ホンのつまみぐい

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選挙前、選挙後

 7月10日の選挙前後のこと、自分用の記録。

 

 今回の選挙は、以前から選挙手伝いをやってる野党陣営の人たちがかなり危機感を持って活動していたので、これは自分も何かしないと後悔するのでは?という思いで選挙ボランティアに行ってみた。

 衆議院選挙の時もボランティアは考えたのだけど、選挙区の候補があまり応援する気になれない人だったので、今回やっと参加。

 平河エリさんのこの文章も決めてだった。

note.com

 「政治に関わるというのは、多かれ少なかれ迷惑を掛ける側に回るということである。

本当に投票率を上げようと思ったら、一人ひとりが迷惑をかける側に回るしかない。」というのが、ほんとそれ。

 いつもなんとなく立憲か共産に入れてるので、ちょうどツイッターで見た共産党のボランティア募集にとりあえず応募。

 専用ホームページからメールアドレスと電話番号を登録すると、しばらくして年配の方から電話がかかってきた。「とりあえず空いた時にでも事務所に来てください」とのこと。そんな「お茶でも飲みに来てください」みたいな感じなのかとちょっと拍子抜け。

 

 6月25日。

 とりあえず昼に伊勢佐木町にある事務所に行ってみた。ポスターがたくさん貼られた入り口からは、中の様子が伺えなくて少し緊張。インターホンを押すと、中からご老人が出迎えてくれた。急ぎでやることはないというので、とりあえずチラシを折らせてもらう。

 「赤旗読まれたことありますか?」という聞かれたので「矢口高雄が連載してた頃に少し読んだ記憶が…」と答えると「相当昔じゃないですか」と驚かれる。母が保育園でお世話になった方に頼まれて取っていたが、ノンポリの父が嫌がってすぐに辞めたことがあったらしい。矢口高雄のマンガを読んだ記憶は、おそらくその頃のものだと思う。時期的には『螢雪時代』か?

 「矢口高雄は売れる前から赤旗に描いてたんですよ」と聞いて今度はこっちが驚く。矢口は商業デビューして間を置かずに売れてたイメージだったから。あとで調べてみたところ、『はばたけ!太郎丸』がそうらしい。現在はますむらひろしが『銀河鉄道の夜』を連載しているのを知り、赤旗サブカルだったのか……などと思う。

 「情勢どうですかね」という雑談の中に、「やっぱり、改憲阻止のために議席を守らないとねえ」という言葉が。共産党っぽい。もっと吹き上がってるものかと思ったけど、なんだかのんびりしていて意外な感じだった。党員の人には選挙活動も日常なのか。

 あとで知ったが、そもそもそこは神奈川の共産党の事務所であって、選挙事務所ではないので、なんとなく盛り上がりに欠けるのは当然だったようだ。

 割り当てられたチラシを折り終わったので、「配ります」と申し出た。自宅近くの集合住宅なら楽勝と思っての申し出だったが、そこはもう配り終わっているということで、少し行った先の戸建ての居並ぶ街中をお願いされる。正直後悔した。

 この酷暑の中、戸建てにひとつひとつポスティング……。体調を崩すのもイヤなので、夜に配ることを決めてチラシを持ち帰った。

 

 6月30日。

 セックスワークにも給付金を訴訟の判決。

 すべて却下・棄却という耳を疑う判決に呆然とする。傍聴に来ていた要友紀子氏は、裁判所の前ど仲間と配信で怒りを表明していた。

 記者会見に出てからシネマリンに向かう。

 シネマリンでは『水俣ー患者さんとその世界』を観る。論点をわかりやすく切り出すタイプの映画ではなく、水俣病とともに生きざるを得ない人々の生活に寄り添い、戦いの記録を残していく作りの記録映画。

 株主総会での抗議の様子が壮絶で、煽られて私も裁判所で何かやるべきだったのではないかと思う。映画の前に、「法廷に入る前に傘を取り上げられたことがある。不当判決だったので、傘を投げられたくなかったのだと思う」というツイートを見ていたので、自分も何がしか叫んだり物を投げたりするべきだったのかと考えてしまう。

 しかし、これは暴力性を積極的に発揮したい自分の内面の欲求でしかなく、実際やられたら迷惑だろうとしばし考える。ともかく体を張って伝えることの意味を考えさせられる映像だった。

 そのほか、病院での子どもたちのリハビリの様子が心に残った。

 もぎりのところで支配人の八幡さんに「上映してくださってありがとうございます」と伝える。同じくもぎりのところにいた方と雑談になり、駅の途中までご一緒する。社民党の支持者で、よく藤沢で抗議のスタンディングをしているという。

 

 7月6日。

 夜にまとまった時間を取る余裕がなく、ためていたポスティングをやっと実施。生活圏特定を避けるため詳細は書かないが、あちこち自転車で移動し、2時間かけてやっとポスティングが完了。こんなに面倒なのかと驚く。そもそも夜中にひとりで個人宅の前をうろついている人間は、見た目完全に不審者だろう。誰かにとがめられなくてラッキーだったが、「〇〇のチラシ?!出てけ!」みたいなこともあるだろうと思うと、たかがポスティングもなかなか難儀。しかし、これは資本がある方が勝ちだろ、どう考えても。選挙というゲーム、エグいな。

 

 7月8日。

 今回のボランティアの体験をどこかに書いておこうとぼんやり考えていると、安倍元総理が倒れたとのニュース。最初は熱中症か何かかと思ったが、襲撃と聞いてショックを受ける。

