ホンのつまみぐい

いろんなもののファンをやっている人が、日々のよしなしごとを綴っています。

「新・今日の作家展2017 キオクのかたち/キロクのかたち」@横浜市民ギャラリー

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横浜市民ギャラリーのキオクのかたち/キロクのかたち、とてもよかった。

語りすぎなところも含め、美術と社会のつながりについてきちんと向き合っている。

海兵隊だった曾祖父と、彼が乗っていた船についての話を聞きに行く映像と原子力に関するインスタレーションを合わせた久保ガエタン作品。

曾祖父が乗っていた「梨」という艦隊が撃沈され、引き揚げられたのちに、解体・再利用されていたことを知り、その歴史から「破壊と創造」をイメージする。ちょっとロマンチックに解釈しすぎていると思ったけれど、面白い。

陸前高田の人々の話を聞き取りながら作品を作る小森はるかと瀬尾夏美。「2031年、再生した町に住む人々が過去の町とのつながりを思い起こすという物語」を、2017年に生きる人々が語る映像。「祖父母の過去を私が語り継がなくては」と決意する孫など、2031年の人々があまりに過去に対して好意的なところはちょっと気になったけれど、理想の未来を書くという行為なのかもしれない。絵画の色合いのにごりのない華やかさもよかった。

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様々な土地でのクジラにまつわる物語を収集し、文章と刺繍でつづる是恒さくら。親しみやすい刺繍の有様に反し、冊子「ありふれたくじら」の内容は学術的でもある。作者はアラスカに4年半滞在していたそう。刺繍の形を取ることで、どこかの地域で実際に作られていたタペストリーを見ているような錯覚に陥った。

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広島の公園や資料館に集う人々を撮影する笹岡啓子。記録や記憶の担い手が感じる無力感や不安を共有させるような、おとなしい写真。

のどかな公園の風景には、直接的には広島の過去は映らない。では、なぜ写真を撮るのか? その写真には何の意味があるのか? を問い直しているような印象を受けた。

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PARK CITY―笹岡啓子写真集

PARK CITY―笹岡啓子写真集

 

タイトルとなっている記憶と記録は、芸術と学術、あるいはジャーナリズムとの違いとは何かという問いでもあるのだろう。

ちなみに、学術と自身の仕事については是恒さくらも小森はるか+瀬尾夏美もインタビューでかなり具体的に語っている。

作者インタビューが動画と小冊子の両方に記録されていて、どちらもWEBで閲覧できるのもとてもよい。

展示は明日で終わってしまうけれど、このインタビューは終了後も長く読まれてほしいし、読まれるべきだと思う。

 

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↓小冊子のダウンロードリンク

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