ホンのつまみぐい

誤字脱字・事実誤認など遠慮なくご指摘ください。

umaneco presentsおいでよ !ワンパク村!~クリスマスだよ全員集合~で、もつ酢飯ライブ納めをしました

もつ酢飯のライブ納めということで、クリスマス当日に恵比寿BATICAに行ってきた。

ラーメン屋、高い飲み屋、高い飲み屋、ラーメン屋と続く恵比寿の表通りを歩くと、こじゃれたガラス扉の外にぽつんと教壇のようなカウンターが置かれていて、そこでスタッフが入場料を受け取っていた。こんな寒い日に道路で金を受け取るってえらいしんどいな。

中でモスコミュールを頼んで、ライブ会場である2階にあがるとペペ長谷川さんが歌っていて……。って、ペペ長谷川さん。いい声だけど、普通の頭の薄いおじさんなんだが。何やってる人なんだ。

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もつ酢飯の2人を見つけて声をかける。ペペさんのライブが終わると、2人ともフロアから直接ステージにあがってライブがスタート。

もつ酢飯のテーマから、1on1、服屋wars、ブラック・リフレクション、But,無理 is よくない、ごはんパンというセトリ。

もつ酢飯のテーマは間奏での「男の子!女の子!」「1階席!2階席!アリーナ席!」というアオリが定番になっているようだった。

そこから女の子同士のマウンティングの様子を歌った1on1。息の合ったかけあいで、二人の仲の良さがうかがえるのに、歌ってるのはdisりあいというのが面白かった。あとで考えると、メルカリに4℃のアクセが山ほど転売されているというクリスマスの夜に「4℃とかハンパでやだわ」という歌を歌うのめちゃくちゃタイムリー。

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ビートの個性の違う曲が次々披露されるのを観ながら、ちょっとこの1年を思い出した。

もつ酢飯の最初の楽曲はサイファー主催のドクマンジュくんのビートで、ひねくれた歌詞にアブストラクト気味のビートという謎に攻撃的なG.I.R.Lという曲だった。

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それが今ではバトル・ライブ・学校とさまざまな場所で出会った人の曲でラップしている。テーマもオタクの自虐とdisりから、マイペース人生宣言、炭水化物賛歌とどんどん広がっていって、自分を過去にするスピードが早い。

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もつ酢飯のテーマの初披露は、タイダルトガリネズミというイベントで、ムノウちゃんが緊張で歌詞を飛ばしていたりとまだまだ「微笑ましい」レベルだったのだけど、もうちゃんと演者だな~と思いながら楽しんでいた。

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もつ酢飯 (ワッショイサンバちゃん作の公式HP)

もつ酢飯終わって2人と話したりしていると、ORETACHI(丸省&METEOR&高野政所がスタート。秘密結社MMRはMETEOR×丸省×RIND編成だから、政所さんが入った時をORETACHIとしてるのかな。

丸いおじさんたちの聴きとりやすくてくだらない歌詞と、あっぴろげなMCが何だかもうびっくりするくらい面白かった。

ラッパーのギャグ、基本「微笑ましい気持ちで観る」のが正解だと思ってて、「楽しませてもらう」ものじゃないと思ってたんだけど、もはや笑いすぎて内容を覚えていない。レポートできないじゃないすか。無能だな、自分。いや、アンダーグラウンドは現場にしかないからいいのか。

冗談抜きでくだらなすぎて、ストレートすぎて心に花が咲くので少年ジャンプを本気で読んでいた頃に戻りたい人は観てほしい。

年末に秘密結社MMRのCDも買ったし、これを聴いて1月を乗り切りたい。

「10年後もこんなことしていたい」的なMETEORさんのバースを聴きながら「その頃には現場に飽きているかもしれないな。何やってるんだろ10年後」とふっと思った。

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スーパーヒップホッパーズ ~幻の巨大魚編~

スーパーヒップホッパーズ ~幻の巨大魚編~

 

1階に降りてフードを食べていると、元気そうなお兄ちゃんと「ORETACHIよかったですね」「誰目当てですか」みたいな話になって、「もつ酢飯です」と答えたら、「もつ酢飯もよかったですね~。前出たときはあんまり盛り上がってなかったんですけど」と話してくれた。相手の人は一瞬「余計なこと言っちゃったかな」というリアクションを見せていたけど、成長を目の当たりにしたようでむしろうれしかった。

