私なんかをはるかにしのぐ変人の弟が中学生の時の話をしていて、いい話だと思ったのでメモっておく。
小学生の時の同級生に乱暴な子(Aとする)がいて、弟は「いつも力で人を従わせていてひどいやつだ」と思っていたそうだ。
中学生になった弟は初めてAと同じクラスになる。そこで弟は「これはいつか戦う運命にある」と思ったらしい。
弟の予想通り、Aとは言い争いになる。争ううちにAに突き飛ばされた弟は、ストーブで火傷をし、Aの父にもAの所業が伝わることとなった。
大激怒したAの父は、「Aを転校させてもっと厳しいところに送る」と行ったそうだ。詳細は書けないが、たしかに中学生の男の子には相当厳しい場所だった。
Aは父に「それだけはやめてくれ」と泣いて懇願し、先生たちに囲まれた場で弟に謝った。
しかし、弟は「こんな状況での謝罪は信頼性がない」と謝罪をつっぱねたらしい。
「いや、『信頼性がない』とは表現してないけど、こんな状況で謝られて、それを信じるとか受け入れるというのも……とか言ったかな」
「だって、そういう状況加害者が圧倒的に有利じゃん」
「そもそも、なんで謝られたからといって許さなくちゃいけないんだって話でさ」
ちょっと困った空気になって、その場はそのまま散会したらしいが、Aの事情を知る先生たちの取りなしもあり、とりあえずAの転校は見送られた。
「その後もAは横暴だったんだけど、多少言い返すやつが出てきたりして、戦ったかいあったなあと思った」
Aは今も同じ街で商売をしていて、偶然顔をあわせて、「おう」という程度のあいさつを交わすこともあるそうだ。