ホンのつまみぐい

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TOKYO IDOL FESTIVAL 2014にていろいろ

 会場に着いたのは15時を過ぎたころで、クルミクロニクルに間に合わず。

 地図が読めなくて迷子になり、知人と合流できたのは15時40分頃だったけれど、それまでにフェスティバルステージでいくつか観賞。

「ななのん」

 背の高い大人っぽい女の子2人組。
「ユニットを組ませて頂くことになりました!」というMCの感じから、まだお互いがうまく馴染んでいない印象を受けた。「これが私たちの待ちに待ったデビュー曲です」というメタな歌詞の曲があると思ったら小西康陽らしい。なるほど。

たこやきレインボー

 ももクロの意匠を継いだケレン味のある曲と衣装。途中でリコーダーを吹いたりと、お遊戯会らしさを盛り上げる演出あり。普段は年齢層の高いアイドルを見ているので、この年頃の女の子のキラキラ感が新鮮だった。ケレン強めに見えてなんとなく洗練されているのがすごい。安全な感じの味の濃さ。

「Faint*Star」

 たびたびアイドルオタクの間で名前の上がるTomato n'PineのHINAさんがYURIAさんと組んでできたユニット。上半身しか動かないダンスも含め、お嬢様なバニビという印象。しかし二人とも本当に美人だった……。

 その後は知人と合流。
 彼はリストバンドを買っていたが、私は無銭厨なのでSMILEGARDENに移動。

「がんばれ!Victory」

 ボーカル1人のアイドルというよりガールズバンドという印象。気がつかなかったけど、完全生音だそう。普通のアイドルとは違う種類のアスリートっぽいかっこよさがあって、事前情報なしのグループの中では一番印象的だった。

 その後、さんみゅ〜、Doll☆Elements、iDOL Street ストリート生e-Street選抜&w-Street選抜と続く。大きなステージであるSMILEGARDENに出るだけあって、みんな水準は高いのだけど、なんとなく似たような印象を受けてしまう。たぶん、私自身がアイドルっぽいアイドルにあんまり興味がないのだろう。文化のど真ん中を楽しめないことに、どこか申し訳なさも感じる。

「プラニメ」

 BiS終了から一ヶ月経たずにお披露目ということで、いろいろ心配していたけど、完成度の高いパフォーマンス。率直に言ってこの1年見てきたどの時期のBiSより完成度が高かった。改めて、「BiSってなんだったんだろう」と思う。全体に2人の個性を活かすように丁寧に作られている印象を受けた。ダンスもこの2人でないとやれない感じで、見ごたえがある。

 ただ、楽曲は少し物足りないかも。FiNALDANCEの時に感じた「このサビ、1曲の中で3回聴くと飽きるな」という瞬間がPlastic 2 Mercyにもあった。

 BiSのチームをそのまま継いでいることや、最初から大きいイベントに出演できるのを退屈に感じているオタクも多そうなので、ここから新しい物語や楽曲を作れるのかが重要なんだろう。

 一方で「守られてる感じが物足りない、つまらない」という指摘に対しては、本来は守られてることは歓迎すべきことのはずではないかとも思う。それをつまらないと思ってしまうのは、今のアイドルオタクが物語に取り憑かれていることの証左なのかもしれない。接している時間や持ってる情報によって相手への印象が大きく変わるのが良くも悪くもライブアイドルの面白いところなので、私の知らないいろいろがあっての苦言なのかもしれないけど。でんぱ組.incのW.W.Dからアイドルを見始めて、BiSを追いかけていた私も、間違いなく物語厨のひとりだし。

BELLRING少女ハート

 10ヶ月ぶりに生で観る。初っ端で柵に登ったり、口から水を吹いたりと奔放にやりたい放題。しかもそれがただの暴力的衝動ではなく、全体できちんとアングラな世界を作り出している。夜の照明の中での、黒い衣装とほころびのある歌唱が官能的。

 ところで、この日はベルハーまで来てはじめて音に合わせて体を揺らしたりということが出来て、ちょっぴり安心した。よかった、音楽に感動して体を動かす力残ってるわ。

 Vampilliaのリーダーのstartracks for streetdreamsが、BiS、戸川純ツジコノリコ参加のアルバム「the divine move」について、「ぼくは『究極のメロディーは童謡だ』ってずっと言ってたんですよ。それは日本人にしかない感覚だと思うんですね」と話していたのを思い出した。ベルハーの曲すべてが童謡との親和性があるわけではないけど、ゆるやかな歌唱がつむぐ昔の見世物小屋のような世界には、一見とっつきにくいように見えて実は根源的な楽しさやポピュラリティがあるように思える。