ごはんを食べて2階に戻るとディスク百合おんさんのDJ中で、最後にゲストにアンパンマンのビニール人形を持ち込んだりしていて、馬鹿馬鹿しく楽しく盛り上がっていた。

最後のおやすみホログラム

カナミルがフロアにつっこんできて、それを観てかインドのサリーでアクセサリーもバチバチに決めた女性(umanecoメンバーの方だったのかな?)もリフトされてカナミルに手を伸ばしていたのが何だか洪水っぽくてよい画だった。

ごちゃごちゃしているけど、それがマイナスにならない、熱量があるんだけどどっかのどかなライブ。初期からの代表曲多めのセトリも、たまにしか観ない人間にとってはうれしかった。

翌日の仕事のことを考えておやホロ終わってから帰ったけど、結果的によいライブ納めになった。面白くてのどかな現場が作れるのはすごいことだ。ワンパク村はまた行きたい。

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サブカル不毛の地・横浜から生まれた「nuance」はローカルアイドルとして正しい

横浜のご当地アイドルnuanceがドルオタの間で話題になっていると聞いたときは、マジかと思いました。

 

横浜ってサブカル不毛の地と呼ばれてるんですよ。理由は簡単で、何もかもが東京で足りてしまうし、何かやろうとしたら東京に行った方がいいから。だから、新しいものが生まれないし、狂人は居残らない。

 

アイドルももちろんそうで、ナチュラル・ポイントやポニカロードといった先人はいたけれど、じゃあそれがそのまま東京に行ったり、横浜に人を呼んだり出来るかというそこまでの存在感はなかった。

 

それが、いきなり「横浜」をアイデンティティに添えたグループが話題になってる。しかも、アー写にも衣装にも曲にもちゃんとお金をかけてる感じ。ライブアイドルにありがちな「とりあえずやってみました」感がない!

 

調べてみると、サウンドディレクターは乃木坂46遊助への楽曲提供もある佐藤嘉風(かふう)。そして、楽曲提供は劇団鹿殺しからオレノグラフィティ、横浜のフォークデュオN.U.ら。「キンプリ」「プリパラ」に歌詞を提供している宮嶋淳子も。振付はこれまた劇団鹿殺しの浅野康之。ダンスレッスンには横浜元町でダンススタジオを開設しているFUYUMI。最新のジャケ写はハービー・山口。地元のクリエイターに加えて多彩な制作陣が参加している。

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ライブアイドルである程度の質を保っているところって「イカれた大人が人生投げ出しつつ無茶を通して運営する」イメージを持っているので、「横浜にもそんな気合いの入った狂人が……」ということに驚きました。

 

HPを見ると横浜市商店街総連合会企画のガチシリーズのテーマソングを歌うアイドルらしい。たしかに連合会知り合いいれば何とでもコラボする印象あるし、アイドルバックアップしててもおかしくない。その後、運営はコンテンツ制作の何でも屋さんであるミニマリング・スタジオが行っていると知り、安定感のあるパッケージングとコネクションの強力さに納得しました。

とはいえ現場まで行くつもりはなかったんですが、なんとワンマンの会場は横浜に1946年からあるダンスホール・クリフサイドというじゃないですか。清竜人25の「Mr.PLAY BOY…♡」PVの撮影場所ですね。

 

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年配のお客さんを中心に、未だにダンスホールとして機能している希有な箱。また、ジャズライブやダンスの発表会なんかも行われています。関東圏のドルオタなら東京キネマ倶楽部をイメージしてもらえばいいと思います。

 

ただキネマ倶楽部と違って石川町駅もしくは元町・中華街駅から降りて少し歩く、元町商店街の裏手の坂の途中という見つけづらい場所にあり、地元の人間ですら存在を知らない人が多い。ましてやアイドルのライブなんて開催されたことありません。

 

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横浜駅周辺ですら来てもらうの大変なのに石川町て……(まあ、閉店したリザードも含めると横浜の代表的なライブハウスやクラブは石川町に集まってるんですが)。連合会のバックアップがあるみたいだし、クラウドファンディングも行っていたから運営が大赤字になることはないかもしれないけど、どう考えても無謀。

 

というわけで、前置きがめちゃくちゃ長くなったけど、横浜で無謀なことをしている人がいるらしいという好奇心でnuanceワンマン行ってきました。

 

中に入ると、立派なソファーのある待合室やホテルのようなクロークが出てきて、ここでもう元取った気になりました。会場にはあちこち古い写真や絵画も置かれていて、歴史を感じさせます。

 

そして、ドリンクカウンターにはYシャツに黒ベストの品のいい服装の年配の女性。白ワインをグラスで渡していただきました。ダンスホールっぽいぞ!古い映画の中みたい!