 とっさに浮かんだのは安倍晋三の神格化待ったなしという焦りと、政治に対する抗議行動そのものが制限されるのではないかという絶望。

 当初は思想犯だと思っていたので「日本の左翼はもう終わりだ……」というのがまっさきに頭に浮かんだ。

 ニュース直後に友人とやりとりしていたLINEには「これで行動制限が国民の総意になって改憲なんてことになったらつらすぎる」と書いてある。

 死ぬべきではないと思ったが、それは命の尊重というよりは、社会に対する落とし前をつけるべきという思いからだった。結局死去の報が伝えられ、不安がマックスになる。民主主義国家で元総理がこんな殺され方をする国あるか? これが原因で自民党に同情票が集まったらどうしよう。

 負け戦かもしれないと思いながら選挙の手伝いなんかをしている人たちの努力が、これで吹っ飛ぶのなら、なんというか、それはちょっとひどすぎる話しじゃないか。

 そもそも、選挙という方法の根幹を揺るがす事件じゃないか。

 そんな絶望の一方、海外ニュースを通して「これは統一教会がらみではないか」という情報が流れてきて、混乱する。そういえば、彼がビデオに登場しているというのが話題になったことがあったし、統一教会が政治家の手伝いをしている話には聞き覚えが……。

 

 7月9日。

 記憶も記録もあまり残っていない。この日の記憶として明確に覚えているのは、あさか由香さんの横浜駅での演説の配信を見たこと。「私は財源のことも考えております!」とあさか氏が熱弁していたので、共産党は発想がお花畑などという揶揄をされているのだろうなと考える。その直後、志位和夫委員長が「憲法9条が……」と話し始めた。憲法の話はやっぱり共産党的に外せないのだろうか。10日のMETEORのワンマンの予約がこの日までだったが、行く元気が出なくて取りやめる。

 

 7月10日。

 朝の早い時間に投票した後、家でゴロゴロしながら、うみのてやMOMENT JOONを聴く。

 悪を放置するといつか爆発してしまうというのを、これほど強く思い知らされた日々はなかったと思う。

 開票結果。意外と自民に票が集まらなかった印象で少しほっとする。神奈川はあさか由香氏が落ちてしまってガッカリ。

 

 7月11日。

 立憲のボランティアをやっていた友人を呼び出して、話相手になってもらう。途中で相手の幼少期のしんどい話になり、つい「その環境で、なんで左翼になったんですか?」と聞いたら「左翼じゃなくて、サブカルだね。マンガとかいろいろ読んでたし、別冊宝島とか…」という返事。サブカルがそういう文脈で使われるのを久々に聞いた気がする。帰りにベルグに寄ったら、要氏のポスターがあって、ちょっとほのぼのとした。

 

 

 その後、さまざまなニュースに触れて、日本はだいぶヤバい国だったのだなと日々実感して、MOMENT JOONに申し訳ない気持ちに。まさか選んだ国がこんなしょうもないところだとは思わなかっただろうな。マジ卍のフレーズが頭に浮かぶ。

じゃあみんな黙ってシマウマとトランプと安倍のケツにチュウ(ん〜ま) いや俺は無理
バレたのにバレてないふり みんな頭がマジ卍
最後にfuck you 三浦瑠璃

 Mummy-Dのインスタグラムでの安倍晋三への献花と追悼の投稿を見て、かつて誰か音楽ライターが『The Choice Is Yours』を酷評していたことを思いだした。

 
 
 
 
 
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 たしか、「選挙に行けなんて誰でも言える。何の責任も持たなくていい発言。明らかに後退してる」という意味合いだったと思うが、こうなると強く首肯してしまう。

ありがとう
そして
おつかれさま
せめてそれだけは伝えないと
なんか先に進めない気がして
献花しに行ってまいりました
涙が止まらなかった
なんて悲劇、なんて不条理
毀誉褒貶激しい
我らがリーダーでありましたが
多くの国民に愛されていたのだなあと
今更ながら実感しました
最後にもう一度
ありがとう
そして
おつかれさまでした
どうか安らかにお眠りください。

www.youtube.com

 福本伸行ヤングマガジンの巻末コメントで「安倍さんが、亡くなり、だいぶ、経つけど…、喪失感、デカくて、まだ、時々、落ち込む。理不尽…悔し過ぎる。」と書いていた。こっちはしみじみ「そうだよな」と思う。

 『甘えの構造』の「天皇の赤子というスローガンで全国民を包摂した天皇制は、日本人の甘えを理想化し、甘えの支配する世界こそが真に人間的な世界と考える特異な意識を制度化したものである。天皇に限らず、日本社会ですべて上に立つ者は周囲から盛り立てられなければならない。言いかえれば、幼児的依存を体現できる者こそ、日本社会で上に立つ資格があるということになる。」という文を読んで真っ先に思い出したのは、安倍と鷲巣だった。私、熱心な読者として福本は安倍晋三大好きだと思ってたよ。

 この間YoutubeでなんとなくヒップホップのMVを流していたら、Mummy-Dが出てきた瞬間ダサ…と思ってしまった。

 恋愛の歌ならおそらくまだ聴けると思うけど、かっこいい歳のとり方してるおじさんというイメージが消えている。 

 「マミーdのインスタ見てウケるなーって感じだったが、冷静に考えると業績への評価を別にして直接関係があったわけでもない政治家の献花に行って泣いてるの気持ちよくなることに前のめり過ぎてすごい」というツイートを見て、笑ってしまった。

 

 とりあえず終わり。