ホンのつまみぐい

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私のマンガベスト10+100

何となくマンガのマイ・ベスト10を考えてみた結果↓

 

巨人の星  梶原一騎/川崎のぼる

最終回の虚無感に頭真っ白になったせいか、これ以降「二次元にはしゃぐ」ことが出来なくなりました。トラウマ。好き! 伝記的語りと寓話的語りが奇跡的にまじりあってる怪作。

ベルサイユのばら  池田理代子

描いてる間に登場人物の性格が物語に合わせてどんどん変質(not 成長)していくドライブ感が最高です。これも伝記と寓話がまじりあっている作品。マンガの形をしたドラッグ。

ベルサイユのばら 全5巻セット (集英社文庫(コミック版))

ベルサイユのばら 全5巻セット (集英社文庫(コミック版))

じゃりン子チエ  はるき悦巳

言葉にした瞬間に「もう少しカラッとした作品ではないか」「もう少し切ない作品ではないか」「もう少しばかばかしい作品ではないか」等々と思わせる作家なので、一言では語れません。リアリズムと荒唐無稽が融合したマンガらしさが愛おしい。

じゃりン子チエ (1) (双葉文庫―名作シリーズ)

じゃりン子チエ (1) (双葉文庫―名作シリーズ)

幽☆遊☆白書  富樫義博

哲学的な命題に挑もうとして瓦解した作品そのものはもちろんのこと、最終回後に作者が当時の近況を吐き出した同人誌を発行したこと。これを受けて当時本作のやおい同人本や批評本を作っていた野火ノビタが、痛烈なジャンプシステムへの批判と作品へのエールを送った同人誌を発行したことなど「事件に立ち会った」感の強さで忘れられない作品。

幽☆遊☆白書―完全版 (1) (ジャンプ・コミックス)

幽☆遊☆白書―完全版 (1) (ジャンプ・コミックス)

ねこぢるうどん  ねこぢる

高校生の頃に読んで、「世界はあらかじめ狂っている」という目線に救われました。人気が出すぎた結果、一部の雑誌で言い捨てるだけの作品を量産するようになったことはその後を考えると残念。でも、ねこぢるの造形は永遠です。

ねこぢる大全 上

ねこぢる大全 上

ねこぢる大全 下

ねこぢる大全 下

 

足摺り水族館  panpanya

10年前に読んでも、20年後に読んでも同じように好きだろうと思える作品。多くの「夢を見ているような気にさせる作品」の中でいちばん好きです。

足摺り水族館

足摺り水族館

 賭博黙示録カイジ  福本伸行

泣けると笑えるが常に隣り合わせのマンガというジャンルの強みが凝縮されたような作品。マジな話をすると、弱者だからこそ考えることを放棄してはいけないというメッセージはどんな時代にも通用するものだと思います。

賭博黙示録カイジ(1) (ヤングマガジンコミックス)

賭博黙示録カイジ(1) (ヤングマガジンコミックス)

うる星やつら  高橋留美子

最初に絵を真似した作家。高橋留美子の初期作って「厄介なやつ」しかいないのにポピュラリティあるのすごいと思います。うる星はちょっと不気味な回もあるのが魅力です。 

うる星やつら 1 (少年サンデーコミックス)

うる星やつら 1 (少年サンデーコミックス)

Sons  三原順

病理に名前が与えられる前から、自らの目でとらえた社会の病理を描いていた作家。病理に名前が与えられた後は、病理でひとまとめにされてしまって隠されがちな個人の姿を浮き上がらせ、人間の生き方を可視化させてくれる人。強引で不器用なギャグや、ちょっとやりすぎなんじゃないかっていう画もまとめて好きです。

Sons (1) (白泉社文庫―ムーン・ライティング・シリーズ)

Sons (1) (白泉社文庫―ムーン・ライティング・シリーズ)

 学習まんが少年少女日本の歴史(小学館) 児玉 幸多/あおむら純

当時の小学館だからこそなしえた傑作。情報を過不足なく詰め込みながら目にやさしい繊細な絵も、多様な解釈の余地を残しつつ人間的であろうとする編集姿勢も見事です。学漫なのにエピソードの連続や一個人の生きざまで歴史を表現してしまう学漫素人版元(ポプラ社とか朝日新聞出版とか集英社とか)は見習ってほしい……。

学習まんが少年少女日本の歴史(23冊セット)

学習まんが少年少女日本の歴史(23冊セット)

 