 

ドリンクを受け取って会場に降りると、背景に古い喫茶室で使われるようなレタリングでのクリフサイドという文字が躍るステージの上で、すでに4人の女の子が踊っていました。会場内はご家族・関係者と思わしき人が40人くらいで、オタクが50人くらいかな。

 

低いステージの後ろから見ていたので振り付けはよく見えなかったんですが、曲はたしかにいい。革新的なことをやっているわけじゃないけど、軽やかで聴き心地がよくて、アイドルっぽい少し抜けたかわいらしさもがある。楽曲派受けしそうな出来。

 

ステージングも「レベル高い!」っていうわけではないのですが、全体的に誠実で、ちょっとおっとりした感じで、いい意味でいかにもローカルアイドルっぽい。

 

ぼんやり見ていると「6曲駆け抜けてまいりました。次からは後半戦です!」というMCから、メンバーがいったんはけて、misakiちゃんによるギター弾き語り。

 

「名だたるアーティストがPVに使っているような場所で弾き語りが出来るなんて夢のようです。でも、これもニューメンとメンバー3人のおかげなので」というMC。めちゃくちゃしっかりした子で、歌も安定感ありました。

 

次に出てきた女の子は頭にミツバチの触覚ヘアバンドを着けた珠理ちゃん。「いつも4人でいるから1人心細いな~。でもがんばろ!」といいながら「ハチミツ片思い」というラテン調の曲を披露。「ハチミツ片思い~」というサビがものすごく頭に残る曲で、今でもたまに思い出します。

 

ソロコーナー終わってから衣装を着替えて、再び4人でのライブへ。

 

ロコドル感たっぷりの楽曲「We Love 商店街」がとても盛り上がっていて、これまでの活動の歴史を感じてほっこり。合間合間にのんびりしたMCをはさんだり、アンコールでのサイリウム点灯に珠理ちゃんが泣き出したりと、アイドルらしい場面もはさみつつ、ゆったりした空気で終了しました。

 

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最後に、メンバーが垂れ幕を持って2階のバルコニー上のスペースにあがり、サプライズで発表したのは6月のO-WESTでのライブの発表。

 

バックアップがあるのかもしれないけど、まだ横浜のちょっと話題になってるくらいのロコドルなのに、キャパ600の箱って正気じゃないなー。でも、面白いし、応援したい。

 

nuanceって、ただ「地元の可愛い子を使って人を呼びたい」じゃなくて、「横浜でも面白いものが作れるよ」と「地元の人も知らない横浜の面白さってこういうとこだよ」というプレゼテーションができてるんですよ。つまり地域の再発見ってやつですね。ご当地として正しい。

 

制作が昔から地元の広報誌や映像、企画を作っているミニマリング・スタジオなのが大きいと思うんですが、そういう思想のあるなし大切。

 

半年後にO-WESTは大きな挑戦だけど、成功してほしいなあ。 

 

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春ねむりワンマンライブ「ぼくを最終兵器にしたのはきみさ」@武蔵野公会堂ホール

自らのホームであるライブハウスを出て、武蔵野公会堂という整頓された会場を選んだ春ねむりのワンマンライブ。

普段はクラシックコンサートや合唱をやっているそうで、会場入り口の柱に、紙に筆で公演情報が書かれていた。

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同年の1月にduesで行われた無料ライブとは違う、高い天井に固定イス。そして、舞台に映し出された『2017年10月26日 (木) 春ねむり ワンマンライブ「ぼくを最終兵器にしたのはきみさ」』の文字。

ライブの前に彼女が主題歌「kick in the world」を提供した短編映画「; the eternal /spring」が流れる。バンドを始めるけれどうまくいかない女の子の日々を描いたものだったけど、あまりひっかかりのない内容だった。

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映画が終わり、春ねむりによるナレーション。さらにノイズ音が流れ、しばらくするとワンピース姿の春ねむりが姿を現した。

最初の曲は舞台に用意されたひな壇に上がり、スタンドマイクを前にしてのライブ。改めて、細い声なのに強い!そして、VJが美しい。

ワンマンでもVJが用意されていたけど、2DKの部屋くらいのduesではなく、映画館のスクリーンくらいの大きな背景に映し出されたVJは、世界観をがっちり補強している。

