えたあと、奇矯なエンターテイメントを成立させるために、ひとつの集団が力を尽くしていることを思ってちょっとじ~んとしてしまいました。

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