amiinAワンマン、本当によかったですね……。
ワンマンって、楽しみは楽しみだけど、だいたい謎の緊張感あるじゃないですか。
この人たちは自分の期待を超えてくるのか? あるいは、ここにいる皆を楽しませることができるのか? とかいろいろ。
節目のライブしか観てないライトなオタクだからもあるとは思うものの、この日の開演前にそういう不安は一切なかったし、パンパンになったフロアも純度の高い期待に満ちていたと思います。
開始前、舞台にはamiinAの文字が白で書かれた薄いスクリーンが張られて、ステージは見えず。
スクリーンが上がると、ステージの中央頭上には白い円、左手には稲妻モチーフ、右手に樹の枝モチーフがのびる真っ白なセットが目に入りました。
この不思議なセットはVJを映すために用意されたもの。巨大なミラーボールのようにも太陽のようにも見える円の中に、曲に合わせて時計、惑星、地球など様々なイメージが投射されていきました。それらの多くはamiinAがこれまでずっと提示して来た「旅」というコンセプトを想起させ、森林や宇宙、青空といった壮大なモチーフの間を少女二人が駆け抜けていく画がとても美しかったです。
※終演後写真です
VJの作り込みもすばらしく、ピアノの音に合わせて少しずつ映像全体の色が変わるなんて箇所も。サビや転調だけでなく、一音一音に沿って演出するとは……。
この演出によってamiinAの描きたい世界がよりはっきりして、帰りに改めて曲を聴き直したくなりました。
その効果が最も発揮されていたと思うのが少女の無意識の世界を歌ったmonochrome。
最初は円の中に左右対象のコントラストになった白黒の帯がコマのように回っています。これは「鏡に映るこの姿『本当なの自分?』」という歌いだしと、2人が手を合わせながらお互いの挙動を伺うように見つめあうダンスとシンクロしていました。
自分の心の中を探るような歌詞に沿った、お互いが鏡の中の自分を追いかけるようなダンスが続いた後、曲の転調でパッとamiちゃんはフロアの方に顔を向け、反対にmiyuちゃんはフロアに背中を見せます。
こちらを振り返った瞬間のamiちゃんの、何かに気付いたようなハッとした表情。
その表情に合わせるかのように、これまでシンプルな白黒の幾何学模様で構成されていたVJが、割れたシャボン玉のしずくが飛び散ったような不定形なシルエットに変わりました。
無意識の世界に潜んでいた自分自身の姿を少女が受け入れ、溶け合って新しい姿が生まれる……。そんな物語が頭の中にあざやかに浮かびました。
少女の内面世界というとても抽象的なものを、こんなに明快に表現できるアイドルグループがはたしてほかに存在するでしょうか? 音楽とダンスと演者と映像のすべてがしっかりと絡み合うことによって生まれる表現は、作り手が自分たちの作り出している世界をしっかり理解したうえで、よほど到達点を高いところに持っていないと出来ないはずです。
ライブ全体の構成も見事で、「この真っ白いキャンバスには皆で絵を描かなくてはいけない」というような歌詞のovertureから始まり、「連れてってよボーイ」というサビが印象的なJubileeから、すべてをダンスで表現するインスト曲Valkyrieで前半が終了。
幕間に二人の歴史を記録した映像の後、2019年2月10日の赤坂BLITZワンマンの発表が映像で流されます。ひとしきり沸いたところで、後半はRun Blueからスタートし、最後はCanvas。そして、アンコールは再びJubileeで締め。セトリはamiちゃん、miyuちゃんが考えたそうですが、淀みない気持ちのいい流れでした。
演出はもちろん、amiちゃんとmiyuちゃんの成長がすごかった!
