ホンのつまみぐい

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ところで

 少し前に友人が冗談で「仕事辞めて踊り子さんになろうかな」と笑ったのを見て「劇場はいざという時に踊り子を守らないからやめた方がいい」と即答したことがありました。

 特に裏話などを耳に入れる立場でなくとも、3年くらい見ていればストリップ業界が「そういうもの」であることはなんとなく伝わってきます。

 踊り子さんや現場の従業員さんはストリップという文化に強い愛情を抱いているけど、それゆえのやりがい搾取も目に付く。

 念のため言っておくと、やりがい搾取は日本全体の宿痾であり、ストリップに限ったことではありません。ですが、ストリップの場合は劇場が新設できないが故に、「劇場の存続を第一にしなければいけない」という強迫観念が働く人々にも客にもあり、労働問題も含めたさまざまな問題が告発しづらい状況になっています。

 最近、地下アイドル界では演者が運営を告発する事例が増えてきています。そこには「不当な扱いを受けていることを知れば、お客さんも味方してくれるはず」という思いが前提にあるはずです。

 しかし、たとえ踊り子が劇場を告発しても、味方してくれる人は限られるでしょう。多くの人にとっては踊り子が不当に扱われることより劇場がなくなることのほうが重大な問題だからです。

 たしかに劇場がなくなれば従業員や踊り子は働く場を失うわけですが、だからといって個々人を不当に扱うことが許されるはずはない。しかし、現状は「劇場がつぶれるよりは……」という思いによって、立場の弱い人たちが不当な状況を受け入れています。そして、それを正すような動きも現れていません。

 私はかつて「ストリップに未来はあるか」と書きましたが、このままでは間違いなくないでしょう。それは業界が未来に向けて動いていないからです。

 ……ということを踏まえて、またストリップに関する文章を書いていきたいと思います。