ホンのつまみぐい

貼ってある写真は本文と関係ないこともあります。

サブカル不毛の地・横浜から生まれた「nuance」はローカルアイドルとして正しい

横浜のご当地アイドルnuanceがドルオタの間で話題になっていると聞いたときは、マジかと思いました。

 

横浜ってサブカル不毛の地と呼ばれてるんですよ。理由は簡単で、何もかもが東京で足りてしまうし、何かやろうとしたら東京に行った方がいいから。だから、新しいものが生まれないし、狂人は居残らない。

 

アイドルももちろんそうで、ナチュラル・ポイントやポニカロードといった先人はいたけれど、じゃあそれがそのまま東京に行ったり、横浜に人を呼んだり出来るかというそこまでの存在感はなかった。

 

それが、いきなり「横浜」をアイデンティティに添えたグループが話題になってる。しかも、アー写にも衣装にも曲にもちゃんとお金をかけてる感じ。ライブアイドルにありがちな「とりあえずやってみました」感がない!

 

調べてみると、サウンドディレクターは乃木坂46遊助への楽曲提供もある佐藤嘉風(かふう)。そして、楽曲提供は劇団鹿殺しからオレノグラフィティ、横浜のフォークデュオN.U.ら。「キンプリ」「プリパラ」に歌詞を提供している宮嶋淳子も。振付はこれまた劇団鹿殺しの浅野康之。ダンスレッスンには横浜元町でダンススタジオを開設しているFUYUMI。最新のジャケ写はハービー・山口。地元のクリエイターに加えて多彩な制作陣が参加している。

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ライブアイドルである程度の質を保っているところって「イカれた大人が人生投げ出しつつ無茶を通して運営する」イメージを持っているので、「横浜にもそんな気合いの入った狂人が……」ということに驚きました。

 

HPを見ると横浜市商店街総連合会企画のガチシリーズのテーマソングを歌うアイドルらしい。たしかに連合会知り合いいれば何とでもコラボする印象あるし、アイドルバックアップしててもおかしくない。その後、運営はコンテンツ制作の何でも屋さんであるミニマリング・スタジオが行っていると知り、安定感のあるパッケージングとコネクションの強力さに納得しました。

とはいえ現場まで行くつもりはなかったんですが、なんとワンマンの会場は横浜に1946年からあるダンスホール・クリフサイドというじゃないですか。清竜人25の「Mr.PLAY BOY…♡」PVの撮影場所ですね。

 

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年配のお客さんを中心に、未だにダンスホールとして機能している希有な箱。また、ジャズライブやダンスの発表会なんかも行われています。関東圏のドルオタなら東京キネマ倶楽部をイメージしてもらえばいいと思います。

 

ただキネマ倶楽部と違って石川町駅もしくは元町・中華街駅から降りて少し歩く、元町商店街の裏手の坂の途中という見つけづらい場所にあり、地元の人間ですら存在を知らない人が多い。ましてやアイドルのライブなんて開催されたことありません。

 

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横浜駅周辺ですら来てもらうの大変なのに石川町て……(まあ、閉店したリザードも含めると横浜の代表的なライブハウスやクラブは石川町に集まってるんですが)。連合会のバックアップがあるみたいだし、クラウドファンディングも行っていたから運営が大赤字になることはないかもしれないけど、どう考えても無謀。

 

というわけで、前置きがめちゃくちゃ長くなったけど、横浜で無謀なことをしている人がいるらしいという好奇心でnuanceワンマン行ってきました。

 

中に入ると、立派なソファーのある待合室やホテルのようなクロークが出てきて、ここでもう元取った気になりました。会場にはあちこち古い写真や絵画も置かれていて、歴史を感じさせます。

 

そして、ドリンクカウンターにはYシャツに黒ベストの品のいい服装の年配の女性。白ワインをグラスで渡していただきました。ダンスホールっぽいぞ!古い映画の中みたい!

 

ドリンクを受け取って会場に降りると、背景に古い喫茶室で使われるようなレタリングでのクリフサイドという文字が躍るステージの上で、すでに4人の女の子が踊っていました。会場内はご家族・関係者と思わしき人が40人くらいで、オタクが50人くらいかな。

 

低いステージの後ろから見ていたので振り付けはよく見えなかったんですが、曲はたしかにいい。革新的なことをやっているわけじゃないけど、軽やかで聴き心地がよくて、アイドルっぽい少し抜けたかわいらしさもがある。楽曲派受けしそうな出来。

 

ステージングも「レベル高い!」っていうわけではないのですが、全体的に誠実で、ちょっとおっとりした感じで、いい意味でいかにもローカルアイドルっぽい。

 

ぼんやり見ていると「6曲駆け抜けてまいりました。次からは後半戦です!」というMCから、メンバーがいったんはけて、misakiちゃんによるギター弾き語り。

 

「名だたるアーティストがPVに使っているような場所で弾き語りが出来るなんて夢のようです。でも、これもニューメンとメンバー3人のおかげなので」というMC。めちゃくちゃしっかりした子で、歌も安定感ありました。

 

次に出てきた女の子は頭にミツバチの触覚ヘアバンドを着けた珠理ちゃん。「いつも4人でいるから1人心細いな~。でもがんばろ!」といいながら「ハチミツ片思い」というラテン調の曲を披露。「ハチミツ片思い~」というサビがものすごく頭に残る曲で、今でもたまに思い出します。

 

ソロコーナー終わってから衣装を着替えて、再び4人でのライブへ。

 

ロコドル感たっぷりの楽曲「We Love 商店街」がとても盛り上がっていて、これまでの活動の歴史を感じてほっこり。合間合間にのんびりしたMCをはさんだり、アンコールでのサイリウム点灯に珠理ちゃんが泣き出したりと、アイドルらしい場面もはさみつつ、ゆったりした空気で終了しました。

 

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最後に、メンバーが垂れ幕を持って2階のバルコニー上のスペースにあがり、サプライズで発表したのは6月のO-WESTでのライブの発表。

 

バックアップがあるのかもしれないけど、まだ横浜のちょっと話題になってるくらいのロコドルなのに、キャパ600の箱って正気じゃないなー。でも、面白いし、応援したい。

 

nuanceって、ただ「地元の可愛い子を使って人を呼びたい」じゃなくて、「横浜でも面白いものが作れるよ」と「地元の人も知らない横浜の面白さってこういうとこだよ」というプレゼテーションができてるんですよ。つまり地域の再発見ってやつですね。ご当地として正しい。

 

制作が昔から地元の広報誌や映像、企画を作っているミニマリング・スタジオなのが大きいと思うんですが、そういう思想のあるなし大切。

 

半年後にO-WESTは大きな挑戦だけど、成功してほしいなあ。 

 

nuance.blue

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