「しず風&絆〜KIZUNA〜」

 ガンダムカバーからはじまり、キスしてほしいなどを取り入れたカバーソング集にNegicco待ちのおじさんたちが上がってるのがわかる。アイドルによくある、ある種のぶりっ子ぽさみたいなものが一切なく、黒いTシャツと合わせて体育会系のマネージャーっぽい。いい意味で普通の子なのに、ガンガン煽って場の雰囲気をあげてくる。あおりのインパクトで楽曲が残らなかったけど、とにかく楽しませてくれた。ヘッドウォークもパフォーマンスのひとつのはずだけど、この日は直前のベルハーが叱られていたせいかなのかカット。最後にリーダーの晴子ちゃんが昨年は雨でスマイルガーデンに立てず、悔しい思いをしたが、今日は最高のお客さんと一緒でうれしいと涙声で語る。

「ライムベリー」

 ひたすら楽しかった……。ネット上の動画は小箱ライブハウスのものが中心だから、解放感にあふれた野外であんなに楽しませてくれると思ってなかった。ライムベリーメンバーはわりと小柄で、特に激しいダンスをするわけでもないのにあの楽しさはなんだろう。曲のすばらしさはもちろんだけど、空間を作る力が図抜けていると思った。また見たい……。今度はロングセットで。HEY!BROTHERも聴けて大満足。

Negicco

 アイドルばかり聴かないで、フェスティバルで会いましょう、トリプル!WONDERLAND、ときめきのヘッドライナーなど、フェス向けの曲を投入。観客への煽りもバンバン入って盛り上がり最高。みんな歌うまくなったし、可愛くなってて、一瞬一瞬を愛おしく感じられる。野外で聴く「約束の草原でキミを待つ」のフレーズが感動的。サンシャイン日本海が無かったのが唯一残念。

 しかし、ときめきとか約束の草原とか、ジェーン・スーさんは古いフレーズを使うのがうまい。カンパニュラの憂鬱にも「夜毎」という言葉が効果的に出てくる。良い意味で歌謡曲っぽい言葉の選び方だ。少し古風な言葉のほうが、歌詞を古びさせないという誰かの言葉を思い出す。

「Dorothy Little Happy」

 この日はどのTシャツを着たオタクが多いかを数えていたのだけど、lyricalschoolのほかに多いと感じたのがドロシーだった。特に自己主張の激しいオタクがいるわけでもなく、リリスクのようにファッションとして評価が高いわけでもないTシャツなのにこの人数ということは、人気が根強いんだろうなと実感。

 ドレッシーなのにファンシーな子供っぽさのない衣装に、エレガントなダンス、安定した歌唱は「見とれる」という言葉にふさわしい。ほかのアイドルが上がる曲ばかりできたところに、バラードを入れるのも確実に魅せて聴かせることのできるドロシーの自信の現れだろう。それでいて、おごりを感じさせる部分がなく、もっと大きくなってほしいなあと思わせるし、大きくなってくれそう。

 ただ、ドロシーは歌詞でいつも「こんな女の子いるかなあ……」と思ってしまう。男性の夢見る清純な女の子という感じがちょっとひっかかる。メンバーの清純さと質の高いパフォーマンスが、歌詞で描かれている女の子をうまく表現できているので、余計にだろう。ある意味で、とてもアイドルらしいアイドルなのかも。

 それにしても、プラニメからドロシーまでの流れは「みんな知らないけど、アイドルってこんなに多様で面白いんだよ」っていうことをアイドルに興味のない人に伝えたくなるような内容だった。「アイドル面白いよ!女の子の可愛さはひとつじゃないって教えてくれるから」というのを昔話していたのだけど、それを改めて思い出した感じ。一方で、王道のアイドルに対してあまり興味が持てない自分を申し訳なく思ったりもした。

 私だったら、「マンガ好き」って言ってる人が、「少年ジャンプを面白いと思ったことない」って言ってたら、それはそれでと思いつつ、釈然としないはずなので。

 クルミクロニクルLinQ、寺嶋由芙が見られなかったこと、研究員さんにあいさつできなかったこと、一般人と思われたのかアイドルにほとんどチラシをもらえなかったのが心残りだったけど、充実した一日でした。

p.s SMILEGARDEN、いろんな人が来ているせいか、クラップケチャがすごく多くて、けっこうつらかったです……。応援文化は多様であるべきだし、現場を率先して作るわけでもないライトなオタクなので、あんまりどうこう言わないようにしてるのですが、ケチャってたいてい落ちサビとか聴かせどころで入れるものだから、そこに手拍子が入るのはなんだかなあと。BiSやでんぱの現場にはない習慣だったので、戸惑いました……。