舞台の上は春ねむりとVJだけの世界で、それはファンのかけ声や熱気と同期させていくライブハウスでのライブとはまったく別のものだ。客を頼らず、1人だけで世界を完成させていく覚悟のようなものを感じた。

細くて揺れのある、だけど油断のない歌声が客席に響いていく。

 

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ポエトリーリーディングに近いけれど、もう少し色鮮やかなステージ。時折花びらを巻く姿が美しい。

この日は中盤に挟まったカバー曲「バーモント・キッス」(相対性理論)と「世界征服やめた」(不可思議/wonderboy)が、彼女自身の曲とは違う空気もう少し遊びのある音で、よい緩急になっていた。

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特に「世界征服やめた」での伸びやかな歌声はそれまでの彼女のイメージと違ったふんわりした聴き心地の良さがあった。

改めて大きなホールで聴くと、春ねむりの作る曲は多彩だ。ロック色の強いバンドアレンジのものもあれば、ビートの存在感が強いアンビエントな曲もある。

その多彩さはキャッチャーさと対極にあるし、時折挟まる激しいMCも含めて、人を選ぶだろうなと思う。

でも、MCで「最終兵器になりたいと思って作った『ぼくは最終兵器』ですが、この1年でああ、最終兵器になってしまったんだなと思えたときがあった」という、その覚悟が美しくて、それに見合うだけの存在になろうとする鋭さがかっこよくて、ついつい目が離せない。

最後は絞り出すような激しいシャウトの「kick in the world」から新曲披露で終わった。ライブというより、音楽を介して春ねむりが心の中に作る宇宙を再現するためのインスタレーションのようだった。

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春ねむりはライブ中によく「皆さんを救いたい」というようなことを叫ぶけど、正直に言うと私はライブに救いを求めていないので、ちょっと申し訳ない気分になることがある。

それでも、彼女のライブに足を運んでしまうのはその真摯さと力強さを確認したいからなのだろうと思う。

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2017年よく聴いたやつ(年間ベストとかじゃないです)

年間ベストの季節ですね。

回りの人がどんどんお祭りに参加してるので「自分なら……」と思っていろいろ思い浮かべてみたのですが、あまりに面白みがなくてちょっと自分でひいてしまってですね。

何が面白くないかって、音楽聴く力が低い人のセレクトなんですよね。

あの、私は「読めないマンガ」がないんですよ。好き嫌いはいっぱいあるし、苦手な作品ももちろんあるのですが、「読めない」ことはない。

雑誌で例えれば、ジャンプからガロ(今はアックスですが)。あるいはりぼんからエロティクスFゴラクからエース。どの分野も読めって言われれば読めるし、好きじゃなくても「魅力がある」「力がある」はわかる。

積極的にではないけれど戦前のマンガも海外マンガも読んだし、コミケコミティアで同人誌も買ってました。pixivも見るし。とはいえ、すべて最近は全然ですが。

※こんな感じ→私のマンガベスト10+100 - ホンのつまみぐい

あと、本屋で働いてたのもあって、自分が好きじゃないものでも、楽しみにしている読み手がたくさんいるってのがわかる。

だけど、音楽って「自分にとってどこかしらなじみがあるもの」以外はまず「聴けてない」んですよね。もちろん流してはいるけど、好き嫌い以前に全然つかめてない。

今の私の聴き方だと、マンガに例えればアフタヌーンとビームしか読まないで生きてきた人が今年1年について語るみたいな感じになっちゃう。だから、何が2017ベストかという判断なんてとてもじゃないけどできないなーって。

まあ、ただ「よく聴いた」でくくれば10年後の自分が読んだときに楽しいだろうと思い、書き記してみました。旧譜と新譜半々くらいです。

個人的には2017年半ばからApple musicを導入するようになって、聴きたい曲を即インストールして、通勤で聴けるようになったのが2017年の大きな変化です。(だから通勤で気持ちよく聴けるやつが多い……)

さっき上げたようにジャッジ放棄してるんで、選ぶにあたって時代性への目配りとか、新星へのエールとか、あるいは実験精神への評価とか、シーンへの貢献に対する好意などは一切ありません。

でも、全部どっか似てるので、あれが好きな人はこれも好きというのはあるかも。あと、ライブで「こういう曲だったのか」と発見することも多いので、ライブを観たことある演者が強いです。

 

BELLRING少女ハート 「UNDO THE UNION」

UNDO THE UNION

UNDO THE UNION

 

