ホンのつまみぐい

各エントリに貼ってある写真は本文と関係ないこともあります。

ヤクザ・警察・反グレ・ドラッグ……kindle unlimitedで読む裏社会の本

※最初頭にちょっとカッコいいこと書いてたんですが、なんとなく全部消しました。読むたびちょっとずつ増やします。

 

■ 警察

・ニッポン非合法地帯、ニッポン犯罪狂時代

ニッポン非合法地帯 (扶桑社文庫)

ニッポン非合法地帯 (扶桑社文庫)

 
ニッポン犯罪狂時代 (扶桑社文庫)

ニッポン犯罪狂時代 (扶桑社文庫)

 

 北芝健は、もと刑事という経歴をバックに裏社会の話を売るという芸風だが、その中身の半分以上はまとめブログレベル。警察時代のぶっちゃけが中心の「ニッポン非合法地帯」には、多少の厚みやリアリティを感じるが、基本的にオカルトのつもりで読むのが正しい。ただ、あまりに正直に記された「公僕のメンタリティ」には注目したい。

刑事や警官仲間がやられて、ヤクザのところに乗り込んで行く時、俺はうれしくて、どうしようもなくハイになる。いつも、一種の麻薬的な高揚感を味わうんだ。俺は刑事だったから、カタギの世界にいながら、思う存分暴力を行使することができた。同じ暴力を、悪事に利用するのがヤクザの世界だ。まさに紙一重なんだが、俺のいるべき場所はここだ、といつも思っていた。(ニッポン非合法地帯)

暴対法はよくよく読めば、ヤクザに人権などありません、と書いてあるような素晴らしすぎる法律だ。憲法ギリギリのところまでいっている。(ニッポン犯罪狂時代)

A警部補ほどではないにしても、公安捜査官に引き上げられた者は、心のどこかに国家を支えているという意識を持っている。交番のお巡りさんをやっていたり、殺人犯を追いつめるために地取り (目撃情報など面の捜査 )、鑑取り (人間関係中心の捜査 )していた若者が公安に紙切れ一枚でやってきて、様々な教育をほどこされると護民官意識が芽生えてくる。そういった人間は、一犯罪者を野放しにしていても国家の中枢までは被害は及ばないが、思想犯やテロリストは国家そのものを揺るがす可能性もあると考えがちだ。(ニッポン犯罪狂時代)

 長くなるので引用しないが、昨今話題の外国からの移住者への糾弾もいかにも差別的。これまで、入管がなぜあんなに頑なに非人道的な収監を行うのか疑問に思っていたが、これを読むと少し公僕側の感覚がわかる気がする。彼個人の話とはいえ、人権感覚の欠如した人間が警察という「暴力を法的に許された組織」で働くことがあるというのは、意識しておきたい。

 ■ヤクザ

・誰も書けなかったヤクザのタブー

誰も書けなかったヤクザのタブー (鹿砦社ライブラリ-)

誰も書けなかったヤクザのタブー (鹿砦社ライブラリ-)

 

 ヤクザライターには無法者に憧れる人が少なくないそう。複数の筆名を使い分けているという著者も、おそらくそのメンタル。政治家、相撲、野球と、さまざまな切り口でヤクザと社会のエピソードを書くが、「任侠」をロマンチックに理想化しすぎている面も。「反社会的な存在ではあるが、彼らなりの美学を持って動いている」というのが著者の考えの根底にあり、それが時々ひっかかる。とはいえ、これまでの取材経験から書かれたエピソードはそれなりに興味深い。最後に著者による謎のシナリオがあるが、こちらは読みきれなかった。

「もう、こっちの会場は押さえといたけね。演説会用の立札 (選挙管理委員会から貸与 )を忘れんと、あとは身柄ひとつで、こっちに来てと伝えてよ」 「はい、間違いなく持たせます」「2 0 0 0人ほど集めるけど、学会系 (公明党関係 )は抜きでね。せやけ、今回はちょっと苦労したね」 KD会とその人脈が安倍晋三麻生太郎舛添要一を始めとする、大物政治家の集票マシーンであることを、わたしはのちに知った。

ヤクザは 「反社会勢力」と言われようとも、日本社会の中間組織であることを自認している。お天道さまの下でたとえ日影者であったとしても、彼らは社会貢献を希求するのである。したがって組織の成員にも、きびしい規範をもとめている(略)つまり組織的な統制の効いたヤクザにおいては、前述したような 「クレ ーム強喝」や 「誠意を見せろ」攻撃はありえないのだ。

 