 追記:2015年以降思いっきりネオリベ思考になっていったと知ってショック。製作者が泣くぞ……。

togetter.com

↓のリンクから

「学習まんがにみる日本の戦争-いま良書を選ぶ必要性-饗場和彦」という分析がDLできます。学研と集英社もヤバいけど、小学館がぶっちぎりではすみとしこっぽくて衝撃すぎる。エリート主義の帰結なのか。

https://t.co/jjx8oEHnJQ

 

 で、10の選択の結果がとんこつラーメンみたいな作品ばかりになってしまったので、じゃあ、追加で100どうよと思って1作家1作で選んでみました。


「もう嫌いになってしまったけどかつて夢中になっていた作品」「好きじゃないけど、インパクトがあって忘れられない作品」「昔好きで何度も読んだけど、単行本が手元にないので今となっては記憶があいまいな作品」「あえて作家の代表作を外して選んだ作品」も入っています。

 

青木幸子  ZOOKEEPER

安野モヨ子  ジェリーインザメリーゴーラウンド

いがらしみきお  かむろば村へ
いしいひさいち  私には向かない職業
磯谷友紀  本屋の森のあかり
井上雄彦  SLAMDUNK
入江紀子  のら
岩明均  寄生獣
岩舘真理子  雲と月の間に
岩本ナヲ  雨無村役場産業課兼観光係
うさくん  マコちゃん絵日記
卯月妙子  人間仮免中
羽海野チカ  ハチミツとクローバー
浦沢直樹  MASTERキートン
えすのサカエ  未来日記 
大島弓子  つるばらつるばら
岡崎京子  リバーズ・エッジ
おかざき真理  シャッター・ラブ
岡田索雲  鬼死ね
小花美穂  こどものおもちゃ
語シス子  とどめをハデにくれ
鎌谷悠希  少年ノート
鴨居まさね  雲の上のキスケさん
華倫変  高速回線は光うさぎの夢を見るか?
雁須磨子  あたたかい肩
雁屋哲/花咲アキラ  美味しんぼ
川畑聡一郎  S60チルドレン
木原敏江  花かんむりの牢屋城
CLAMP  東京BABYLON
小池田マヤ  放浪の家政婦さん
小泉真理  ジンクホワイト
こうの史代  この世界の片隅で
コージィ城倉  砂漠の野球部
こせきこうじ  やまだたいちの奇跡
小林まこと  1・2の三四郎
西条真二  鉄鍋のジャン
西原理恵子  ぼくんち
佐々木倫子  動物のお医者さん
清水玲子  月の子
志村貴子  放浪息子
庄司創  三文未来の家庭訪問
白戸三平  赤目
新沢基栄  ハイスクール!奇面組
真造圭伍  森山中教習所
杉浦日向子  百日紅
杉本亜未  ファンタジウム
杉山小弥花  明治失業忍法帖
鈴木健也  寒くなると肩を寄せて
鈴木志保  船を建てる
高田エミ  ねこねこ幻想曲
高野文子  棒がいっぽん
桜庭一樹/タカハシマコ  青年のための読書クラブ
高橋よしひろ  銀河-流れ星銀
高浜寛  トゥー・エスプレッソ
竹宮惠子  エデン2185
田中六大  クッキー缶の街めぐり
田中雄一  まちあわせ
関川夏央/谷口ジロー  坊ちゃんの時代
ちばてつや  餓鬼
手塚治虫  火の鳥
TONO  チキタGUGU
西炯子  STAY ~ああ、今年の夏も何もなかったわ~
野火ノビタ  宇宙士官候補生
萩尾望都  ローマへの道
長谷川町子  サザエさんうちあけ話
はるな檸檬  zucca×zuca
ひぐちアサ  ヤサシイワタシ
藤子・F・不二雄  パーマン
古谷実  グリーンヒル
レイモンド・ブリッグス  エセルとアーネスト
アリソン・ベクダル  ファン・ホーム
北条司  CITYHUNTER
堀井雄二/ 稲田浩司  ダイの大冒険
掘骨砕三  下水街
ますむらひろし  宮沢賢治童話集
松本大洋  GOGOモンスター
美内すずえ  ガラスの仮面
美川べるの  ストレンジ・プラス
水木しげる  コミック昭和史
水沢めぐみ  姫ちゃんのリボン
みなもと太郎  風雲児たち
百名哲  演劇部5分前 
もりしげ  フダンシズム
安彦良和  虹色のトロツキー
山岸凉子  ブルー・ロージス
山本直樹  RED
山本ルンルン  ミス・ポピーシードのメルヘン横丁
ヤマシタトモコ  BUTTER!
やまだないと  西荻夫婦
やまだ紫  性悪猫
山田芳裕  へうげもの
大和和紀  はいからさんが通る
横内なおき  サイボーグクロちゃん
よしながふみ  きのう、何食べた?
吉野朔実  ぼくだけが知っている
吉田秋生  川よりも長くゆるやかに