今さらこれか感はあるのですが、何枚もアイドルのアルバムをiphoneに入れて、容量の関係で削減というのを繰り返した後にいつまでも残っている一枚。
時に童謡を喚起させる不安定な女の子たちの声に、アヴァンギャルドな音調。ロックアイドルはあまり聴かなくなってしまいましたが、ベルハーは1曲ごと、東欧のサーカス映画、60年代のアングラ演劇、女子高生を主人公にした古いSFドラマなど、さまざまな世界が喚起されていくら聴いても飽きません。

歌詞も印象的なフレーズがありすぎてきりがないけど、全然知らない人向けに一個伝えるならこれかな。

あのタンジェリン かじりついて 爆ぜるアシッドな香り
そうタンジェリン かじりついて 味わってみるの
おとなってさぁ あきらめるじゃん 寝転んだ目して笑う
赤ちゃんってさぁ 手を伸ばすじゃん すべてに触れたい

メンバーのささやき声をサンプリングした曲に歌唱を乗せる「男の子 女の子」とかも変態的なのに静謐な美しさがあって好き。

ベルハーのライブ映像で好きなやつ。このアルバム収録でない曲が多いですが。

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TEAM MII 「TEAM MII 全曲集」

TEAM MII 全曲集

TEAM MII 全曲集

 

3776じゃなくてTEAM MIIなのは、群像劇っぽいパートが面白いのと、井出ちよのちゃんの芯のある歌い方に比べるとこっちの方がはるかにヨレヨレした歌唱だからです……。歌詞も気持ち悪いです。

雑にまとめちゃうとニューウェイブらしいんですが、TEAM MIIは子どもたちの声もあわせてNHKのSFアニメに使われてそうな音ですよね。いや、そうでもないか……。でも、1曲ごとに短編映画みたいなインパクトがあるところはベルハーと共通する部分があるかも。

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校庭カメラガールツヴァイ 「Dis dear month of August」(会場限定)

Dis dear month of August

Dis dear month of August

 

ヒップホップいろいろ聴くようになったらアイドルラップ聴けなくなるかなと思ったけど、やっぱりコウテカ好きでした。

過去2回のちゃんとしたワンマンが冬だったこともあって、コウテカは寒い季節が似合うイメージが強いのですが、夏を前面に押し出したこのEPは気持ちを明るくしてくれる曲が多くて、3枚のアルバムと違った心地よさがあります。


【MV】"Dis dear month of August" Trailer / 校庭カメラガールツヴァイ


あめとかんむり「nou」

nou

nou

 

 「おれたちのtapestokともるももるがやってくれたぞー!!」。

アイドル色の強い「This is ido rap e.p.」ではどこか自信なさげに歌っていたもるちゃんが、その魔女っぽいたたずまいや声を最大限に活かしたロウハウス×ラップの名盤。

気だるげな声と振動が染みこんでくるような音の重なりが気持ちよくてリピートできます。

なんて書いてますが、ハウスという音楽をあめとかんむりで初めてちゃんと意識しました。でも、クラブミュージックなのにパリピやらなくていい、ほっといてくれる心地よさのあるハウス好き!


lie night / あめとかんむり

 

tofubeats「FANTASY CLUB」 

FANTASY CLUB

FANTASY CLUB

 

 tofubeatsやさしい!あたまいい!好き!

「美しいけど 終わりがあるストーリー」
「頭使っててもまだ間違う」
「Lonely nights, 二人でもlonely nights」
「もう良し悪しとかわからないな」
「何がリアルで 何がリアルじゃないか そんなことだけで面白いか」

とか、どれも平易な言葉なのに、音との組み合わせによって心の中の普遍的な部分を叩いてくる。その音楽としての正しさが本当にすばらしいですね。耳なじみのいい電子音の中、オートチューンをかけたtofubeatsの声が独特の生々しさを持って聞こえてくるという不思議なギャップもいいです。


tofubeats - LONELY NIGHTS

 

環ROY「なぎ」

なぎ

なぎ

 

 イルカがキューキュー鳴いてる1曲目が聴きたくて再生して、最後まで延々と聴いてしまう1枚。歌詞はあんまり耳に残らないのですが、声と音がとにかくいい。

志人まで行っちゃうと芸術に閉じこもってる感じがしてしまうのですが、「なぎ」は表現を突きつめているのにスッと耳になじんでくる作りで、いわゆるポップスとはまったく違った方向からの普遍性の追求への意志を感じます。


環ROY / はらり

 

