ホンのつまみぐい

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クリスチャン・ボルタンスキー  アニミタス-さざめく亡霊たち@東京都庭園美術館&牛腸茂雄という写真家がいた。@FUJIFILM SQUARE 写真歴史博物館企画写真展

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クリスチャン・ボルタンスキー  アニミタス-さざめく亡霊たち
 
正面入り口にあるチケットの列がやけに進まないと思ったら、おそらく50代後半と思われるおっさんが受付の人に「こんなバカな制度は聞いたことがない」「根拠はあるの?」と怒鳴ってる。何かと思ったら、庭園美術館は土日祝日は館内撮影不可なのね。撮可の美術館どんどん増えているけど、ここはもともと旧朝香宮邸。アール・デコ様式の美しい邸宅の中を歩き回れることもあり、美術オタクだけでなく観光客も多い。客同士のトラブル回避のために日によって不可にせざるを得ないとか、いろいろ事情があるんだろうと思った。 それを斟酌せずに「俺が正しい!」という顔でまくしたてるおっさん。端的に言って醜い。
 
「ああいうの、怒るべきだった……」と思いながら、さらに進むと邸宅入口の受付でもその親父が受付の女性に向けてネチネチと文句を言っている。「実際今日どれだけの人がいるっていうの?こういうくだらない制度を当たり前にしてるのはね、ほんと愚かだよ」とか。 
 
さすがにムカッと来たから「あなたがここでこの人たちにそんなこと言っても仕方がないでしょう?!」って言ったら「だから責任者呼んでるんじゃない。あなたには関係ないでしょ?はい、あっちどうぞ」という反応。
 
私はそこでめんどくさくなって立ち去ってしまったけど、ああいうターンで効果的な罵倒を言えるようになる反射神経がほしいと思った。脳がトロいよ。何のためにフリースタイルラップの練習をしてたんだよ、お前。いや、ケンカのためにやるわけじゃないんだけど。 
 
しかし謎だったのはその男が20代半ばくらいの女性を連れていたことだ。「もういいよ~~。行こうよ~~」ってタメ語で言ってたけど、なんだったんだ。愛人か。
 
そんなこともあってあまり展示に集中できなかったけれど、亡霊という名を付けてそこにいたはずの死者をよみがえらせる試みは好きだった。建物に入ると、スピーカーからは死者の声と思われるボソボソした会話が流れ、心臓の音をサンプリングした部屋や首つりの様子が影絵として映し出されている部屋なんかが用意されている。庭園美術館と展示がお互いを殺し合ってたという意見もけっこうあって、それもわからないではないけど、何度か行ったことのある場所がちょっとした異界になってるのはそれなりに楽しかった。 
 
あの世界観、まるごと山岸凉子がマンガ化したらハマると思う。それにしても、客に似たような雰囲気の人しかいないのがすごかったな。

 

クリスチャン・ボルタンスキー -アニミタス―さざめく亡霊たち-

クリスチャン・ボルタンスキー -アニミタス―さざめく亡霊たち-

 

 


Boltanski interview

 
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牛腸茂雄という写真家がいた。
 
ボルタンスキー展から回したら三浦和人さんのトーク中。話はほぼ覚えていないけど、三浦さんのたたずまいの優しさが印象的だった。牛腸さん、大昔に見た佐藤真のドキュメンタリーでは、どこか謎めいた人としてとらえられていた気がするけど、三浦さんが語る彼は明るくて、ちょっと小ズルいところもある人だった。課題で「磁力だか磁場だかのある写真」と言われて、磁石に砂鉄をつけて撮影して提出したという話がチャーミング。 
 
展示はハガキくらいの大きさのプリントを額に入れたもの。スペースが小さいこともあってちょっと集中できなかったけど、牛腸茂雄の写真の静けさはやはりいいなと思った。 
 
「人間ってこういうなんとも言えない、感情が一種類じゃない顔もするよね」という表情。そして、それらはどれも次の一瞬に消えちゃいそう。以前、友人に「写真の面白さがわからない」と言われたのだけど、「ドキュメントこそが写真の面白さ」という気持ちが彼の写真を見ていると湧いてくる。もちろん、それだけではないけれど、私にとってはね。
SELF AND OTHERS

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