ホンのつまみぐい

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いなくなった子どもたちと残った音楽

 お盆期間のすっかり人のいなくなった通勤電車の中で、うとうとしながら聴くBELLRING少女ハートの「UNDO THE UNION」がとてもよい。歌詞が脳に染み込む感覚がある。

男の子、女の子

機関車の慌ただしさ

Ah あの冬は君の背に

目眩で恋した

あのタンジェリン かじりついて 爆ぜるアシッドな香り
そうタンジェリン かじりついて 味わってみるの
おとなってさぁ あきらめるじゃん 寝転んだ目して笑う
赤ちゃんってさぁ 手を伸ばすじゃん すべてに触れたい

  黒いセーラー服に黒い羽のベルハーは、そのビジュアルや歌詞の世界観から退廃的と言われていたけど、その魅力を支えていたのはメンバーが放つ稚気だったと思う。どこか幼く調子っぱずれな歌声と、すさまじい運動量なのに洗練されないダンス。だけど、少なくとも「UNDO THE UNION」リリース時のベルハーからは、幼稚ゆえの退屈さはなく、「タンジェリン細胞」の言葉を借りるなら、臆すことなく伸ばした手のまっすぐさに美しさを感じていた。

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 ベルハーは、櫛から歯が欠けるようにメンバーが辞めていき、最後はボロボロになって終わっていった。無我夢中で踊っていた女の子が成長し、「我に帰っていった」時期に、ベルハーが終わったのかもしれない。

 そういう気の利いた風な、だけど何もわかっていない言葉を投げつけられることを、誰も喜ばないだろうけど。

 ベルハーの絶頂期は、メンバーの心身に相当な負担がかかっていたと聞くので、再現してほしいとはとても思えないのだけど、それでもあの頃の美しさはやはり真実としか言いようがなく、私は小野啓が2年半をかけて撮影したという写真集「暗闇から手をのばせ」をたまに眺めている。

暗闇から手をのばせ

暗闇から手をのばせ

 

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UNDO THE UNION

UNDO THE UNION