サイプレス上野とロベルト吉野 「TiCTAC」

TIC TAC

TIC TAC

 

ヨコハマシカ feat. OZROSAURUS→マイク中毒 pt.3 逆feat. STERUSS→DOORの流れが好きすぎてめちゃくちゃ聴きました。

弱音と強がりを隠さず自分の道程を確かめながら歌われる現在進行形の自己肯定。

crime6の「言葉通り生きられないけれど、言葉に近づくよう生きなさいでしょう?」(マイク中毒)とか、サイプレス上野の「あの頃のSOUNDから今このSOUND 疎らなフロアを燃やしてきた その飛び火が燃え盛るZE」(DOOR)とかの素朴な言葉はもちろん、ヨコハマシカでのMACCHOの叙事詩的な言葉選びも圧巻です。

言葉のことばかり書いてしまったけど、3曲ともどこか寂寥感がありながら軽さを失なってない曲で好き!

全体に焦燥感と疾走感がストレートに反映されていて、勇気づけられるアルバムなので全30代に聴いてほしい。

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STERUSS 「白い三日月」

白い三日月

白い三日月

 

 円鋭の方が世界観的にも音楽的にも円熟した内容だと思うのですが、iphoneのシャッフルで流れてきてテンションあがる確率の高さでこっちに。
歌詞がいちいち意味わからなすぎて、耳に入るとうぉーってなるんですよね……。
「夢で俺にあったら俺を殺す 殺しては生まれるブラックホ~~~ル!!!」
「なんじゃそりゃーー!」
いや、めっちゃ好きです。
あと、KAZZ-Kの曲に通底するちょっとしたそっけなさが好きです。甘くないのに人の声が乗るとエモくなる、そのバランスがすばらしい。

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ゆるふわギャング 「Mars Ice House」 

Mars Ice House

Mars Ice House

 

 享楽的で刹那的で、明らかに若者のための音楽なのにどこか懐かしい感じがするのはスーパーカーリスペクトだからか……。ゆるふわはライブがめちゃくちゃよかったので否応無しに印象に残りました。あと、「ビジネスがなんだ 全員死ね」最高。もう一度ライブで言いたい。

でも、この2人って私みたいなサブカル中年より、「彼らの音楽を自分の一部として聴いている人」の言葉を待ちたい気もするんですよね。

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WONK 「Castor」「Polluk」

Castor

Castor

 
Pollux

Pollux

 

ストレートにおしゃれ!な曲とちょっと変わったことやってみたザクッとした曲が同居しててどっちも聴かせるのがずるい。セロニアス・モンクのMONKをひっくり返してWONKというのもずるい。早く現場行って「見たよ」マウンティングしたいです。

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NETWORKS 「Dynamic Nature」

Dynamic Nature

Dynamic Nature

 

11月末に知ったので今年よく聴いたも何もないんですけど、寒い日の朝、自転車に乗りながら聴くと主人公感ハンパないのでみんな真似してくれー!って気持ちで入れました(事故らない程度に)。緊張感の強い演奏のミニマルバンドなんですけど、音の中に熱さとかわいらしさが同居していて聴いているとニコニコしてしまいます。

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……並べて思ったんですけど、私は「寂しそうな音楽が好き」なんですね。PUNPPEすごかったのに入らなかったのは寂しさ成分が足りなかったんだな……。あと、ケンカ弱そうな人が作ってる音楽ばっかっすね。

年間ベストって次世代にその価値や記憶を引き継ぐ役目もあると思うので、まだそこには参加できないなと改めて思いました。

(だから、ただ曲名が書いてあるだけのベストってどうなんって思うんですが……。)

あと、SALU全般とか、あっこゴリラのEPとか、ライムベリーの「ちょっとやってみただけ」とか、BADHOPの「これ以外」とか、E TICKET PRODUCTIONの「ILLNINAL」とか、個別に記憶に残る曲いっぱいありました。

ラップもアイドルももっとちゃんと聴きこめば魅力がわかったものたくさんあるんだろうな。

あ、KIMODORIとかstillichimiyaの「死んだらどうなる」とかもかなり聴いてたけど、もう4000字くらいあるからいいか……。

番外ですが、2017年一番応援してた人たちの曲。客観的に見ると拙いのかもしれませんが、どっちもイイキョクです!

