好きな曲はたくさんあるけど、個人的に「BiS」といえば?なのが「eat it」。
テラシマユフ(現:寺嶋由芙)の作詞による、イタ電を繰り返すストーカーの女の子の勝手な恋心の歌で、
「可愛いなぁ 可愛いなぁ ああ食べちゃいたい」
「いつだってあなたのことだらけ 頭の中ぱかって見せたい」
というちょっと猟奇的な歌詞とうねるような曲調が混ざり合って、可愛らしさと怪しさの入り交じった絶妙な1曲になっている。
この曲を初めて聴いたのは「BiS4」。
作詞のユフちゃんの脱退ライブだ。
活動についていけなくなったという理由で脱退する彼女は、笑顔でステージをこなしながら、どこか悲壮な気配を隠しきれないまま舞台から去っていった。その彼女のBiSでの最後の曲が「eat it」だったのだ。
この頃はまだメンバーの名前も曲名も把握していなかったけど、どこか怪しげな曲調と歌詞と、ユフちゃんのダンスのインパクトはよく覚えている。
「eat it」にはユフちゃんによる長めのソロダンスパートがある。
くるっと体を1回転させて沈み込む振り付けがあって、その様子がとても儚く、情熱的だった。
踊り終わって最後、まさに燃え尽きたとしか言いようのない風情で舞台に座り込む様も官能的で、とにかくショッキングだった。
今思うと、あの官能みたいなものが「それまでのBiS」が持っていた個性のひとつだったのだけど、その時はそんなことは知らずに、ただ不思議に力強いダンスと曲に見とれていた。
それからしばらくして、なんとなく行ったリリースイベントからじわじわBiSにはまり、8月8日、BiS階段のリリースイベントに行って、久々に「eat it」に再会する。
正確には前日のBiS階段ライブでも演じられていたのだけど、その時は既存の曲も歌詞もダンスも崩壊していくような内容だったので、ぱっと「eat it」が結びつかなかった。
その時はソロダンスパートはカミヤサキちゃんのパートになっていて、なぜか私はそのダンスを見て、ちょっと泣いていた。前日のBiS階段が自分にとってあまりに刺激的だったことも手伝ってか、サキちゃんがくるくる回るところでなぜか「自由だな」と思っていた。
この日のライブはプー・ルイが体調不良でお休みで、メンバーも疲れていて、おまいつ(常連)研究員(BiSファンの総称)さんの評判は悪かったのだけど。それでも。
あの時の「自由」の内訳はよくわからないけど、アイドルらしくないどこか病んだ歌詞をロックな曲調に乗せ、軽やかに踊る姿に何か急に感極まったらしい。
「eat it」の歌詞はアイドルらしくはないけど、女の子が時に抱えるめんどくささを書いている。しかも、それはメンバーが書いた歌詞で、客がそれを熱狂的に受け入れている。
それは、とても熱気と開放感のある光景で、今でもどこか私の中の「BiS」に対するイメージの芯になっている。
それから先、応援して行くにつれてその芯にいろんなものがついていくのだけど。
だから、今でもライブで「eat it」を聴くと「全力でパフォーマンスを受け止めなくては」という気になるのだった。
予定のままだと解散ライブも含めて私が行けるBiSのライブはあと2回。またあの曲とくるくる回るサキちゃんが見られるといいな。
5人体制の頃は、ワキサカユリカちゃんがダンスパートに参加している。