ホンのつまみぐい

いろんなもののファンをやっている人が、日々のよしなしごとを綴っています。

THA BLUE HERB YEAR END LIVE 2016 @WWW X

2016年末にWWWXでの「THA BLUE HERB」を観てきました。その上で、「今のTHA BLUE HERB」に関しては、こちらのブログに書かれていることが一番共感できました。

yoshimi-deluxe.hatenablog.com

 

でもBOSSの歌ってることって
他のヒップホップもそうなんですけど
ほぼ説教なんですよ。
自分の信じた道を生きろとか
他人の言うことに惑わされるなとか
わずかな金やちょっとした名声のために誇りを売るなとか。
汚れつちまつたババアには暑苦しく感じることも多いんだけど
それをメンタルとフィジカルの両方に響かせるべく
力強くてエモーショナルに訴える
20年戦士のラップだった。

カッコよくてもすぐにイタくなり
常に色んな視点からの評価がメタメタに感じられ気になり
何事も言い切れない、決めきれない 
相対化の大海原にいるからこそ
生き恥でも痛くても、ピークじゃなくても、
おっさんでも、中流階級でも、
俺はこうなんだ、これを信じるんだ、と
熱く押し付けてくれる力を眩しいと感じるのかもしれないなと思う。

 

私もわりと近い感想で、少し付け加えるなら黒澤明の登場人物を思い出したということ。

昔、何かで「黒澤明の作品が描く倫理観を多くの観客は生きる為の指針として求めていた」という趣旨の文章を読んだことがあります。当時はその言葉がピンと来なかったのですが、先日久々に映画館で「赤ひげ」を観て、その意味を理解しました。

hontuma4262.hatenablog.com

社会から墜落してしまって抜け出せないような時や、逃れようのない孤独にとらわれている時こそ、黒澤映画が物語るような分厚い倫理観が必要とされるのだろうなと。正しくあるための倫理でなく、自分らしく、優しくあるための倫理。

そんなBOSSの、あの日のMCの断片。

「魂の会話んしに帰ってきたんだよ!」

「今日ラッパーひとりやふたり来てんだろ
ボスの格言だ
タダでくれてやる
20代なら20代、30代なら30代
それぞれのライフストーリーを語るのがヒップホップだ」

「タクシーで帰ったらいくら残るんだよというライブを続けていた頃、俺の相棒は『違うよ、俺たちは今徳を積んでるんだよ』と言ったんだ」

「地元を離れなくても食っていけるのを証明する」

自分自身に言い聞かせるような率直なMC。

ライブの中盤、「負けを知ってるあいつがどのくらい強いか思い知ったよ。何度だって始められる。始めようと思ったらそれがその時だ」というMCに呼び込まれて出てきたのはECDドネーションTシャツのYOU THE ROCK☆でした。

YOU THE ROCK☆の印象は何より「声がでかい!! 」。何というか……人間銅鑼? YOU THE ROCK☆の過去はかろうじて知っていて、復帰後あまりよく言われていないことも何となく知っていたのだけど、そういう前評判を吹き飛ばすようなただただ強い声で、いや、すごい説得力でした。

そして最後は来年大きい場所(日比谷野外音楽堂)でライブをやるからという前置きから、「20年やってるうちに、去ってった人たちにも見せたいんだよ」という言葉。

なるほど、「BOSSの説教を聞きに行く」という表現がなされるのもわかるライブでした。誠実で熱い任侠の人だ。

ただ、今回に関して言えば、コンディションが悪かったせいか、予習が足りなかったせいか、あんまり「音楽として楽しむ」ことは出来なかったので、次回はその辺をちゃんと受け止めたいなと。シューゲイザー調で好きな感じの曲もけっこうあったんですが。

 

youtu.be

 

STILLING STILL DREAMING

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ラッパーの一分 [DVD]

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 ちなみに、観に行こうと思ったきっかけはこの本。

 

ヒップホップの詩人たち

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