BULLET’Sではいつも靴を脱がなくてはいけなくて、それがなんだか気安くてよかったのだ。
よく行く箱が無くなるのはもちろんいつでも寂しいものだけど、tapestok recordsとそのオタクにとって、西麻布BULLET’Sはひときわ思い出の大きい箱だ。
もるももるがソロアイドルラッパーとして活動していた2014年から現在まで、tapestokにとってのホームグラウンドであり続けた場所だからだ。
生誕イベントにワンマン後のトーク&チェキ会、あるいは開催の数日前に突然告知される長時間の無銭イベント。運営の詳細は知らないけれど、いろんな意味で自由な使い方を許してくれる箱だったのであろうことはうかがい知れる。
そして、BULLET’Sはいわゆるライブバーの中でも、格段にたまり場感の高い空間だった。
赤のベロア素材が上品な中央に置かれたベッドや、無造作に積まれた雑誌やマンガ、ぬいぐるみはどこか文化部の部室のようで、西麻布という都会中の都会の箱なのに、オタクでもくつろげる気安さがあった。
tapestok recordsのBULLET’Sでのラストライブは校庭カメラガールドライ。
開始から20分ほど経ってからの参加だったけれど、演者もオタクも気合いが入っていて、すでにハイになっている感じだった。
ガッと上がりたい気分でもなかったので、顔見知りのオタの人たちとあいさつしながらベッドに座りこんでいた。
コウテカ3は現在動画撮影可。ちょこちょここれまでの動画を観ていたからあまり日が空いた気がしていなかったけど、現場はさっぴーちゃん生誕祭以来の校庭カメラガールドライだった。
あの時何となく感じた物足りなさは解消されるかな?と思いながら聴く。
そして、Night on Verseの収録曲やドライのための新曲は特に違和感ないのだけど、それ以前の曲に物足りなさを覚えることに気がつく。
理由も何となくわかった。きゃちまいはーちゃんは歌が上手いし、さっぴーはろうぃんちゃんは演劇的な節回しのインパクトがすごいのだけど、2人ともまだラップは上手くないのだ。
アイドルラップにさほどスキルは求めていないし、歴代メンバーのラップスキルもまちまちだったけど、しゅがしゅららとののるるれめるという特徴的な声色の2人のいない今、ある程度ラップを音楽として聴かせる工夫がないと単調に聴こえてしまう。
Night on Verse以降の曲ではあまり気にならないのは、解散に向けた焦燥感を煽るような曲調が2人の声にマッチしているからだろうか。
ただ、ライブ自体は声の力強さに気合いが感じられたし、全体に閉店の悲しさを共有するというより、最後の踊り場を楽しみつくすというアッパーさと暖かさがあった。
ノンMCのまま、コウテカ3のライブが一度終了。しかし、フロアのざわめきに答えるように追加で曲をやってから、特典会。
特典会が終わってから、ブレッツの運営のハリーさんに色紙を渡して、「さよなら〜ハリ〜ボシ〜」とオタクが歌い出すと、JasさんがHer L Bo Sheのトラックを流してくれて、サイリウムを振っての大合唱の流れになったのが面白かった。
そのまま何となく帰り難いままうろうろしていると、いきなりたらちゃんときゃちちゃんが飛び出してきて、校庭カメラギャルが始まって、爆発したかのように盛り上がる。
久々のウテギャはトラックのチルさがなんだか懐かしくて、たらちゃんの迷いのない歌い方がかっこよかった。
Jasさんがオタクに応えて何度も延長戦を繰り返すようなライブは他所ではなかなかできないだろうし、文字通りの意味でゴロゴロしながら音楽を楽しむことを許すような場所は他にないと思うから、BULLET’Sがなくなってしまうのは寂しいし、なくなる実感がまったくない。
きっと、「久々にBULLET’S行きたいな」と思った瞬間に寂しいと思うのだろうな。
20年近くを運営を続けてくれたことに感謝を捧げつつ。
HARRYさんありがとうございました! pic.twitter.com/FzzKt1kiOo
— jas (@vividjas) 2018年2月23日