ホンのつまみぐい

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秋葉原から御茶ノ水までを歩いた

 所用あって久々に御茶ノ水から秋葉原を歩いたのだが、秋葉原中央通りに「添い寝リフレ3000円」という紙を持って立っている女性が5人くらい並んでいて、「さすがにこれは…」と思ってしまった。メイドカフェの客引きは昔からだけど、リフレは初めて見た。知らなかっただけなんだろうか? 

 メイドカフェの客引きももちろん増えていて、雨の中、ふわふわした衣装とマスクを身に着けた女性たちがたたずむ姿は、ちょっと直視しがたいものがあった。客引きなら居酒屋の店員もやっているのに、申し訳ないことにメイド服姿の女性たちをことさら痛々しく感じてしまう。ちょうちん袖のブラウスや、フリルの強調されたスカートでコーティングした、どこか過剰で少し非現実的なメイドカフェの世界と、目の前の現実との乖離が大きいからかもしれない。

 足早に通り過ぎたが、ふとここで自分の中にある「大通りにリフレはないだろう」という気持ちの延長線上に、ストリップ劇場の不当な摘発に代表される「浄化作戦」があるのかと思うと、もう少し考えを整理すべきだとも思った。

 性に関する事柄が無尽蔵に開かれている状態は、おかしいし危ういと思う。しかし、それでは「秋葉原中央通りはダメだけど、裏通りならアリ」という判断を、誰がどのような基準で行うのだろうか。

 かつてのように遊郭を作って空間を断絶させるのが正解なのか? どうも最適解ではないように思えてしまうが、これは偏見なのだろうか。労働者の保護という観点から、店舗型風俗に許可を与えるべきとは思っているが……。

 なんだかパッとしない気分になり、御徒町あたりの美味しいお店で何か食べて帰りたいと思ったが、20時閉店の壁に阻まれる。『いつか中華屋でチャーハンを』に出てきた老酒舗に行きたかったのだが。結局秋葉原駅ビルにあるエチオピアでカレーを食べた。優しい味のカレーを口に運んでいる時間が、秋葉原滞在中、唯一ほっとできた時間だった。