ホンのつまみぐい

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2020年6月頭のシアター上野

 Mさんに誘われてシアター上野へ。Mさんは黒井ひとみさん、私は栗鳥巣さんめあて。土曜の1回目から。

 久々のシアター上野。前回はもう1年2か月前だった。その頃は女性割引はなく、始まる前に舞台の上にぽつんとおかれた古いテレビからエロビデオが流れていたと思う。

 エロビデオの上映は、テレビが従業員によって撤収されることで終わった。誰もまじめに見ていなさそうなテレビが無言で片付けられていく光景は、まるで現代という感じがしなかった。

 そんなシアター上野は、何か月か前から女性割を始めていた。エロビデオの上映もなくなっていて、すっきりしたような少し物足りないような気持ちになった。

 1回目からイス席が8割埋まっていて、かぶり席の人は配布されたフェイスシールドをつけるようお達しがあった。説明の時に「踊り子さんを守るためですから。踊り子さんを守るという気持ちでいれば丸く収まりますから」と話していて、それがお客さんを納得させるのに一番効率がいいことだと認識して話しているのだろうと思った。

 前回はろれつの回らない酔っ払いおじさんがいて、正直ちょっと居心地がよくなかったのだが、じんわりと緊張感の高まった場内にはそういう破れ目みたいなものがなくなっていて、それはそれで場が寛容さを失わざるを得ない状況だと突き付けられたよう気にもなった。

 栗鳥巣さんはアベノマスクを使った演目「エロナ」。最初の衣装ではスカートが膨らんだメイドっぽい服装だったが、だんだん頭に使用済みコンドームを飾ったりとわけのわからないことになってきて、最後はアベノマスクを身体に巻き付けていた。ベッドでちゃんとポーズを切る栗さんを初めて見たかもしれない。

 使用楽曲がコロナウィルスやアベノマスクについて歌ったもので、曲のインパクトが強すぎてステージとうまくかみ合ってないような気もした。

 蛍光塗料がひもについているのか、暗い照明の中でマスクが光っているのがシュールだった。

 写真撮影では相変わらず力強く人々をもてなしていて、「ソーシャルディスタンス2ショット!」と称し、錯覚を利用して栗さんが手のひらに乗っているように見える写真を撮ったりしていた。

 黒井ひとみさんは「黒井軒」という出前先で昔好きだった人に会う演目と、バーレスク風のダンスをやっていた。

 バーレスク風のはツボをついた振り付けと迫力のある衣装がとても素敵な、エロティックで密度の濃い演目だった。黒井さんの作品で一番印象に残っているのは「上海バンスキング」だけど、こちらはその次くらいに好きかもしれない。

 写真撮影の合間に従業員がフェイスシールドをしないお客さんをきつい口調でとがめたりということがあって、いつものようでいて、いつもでない現場だった。

 そのせいというわけではないと思うけど、あまり満足感を得られないまま終わってしまった。それは演者がどうこうではなく、たとえば井吹天音さんなんかは踊れる喜びが伝わる気持ちのいいステージだったけど、自分の心が泥につかっているようであまり楽しめなかった。

 ストリップは観ている方にも演目から物語を見出したり、感動したりする力が必要なので、どうもそういう感情が目減りしているようだった。一緒に行ったMさんはちゃんと楽しめていたようで、うらやましいなと思った。

 踊り子の労働環境についていろいろ考えていたのも影響しているかもしれない。またしっかりと感動することができるのはいつになるだろうか。

追記:いや、でも水咲カレンさんとの肌色多めのツーショットをTシャツに印刷していたおじさんの存在は感動したかな…。