 

もつ酢飯「もつ酢飯のテーマ」

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YABO$HIKI-1「OTK HUSTLER feat. Jabvara,DocManju」

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来年はもっと聴ける音楽増やしたいですね。では。

P.S あ、これ読んで「じゃあ、これも好きだと思う」みたいのあれば教えてほしいです。

最近のtapestok現場のことちょこちょこ

あめとかんむり タワーレコード横浜店 2017/12/19


夜向けの音というイメージですが、まっ黄色の背景のタワヨコでも楽しく聴けました。やっぱり音がいいと楽しいですね。タワヨコは屋外に出る扉の近くにイベントスペースを作るためか、リリイベとしては音がでかいのです。MC中、もるちゃんがしゃべろうとするも、舌がうまく回らないのを見てすぐ曲を始めてしまうJasさん……。

終わってからオタの人たちと中華街の景徳鎮で四川麻婆豆腐を久々にゲホゲホ言いながら食べました。つらかった……。四川風麻婆はある種のアトラクション。でも、おいしいから食べちゃうけど。

 

あめとかんむり ヴィレッジヴァンガード渋谷本店 2017/12/7

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愛まどんなの描いたグラフティの白々しい明るさがとてつもなく若い女の子っぽいステージ。しかし、あめかんのリリイベ客はほぼ中年(もちろん自分含む)。

横浜に比べるとけっこう人が集まっていて、もるちゃんも嬉しそうでした。

曲がコウテカみたいな暴れ倒す曲じゃないから、間奏の部分でのリアクションをもてあましてるようなところがあって、目をつむって見たり、造花を振ってみたり、いろいろ模索中のよう。

しかしオンリーワンであり、最高であることは間違いないので今後もライブに立つのは続けてほしい。

途中で誰かに大きく手を振っていて、視線の先を見ると小さな女の子が走って行ったので、ファンの誰かかと思ったらののるるれめるちゃんだったとか。気が付かなかったの無念。

 

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nou

nou

 

 

校庭カメラガールドライ "SPBD" At.渋谷LOUNGE NEO 2017/12/20

 

はっぴーくるくるの途中から参加。

ちなみにLOUNGE NEO初。古び方に色気がなくて、演劇部の備品が積んである古い体育館舞台袖って感じでちょっと寂しい。

さっぴーはろうぃん生誕祭ということで、衣装ではなくおのおの結婚式で着るようなサテン素材のワンピースで登場。さっぴーはろうぃんちゃんときゃちまいはーちゃんの2人は髪もアップにしてました。さぴちゃんだけ真っ白なワンピでキュート。

若干暗黒舞踏的な動きのさっぴーちゃんと、歌い上げても声がぶれない歌唱力のきゃちちゃん。二人とも、もうそれぞれの表現の型や安定感も出てきてる。ただ、どこか物足りない。曲が強いから客がすぐあがっちゃうのがあんまりよくないような……。

「星になるの」というイントロが印象的な、新しい3人の声を活かした新曲も、さすがのプロデュースっぷりで力のある曲なんだけど。

反省会でちょっと話したことあるんですけど、tapestokって演者がいなくても音楽として完結しちゃうとこあるんですよね。そこを演者が追い越していかないと面白くならないかなって。

生誕用にバカでっかいクマのぬいぐるみや風船やサイリウムが用意されていて、「こんなに大勢の人に祝ってもらったことない!」とさっぴーちゃんが叫んでいて、それはほほえましく見てました。

 

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ヒップホップ興味ない友人とサ上とロ吉のライブを観た「NISSAN GALLERY Christmas Live_2」@日産グローバル本社ギャラリー

珍しく冬の無銭イベント。

ドルオタなので「無銭には人を連れていかなくては」という謎の義務感を発し、横浜住みの友人を呼んで日産ギャラリーへ。東京の人は横浜まで来てくれないからなー。

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普段は車のプレゼンをしているような会場で、ステージ正面にイスがあってちょっとビビりました。友人は「音楽をあえて聴きにいく」タイプの人ではないので、どうなるかちょっと心配しながら着席。しかし、ほんとは立って観たかった。

18時開始のライブでしたが、最初にFMYOKOHAMAの人からのあいさつ、日産の人からの車およびギャラリーの紹介があって「ぶっかます」からスタート。

客がライブ慣れしておらず遠慮がちだったのを察してか、いったん音を止めて、「今こいつが何やってるかわかりますか?レコードコスってますよ」というMCからスクラッチにあわせてアオリ。「上の人も!」「2階の人も!」で、やっと場が温まってきてからの「まさか日産の総本山でライブやることになるとは思ってなかった」というMCに、「おれたちこんな番組やってました」からのbaydream、WONDERWHEELだったかな。日産の人に「携帯しまえ」って言われてメモ取れなかったから記憶があいまいだ……。

