金曜日はダースレイダーのCDを借りにカレー会へ。
カレー会は少し前の記事で紹介したチンポマニアックスの主催者たちがやっているサイファーです。今や特急が止まる駅では必ず開催されているといわれるサイファーですが、ほとんどのサイファーが地縁で成立しているのとは対照的に、カレー会はTwitterで知り合った、それぞれ地元の違うヒップホップ好きの男の子3人から始まったのが特徴。ビートが作れる子もイラストが描ける子もいて、MAZAIRECORDSという名義でビートの発表もしています。
3人で始まったサイファーですが、ダンジョン以後は10人くらいの人が集まるようになったそうで、この日も10名超える男女が集まっていました。
最初は各人最近の話などをしながら始まったサイファーですが、途中からチンポについて2時間語り合う謎の展開に。チンポを栽培するとか、チンポで塚を作るとか、SFか昔話のような世界に突入していって、最終的に掘骨砕三作品のようなことを皆で競って言い合っていました。公共の場にはさらせないネタをワッショイサンバさんが言っていたのが大変熱かった。広まったら炎上で一週間くらい暖が取れそうな大ネタでした。
河原アンダーグラウンドを出て、皆で食事に。先日の罵倒×戦極予選で8位に入った無能さんと、チンポマニアックスタッグマッチ優勝の樫さん、そして翌日戦極×PARCOの共同企画ファッションMCバトルに参加するワッショイサンバさんと同席して夕ご飯。
無能さんが「私が勝てたのは罵倒がこういう変な奴を面白がる大会だったから」と話していたり、ワッショイサンバさんが明日のバトルに向けた作戦を語ってくれたりと、プレイヤーの進化は早いなあと感動。女性ラッパーのバトルでのあり方みたいな話も出ました。話聞いてるだけでしたが、楽しかった。
しかしうっかり終電を逃して朝帰りする羽目に。ヨロヨロの身体で池袋の戦極MCバトルへ。
バトルには間に合うようにと13時30分ごろに着いたのですが、すでに人の山でステージのMCは頭しか見えないような状況でした。
場所がPARCO、無銭、豪華ゲストということで、いわゆるB系の人以外にも女子高生やサブカルキッズ、文系女子が多かったのが印象的。
到着したときはTKda黒ぶちのライブ中。その後、崇勲、PONYと続いたけど、おじさんMCの自分語り系の楽曲と、PARCO屋上の開放的な空気との馴染まなさが見ていてちょっとしんどかった。3者ともうまかったけれど。
ファッションMCバトルは「自分のファッションを誇る」というコンセプトで、試合の前に各MCの本日の服装の紹介をするという形式でした。ひとつひとつの試合については、おそらく私よりバトル好きな人が書いてくれると思うので、とりあえずワッショイサンバ×Rei©︎hiの感想を。
高校生ラップ選手権に参戦し、すでに知名度の高いRei©︎hiと、マイク握ってまだ3か月のワッショイサンバという女性ラッパー対決。残念ながら遠目ではどんな服を着ているのか全くわからず。
Rei©︎hiさんのファッション紹介は「B-GIRL」というプレーンなものだったかな、たしか。一方、ワッショイサンバさんはおばあちゃんから借りてきたキツネの襟巻(本物)におじいちゃんの形見の指輪、ファラオのTシャツで登場。
後攻で、いきなり「今日のファッションは総額110万。顔で勝てないから金額で勝ちに来た」とかますワッショイサンバさん。延長に入ってからも「金歯1本10万円、3本で30万。今日一番KOHHに近い女」から入って、「生まれからやり直せ」という身もふたもないラインで攻める。
対してRei©︎hiさん、「シンデレラストーリー、ハイキックで撃ち落とす」。「服は総額1万円くらいだけど、うちの価値は30万以上」とシンプルだけど安定したビートキープで返す。
結果、Rei©︎hiさん勝利! もうちょっとワッショイサンバさんの試合が見たかった残念さはあったけれど、集まった客も唐突な存在感に沸いていたし、爪痕は残せていたと思います。審査員のCOMA-CHIさんにも「ワッショイサンバさんのスタンスすごく好き」と評されていました。試合後に本人と少し話をしたら、「恥ずかしい試合はしてないんで!」ときっぱり。
ほかには崇勳vsダテメギリ、黄猿vs鎮座DOPENESS、決勝のニガリvs鎮座DOPENESSが面白かった。どれもアンサーがうまかったです。ほかにCore-boyくん(15歳!)の巧さが印象に残りました。若いのにベテランMC相手にひるんでいない。バトルビートはクラシックもしくは今の人気MCの楽曲が多く、集まった人にとって親しみやすいビート選びをするという意識を感じました。
印象に残ったライブの様子をいくつか。
Rei©︎hiさん、独特のちょっと舌足らずにも聴こえる声に「うち」という一人称がキュート。音も本人の存在感にあっていて、堂々とPARCOの空気を楽しみつくしているのが印象的でした。
ニガリくん、いやー、声が通る通る。人はどうして大柄な人に煽られると言うことを聞いてしまうのか。大学生ラップ選手権のゲストライブは正直あまり印象に残っていなかったのですが、後方まで届く声で煽られると気持ちが引っ張られる! DJとのコンビネーションもよくて、スピード感が圧倒的でした。フェスに呼ばれたら爪痕残しそう。また屋外で見たいです。
圧倒的だったのが鎮座DOPENESS。鎮座DOPENESSの声って、不思議なことに言葉の一つ一つが音楽的なんですよね。楽器のよう。
木琴を叩いた時のポーンという音は、その響きだけで魅力的でしょう? 彼のラップにはそういう音そのものの心地よさがあって、発する一音一音が気持ちいい。ライブだとビートとラップのコンビネーションがさらに肉体的な重みを増して、圧力のある音ではないのにこの人を見つめていなければという気にさせる。この日はヒップホップができるまでを語るフリースタイルを挟んでいて、その演説調のラップはどこか朗読劇のようでした。
トータル集客1200人、池袋PARCOの屋上に最も人を集めたイベントになったそうです。そのうちベストバウトが公式youtubeに載ると思うので、その時はまた更新します。