 

ただ選ぶだけですが、自分でも気が付かなかった嗜好がはっきり出てきてけっこう面白いです。
歴史ものが多いだろうというのは予想していたのですが、びっくりしたのは「ファンタジー」「SF」の少なさと「メルヘン」の多さ。並べてみることで、私にとって富沢ひとし掘骨砕三はメルヘン枠なんだとわかりました。
それなりに少女マンガを読んでるのに「耽美」「恋愛」への関心の低さも実感。やおい同人誌が入っているのにBLがないのもな……。(私の好きになったマンガのキャラクターで唯一耽美なのは、「巨人の星」終盤の星飛雄馬かもしれません……。池田理代子は耽美じゃない気がする)

なんとなく「佳作!」「精神の栄養!」みたいな作品ばかり選んでしまいましたが、実際は読んですぐ忘れるような作品とともにした時間の方が長いような気がします。
今読んだらきっと登場人物にイライラするだろうけど、続きが読みたくて仕方なくて、こっそり本屋で立ち読みしていた「YAWARA!」とか。そういえば、スピリッツを知るきっかけになったのも「YAWARA!」でした。ほかにも、小学生の頃に読んだ少女向けホラーとか、「お気楽忍者ハンゾー」とか「今日からヒットマン」とか「食キング」とか……。どうしても選ぶと「役に立ったマンガ」みたいなものが多くなってしまうけど、駄菓子みたいな、もう中身もろくに覚えていないけど好きだった作品こそがある種の「マンガらしさ」を内包しているような気もします。

あと、確実にこの中でもっとも読んでいる人が少ないであろう「とどめをハデにくれ」。
腐女子なわりにはそんなに作品をやおい目線で見てなくて、ネタ元も同人は読んでたけどやおいは買ってなかったのですが、これは偶然読んであまりに面白かったので入れちゃいました。グルーヴありすぎだし、他の作家絶対描いてない世界。
同人誌ってページをぜいたくに使えるから、見開き使い放題、モノローグのための白いコマ入れ放題で、ハマると本当に気持ちいいんですよね。あと、もともと同人誌なのに復刊ドットコムから出てたの笑いました。

 

■なんとなく入らなかった作品

さそうなおき 神童
榎本俊二 えの素
魔夜峰 パタリロ!
名香知子 シャルトル伯爵シリーズ
藤田和日朗 うしおととら
椎名高志 GS美神 極楽大作戦!!
ジョージ朝倉 ハッピーエンド
逢坂みえ子 永遠の野原
山口貴由 シグルイ
末次由紀 ちはやふる
富沢ひとし ミルク・クローゼット
塀内夏子ラソン
若木民喜 なのは洋菓子店のいい仕事
竹内佐千子 2DK
沙村広明 無限の住人
漆原友紀 水域
:OYSTER 光の大社員
寺沢大介 ミスター味っ子2
山崎さやか 東京家族
石垣ゆうき MMR
木尾士目 げんしけん
有吉京子 SWAN
サラ・イイネス 大阪豆ゴハン
二ノ宮知子 のだめカンタービレ
浅野いにを ソラニン
雲田はる子 昭和元禄落語心中
羅川真里茂 赤ちゃんと僕
石川雅之 人斬り龍馬
大久保ニュー ニューワールド
荒木飛呂彦 JOJOの奇妙な冒険
伊藤理佐 やっちまったぜ!一戸建て
岸本斉史 NARUTO
松井雪子 マヨネーズ姫

■入れたかったんだけど、1作選ぶにはもっと読まないとダメな気がする作家枠
島本和彦
日野日出志
樹村みのり
須藤真澄
柏木ハルコ
岩岡ヒサエ
新井英樹
諸星大二郎
楳図かずお
くらもちふさこ

■そのうち会心の1作出しそうな気がするので保留枠
九井諒子 竜の学校は山の上
西村 ツチカ かわいそうな真弓さん
紗久楽さわ かぶき伊佐
イシデ電 私という猫
中野シズカ 刺青
ふみふみこ さきくさの花さく頃