ホンのつまみぐい

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5月7日のSM Festa@池袋ミカド劇場

 関東で栗鳥巣さん観る機会が減ってしまって寂しいなと思っていたので、ちょっと二の足を踏んでいたSM興行へ。中に入ると黒いボディースーツ姿の中年男性の姿が目に飛び込んできて、「これがSM!」という緊張がはしる。とはいえ、客to客の交わりは基本ないのでのんびり観覧。

 イスは確保できないけど、ステージ自体は立ち見で支障なく見えるくらいの混みよう。

 2回目の栗鳥巣ソロから入場。アメを売りつける口上から入り、突然段ボールの曲で脱ぐコスプレ演目。細目の栗さん、コスプレ衣装がめちゃくちゃにお似合いだった。

 元ネタの完結を祝って演じられている演目だけど、元ネタが「文化の盗用」と言っていい終わり方だったので、ちょっと困った気持ちになってしまった。完結前に観ておいたほうが、ステージに集中できたかも。

 合間に夜羽エマさんの回しで今年90歳だか88歳の常連のお客さんの誕生祝い。いつも渋谷道頓堀劇場の一番いい席で寝ているという某さん。「いろんな女の子の〇を飲んだけど、栗さんのは塩ラーメンみたいで、結さんのは甘くておいしかった」とか「70年前からストリップを観ている」という話をしていた。ここしばらく誕生日は必ずSMフェスタで迎えているという某さん。「新宿(のSM興行)はね、ランジェリー撮影会とかは行かないんですよ」という某さんに、「某さん、ランジェリーってなんだかわかる?」という夜羽さん。某さん、経済学のエライ先生だったという話が出たけど、本当なのか? なんか愉快な時間だった。

 お次は内山沙千佳×京はるな。少年っぽい京さんとオラオラ攻めの内山さんでBL演目。二人とも達者だし、選曲と相まって安定感ある内容。このあと演じられた栗さんとのチームショーも京さんプロデュースらしいけど、こういう被虐的なのが好きだろうか。

 お次の結美奈子さんの作品はオペラ座の怪人モチーフ。清楚な衣装がお似合いで見ごたえあった。結さん初めて拝見したけど、ご本人も独特の存在感がある。けっこう繊細な人だと思うんだけど、ドーンとしたところもあって、なんだか目が吸い寄せられる。

 演目終了後のオープンショーでお客さんが一斉にステージにコップを置いて、何かと思ったら、そういうことだった。手際良くステージに置かれるコップのコンコンコンという音が忘れられない。

 お次のMerc@さんの中華モチーフ?のダンスもよかった。

 Merc@さんのポラロイドの間に少し食事に。

 戻るとステージに半裸のおじさんたちが鎮座していた。参加型SMの時間らしい。しかし、SMというものからイメージする隠微な空気はなく、マンガならのほほんとかホゲーとかいう効果音がなりそうな雰囲気だった。

 参加しているおじさんたちはそれぞれ女王様(ボンテージ衣装だけど気さくな雰囲気の甘酒みるくさん)のおしおきを待っているのだけど、みんなSMに慣れているのか軽めのお仕置きにはびくともせず、女王様は「今日みんなプロばっかり」と漏らしていた。特に、軽めの痛みに対して物足りなさを隠さない白人男性が印象的だった。女王様が何故か最後にパラパラを踊っていたのも謎だった。

 こういうサービス、女性でも好きな人はいそうだけど、やっぱ圧倒的に男性向けが多いのかなあなどと考える。

 次はマルファス&灯月いつか(受け手&女流緊縛師)コンビのゴシックSM。三途の川の番人が死者を責めるというストーリー。詳細をどこまで書いていいのかわからないのでぼかすが、お互いが相当慣れてないとできないことをたくさんやった上で世界観をがっちり作り上げていてすばらしかった。陰惨な終わり方なのに、直後に緊縛師のマルファスさんが「は~い、それではポラロイドのお時間です」と喋りだすところで笑った。ショーなんだなあ。

 次は栗&京コンビのBL演目。これもどこまで書いていいのか謎なのでざっくり流れだけさらうと、受けが通りすがりの男にレイプされた上に殺されるという救いのない話だった。

 攻め役を演じる栗さんも、受けの京さんもものすごい気合で臨場感を作り上げていて、素材の生々しさもありどっぷりダウナーな気分に。いや、しかしいいショーだったと思う。時間が迫っていたのでここで退出。

 劇場にあまり立たない踊り子のショーや、普段と全く違ったコンセプトのショーが観られるのは面白かったけど、なぜかちょっと居づらさもあった……。排他的な部分は特になかったのに何でだろうな。ガチの人の気合が違ったからだろうか。でも、そこまででもなかったような気もするし、よくわからない。

 とにかく一度経験できてよかったという話でした。