そのあとの童謡スクラッチからのDJルーティーン(レコードを差し替えて投げ捨てた後に、激しめのジャグリングに目隠しでのスクラッチが入るやつ)がめっちゃウケてました。

正面に座ってた5歳くらいの男の子がいちいち合いの手を入れてて、それに「お前いいやつだな」とか笑いながら答えるサイプレス上野の姿がハートフル。

「ドリームハイツはここから歩いて7時間」「ラジオの収録の後にスカイスパから日産のギャラリーをよく見てた」とか地元ネタ多めのMCでした。

あと、物販のPRもあってサイプレス上野がちんぽTシャツ着てたんですが、「日産でちんぽとか言っちゃってね」とか喜んでてしょうもなかった。

最後はメリゴ、上サインからヒップホップ体操第二、ドリームアンセムで〆。(たしか)

お子さん連れが何組かいたから、

誰かの子供が俺の歌口ずさむなんて
やっぱ不思議だな

が説得力あってよかった。

後に食事の予約を入れていたのですぐ退散。しかし、日産ギャラリーのスピーカーちょっとびっくりするほど音がよくて資本の違いを感じました。

帰り道に友人と「かっこつけてないヒップホップって感じでよかった」とか「あのDJの人すごいよね?」とかいう話ができてよかった。手拍子もコールも楽しんでやってくれてほっとしました。

今のルーティーン「ちょっと大道芸人寄りすぎるな」って思っちゃって、あんまりクラブとかライブハウスでは観たくないんですが、こういうところだとやっぱ楽しんでもらえるな……。

実際、コーレス入れやすい曲から入って、スクラッチ、レコードの差し替えからのフリースタイルに、ハンドサインの説明ってやってくれると後で「ヒップホップってどういうことをやる文化なのか」を説明しやすい。

MAZAI RECORDSメンバーの話もしながら、「ヒップホップってものすごくくだらないことや、身近なことを歌にしていいんだよ」っていうのを伝えられたのはほんとよかったです。(でも、もっとMC少なめで曲がっつりやってほしい気持ちはやっぱりある……)

あと、ラジオリスナーというコミュニティがあって、ラジオが開催するイベントにまめに参加している人というのもいるというのが発見でした。まあ、でもそりゃそうよね。

ところで、最後に日産のPRも兼ねたMCで、車の話をふられた時に「さっき楽屋で箱根のいい話教えてくれたじゃないですか」という振りから、サイプレス上野が「え?!ああ、箱根で星がきれいだったっていう?」って返事をしていた時に、私は↓の話を思い出していたんですが、

サ上「そういう奇行ばっかりしてた。箱根に吉野の車で行ったときも、ガラスはバリバリに割れてる、車体にはスプレーで落書きだらけって状態で。その車でドリフトとかで有名な峠を走ってたんだけど、車が異様すぎて誰も抜かないという。走り屋も怯える電波系の車(笑)」
ロ吉「みんな車好きだから『あの車はヤバイ』って分かったんでしょうね」

これと併せて江の島の話を帰り道に友人に話したら苦笑いされました。

サ上「みんなで遊んでて、吉野の車で江ノ島に行ったんですよ。それで防波堤から海を見てたら、誰かが『吉野、お前なら飛び込めんじゃねえか?』って煽り出して」
ロ吉「上野君の声だったと思いますよ」
サ上「そしたら吉野がいきなり脱ぎだして、急に飛び込んだんですよ。そしたらしばらく上がってこないから『ああ、これは死んだな……』と思ってたら、いきなり浮かんできて『寒みい!死ぬ!』って言いながら犬かきしてて。それ見て爆笑してたんだけど、それでやっと上がって来た吉野の体に夜光虫がついてて、それが光って綺麗だったという話で(笑)」
ロ吉「プー太郎でなにもしてなかったんで、なんかしたかったんでしょうね」
サ上「それで、ガクガク震えてる吉野に自販機で買ってきた暖かいお茶かけたら、急激な温度差で『熱ちい!』って悶えたり」

サイプレス上野とロベルト吉野|INTERVIEW[インタビュー]|Amebreak[アメブレイク]


プランクトンついて光ってるってめっちゃいい画じゃん?!(本気)」
「……(苦笑)。そういうやんちゃな人たちってことね」

 

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