「バキバキにキマるってなんだよ」って感じですよね。薬物とか大麻とかカフェインとかやった時の一時的に脳が冴えてる状態を表すスラングだと思います。一般的には展示空間には使わないと思うんですけど、これはなんだか「キマってる」感覚ありましたね……。
束芋、淺井裕介、今津景、菅木志雄の4名に、横浜美術館のコレクションをキュレーションおよび展示してもらうという企画があったんですけど、アーティスト自らが並べたと思われる部屋は、そのものが作品になっていて、ただ部屋を眺めるだけで感受性が研ぎ澄まされる感覚がありました。いわゆる美術展では美術史の文脈がある程度展示の基準になると思うんですが、これはもっと直感的で、意外な作品同士が同じ空間に存在することで、局所的にお互いを高めあう様子がすさまじく、見ているだけで頭がキーンとしました。
特にすごかったのが菅木志雄の部屋。立体造形を専門とする人がキュレーションする立体造形の展示空間すごすぎ。「すべてがもっとも緊張感のある配置で存在する」って感じでした。
でも、学芸員がキュレーションした部屋の、文脈によって絵の意味が浮かび上がる様子もよかった。地震発生後の浮世絵や、阪神・淡路大震災後の神戸の写真を等分に並べる「あのとき、ここで」というコーナーなんかは学芸員ならでは。さすが、日ごろから企画展のテーマにあわせて、膨大な量のコレクション展を再構成しているだけある。薄い青で塗られた壁が静謐さをひきたてるとともに、同時に柔らかく包み込んでいるようでした。
そして、壁が塗り替えでビビッドな色に変わっていて、いつもの絵がよりかっこよく見えた……。これは美術館のアイデアなんでしょうか。全体的に、本当に、本当によかった。
↓から菅木志雄キュレーションの部屋。本人の作品ももちろんすごかった。
yokohama.art.museum 概要がシンプルにまとまっている記事↓
casabrutus.com 「これ、学芸員大変だろうなあ」と思ったらやっぱり大変だったそう↓