無料公開時に読んだ。BLマンガをきっかけに仲良くなる高校生うららちゃんとおばあさん雪さんの話。高齢の雪さんを同人誌即売会に連れていくことになり、緊張しつつ雪さんが楽しめるようにいろいろ考えるうららちゃんの心境に共感。
うららちゃんが雪さんの家に行った時の話もよい。断捨離中の雪さんが積み上げたダンボールに、うららちゃんは歳月を感じてひるんでしまう。デリケートな感情を結論付けない品格と、事件性のない物語を物足りないと感じさせることなく読ませてしまう巧さ。
エッセイやルポだと「しんどい話だけど、実際こういうこと起こってしまうなあ……」でギリ許されるものが、マンガになると露悪的な物の見方が際立って読んでられない。カレー沢のエッセイも読みたくなくなる。ただ、利己的であることを隠さない人なので、それをうらやましいと思う読者、生存に役立てる読者が多いのだろうというのはわかる。
ネットで流行ってたので調子に乗って全部読んだ。パチンコが原因で崩壊していく家族を、反面教師として淡々と描くマンガ。ネットでは珍獣を囃し立てるような言葉で形容されていたけど、「釣りバカ日誌」に代表される日本の伝統的なマンガの形式に沿っていて、むしろ懐かしく読んだ。
人間味があるとも、俗っぽいとも言えるエピソードを掌編として仕立てる手際が見事。「連ちゃんパパ」にもあるけれど、何を考えているのかはっきりとわからない無表情なコマが時折挟まれるのがリアルな人間の日常という感じでとてもよい。しかし、お寺の経営も大変なんだなあ。
著者が樹村みのり好きと聞いて読んでみた。宇宙人が移民として日本を訪れる世界で、バクちゃんという青年の日本での日々を描く。かわいらしい絵柄だけど、相当挑戦的な内容で、単に「よいマンガ」で片付けられない迫力と知的蓄積がある。
プロトライプはMAVOで今でも読める。
「バクちゃん」と違った角度で描かれた日本の移民の物語。舞台が古い団地なので、いちょう団地を思い出した。高齢化した古い団地でくすぶる青年たちが現状を打破しようともがく物語なのだが、ピカレスクロマンになりきらないのがリアルで切ない。
BOOTHで売ってる自費出版の単行本も買ってしまった。
本書を通して「批評」になじみのない人を啓蒙しようという強い意志を感じた。登場する犯人と世情の変化、メディアミックスに対する言及などが面白かった。コア新書だけど、かなり人文よりの本。続きがあったら「安室の女の右傾化」について語ってほしい。
プレイリストと本棚を作りながら読んだので時間がかかった。一言でいうと勇気の出る本。この本について20,000字くらい書きたいことある。普段はブログやツイートを読んでもらえばいいかなと思ってあまり直接人に本をすすめたりはしないのだけど、これは2人にLINEでおすすめした。
地下アイドル好き、ヒップホップ好きにあまりにプロレス好きが多く、無視できないものを感じていたので一読。
プロレスそのものに強い興味があったわけではないので、行きつ戻りつしながら読んだが、レスラーそれぞれの思想と彼らを取り巻く社会状況を丁寧に描いてくれるので、戦後群像劇として読み終えることができた。
馬場の頭脳明晰さが心地よいアメリカ武者修行から、日本に帰って経営者として失敗してしまう後半までの流れがドラマチック。ルー・テーズ、バディ・ロジャース、スタン・ハンセン、タイガーマスク、タイガー・ジェット・シン、力道山、アントニオ猪木、天龍源一郎、ジャンボ鶴田、三沢光晴など、名前だけは知っていた人々の陰影がどんどん濃くなる。
白人社会におけるバディ・ロジャースの存在感や、力道山の複雑なアイデンティティなどについての記述も印象に残った。
「ポスト・サブカル焼け跡派」を読んだばかりなので、「東京スポーツはアントニオ猪木をサブカルチャーのヒーローとして売り出すことに成功し」という文章になんとなく感心。「政治運動の挫折を経てサブカルに耽溺するようになった若者のためのヒーロー」という文脈で猪木が登場する。
しかし、もっとも衝撃的なのは、「自立心を持って自由に働けるけど1週間単位契約のアメリカ」と、「ヒーロー以外は薄給でこき使われるけれど首にはならない日本」という対比。こんな過酷な仕事でそんな二択しかないんか。今はまた違うとは思うけれど……。
面白かったのでエントリ書いた。バブルまっただ中に描かれていたというのが良くも悪くも。露悪的な世界を楽しめるのも豊かだからこそと思う。
よい本だと聞いて読んでみたのだけど、本当によくできている。なんたって見やすい、読みやすい。さすが主婦の友社。一人暮らし初めての人とかこの1冊があると心強いと思う。追記:主婦の友社かと思ったら笠倉出版社だった。装丁が似ていたので……。
関西ラップ特集のために読んだ。韻踏合組合と一二三屋がいかに関西のラップシーンに大きな影響を与えていたかがよくわかる。ダンジョンでブームになったとはいえ、波を受け止める受け皿がないと文化は発展しない。大阪にはその土壌があったのだろう。
WILLYWANKのインタビューから、一二三屋店主・HIDADDYの世話人ぶりがよく伝わった。先日、流派-Rで各地のラッパーの現状を聞くという企画をやっていて、HIDADDYはそこで「一二三屋でバイトをしてながらラップをしているマイドリを、地元に返してはいかんとなんとか仕事を作ろうとしてる」と話していた。自分も年若い人を助ける立場でいたい。
ヒップホップ特集目当てで購入。読んでいる間、脳がバチバチ鳴っているのがわかった。すばらしく刺激的で実用的。
さすがにもう少し何か読んでる気がするけど思い出せない……。