だいぶ前の展示なのだけど、写真集を読んで記憶があざやかによみがえったので、備忘録として。
サプールはフランス語で「お洒落で優雅な紳士協会」を表す言葉の頭文字を取ったコンゴの人々の呼称。彼らは世界最貧国と言われるコンゴ共和国で、自らの年収の4割を海外の高級ブランド服に使う。
普段は質素な服装で生活しているが、土日の礼拝へ向かう際にはヴィヴィッドなコーディネートに身を包んで、街を練り歩く。
サプールが洗練された服で街を歩き回る姿はそれそのものが祝祭的で、褐色の肌と上品で鮮やかな服の組み合わせは心を浮き立たせる。
会場には、あるサプールの「いい恰好をしていると争いを生まれないんだよ。5000ユーロの靴を履いていても、戦争で略奪されたら自分の負け。だからサップは争いごとはしない。平和が大切」という言葉が掲示されていた。本の中でも「サプールは平和の象徴」と語られている。
私は当初その意味がよくわかっていなかった。たしかに戦渦で好きな服を着るのは容易ではないだろうが、それでもそれが「平和の象徴」とはどういうことなのかと。
しかし、それはただ自分が好きな服を着て自分らしくあることにとどまらない、この祝祭性にあるのだろう。踊るように歩き回るサプールを見て笑顔になる人々を見ていると、彼らの服装と信念の意義を思い知らされる。
THE SAPEUR コンゴで出会った世界一おしゃれなジェントルマン
- 作者: 茶野邦雄
- 出版社/メーカー: オークラ出版
- 発売日: 2016/03/22
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
展示ではアフリカの装飾文化についても学ぶことができた。写真は時事や故事成語を織り込むこともあるというカンガ。