ホンのつまみぐい

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「インタビュー術!」など、インタビュー原稿作成時に参考にした書籍や記事を紹介します

先日、お邪魔してるサイファー・カレー会から生まれた、ラップユニットもつ酢飯のMC、ワッショイサンバちゃん、ムノウちゃんと、ビートメーカーのどくまんじゅくんにインタビューしました。

いつかは弱い女の子達の支えになりたい-「もつ酢飯」のトリックスターラッパー・ワッショイサンバの道のりと夢 - ホンのつまみぐい

私は自分の人生の当事者なんだ―自称「ただのオタク女子」が、もつ酢飯のラッパーMCムノウになるまで - ホンのつまみぐい

ラップを好きでいろよ-出会う人をラッパーに変える、MAZAI RECORDS運営兼もつ酢飯のビートメイカー・DocManjuが語るヒップホップへの愛情 - ホンのつまみぐい

 

ものすごく久々に一字一句違えないようにテープ起こしをして編集する原稿作りをしたのですが、身体的にはかなりしんどかったもののとても楽しかったので続けていきたいと思います。書くという行為を大事にしていきたい。

ただ、テープ起こしの時間だけで1本5〜10時間かかってしまったので、継続にあたってはやり方を考えないといけませんね……。

 

先人への敬意をこめて、原稿の作成に当たり参考にしたものや面白く読んだものを、いくつか紹介していきたいと思います。


インタビュー術! (講談社現代新書)

インタビュー術! (講談社現代新書)

 

 

永江朗さんはエロ・出版産業・書評など幅広い分野で活躍しているフリーライター。ご自身の経験から生まれた知恵と、幅広い読書から得た知見が事細かに書かれています。

具体的に役に立った箇所は

・質問項目の作り方。
・最初に時系列に沿って質問をすると相手が自分の言葉を物語化しやすくなる。
・「それでは最後の質問ですが」「言い残したことはありませんか」という〆方。
・テープ起こしは厳密に。語尾にその人の個性が出るから。

でしょうか。「言い残したことはありませんか」超便利!

ほかに倫理的に参考になる箇所として、

・インタビュー時間外に聞いた話はどんなにおもしろいことでも仁義として使わない。使わないけれど、反映させる。
・「役不足/力不足」などの間違った言葉遣いがあったら、相手に恥をかかせないために思い切って削る。

こういうの、本当に大事ですよね。だから、アーティストに文章を書かせて何の添削もしていない最近のネットメディアなんかを見るとを何やってんのと思ってしまいます。依頼した相手に恥をかかせている。

永江さん自身が参考にされた本についてもかなりの紙幅が割かれていて、ブックガイドとしても優秀。

 

realsound.jp

ーーその話は別の機会にするとしまして……。前回のインタビューでは、大黒摩季さんのお名前が何度も出てきましたが、今回は冒頭から久宝留理子さんのお名前が出てきましたね。
ちゃんまい:そうですね、さっきも言いましたけど久宝留理子さんはロックを消化させる上で、本当に影響をうけていて結成当初からカバーしてるんですよ。あと、私はDAISUKI!な本田美奈子さんの「WILD CATS」と和製ランナウェイズの「GIRLS」も意識していますね。
ーー「男はアイツだけじゃない」は、最初は1990年代風のプログラミングやキーボードが鳴るサウンドに耳を奪われますが、たしかにキャッチーなメロディーを重視して制作された楽曲だと感じました。特にサビでそれを感じます。

読み物としても面白さと、音楽としての価値を読者に共有させるためのバランスがいい。宗像さんの文章のエモーションや、社会との関わりを語る姿勢もとても好きですが、やっぱり音楽の教養あってのことだと実感させられます。

インタビューではないのですが、ほかに宗像さんの記事で特に好きなのはこちら。

news.yahoo.co.jp

 

realsound.jp

 

大谷:書き言葉は目の前に誰もいないまま書きますよね。相手がいないまま無限に語れるのが書き言葉です。書き言葉、文字は、誰が言ってるのかわからないし、誰が読むかもわからないところに存在するんです。

姫乃:あれっ、なんだか怖くなってきました。
大谷:原理的な話ですよ。怖いですか(笑)。

姫乃:ずっとそばにあった世界に気づいていなかった恐怖があります。

姫乃たまちゃんのものすごい教養人なのにそれをひけらかさず、かと言って卑下もせず、先人に教えをこいつつ本質に切り込むインタビューとても好きです。

大谷さんへの「怖くなってきました」。なかなか言えないし、書けない。ご自身の役割をよく自覚されているのだと思います。

realsound.jp

でか美:そう。自分自身が想像してるアイドル像から離れ過ぎちゃってて、それで自称できないんだよね。最近はアイドルも多様化してるし、地下アイドルって言われることにもだいぶ慣れてきたけど、アイドルですよねって言われると……。
姫乃:にゃはは、それはそれでねえ。

あとは、合いの手や語尾の選び方にいい意味で個性のコントロールが出来ている。さすがアイドル。「にゃはは」……。


KAMINOGE vol.61

KAMINOGE vol.61

 

 井上崇宏編集長によるサ上とロ吉インタビュー。

ヒップホップとの接点はサイプレス上野だけと言いつつ、音楽ライターじゃないからこそのツボのつき方が面白い。

KNZZvs漢a.k.aGAMIの騒動に対し、「あの人たちはみんなケンカが強いんですか?」と聞いたエピソードとか、サイプレス上野の「バトルではプロレス式に相手の話を聞いてから返す」という言葉に、「でもそれって弱いんですよね。一回相手の技を受けないといけないですから」とか。

あと、プロレス誌の取材なのに「プロレスは上野くんの話だけでお腹いっぱい」というマイペースなロベルト吉野に、最終的に読者が興味を持っていくように全体が構成されているのも巧い。これ、会話の流れ当日のままなんでしょうか。だとしたらすごいな。最初から最後まで「キャラ立て」の文法にガッチリ寄ってる感じがさすがプロレス誌。てか、前号に原一男が登場したりと、この雑誌謎が多い……。

POPEYE(ポパイ) 2017年 3月号 [二十歳のとき、何をしていたか?]

POPEYE(ポパイ) 2017年 3月号 [二十歳のとき、何をしていたか?]

 

地の文に語り手の言葉を混ぜていくルポルタージュ調の構成。さすがマガジンハウスという安定感のあるクオリティ。二十歳というキーワードから今に至るまでの物語をじっくり構成した内容は全編読みごたえがあります。今回はやらなかったけど、こういうのも面白いですね。

 

ヨコハマシカの

「もらった影響は同時に宿題になるから一つの答えじゃ終わりは無い」

を肝に銘じつつ、引き続きがんばります。


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ヨコハマシカ feat. OZROSAURUS

ヨコハマシカ feat. OZROSAURUS