あめとかんむりのリリースパーティ-、しみじみよかったです。
校庭カメラガールツヴァイの解散後にはじまった、molm’o’mol(もるももる)のソロプロジェクト・あめとかんむり。
11月9日に行われたリリースパーティーは、中目黒solfaというtapestokrecordsにとっては馴染んだ箱での開催でした。
平日の夜19時からのオープン。演者はfaela、八月ちゃん(アコースティックセット)、Primula、そしてあめとかんむり。
シンプルでコンパクトな内装と青をベースにした照明が穏やかな東京の夜を強く演出していて、いつものアイドルイベントとはちょっと違った雰囲気。
DJが終わるとtapestokrecordsのアーティストで、女優小宮一葉として活動するfaelaのライブがスタート。
ささやくような声のラップはポエトリーというにはちょっと弱々しくて儚い感じ。赤いワンピースに大きな目が印象的でした。緊張感強いなと思ったら初ライブだったとか。
Curtain Call (girl remix)のトラックメーカーPrimulaのDJ。
宇宙旅行がはじまりそうなビートに、時折入るかわいいアレンジがめちゃくちゃ好み(わけわからない形容ですみません)。ずっと聴いていたくなる音でした。途中からDJブースから出て来たと思ったら、セーラー服に着替えて旗を振っていたのも面白かったです。
Primula | Primula Cat Fish | Free Listening on SoundCloud
PrimulaのDJで「来てよかった」としみじみ思ったところに、Jasさんからの振る舞いテキーラ。
そして、モスグリーンのアー写の衣裳を着たmolm’o’mol登場。優しいビートのイントロが鳴ると同時に、フロアから少し声が出ます。「またコウテカの曲を歌う日が来るとは思いませんでした」という言葉をはさみ、Curtain Callソロ。
Curtain Callは「思い出す」ことについての歌で、過去と現在、そして未来の意味が1曲の中でどんどん変化していきます。
「これはきっと大切な詩になる 今日はきっと大切な1日 そんな衝動ふわりと浮かび出す カーテンコール」
今日の歌には、うぉーうぉーとぅーみーも、ののるるれめるも、しゅがしゅららもいない。なのに、なぜか寂しいとは思わず、ただリリックをひとつひとつ聴きとりながら、音に耳をすませていました。
Dis dear Month of August / 校庭カメラガール | tapestok records
※リリックは↑で確認出来ます。
molm’o’molが下がって、八月ちゃんのアコースティックライブ。
髪色に合わせてブルーでまとめた服装がsolfaの照明とよくあっている八月ちゃん。柔らかいギターの音色と、八月ちゃんの少しかすれた声と素直な歌い方が心地よく、ちょこちょこ哀しいフレーズが挟まる歌詞がすっと入ってきました。合間に色の違う坂口恭平のカバーが入るセトリもよかった。
アシッドなハウスミュージックに乗る、一見けだるげで投げやりな、でもどこか切実なラップ。幻想的な音作りとどこか心に引っかかるラップの組み合わせ。
実は、最初にこのプロジェクトのMVが公開されたときに、まったく理解できなくて周囲の高評価に戸惑っていました。だから5月のイベントで観たときも正直そこまでピンと来ていなかったのですが、いつの間にか音が耳に馴染んできて、アルバム発売が告知された頃はすっかり今年の秋の大きな楽しみの1つになっていました。
ライブはアルバムの冒頭と同じく、あぶくの音を加えた音に、数え歌のような言葉が乗る不思議な曲・backからはじまり、スムースなつなぎで進んでいきました。
どこか憂鬱な言葉が続く曲ばかりだけど、八月ちゃんを加えてのwith out youでの二人の楽しそうな様子とか、フロアの中央に降りてきて煽りを入れたり、真ん中で寝転んだりというちょっとしたあれこれやってみた感とか、控えめながらいきいきとライブを楽しむmolm’o’molと、それを見守るように身体を揺らすフロアの人々という画がとてもよかった。
アイドルを辞めてから今まで以上に口べたになったみたいで、MCは何だかフラフラしていたけれど、それをゆっくり聞いているフロアの様子も含めてとても幸福な現場で、最後のTomoさんが誕生日ケーキを渡す場面では、何だかちょっと懐かしい気分になりました。
エモーショナルでフィジカルにくるライブも楽しいけれど、こうして、自分にとって新しい音楽を祝福の気持ちとともにゆっくり味わうことが出来るというのもとても気持ちがいい。
よいライブというのは「もう一度あの時間に戻りたい」と思わせてくれるものですが、この日は間違いなくそういう一夜でした。