コンテンポラリーダンスに近いamiinAの振り付けは、両腕をこれ以上なく大きく振り上げるし、足下も細かにステップを踏み続けます。身体も気持ちもゆるむヒマのない相当な運動量のダンスに、終始踊りながらの生歌なのに、しっかりと歌詞の世界が伝わります。そして、柔らかい笑顔の合間に、時折ふっと見せる高校生らしい凜々しい美しさや、パフォーマンスだけでなく言葉からも伝わる力強さ。
amiちゃんは初めて見たWonder Traveller!!!3でも、その後のmiinaちゃん卒業ライブでも、Wonder Traveller!!!4でも、5でも6でも泣いていました。人前で嘘偽りのない感情をそのまま表に出す、幼いとも言えるくらいの素直さがamiちゃんの魅力で、運営チームもオタクも、ずっとそれを微笑ましく見てきたはずです。
でも、この日の彼女はMCで「私は狼に例えられるじゃないですか」という前置きとmiyuちゃんに対する感謝の言葉を述べた後、「強くなりたいから、もう泣きません!」と宣言。
そして、赤坂BLITZでのセカンドワンマンを、「発表がありましたが、今日はこのライブに集中したいので!」と言い切る姿がとても力強く、素直さはそのままに、これまで抱えていた幼さをキッパリ断ち切っていました。
一方のmiyuちゃんは手紙に「初めて舞台に立った時にamiちゃんが自分を支えてくれた」話や、「泣かないで終わった曲は一曲も無い」というレコーディングの話。これからのamiinAの話をしてから、「私はステージの上で泣いたことがありませーん!」と笑いながら締めてくれました。
miyuちゃんが舞台の上で、「ハグしよ?」と呼びかけ、一瞬からかわれてるのかと警戒したamiちゃんが、結局照れながらもmiyuちゃんに抱きつく姿がとても美しかった。
この健やかさ自体がamiinAの魅力で、心から応援出来る理由なのだと改めて思いました。
普段はあんまり「売れてほしい」とか言わないし、書かないのですが、アイドル界の希望の象徴として、amiinAのことをもっと多くの人に知ってほしいと改めて思いました。
だって、やっぱり若い子が理不尽な目に遭わされてるの見ると、アイドルなんてロクでもない芸能だって思っちゃうじゃないですか。
でも、amiinAは2人の健やかさを損なわないまま、アイドルという形式がなしえる表現の最高峰を目指していて、ちゃんとその壮大な未来を客に信じさせている。そんな難しい、純度の高いこと、どんな大手だって天才少女だってなかなかできないことですよ。
私はamiinAをもっとアイドルに興味のない人や、小さな子供にも観てほしい。
彼女たちは誰かの憧れや夢を背負う力強さのあるグループで、未来に対する指標になる存在だと思うから。
今日の初ワンマンライブを私は一生忘れません!
— miyu_amiinA (@miyu_amiinA) May 27, 2018
自然と生まれたコール
大合唱になったアンセム
喝采の拍手
今までにない感動でした。
正直課題はあるけれど
2ndワンマンも決まったので
今年の夏も駆け抜けていきたいと思います!
こらからも私達の1番の味方でいて下さい。
amiinA members ありがとう pic.twitter.com/sUZzolMWUE
今日はamiinAの初ワンマンライブに来てくれてありがとう😊amiinAを見にこんなに沢山のお客さんが集まってくれて、本当に嬉しいです。membersと共に熱い夏を乗り越えたい。心の底からありがとう!みんな大好きだよー!!!!!!!!!! pic.twitter.com/rNKw4UOFvG
— ami_amiinA (@ami_amiinA_) May 27, 2018
その他、上に入れ込めなかったあれこれ。
・後半の一曲目はしっぽをつけてのRun Blue。amiinAはダンスが激しいからしっぽが取れてしまうので普段はつけないのですが、どうしてもやりたくて後半一曲だけつけて登場したのだそう。実際この日も途中で取れてしまったそうです。役目を終えたしっぽをぽいと舞台袖に投げ捨てるmiyuちゃんになんか笑いました。
・今の曲が激しすぎて初期曲のダンスが省エネに見えました。
・signalの「本当の歌選んだからここにいる」のmiyuちゃん。いつ聴いてもグッとくるけどこの日はちょっと泣きました。
・Wonder Traveller!!!はアンコール無しなので、セトリを考えたという2人が「あるか不安だったけど、アンコールありきで考えました!」と話していたのが可愛かった。
・校庭カメラガールのキラーチューンの作曲者・TESSEI TOJO曲のUnicornでめちゃくちゃ踊ってしまった。bounce(コウテカ提供時の名義)曲に飼いならされている……。
・きゅうりと野菜が積み上げられたプレゼントボックスくだらなくて笑いました。松村さんのイラストに気がつかなかったの残念。
amiinAの1stワンマンにamiinA membersが用意した手作りの飾り付けを施したプレゼントボックスと、箱から溢れるほど沢山のお菓子ときゅうり(と野菜)。悪ノリをやり過ぎなほど楽しい形で回収していく、遊び心と現場への強烈な熱意がamiinAを支えているのだろうし、とにかくみんなamiinAが好き過ぎる。 pic.twitter.com/fOdVOlkKV7
— aerodynamik // (@aerodynamik_tw) May 27, 2018
・amiinA主催の後にアエロさんに会うと「どんだけ魂込めて仏像彫ってるか」みたいな運営チームいい話聞けるのがうれしいです。「アエロさんに会って話聞くまでがamiinA」みたいなとこある。
・VJ担当のTONTONさんはパリピ向けのパーティーでも活躍する国際的VJなのだとか……。すごい。sora tob sakanaのVJも担当しています。
・私は後ろで観てても全然不満ないし、モッシュとかも否定的じゃないタイプだけど、今ちょっとフロア激しいので、女限というよりか、まったりゾーンはあってもいいのかなと。ダンスじっくり見たい人もいると思うので。
↓昔書いた関連のエントリで、わりと節目の出来事を描いているかなと思うもの。