・烈侠外伝

烈侠外伝: 秘蔵写真で振り返る加茂田組と昭和裏面史
 

 加茂田重政の自伝「烈侠」に収録しきれなかった資料をまとめたもの。完全にヤクザグラビア誌。解説やインタビュー、部下に当たる元ヤクザの手記もあるが、私がもともとヤクザ好きではないのでいまいち頭に入らない。「笑顔が印象的な家庭人・加茂田重政」「盛大な誕生パーティー/多くの人に親しまれていた」などといった言葉とともに微笑む加茂田。明石家さんま菅原文太杉良太郎細川たかし勝新太郎ら、芸能人も参加する地蔵盆の写真は壮観。

 

■犯罪

・悪の境界線

 現在は丸山ゴンザレスの名で通っている著者の犯罪モノ。

 マリファナ販売に手を出して破滅する大学生。人手不足にあえぐ東北震災地の復興利権を狙って介入するヤクザ。暴対法の施行によってマフィア化するヤクザ。マンガ喫茶での簡易売春。芸能人のセフレ。樹海の死体を収集するマニア……。

 「悪の境界線」と表現されるが、自殺志願者と偽り、集団自殺を計画する女の子をレイプしようとする男や、ホストにはまって借金を作り失踪した20歳の女の子など、悪のスケールの小さい話も多い。しかし、だからこそ身近な出来事として読めてしまい、気落ちしてしまう。

 唯一のんびり読めるのは賄賂のプロの話。賄賂は現物を渡すのがセオリー、何度か渡してから呑みに誘い、領収書をもらわずに金を払い、相手に借りを認識させるなどの企業秘密が紹介される。

賄賂の理想的な形は、『あの人には個人的に借りがあるからせめて仕事面で還元しよう 』と思わせること。つまり助けあい、持ちつ持たれつの関係性になることなんです。

じきに定年になりますからね、私も。いまの業界のやり方がいつまで許されるかはわかりませんが、社内でも私のやり方を継いでくれる人がいません。古臭いというよりは、若手がなんとなく怖がって受け継いでくれないといった感じです。

 そうか……。

・裏のハローワーク

裏のハローワーク

裏のハローワーク

 

  昔は本屋のサブカルコーナーに必ず積まれていたロングセラー。裏の中身は治験アルバイトやマグロ漁船から、夜逃げ屋やヤミ金業者。偽造クリエイターまでさまざま。基本1回のインタビューを中心に一つの記事が作られている。突っ込んだ裏付け取材などはされておらず、インタビューで聞き取ったことをそのまま書いている印象。しかし、その垂れ流し感がウケた理由かもしれない。

 各章のクオリティもまちまちだけれど、総会屋や、保険証の偽造などを手がける偽造クリエイターの話などはそれなりに新鮮。最終章の臓器ブローカーは、夜中に電話がかかってきたという導入からして創作っぽいが、本当なのか?

 

禁断の現場に行ってきた!!

禁断の現場に行ってきた!!

 

  イラストレーターからルポライターに転職したものの、コネも知識もないため、やれることは「興味がある場所に実際に行ってみるだけ」だったという著者の10年分の実体験ルポ。北朝鮮ツアー、ごみ屋敷清掃、樹海探索、洞窟探索、新興宗教潜入などなどが実体験として語られる。

 樹海で死体を見つけては「死体ゲットだぜ!」。ゲイAVの潜入面接を受けて、メーカーの男性を「デブホモ野郎」。韓国・北朝鮮では禁止地帯の写真撮りまくり、差別発言しまくり……というクズい感じでイラついてくる。が、編集の指示で上野公園で物乞いをさせられたり、精神病院に入院させられたり、キックボクシングで元ボクサーに殴られたりと、本人もいまいち人権を尊重されていないので、「そりゃそういう感覚になるわ」という気になってくる。日本軍のコスプレをして議事堂前に行って、「コアマガジンかミリオンだろ!」と警察に叱られるところなど、当時のサブカル雑誌の立ち位置が察せらせる。

 圧巻はアルバイトとして参加した汚部屋清掃の話。おしっこの入ったペットボトルが何百と出てくる下りは頭がクラクラする。

 大麻・ドラッグ

・GREEN RUSH

GREEN RUSH (NEXTRAVELER BOOKS)

GREEN RUSH (NEXTRAVELER BOOKS)

 

 合法化推進派の著者による、全編フルカラーの大麻のPR冊子。小洒落た海外の写真やイラスト、大麻で救われた人の話をガンガン載せていて、さながら大麻特集のブルータス。もしくは若者向け青汁のCMという感じ。あまりに爽やかに紹介されているのでかえって警戒心が湧いてしまう。