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セックスワークにも給付金を訴訟の傍聴レポートを執筆しました

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 セックスワークにも給付金を訴訟の傍聴レポートを執筆しました。

 今回、事前にある程度記事を固めていて、判決だけはめ込めるようにしていたのですが、あまりの判決に構成を考え直したためにちょっと公開が遅くなってしまいました。 速報にできるよう筆力を上げなくては……。

 記事の中では「どうして性風俗にかかわる人々が差別されてきたのか」について、意見書にあった青山薫教授の解説を引いています。
 

セックスワーカーに対する差別について、神戸大学大学院の青山薫教授は、意見書の中で性風俗に対する差別の歴史を紐解き、「性風俗差別は優性思想に基づくもの」という見解を示している。

 青山教授は、明治初期の「花柳病(性病)」の管理が、性風俗の管理・取り締まりの契機となったことを指摘。梅毒など感染症の取り締まりの中、政府は娼婦を感染源とし、「醜業」というスティグマを付与。管理の対象とした。一方で、買春する側の男性が感染源と見做され、管理されることはなかった。

 こうした国家の対応を見る際に注目したいのは、対応の根底に家族制度のあり方に反する存在を差別し、管理下に置こうとする意図が見えることだ。売春する女性を「家庭や国民国家の衛生を侵害するもの」と位置づけ、国の保護や更生に従う女性を「純潔なる家庭を守る存在」とし、女性たちの中に分断を作り上げた。ここでも、男性は更生や処罰の対象にはならず、あくまで「女性を管理する存在」として上位に置かれていた。こうした分断と差別は第二次世界大戦中に強化され、今でも社会に根強く存在している。

 
 新聞社なども記事にするだろうから、文字数制限のないWEBでは少し踏み込んだ知見を書いておきたいと思って引用したものですが、家族制度を利用して支配を行う権力側の策略は、統一教会と政治のかかわりが表に出始めた今、改めて考えておきたいと思いました。
 
 最後に、今回の判決に対して意思表示をしたいと思う方に向けて、クラウドファンディングの案内、傍聴などを通した裁判官の監視、さまざまな形での議論の生成、選挙での民意の表明などについてまとめています。傍聴にきていた要友紀子さんの言葉も紹介いたしました。 
 余談になりますが、call4で読める本訴訟の意見書は大変読み応えのあるものなので、憲法について考えたい人、差別について学びたい人にはぜひおすすめしたいです。
 

訴訟資料というページにPDFのリンクがありますので、気になる方はぜひ。